2016年11月29日火曜日

「甲状腺がん子ども基金」12月から申請受け付け

 東京電力福島第一原発の事故後、甲状腺がんと診断された子どもたちを経済的に支えようと発足した「3・11甲状腺がん子ども基金」は、12月1日から療養費給付申請の受け付けを始める。全国からの寄付金が2千万円に達したため。基金代表理事で医師の崎山比早子・元国会事故調査委員らが28日、記者会見で発表した。

 給付対象は、原則として原発事故後、東北・関東・甲信越地方に住んだことがある25歳以下で甲状腺がん、またはその疑いがあると診断された人。給付金は1人10万円。アイソトープ治療の必要があると診断された人にはさらに10万円が支給されるという。

 第1期申請期間は来年3月まで。毎月末に審査をして順次支給する。

 事故当時18歳以下の福島県民を対象にした同県の検査では、170人以上が甲状腺がん、またはその疑いがあるとされる。同基金は「原発事故子ども・被災者支援法」で国に義務づけられた医療の包括支援策が「十分に講じられていない」と批判。療養費支給だけでなく、医師ら専門家による治療環境や療養生活の向上についての支援にも取り組むという。

 申し込みや問い合わせは、同基金(080・3757・0311、http://www.311kikin.org別ウインドウで開きます)へ。

2016年11月28日月曜日

タワーマンション高層階は増税へ 階が上がると税額引き上げ、でもなぜ?

 タワーマンションの固定資産税見直しをめぐり、政府は27日、1階ごとに税額を引き上げる方向で検討に入った。40階建てなら、最上階は1階より10%程度高くする。2018年度の課税から適用する案を軸に与党と調整を進め、17年度税制改正大綱に盛り込む。新たな課税方式は、20階建て以上の新築マンションが対象となる見通し。1棟全体の税額は変えず、階ごとに差がつくようにして、高層階は増税、低層階は減税する。

 例えば、各戸の税額が現在は年20万円の40階建てマンションの場合、見直し後は1階が約19万円、階が上がるごとに増えていき最上階は約21万円となる。

 マンションの固定資産税は、まず1棟全体を評価。床面積に応じて税額を割り当てている。このため、タワー型でも階数に関係なく、床面積が同じなら税額も同じ。しかし、取引価格は眺望などの面から高層階ほど高くなるのが一般的で、不公平との指摘が出ていた。

2016年11月22日火曜日

戦闘タイプと性交タイプの2タイプに成長できるゴキブリ

ゴキブリの一種であるヒッシングコックローチ(マダガスカルゴキブリ)は、戦闘に特化したタイプと性交に特化したタイプの2種類が存在しており、どちらかを選んで成長するという(ナショナルジオグラフィック)。

戦闘に特化したタイプは角が大きくなり、攻撃性も高いという。一方性交に特化したタイプは角が小さいものの、代わりに精巣が大きくなっているそうだ。

研究者によると、「武器となる部分を欠いたオスが、より多くの精子を作ろうと、精巣を大きくすることに力を使っている可能性が高い」という。ただ、何が要因となってこのような変化が生まれるかはまだ分かっていないようだ。

ちなみにマダガスカルゴキブリは体長5〜7センチメートルと大柄で、ペットとして飼われることもあるという。

注射によって遺伝子操作を行える手法が開発される、非分裂細胞に対しても有効

理化学研究所と米ソーク生物研究所が、「生体内ゲノム編集の新技術」を開発したと発表した。

従来のゲノム編集手法では細胞分裂の際に遺伝子を挿入していたため、対象にできる細胞が皮膚の表皮細胞や腸の上皮細胞などに限られていたという。今回開発された新手法は非分裂細胞に対してもゲノム改変を行える技術で、また従来手法よりも高い効率で遺伝子挿入を行えたという。

実験では人の培養分裂細胞やマウス胎児由来の培養神経細胞、生きたマウスの胎児脳などを対象に遺伝子挿入に成功しており、また生きたマウスに局所注射することで脳の一部など組織・器官の目的部位のみに遺伝子挿入したり、静脈注射での投与によって全身の組織・器官の細胞を改変できることも確認できたという。

理研の恒川雄二研究員は「遺伝子改変が難しかったサルや鳥類にも使え、基礎研究でも有用ではないか」と話している。

2016年11月21日月曜日

エプソン、OLEDディスプレイを採用する新型スマートグラスを発売へ

あまり話題になっていないようだが、今月末にエプソンから新型のスマートグラス「MOVERIO BT-300」が発売される。

ヘッドセット部69グラム、Android 5.1搭載、画素数は1280×720ドットで、20m先に320型(2.5m先に40型)の大画面相当。価格は同社オンラインストアで税別8万3,280円。また2017年2月には商用モデル・業務用モデルも登場するとのこと。

Engadget Japaneseでも紹介されているが、前モデルのBT-200より一段とスペックアップしているようだ。実際のところスマートグラスの使い心地はどうなのだろう。体験者は是非語っていただきたい。

中国の研究チーム、ゲノム編集を肺がん患者に適用へ。人体への応用は世界初

中国・四川大学の研究グループが遺伝子操作技術の1つである「ゲノム編集」技術を用いたガン治療を世界で始めて行ったことを発表した。

この臨床試験は肺がんを患った患者に対し1028日に行われたもの。患者の血液から細胞を取り出し、免疫反応をつかさどる遺伝子を「CRISPR-Cas9」と呼ばれるゲノム編集技術で操作した後に患者の体内に戻すという措置が行われた。これによって免疫にブレーキをかける「PD-1」と呼ばれる遺伝子を働かなくさせ、免疫を活性化させるという。

経過は順調で近く2回目の治療を実施する予定という。この手法がガン治療で効果を示した場合、自ら志願したさらに9人の患者の治療にこの手法が用いられるとしている。

 

2016年11月18日金曜日

スマホ:価格を明確化へ 「端末下取り値以上」

 スマートフォン端末を巡り、総務省が改正するガイドライン(指針)の案が17日、分かった。改正案は、来年6月1日以降に新たに発売される端末の価格について「2年前の同型機種の下取り価格以上」と規定。また、他の通信会社で使えなくするSIMロックの解除期間に関しては、割賦払いの場合で従来の6カ月から「100日程度以下」に短縮する。

 総務省は18日に改正案を公表、19日からパブリックコメント(意見公募)に入り、来年初めまでに指針を改正する予定だ。

 実質ゼロ円販売を巡っては、総務省が3月に指針を策定し、購入者の負担が「合理的な額」となるよう求めたが、4月の指針適用後もNTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクの携帯大手3社は実質ゼロ円販売をやめず、同省は4月に3社を行政指導、10月に行政処分していた。こうした経緯を踏まえ、同省は指針で購入者の負担額を明確化する。

 指針の改正案によれば、例えば新型の「iPhone(アイフォーン)」が発売された場合、携帯電話会社が2年前に発売されたアイフォーンを2万円で下取りしていたとすると、新型機種は2万円以上で販売しなければいけなくなる。「古い機種より新しい機種の方が安いのはおかしい」(同省)と判断した。

 SIMロックの解除期間は現在の6カ月から、割賦払いの場合は100日程度以下まで短縮。一括払いの場合は支払いを確認できるまでの期間に短縮する。

 また、総務省は消費者保護に関する指針も改正する予定で、利用者が利用実態に応じた料金プランを選択できるよう、携帯電話会社や代理店の適切な説明をルール化する。

中国からの輸入品、値上がり? 「特恵関税」外す方針

 財務省は、中国、ブラジル、メキシコ、タイ、マレーシアの5カ国について、途上国支援のために輸入関税を低くする「特恵関税制度」の対象国から外す方針を固めた。中国など5カ国は急速な経済成長で輸出競争力を上げている。欧州連合(EU)やカナダはすでに同様の制度の対象から外しており、2019年度までに日本でも除外することにした。

 このなかで中国は、日本の輸入額の4分の1を占める。15年度に優遇税率を適用されたものの6割が中国からの輸入品だった。マツタケやウナギのかば焼きなどは、輸入増を理由にすでに関税が上がっている。今回上がるのは、冷凍タコやペットボトルの原料ポリエチレンテレフタレートなど3千品目程度とみられる。

 同制度は、途上国の輸出振興や経済支援を目的に、多くの先進国が導入。日本も、143カ国・地域からの輸入品を対象に、低い関税をかけたり、免除したりしている。日本の輸入額の約2%(1兆6千億円分)が対象になっている。

広告見れば固定・携帯への通話が無料に 「LINE Out Free」スタート

 LINEは、コミュニケーションアプリ「LINE」と連携した通話機能「LINE Out」でこのほど、動画広告を視聴すれば、固定・携帯電話と無料で通話できる「LINE Out Free」の提供を始めた。国内の固定電話は1回3分まで、携帯電話は1回1分まで、1日最大5回まで利用できる。

 LINE Outは、LINEから利用できる通話機能。発信時に「LINE Out free」を選んだ状態で通話すると、広告動画が流れ、その後無料通話が始まる。

 日本だけでなく米国や中国、英国などにも発信可能。1回当たりの無料通話時間は国によって異なり、日本の固定電話が3分、携帯電話が1分まで。通話終了20秒前に「ピー」音が流れる。

2016年11月17日木曜日

米金利上昇でも、日本の金利上昇を容認することはない=日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は17日午前の参院財政金融委員会で、米金利の上昇につれて日本の金利に上昇圧力がかかる中、長短金利を操作目標としたイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の下では、日本の金利上昇を容認することはない、と語った。白真勲委員(民進)の質問に答えた。

日銀は同日午前、固定利回りで特定年限の国債を無制限に買い入れて金利上昇を抑制する、いわゆる「指値オペ」を初めて実施した。

先の米大統領選での共和党のトランプ氏勝利を受け、大規模な財政出動が実施されるとの思惑から米国の長期金利が上昇している。これを受けて日本の長期金利もプラス圏に浮上するなど金利全般に上昇圧力がかかっている。

総裁はこの点について「米国の金利が仮に上がっていった場合は、日本を含めて金利に対する影響が出てくる」との認識を示した。

そのうえで、9月に導入したYCC政策の下で日銀は「日本の経済・物価・金融情勢に合わせて適切なイールドカーブの形成を促す」とし、「米国の金利が上がったから、自動的に日本でも金利の上昇を容認しなければならない、ということにはならない」と語った。

総裁は米次期政権の政策について「具体的にどのような政策をどういうタイミングで打ち出してくるかは、まだわからない」としながら、米国の動向が国際金融市場に与える影響は大きいとして「今後とも米国の新政権の政策がどのようになっていくのか、十分に注視していきたい」と述べた。

次期政権への政策期待で米株価が上昇していることなどを踏まえ、「これまでのところ市場は好意的に受けとめている。その結果、市場の米国経済に対する見方が上昇していることは事実だと思う」との見方を示した。

不動産融資、最高の7兆円=マイナス金利で、日銀は過熱警戒

 日銀は16日、銀行や信用金庫の不動産業向けの新規融資額が、2016年度上半期(4〜9月)に前年同期比14.7%増の7兆706億円に達したと公表した。バブル期を含めて上半期としての過去最高を2年連続で更新した。マイナス金利政策の影響で、不動産関連企業の借り入れが活発化しているためだ。日銀は不動産市場の過熱につながらないか警戒している。

 新規融資額は、都市銀行や地方銀行など139行と265信用金庫の合算。銀行は16.8%増の5兆8943億円、信用金庫は5.4%増の1兆1763億円だった。東京五輪・パラリンピックに向けた首都圏の再開発や、不動産投資ファンドに対する融資が伸びたほか、節税目的で賃貸住宅を建設する個人への貸し出しも増加した。

 企業の設備投資が勢いを欠く中で、地価上昇などを背景に資金需要が伸びている不動産業界は、金融機関の数少ない有望な貸出先になっている。ただ、「積極的な融資が不動産への過剰投資を後押ししている」(民間信用調査会社)として、バブル発生を招かないか懸念する声も出ている。 

「Google翻訳」の進化、Googleが正式発表

 Googleは16日、運営する翻訳サービス「Google翻訳」がニューラルネットに基づく機械翻訳 (Neural Machine Translation) の導入によって、さらに進化したことを、公式ブログ上で明らかにしている。この件は、すでに数日前から一部ユーザーの間で話題となっていたが、今回Googleが正式に発表した。

 同サービスは、これまで統計的な機械翻訳が行われてきた。そこでは、文章がパーツごとに翻訳されてきたが、新たに導入されたシステムでは、ひとつの文として扱うことが可能となり、文章のコンテキストを把握することができるようになった。これによって、より正確な訳語の候補が発見可能となったほか、語順を変えて調整することで、より人の言葉に近い翻訳ができるようになっている。

 また、今回導入されたニューラルネットに基づく機械翻訳は、学習し続けるシステム設計となっているため、ユーザーが使用することで、より自然な翻訳ができるように進化する。

 新システムは英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、日本語、韓国語、トルコ語の計8言語が対象で、iOS/Androidアプリのほか、検索、ウェブサイトなどで利用できる。

日立製作所、同心円パターンを印刷したフィルムをレンズの代わりに利用する技術を開発

日立製作所が、レンズの代わりに同心円を印刷したフィルムを使った撮影技術を開発したと発表した。レンズを利用しないことでカメラの薄型化・軽量化を実現できるという。

複数の異なる同心円パターンを印刷したフィルムを重ね合わせると「モアレ」と呼ばれる縞模様が発生するが、この縞模様はフィルムへの光線の入射角によって間隔が変わるという。これを利用し、縞模様をセンサーで記録することで光線の入射角を記録し、その後画像処理を行うことで撮影画像を得られるという。

また、画像処理に必要な計算量も少なく、標準的なノートパソコンで毎秒30フレームで動画撮影できることも確認したとのこと。

 

2016年11月15日火曜日

世界の主要銀行に仮想通貨採用の動き

世界の主要銀行が仮想通貨技術を利用した国際送金ネットワークを構築しようという動きがあるようだ。先月、みずほフィナンシャルグループ、りそな銀行、三井住友信託銀行などの大手金融機関を含む国内42の銀行が、米リップル社が開発する仮想通貨技術Ripple(リップル)を利用するためのコンソーシアムを設立したのはまだ記憶に新しいが(スラド記事)、これと同様の動きが海外の主要銀行にも見られるというのだ。(Ripple総合まとめRippleの発表ZDNet Japan)。

具体的には今年9月にバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(米国)、カナダロイヤル銀行(カナダ)、サンタンデール銀行(スペイン)、スタンダードチャータード銀行(英国)、ウニクレーディト・イタリアーノ(イタリア)、ウエストパック銀行(豪州)が同じくRippleを利用するためのインターバンクグループを結成している。参加銀行はいずれも各国を代表するメガバンクで、グループの名称は『Global Payments Steering GroupGPSG)』と名付けられた。

また、米R3CEVが主導するブロックチェーンを利用した共同プラットフォームの構築を目的としたコンソーシアムにおいても、今年10月にコンソーシアムメンバーの12の金融機関(バークレイズ、モントリオール銀行、カナダ帝国商業銀行、インテーザ・サンパオロ、マッコリー・グループ、ナショナルオーストラリア銀行、Natixis、ノルデア銀行、カナダロイヤル銀行、サンタンデール銀行、ノヴァ・スコシア銀行、ウエストパック銀行)がRipple内のブリッジ通貨XRP(エックスアールピー/リップル)を利用した銀行間国際決済の検証を行っていると発表した(SBIホールディングスの発表)。

こうした世界の金融機関の動きはこれだけにとどまらず、今年9月にナショナルオーストラリア銀行、レウミ銀行、カナダ帝国商業銀行がRippleの利用で戦略的同盟を結成し(ブルームバーグ)、11月にはスウェーデンの主要銀行の一つスカンジナビスカ・エンスキルダ・バンケンもRippleの採用を発表している。(CoinPortal) 国内銀行42行が構築するRippleを用いた新システムが20173月の稼働を予定していることから(日本経済新聞)、これら海外の主要銀行のシステムも同じく来年中に稼働することが予想される。