2017年2月8日水曜日

トランプ要因に振り回される中国、資本流出のさらなる増大も

 中国の外貨準備高の減少は「トランプ要因」で今後も継続しそうな気配だ。トランプ政権の経済政策への期待感から景気が上向いている米国が利上げを続ければ、中国からの資本流出は一段と増大する。中国人民銀行(中央銀行)はドル売り元買い介入を迫られ、外貨準備高がさらに減る「負のスパイラル」に陥る。

 元は昨年1年間で対ドル相場が約6.6%下落。大規模な切り下げがあった1994年以来の大きさだった。トランプ大統領は選挙戦を通じ、元安戦術による中国の輸出拡大を批判。中国製品に高関税をかけるほか、「為替操作国」にも指定すると主張してきた。

 ただ、トランプ大統領による批判を回避しようと人民銀行が"為替介入"の手を緩めれば、「外国為替市場ではさらに元安ドル高への圧力が強まる」(市場関係者)との矛盾に陥る。

 中国共産党と政府は今年の経済政策を決める昨年12月の経済工作会議で、元相場安定を重要政策として確認しているが、国内事情と関係なく、元相場とリンクした外貨準備高はトランプ政権の対中政策や市場に振り回されることになる。

 習近平国家主席は1月17日、訪問先のスイスで「元の切り下げで(輸出)競争力を高める考えはなく、通貨安競争を仕掛けるつもりもない」と強調。過剰な反応は避けつつも保護主義に傾くトランプ氏を牽制(けんせい)したが、なお有効な手立ては見当たらないのが実情だ。

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