日銀の木内登英審議委員は23日午後、甲府市内で記者会見し、「量」と「金利」の双方で目標を定めるのは不可能との見方を示した。その上で、昨年9月に導入した「イールドカーブ・コントロール」(YCC)にとって、米大統領選以降の米金利上昇は「逆風だった」と分析した。国債買い入れ日の事前予告を巡っては、一定の効果を認めつつ、オペの安定性につながるかどうかは「やや疑わしい」と語った。
木内委員は、米金利の上昇に伴って国内の金利にも上昇圧力がかかる現状を踏まえ、長期金利操作は「オペレーション上、困難さを抱えている」と指摘。
金利上昇局面では国債の買い入れ増で対応するが、それによって「流動性が低下すれば、市場が不安定になる可能性がある」と述べた。
また、長期金利の目標を頻繁に変更すれば、目標値の次の引き上げを巡って市場で思惑を生み、さらに金利上昇圧力がかかる恐れがあると懸念を示した。
木内委員は同日午前、金融経済懇談会で講演し、日銀が掲げる2%の物価目標について「短期間での達成が困難なだけでなく、家計や企業の経済活動にとってむしろマイナス」との考えを示した。
会見では、物価目標だけではなく金融システムの安定にも目配りした政策運営が必要と強調し、「2%目標達成のためには何を犠牲にしてもいいという考え方は危うい」と語った。
今後、金融政策の正常化の過程で付利金利を上げていけば日銀の財務体質が悪化する可能性にも触れ、そうなれば「本来の物価安定という使命に大きな逆風になる」と指摘した。
一方、日銀が検討を進める長期国債買い入れ日の事前通告を巡っては、金融機関にとってリスク軽減効果が見込めるとした一方、「オペ全体の安定性に貢献する決定打になるかはやや疑わしい」との見方を示した。
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