黒田東彦日銀総裁は17日午前の参院財政金融委員会で、米金利の上昇につれて日本の金利に上昇圧力がかかる中、長短金利を操作目標としたイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の下では、日本の金利上昇を容認することはない、と語った。白真勲委員(民進)の質問に答えた。
日銀は同日午前、固定利回りで特定年限の国債を無制限に買い入れて金利上昇を抑制する、いわゆる「指値オペ」を初めて実施した。
先の米大統領選での共和党のトランプ氏勝利を受け、大規模な財政出動が実施されるとの思惑から米国の長期金利が上昇している。これを受けて日本の長期金利もプラス圏に浮上するなど金利全般に上昇圧力がかかっている。
総裁はこの点について「米国の金利が仮に上がっていった場合は、日本を含めて金利に対する影響が出てくる」との認識を示した。
そのうえで、9月に導入したYCC政策の下で日銀は「日本の経済・物価・金融情勢に合わせて適切なイールドカーブの形成を促す」とし、「米国の金利が上がったから、自動的に日本でも金利の上昇を容認しなければならない、ということにはならない」と語った。
総裁は米次期政権の政策について「具体的にどのような政策をどういうタイミングで打ち出してくるかは、まだわからない」としながら、米国の動向が国際金融市場に与える影響は大きいとして「今後とも米国の新政権の政策がどのようになっていくのか、十分に注視していきたい」と述べた。
次期政権への政策期待で米株価が上昇していることなどを踏まえ、「これまでのところ市場は好意的に受けとめている。その結果、市場の米国経済に対する見方が上昇していることは事実だと思う」との見方を示した。
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