2018年9月25日火曜日

専門学校留学生100人超、在留認められず退学

 大阪市内の観光系専門学校で、4月に入学したベトナム人留学生ら100人以上が大阪入国管理局に在留資格の更新を認められず、今夏、退学になっていたことがわかった。学校は昨年から、定員を大幅超過して留学生を入学させているとして大阪府から是正を求められていたが、応じておらず、入国管理局も悪質と判断したとみられる。学生は9割以上が外国人で、府は、授業料収入を目的にずさんな運営をしていたとみて、留学生の受け入れ抑制を指導した。
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 退学させられた留学生は別の専門学校に再入学し、在留資格が認められたケースもあるが、数十人が帰国を余儀なくされたという。一部のベトナム人が学校側に慰謝料などを求め、近く大阪地裁に提訴する。
 学校は天王寺区の「日中文化芸術専門学校」で2015年に開校。学費は年約80万円で、中国語の「観光・通訳ガイド」など2年間のコースがある。

関税エスカレート警戒=25%に上がれば大打撃-米経済

 中国の知的財産権侵害に対抗したトランプ米政権による第3弾の制裁関税の対象は、家電や家具、食料品など広範な品目に及ぶ。関税引き上げに伴うコスト上昇が価格に転嫁されれば、米国の消費者にとって負担増となる。年末商戦に配慮し、当初の関税率を10%にとどめたが、中国との対立が解けず、来年1月1日に25%に上げられれば、個人消費の低迷など米経済に大きな打撃となりそうだ。


 「間もなく米国の消費者は、表示価格が上がり、家計が苦しくなったと気付くだろう」。全米小売業協会(NRF)のシェイ会長は、米政権による第3弾の制裁発動をこう非難する。NRFは関税が10%上乗せされることで、家具の小売価格が2%、旅行用品が4.8%上がると予想。小売業経営者協会(RILA)は、ガスグリルや旅行かばん、マットレスなどは輸入の8割以上を中国に依存し、代替品の確保が難しいと訴える。

 追加関税が当初10%に抑えられ、米経済全体に対する短期的な影響は「軽微」との見方もある。米金融大手バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは、10%の関税引き上げによる米家計の可処分所得の減少は0.12%にとどまると試算。ただ、上げ幅が25%に拡大すれば「米企業への打撃は大きく、投資計画の凍結などの大きなショックを招く」と警告する。

 ウォルマートなど小売り大手は、年末商戦のための商品調達をほぼ終えたとされるが、「貿易戦争」の長期化は今後、供給網の変更など企業に戦略の見直しを迫る。北米で約1万5000店舗を展開するディスカウントストア大手ダラー・ツリーのフィルビン最高経営責任者(CEO)は「仕入れ先を中国から変更する供給網の再構築には2~4年かかり、消費者はその間、不利益を被る」と困惑している。

“変態セブン”が生まれた背景に、地獄のドミナント戦略

 最初に耳にしたとき、変態が7人いるのかと勘違いした人も多いのではないか。

 栃木県内のセブン-イレブン(以下、セブン)で、破天荒すぎる言動を繰り返していたオーナー店長に、地域の方たちが付けた「変態セブン」という斬新なあだ名のことだ。

 この一度聞いたら忘れられないパワーワードが登場したきっかけは、女性客に対して、ズボンのチャックから指を出し、みだらな言葉を繰り返す動画が公開され、マスコミの取材が現地に殺到したことだ。

 その中では、耳を疑うような証言も出ている。

 今から7~8年前、ミニスカートを着用していた女性が買い物をしていたところ、オーナー店長が細長いパンを自分の下半身に当てて、「ねえ、僕と遊んでよ。遊びたいからミニスカート履いてるんでしょ」とそのパンを女性の膝に押し当ててきた。そこで、この女性の夫がセブン本部に苦情を申し立てたところ、オーナー店長は「謹慎」に追い込まれたという。つまり、セブン本部としても、変態セブンのことをかなり以前から認識していたのだ。

 セブンには「一人あたり7、8店舗を担当し、オーナー様と綿密なコミュニケーション」(同社Webサイト)をとるオペレーション・フィールド・カウンセラー(以下OFC)という店舗経営相談員がいるのだが、なぜこの問題を放置していたのかという疑問もある。

 ただ、個人的には、今回の問題は「オーナーとOFCを叩いて終了」という話ではない気もしている。

なぜ変態セブンはあそこまで狂ってしまったのか。なぜOFCは彼を放置していたのか。これらの謎をつきつめていくと、ある組織的な「病」が見えてくるからだ。

 それは、「ドミナント戦略」だ。

●セブンの戦略がオーナーたちを追い詰める

 ドミナント戦略とは、特定地域に出店を集中させて商圏内を独占状態にすることだ。ブランドの認知度と顧客のロイヤルティーが高まることに加え、配送面や店舗管理面にもメリットがあって、これを進めれば地域内の勢力図をオセロゲームのように一気に塗り替えることができる。セブンの出店戦略の根幹をなすものだ。

 実際、セブンの公式Webサイトの「店舗検索」を見ると、今回問題となった店舗から2キロ強の圏内には、10店舗がひしめきあっている。もっとも近い店舗は直線で700メートルほどだ。ちなみに、同じ圏内でファミリーマートは3店舗、ローソンは4店舗しかない。

 確かに、そのドミなんちゃらのせいなのか、ウチの近所でもセブンがたくさんできているけれど、それが変態セブンとは何も関係ないだろと首をかしげる人もいるだろうが、まったく関係ないとは言い難い。

 このドミナント戦略が、セブンオーナーたちを経済的にも、精神的にも限界に追いつめているのではないかという指摘があるからだ。

 日本フランチャイズチェーン協会によれば、コンビニの店舗数は2016年末時点で5万4501店(前年比2.8%増)。この10年で約1万4000店増えている。こんな厳しい競争環境の中で、隣近所にポコポコとセブンが建設されていけば、「共倒れ」のリスクが増すのは言うまでもない。たたでさえ、廃棄弁当が店の負担となる「コンビニ会計」で苦しんでいるところにダブルパンチとなっている。

 また、同地域で同じ店ができれば労働力の奪い合いになるのは自明の理だろう。バイトが確保できなければ、経営者なのにブラック企業の一兵卒のように、心身が壊れるまで働き続けなくてはいけないのだ。

●終わりの見えない闘いの中で

 そこへ加えてこのドミナント戦略が、オーナーたちにとって恐ろしいのは、ライバルの出店も加速させることだ。商圏を独占しようというセブンの動きを、ライバルもただ指をくわえて見ているわけにはいかない。よく競合コンビニが仲良く並んでいる風景を見かけると思うが、あれはドミナントに「くさび」を打ち込んでいるのだ。

 FC本部からすれば店舗は「陣取りゲーム」の「駒」のようなものなので、どこかでドミナントの動きがあれば、そこへわっと敵味方の「駒」が集められる。結果、光に寄せ集められる虫のように、ライバル店やセブンオーナー仲間が一堂に介して、誰が生き残れるかというコテコテのレッドオーシャンが繰り広げられるというわけだ。

 このような"ドミナント地獄"にハマって、心身ともに疲弊しているセブンオーナーは少なくない。そして、動画での、あの能天気そうな立ち振る舞いとまったく結びつかないが、変態セブンも人知れずこの地獄の中でおびえ、悩んでいた可能性があるのだ。

 先ほど、件の店舗の2キロ強圏内には10のセブンがひしめき合っていると述べたが、実はここまで増えてきたのはこの数年のことだ。まず16年2月、直線で700メートルほどの場所に新規店舗がオープン。ほどなく、変態セブンの店舗もリニューアルオープン。翌17年8月には直線でおよそ1.7キロのところにも新規店舗ができている。

 このようにセブンが商圏を圧倒しようという動きがあれば、ライバルも当然動く。昨年5月には店からおよそ200メートルのところにファミリーマートが出店。今年1月には約500メートル離れたロケーションにローソンがオープンしている。

 つまり、変態セブンは2年半前くらいから、セブンとライバルが織りなす「ドミナント地獄の真っ只中に放り込まれていた」状況だったのだ。

 コンビニオーナーが最も恐れるのは、隣近所にコンビニがオープンすることだというのは言うまでもない。しかも、ライバルだけではなく、「仲間」まで自分のテリトリーを侵しにやって来るのだ。変態セブンが、人知れず孤独と恐怖に襲われていたのは間違いない。

 だから、チャックから指を出したり、わいせつな言葉を投げかけたりするのは大目に見ろ、などと言いたい訳ではない。この終わりの見えない闘いの中で、オーナー店長は「モラル」や「善悪の判断」が壊れてしまったのではないか、という可能性を申し上げているのだ。

●コンビニのフランチャイズシステムのひずみ

 分かりやすいのが、大阪府のファミリーマート2店舗かけ持ちで、1日15時間労働をして亡くなった男性の遺族が、本部と店舗オーナーに損害賠償を求めて訴えた事件だ。16年に和解が成立したが、注目すべきはこのブラック環境に追いやられた男性のため、店の手伝いをした妻と長女のこの言葉だ。

 「時間に追われて仕事をして、寝たと思ったらまた仕事。思考できなくなった」(産経WEST 2016年12月29日)

 24時間の「便利さ」を当たり前のように提供し、さらに質の高い接客までが求められるコンビニで、本気でそれを実現しようと思ったら、やらなくてはいけない仕事は際限がない。そんなハードワークが人手不足でブラック化すれば、人間が「壊れる」のは当然なのだ。

 ならば、わずか2年あまりで隣近所に次々とコンビニができて、心身共に追いつめられたオーナー店長が、常軌を逸した「奇行」に走ることがあってもおかしくないのではないか。

 このようなドミナント地獄に象徴される、コンビニのフランチャイズシステムのひずみが、そこで働く者たちの人間性を崩壊させることは、何も筆者だけが言っていることではなく、さまざまな元オーナーやFC本部にお勤めだった方たちも認めていることだ。

 例えば、土屋トカチ監督の『コンビニの秘密 ―便利で快適な暮らしの裏で』というドキュメンタリー映画がある。タイトルの通りに、我々が享受している「便利さ」が何を犠牲にして成り立っているのかが非常によく分かる内容なのだが、そこで興味深いのは、作品中に大手コンビニの法務部に勤めていた男性が登場し、フランチャイズシステムについてこんなことをおっしゃっていることだ。

なぜ変態セブンは誕生したのか(写真提供:ゲッティイメージズ)© ITmedia ビジネスオンライン なぜ変態セブンは誕生したのか(写真提供:ゲッティイメージズ)
 「一言で言うと、奴隷制度とか、人身御供システム」

 どきつい表現だと思うが、実は見事に本質を突いていることが、先ほどのファミマのケースをみれば分かる。

 8カ月で4日しか休みがもらえずなくなった男性は、幾度となくオーナーや本部に自分の窮状を訴えていたが、返ってきたのはこんな血も涙もない対応だった。

 『オーナーは「自分は病身なのにこんなに働いている。もっと頑張れ」ととりつく島もなく、本部から派遣されるスーパーバイザーも改善策を講じなかったという』(同上)

●組織やビジネスモデルの危機

 なぜこんなことが平気でできたのかというと、彼らが男性のことを無意識に「奴隷以下」の扱いしていたからだ。FC本部やエリアマネージャーにとって、コンビニオーナーは「頑張れ、頑張れ」と尻を叩く「奴隷」である。ならば、その下で働く従業員がどんな存在だったのかは説明の必要もあるまい。

 このようにフランチャイズシステムを「奴隷制度」だと捉えると、変態セブンが長年放置されてきたことも説明がつく。本部にとってセブンオーナーという「奴隷」に求めるのは、ドミナント戦略の「駒」として自分の持ち場をしっかりと死守してくれることだ。それさえやってくれていれば、「奇行」や「セクハラ」のクレームが多少あっても、それほど大きな問題ではなかったのではないか。

 企業の危機にアドバイスをするという仕事柄、変態セブンのようにモラルが壊れてしまった人や、その類の話はよく耳にすることが多い。これまでの経験では、こういう人が現場に登場するときは、組織やビジネスモデルが退っ引きならない危機が迫っているという印象だ。

 例えば、かつて隆盛を極めたサラ金大手・武富士では崩壊直前、現場の人間が債務者リストを持ち出すというモラルハザートが横行した。最近でも「宅配クライシス」と大騒ぎになる前は、佐川急便のドライバーが突然ブチ切れて、運んでいた荷物を執拗(しつよう)に蹴り飛ばす衝撃映像が流れた。

 組織やビジネスモデルの危機は、現場の壊れっぷりから分かるものなのだ。

 セブンも少し前、店員が女性客に対して「温めますか?」と聞いたところ、「うん」と答えたことが態度が悪いと激高し、「お願いしますとか言うのが当たり前だろうが」と説教をする動画が公開され、大きな話題となった。

 それはお店の人をわざと怒らせておもしろ動画をあげる風潮が、みたいなことを言う人もいる。確かにそういうくだらないことをする人たちがいるのも事実だが、コンビニの現場が危機的状況にあることは、業界の一角をなすファミマの澤田貴司社長も認めている。

●「壊滅的な危機の前兆」と捉えるべき

 就任前、アルバイト従業員と同じように現場に入って、実際に働いた澤田社長はこんなことをおっしゃっている。

 「痛感したのが、現場の負担が危機的なまでに高まっている現実です。もう染み渡るように分かりますよね。特に人手不足は本当に深刻です」(日経ビジネス 2017年11月7日)

 コンビニ業界における現場の負担が危機的な状況が高まる中で現れた変態セブン。これを「世の中にはとんでもないバカがいたね」という話で済ませるのか、それとも「壊滅的な危機の前兆」と捉えるべきか。

 第2、第3の変態セブンが登場する日も、そう遠くないのではないか。

ルネサスがIDTを買収する目的の裏を読む

 日の丸半導体の生き残り(?)ルネサス エレクトロニクスが米国半導体大手のIDTを約7330億円で買収した。数年前に大規模なリストラを行ったルネサスがなぜ今、大型買収なのか、その目的を想像してみた。


 「赤くなったり、青くなったりしているマイコン屋(半導体会社)はだ~れ?」というナゾナゾの答えが分かるだろうか? 業界人ならすぐにその名前を思い浮かべることだろう。日本半導体を背負って立つ「ルネサス エレクトロニクス」に他ならない。ただ、ここ10年以内に業界に入った「若手」にはピンとこないナゾナゾかもしれない。

 21世紀の初頭、日立製作所と三菱電機の半導体部門が合併して「ルネサス テクノロジ」になった頃は、「赤のロゴ」であり、NECの半導体部門がさらに合併して「ルネサス エレクトロニクス」になり、「青のロゴ」に変わってからでもすでに10年以上経過している。

 そのルネサスが大規模なリストラを実行したのは5~6年前のことにすぎない。当時、ルネサスを離れたエンジニアのほとんどは、NEC、日立製作所、三菱電機といった立派な会社に入ったはずが、所属組織丸ごとルネサスに転籍となっていた人々であった。このリストラは新聞ネタにもなり、世間的にもショックな出来事であった。狭い業界である。そこに巻き込まれた知り合いも多い。

 しかし、それから数年、業績も復活し、今やルネサスは米国の半導体会社を次々と買収している。2018年9月11日(縁起が良い日とも思えないが)に発表されたのが、シリコンバレーの老舗、Integrated Device Technology(IDT)の買収である(ルネサスエレクトロニクスのプレスリリース「米国Integrated Device Technology社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」)。この買収を、当時、会社を離れた人々がどのように感じているのか知りたいとも思ったのだが、聞いてしまうとこの原稿の分量が3倍くらいになりそうなので止めておくことにする。ルネサスの内情など知らぬ人間が、妄想のままに勝手なことを書かせていただく。

 まずは買収先(買収の細かな手続きはともかくルネサスの100%子会社となる)であるところのIDTについて見てみよう。創業以来40年くらい経過したシリコンバレーの「老舗」である。前回の「第219回 謎の会社『Mellanox』が好調の理由」に続く話となるが、IDTも業界人は知っているが、そうでない人々にはほとんど知られていない「謎」の会社だ。最近の売上高は1000億には届かない。

 この会社のロゴはなかなか印象的なもので、「半導体ウエハの上に積分記号」が乗っているように見える図柄だ。由来は知らないが、積分(動詞)ならIntegrate、ウエハを縦横に切り分けたものがDeviceだから、会社名をそのままロゴにした感じだ。IDTの最近のロゴはちょっと洗練された2色のデザインになっている。そのせいで丸の部分がウエハだとはすぐには分からないけれども、昔のIDTロゴは、丸の中に縦横に線が走っていて、素朴ではあるけれどもいかにも半導体ウエハそのものだった。
 
 IDTはMIPS系のプロセッサを製造し、RISCビジネスの立ち上がりのころには、その市場の一角を占めていた。その後、子会社を通じてx86プロセッサビジネスにも挑んでいた時代があるのだ。それもふた昔も前の話になる。

 今でも何かの制御のためにプロセッサを内蔵する製品があるのかもしれないが、基本、ミスクドシグナル、つまりはアナログとデジタルの両方にまたがるような製品群の会社である。アプリケーション分野を見るならば、車載、データセンター、無線、ネットワーク、HPC分野もある。結構幅広く見えるが、主要製品は渋い。いわゆる「タイミングソリューション」だ、高速のクロック信号を発生したり整えたりするような機能を中心に、それらのクロックに連動して動かないとならないようなインタフェース部分などが中心だ。どのアプリケーションでも必要なチップであり、汎用性も高いからいろいろな部分に使われるものの、主役ではない、渋い脇役といった役回りのものが多い。

 買収に際して、当然、ルネサスからプレスリリースが出ている(ルネサスエレクトロニクスのプレスリリース「ルネサスがIDTを買収し、組み込みソリューションで世界をリード)。それを素直に読むならば買収の目的は前向きなものだ。ルネサスの自社製品と補完性が高い製品群を取り込んで、自社のマイコンなどと組み合わせてソリューションで提供したい、という点が1つ目の目的だ。データエコノミー(端的に言えばデータセンターと通信インフラ)に事業拡大したいということが2つ目だ。

 しかしだ、「素直に」読んでいても引っ掛かるところがある。「事業領域を拡大するとともに、産業・自動車分野でのポジション強化を実現します」という一文だ。結局のところ「自動車」なんじゃないか。

 知っての通り、今のルネサスは「自動車」あっての会社である。車載なくしてルネサスは立ち行かない。こういう場合、想像するに社内では「車載にあらずんば人にあらず」か「車載ファースト」というべきかの体制が出来上がるんじゃないかと思う。

 過去を思い出すに「携帯」の成長に乗れていたころの日本半導体の多くで「携帯ファースト」というべき体制が出来上がっていた。まさに「携帯にあらずんば」体制。携帯以外のビジネスは肩身が狭く、「携帯以外に」何を投資するのだ、という感じ。携帯の市場の変化とともにそんな体制は崩壊した。

 自動車産業の未来は知らないが、「車載命」の体制下で、車載とは関係ない「事業拡大」に大枚(約67億ドル、1ドル110円換算で約7330億円)をはたくか? と疑問を抱くと、まずないんじゃないか、と想像する。

 すでに自動車分野では確固たる地位を占めているのだから、それほど急激な拡大は望めない。それよりも自動車産業そのものの変化、内燃機関から電気へ、人間から自動運転へといった「土俵」の変化に際して、「持っているもの」を失いたくない、というのが一番じゃないか。携帯などは、土俵が変わって振り落とされた典型例ではないか。

IDT買収の裏にはルネサス本丸の「車載」を防衛することにある?
 生命線である「車載」に他社が攻め込んでくるのを防ぐために、まずは「絶対防衛線」を引きたい。すると1つ目のソリューション提供も、車載用マイコンAだけを売っていた相手に周辺デバイスBも売ることで売り上げをA+Bに拡大したい、というより、Bを他社に取られて母屋であるAまで踏み込まれないように、戦線を外へ押し出しておきたい、という風にも読める。

 さらに勘繰れば、直近というより数年先くらいのスパンで、何か電気自動車向けなど車載と言いつつ新機軸市場で大きな動きがあり、その戦いのためにIDT製品が必要になった、というような具体性があるのではないだろうか。IDTの前に買収したのがパワー(電源)系アナログの「Intersil(インターシル)」だったことからも、そんな気がする(ルネサスエレクトロニクスのプレスリリース「ルネサスがインターシルを買収し、世界をリードする組み込みソリューションプロバイダーへ)」)。

 そんな疑いを抱くと、買収といいつつ割と防備強化的なものとも思うのだ。「おまけ」として車載以外への「事業拡大」というのはあり得るだろうが、車載で効果を発揮しないと本末転倒か。

 ただ、ちょっと気になる数字もある。ここ数年のIDTの数字だ。売上的には伸びてはいるが、どうも利益は減っているように見える。直近は赤字か? 立ち回っている市場は拡大しているけれど、他社との競争も激しくてもうかっていないのではないかと思われる。

 IDTに出資している投資家にしたら、この辺、売り時と見たのではないか。そこにカモと言っちゃ申し訳ないがルネサスがやってきてシャンシャンと話がまとまったんではないかと妄想が広がる。何か暗躍するキャピタリストや証券会社が目に浮かぶようだが真相は分からない。ま、買収し、もくろみ通りの効果が上がればもちろん大正解だ。

 しかし、ババをつかんだとなると何年か後にはまた苦しいことになるのではないかと危惧する。やはり日本のマイコン業界ではルネサスは大立者で、その影響範囲は広い。青のロゴを変えることなく、予定通りうまく行ってくれるのが日本の業界的には一番なのであるが。

“Azure+AI+IoT”がクラウド成長に追い風 次なる勝負は“クラウド+エッジ”?

クラウド事業は前年比56%増の"大黒柱"に成長
 米Microsoftが発表した2018年度の通年決算(2017年7月~2018年6月)によると、売上高は前年比14%増の1104億ドル(約12兆4000億円)となった。同社としては、初めて年間1000億ドル(約11兆2300億円)を突破。

   中でもコマーシャルクラウド事業の売上高は前年比56%増の230億ドル(約2兆5800億円)と、今後の成長が期待されるクラウドビジネスが、同社の売り上げの柱として高い成長を続けていることが示された。
 日本マイクロソフト社長の平野拓也氏は、「AWS(Amazon Web Services)やSalesforce.comといったクラウドネイティブ企業より、Microsoftのクラウドビジネスの成長率が高い」と、この業績を自己評価してみせる。
 さらに、クラウドの内訳を見ると、2018年度第4四半期(2018年4月~6月)の決算報告では、「Microsoft Azure」が前年比89%増、「Microsoft Office 365」が前年比38%増、「Microsoft Dynamics 365」が前年比61%増となり、AWSの2倍近い成長率であることが示された。
 米Microsoft ワールドワイドコマーシャルビジネス担当のジャドソン・アルソフ エグゼクティブバイスプレジデント(EVP)は、「第4四半期の決算では、企業向けクラウドテクノロジーが顧客のイノベーションを推進し、全てのセグメントで2桁の収益の成長を達成できた」と総括。
 米Microsoftのサティア・ナデラCEOも、「インテリジェントクラウドとインテリジェントエッジに対する初期投資は大きな成果を上げている。差別化されたイノベーションを提供し続けることで、拡大し、続ける成長市場に取り組む」と語っている。
"Azure+AI+IoT"で企業のイノベーションを後押し
 アルソフEVPは、この第4四半期のトピックスとして、Azureの採用で"クラウド、AI、IoT"を活用した顧客企業のイノベーションストーリーを紹介。
 米Microsoftは、米Walmartのクラウドブロバイダとして、小売業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する戦略的パートナーとなることを発表。5 年間にわたる契約期間を通して、Walmartは、同社のブランドファミリーを通じた標準化推進のため、クラウドとAI/IoT機能を提供するAzureと、「Microsoft 365」などのクラウドソリューションを全社で活用。も活用しつつ、顧客の利便性向上や、"従業員がベストを尽くして働ける環境"を実現するという。
 スープとスナックのメーカーである米Campbell Soup Companyは、Azureを採用し、グローバルなハイブリッドクラウドソリューションを活用して、ITのトランスフォーメーションを推進する計画だという。
 171年の歴史を持つビールメーカーの米Carlsbergも、Azureを導入し、AIとIoTを活用して、ビール醸造に科学的知見を適用し、製品開発の加速や品質向上を図るための「Beer Fingerprinting Project」を展開している。
 米Walt Disney World Resortは、AIなどのインテリジェント機能をIoTデバイスで利用できるようにする「Azure IoT Edge」を活用して、南米と北米を移動して雛を育てるムラサキツバメ用の"世界最小のスマートホーム"を開発。この"鳥用スマートホーム"を、米フロリダ州オーランドのDisney's Animal Kingdom内に巣箱を設置したところ、ムラサキツバメの繁殖についてこれまでにないレベルで知見を得ることができたという。

 また、「Azure Sphere」の顧客事例を見ると、AzureのIoT向けクラウド機能「Azure IoT」が勢いを増していることが分かるとし、米Sub-Zero and Wolfの取り組みについて紹介。
 Azure Sphereは、セキュアなMCU(組み込みプロセッサ)、OS、クラウドサービスを統合したIoTソリューション。Sub-Zero and Wolfは、食洗機の新ブランドである「Cove」を展開するにあたり、IoTを活用してパーソナライズされた顧客体験を提供するため、製品化のあらゆるレベルで安全性管理を行うソリューションとして、Azure Sphereを活用する計画だという。
 その他にも、ヘルスケアの米Eli Lillyが約4万人の従業員にMicrosoft 365を採用し、新薬開発にグローバルな医師、研究者、ヘルスケア組織のコラボレイティブなアプローチを導入したこと、メルボルンに拠点を置く土木建設鉄道企業のJohn HollandがLTE対応の「Surface Pro」1200台を導入し、「Microsoft 365 E5」「Surface Hub」「Surface Book 2」と組み合わせて活用して高水準な顧客サービスを提供する体制を構築したことなどを紹介した。
 Dynamics 365についても、石油ガス産業向け大手プロバイダーである NOV(National Oilwell Varco)が、セールスとフィールドサービス向けに採用。ビジネスプロセスの合理化とともに、フィールドサービスにモバイルファーストアプローチを採用し、生産性の最適化やダウンタイムの最小化を実現できたという。
 アルソフEVPは、「Microsoftは、あらゆる業種でデジタルビジネスを拡大している。これらの企業は、顧客体験の変革や、従業員の創造性とコラボレーションの支援、業務革新、新製品の市場投入に向けて、Microsoftのソリューションを選択している」とした。
Surface、Windows OEM、Xbox、LinkdInと、多角的な攻めも効用?
 日本でもクラウドビジネスの成長は著しい。
 日本マイクロソフトの個別の業績は明らかにされていないが、日本マイクロソフトの平野社長は、「日本では、グローバル以上の成長率を、全てのカテゴリーで達成している。2017年の時点で、日経225の8割の企業がMicrosoftのクラウドサービスを利用しており、2018年は92%にまで上昇している」という。
 そして、「日本におけるビジネスは、全ての事業本部で、8四半期連続で予算を達成している。成長の要因は、企業変革の推進支援、働き方改革のリーディングカンパニーとしての取り組み、"クラウド+インテリジェントテクノロジー"による成長の3点に集約される」と語った。
 日本では、特にWindowsやOfficeのライセンス販売からクラウドによるソリューション提案に移行した成果が出ていることを強調している。
 また、米Microsoftの決算では、クラウドの成長以外にも、3つのポイントが見逃せない。
 1つ目は、「Xbox」が高い成長率を見せており、初めて年間売上高で100億ドル(約1兆1200億円)を突破したことだ。売上高は前年比14%増の103億ドル(約1兆1600億円)となり、月間アクティブユーザー数は5700万人に達しているという。
 さらに分野別にみると、ゲーミング分野では、年間で前年比38%増を達成。Xbox関連のソフトウェアとサービスは35%増を達成している。広告収入を含む「Xbox Live」や、クラウドによるゲーミングサービスなどの成長が貢献しているという。
 日本では、Xboxのビジネスは、欧米ほど力を注いでいないが、Microsoftにとって、Xboxが重要なビジネスの柱となっていることが、今回の決算から分かる。
 2つ目は、「LinkdIn」の売上高が前年比34%増となり、初めて年間50億ドル(約56億円)を突破したことだ。これも、日本では広がりが遅れているが、欧米では着実にビジネスを拡大していることが示された。
 そして3つ目が、PCビジネスが成長しているという点だ。
 WindowsのOEMは、前年比7%増という成長を遂げており、さらに、ビジネス向けのWindows ProのOEMは、第4四半期には前年比14%増と2桁成長を遂げている。また、Surfaceも、年間で前年比21%増という成長に達し、第4四半期だけでは前年同期比25%増という伸びをみせた。
 これらは、企業向けPCの堅調ぶりに支えられているもので、ナデラCEOが語るインテリジェントエッジのビジネスが成長していることを示しているともいえる。
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 このように、米Microsoftの最新決算は、Microsoftがクラウドビジネスへと着実に軸足を移していること、SurfaceやWindows OEM、Xboxといったデバイスに関わるビジネスも成長していること、さらに、LinkdInによる新たなビジネスも着実に拡大していることを示す内容となった。
 クラウドへの軸足を移すために厳しい業績が続いた時期もあったが、その時期はすでに脱している。成長路線を歩むための大切づくりができたもいえる。
 Microsoft自らが、ビジネストランスフォーメーションに成功していることを証明した結果ともいえそうだ。

2018年9月20日木曜日

ファーストリテイリング社の「有明プロジェクト」とは何なのか

 有明プロジェクトについてはこれまでさまざまな報道がなされてきたが、今回の発表の背景として、以下に短くまとめる。プロジェクト名称は、2017年2月、ファーストリテイリングが物流倉庫と、ユニクロの商品企画、マーケティング、生産、物流などに関する本社機能を遂行する新オフィスを東京・有明にオープンしたことに由来する。だが、「有明」という言葉は象徴であり、実際には海外を含め、全社的、全部門横断的な事業改革を意味している。


 有明プロジェクトにおける最大のポイントは、「作ったものを売る」から「顧客の求めるものを売る」への180度ともいえる発想の転換にある。これは、2015年6月の発表でも既に示されていた通り、オンラインが(売上高の観点で)主戦場になる可能性を考慮したデジタル戦略そのものだ。そしてデジタル戦略は、同社の中長期戦略そのものでもある。

 ファーストリテイリングは、EC(電子商取引)比率が伸びないと批判されているが、遅かれ早かれオンライン売り上げがオフライン売り上げを凌駕し、オンラインビジネスが企業としての成長および存続を左右することになるという危機感を持っている。

 例えば「Amazon Fashion」と売上高で競争したいのかは分からない。だが、オンラインの世界では、Amazon Fashionをはじめとする多様な市場参入者と戦っていかざるを得ない。その時にキーワードとなるのは。Amazonも掲げる(歯が浮く言葉ではあるが)顧客第一主義だ。

 「良いもの」というだけではなく、「自分の好みに合致した」「サイズも合っている」商品を、「便利に」「すぐ」手に入れられなければ、顧客は逃げてしまう。

 上記のように言うのは簡単だが、実現するのは容易なことではない。容易ではないが、さまざまな改革に同社は着手している。

 まず、「半年などの単位で商品を開発し、需要を見込んでまとめて生産して販売する」といったやり方から脱皮し、ZARAなどのブランドで知られるInditexのように「作り足す」方式へ移行しようとしている。これにより、衣料販売では避けて通ることのできない余剰在庫の問題に対処する。

 余剰在庫を極力避けながら、販売機会の逸失を避けるには、物流を変革しなければならない。例えば有明倉庫は、都内の各店舗における在庫レベルから、商品を少量で補充できなければならない。

 オンラインでは「すぐ欲しい」というニーズにも対応できる必要がある。「オンライン購買では購入商品がすぐに手に入らない」という「常識」を覆してAmazon.comは成長してきた。ファーストリテイリングは有明における店舗への商品供給の「ジャストインタイム化」をはじめとして、配送時間短縮化のための複数の実験を進めている。

 また、「自分に合った」商品を低価格で提供するため、マスカスタマイズ、あるいはテイラーメイドのニーズにも対応しようとしている。

 例えばユニクロでは2018年秋冬用に、「3Dニット」の商品を投入した。これはファーストリテイリングが島精機という企業の「ホールガーメント(一体編み)」技術を取り入れたもの。2社は合弁企業を設立しており、ユニクロの3Dニット商品は和歌山で生産されている。

 ホールガーメントは、前工程と後工程がない。島精機の編機で製造を自動化できる。このため、労働賃金の安い地域で生産する必要がない。消費地の近くで生産し、納期を短縮できる。また、仕組みからいえば、完全なカスタムメイドにも対応できる。前出の3Dニットのワンピースドレスでは、サイズに加えて袖丈/スカート丈を3つの選択肢から選べるようになっている。これはカスタムメイドではないが、マスカスタマイゼーションに向けた一歩だと表現できる。

 「顧客の求めるものを作る」形態に近づけるためには、サプライチェーンの全工程をリアルタイムでつなぐITシステムを構築し、これを顧客ニーズに基づく売り上げ最大化、およびコスト最小化の観点から制御できるようにする必要がある。ファーストリテイリングは、こうした取り組みを進めている。

 そして上記全ての活動のベースとなるのが、顧客ニーズ(、そして需要)の正確な把握だ。ファーストリテイリングは顧客の衣料購買に関する情報の収集・分析を強化しようとしている。

 例えばスマートフォンアプリでは2018年7月、「UNIQLO IQ」という機能を提供開始した。いわゆるチャットbotで、好みや関心を伝えると、商品を薦めたり、店舗での在庫を確認したり、問い合わせに答えたりする。顧客のこうしたアプリでのインプットやオンラインストアにおける行動、店舗における顧客のリクエストや問い合わせ、リアル/デジタルのキャンペーンへの反応、ソーシャルネットワークなどインターネット上の情報、天候などを店舗における売り上げデータと合わせて分析し、現在および近未来のニーズ/需要を正確に予測できるようになる必要がある。

 2018年度に海外売上比率が国内売上比率を超えると予想されるファーストリテイリングは、もはや文字通りグローバル企業。そこで上記のようなデータの収集と予測を全世界について行い、これを各地域における生産、販売、物流の最適化に生かしていくことを、同社は考えている。

2018年9月18日火曜日

本当に堂々と休める? 有休取得が義務化、「言い逃れ」できなくなる企業

 休暇中も賃金が支払われる年次有給休暇(有休)の制度が変わる。従業員が有休を取ることを企業に義務付けるが、これで本当に休めるようになるのか。有休取得の義務化や今後の課題などについて、石塚由紀夫編集委員に聞いた。

【グラフで見る】日本の年次有給休暇の取得率

――有休取得の制度が変わるそうですね。

 年10日以上の有休が与えられている社員について、年5日は必ず取得させるように企業に義務付けます。中小企業を含めすべての企業が2019年4月からその対象です。働き方改革の一環で労働基準法が改正されました。過重労働を防止し、休むときはしっかり休んで仕事の生産性を高める狙いです。

 有休は働く人の権利。いつ何日取得するかは「時季指定権」と呼ばれ、働く側が原則自由に決められます。ただ、職場への気兼ねなどがあり、なかなか有休を取りません。そこで会社側に消化義務を負わせることにしました。5日分については本人の希望を聞いた上で、取得させる日時を会社が指定し、休ませなければいけません。これにより年5日は必ず有休を取ることになるので取得率は今より底上げされるでしょう。

――日本の有休取得状況は海外と比べてどうなの?

 厚生労働省調べでは日本の有休取得率は01年以降、5割を下回っています。国は20年までに取得率70%にすると目標を掲げていますが、実現は困難な状況です。世界30カ国・地域を対象にした旅行予約サイトの米エクスペディア調査(17年)では、ドイツやスペイン、フランスなど12カ国・地域が有休消化率100%に上るのに日本は50%で最下位でした。

 第一生命保険が男女1400人を対象に実施した調査によると、有休取得にためらいを「感じる」または「やや感じる」と答えた人は6割超でした。「職場の人に迷惑がかかる」「後で忙しくなる」などがその理由。男性では「昇格・査定への影響が心配」を挙げる人も目立ちました。

――違反した企業に罰則はあるのですか。

 有休消化が5日未満の働き手がいた場合、最高30万円の罰金を企業に科します。罰金が違反1社当たりなのか、1件当たりなのかは明示されていません。もし違反1件当たりで罰金を科す場合、例えば従業員500人の有休消化義務を怠った企業の罰金は30万円×500人分で最高1億5千万円にも上ります。

 日本の有休取得率はずっと50%前後で低迷しています。これまで企業は働き手の時季指定権を逆手に取り「社員が取得しない」と言い逃れができました。でも今後は通用しません。現在策定中のガイドラインでは企業に有休取得管理簿づくりを求める見通しです。取得状況などの情報を本人とその上司で共有し、確実に取得させる狙いです。各職場で社員が有休を消化できるように業務量を調整する必要もあるでしょう。サービス業のように土日も仕事がある業態は勤務ローテーションの組み方に工夫が求められます。

――取得義務化で参考になる先進事例はあるの?

 IT(情報技術)ベンチャーのロックオン(大阪市)は土日を含む9日間の連続休暇の取得を義務付けています。翌年の予定を職場単位で調整して決めます。社員は思い思いに休暇を過ごし、リフレッシュしているそうです。ユニークなのは休暇中の連絡を一切禁止していること。そのため実際に山にこもるわけでないですが社内では「山ごもり休暇」と呼んでいます。

 9日間も連絡を絶つには仕事を同僚に引き継がなくてはいけません。担当業務がどんな状況にあるか、懸案は何かなど仕事の棚卸しを休暇前に全員がします。このプロセスが無駄な業務に気付いたり、仕事の属人化を防いだりする効果も上げています。

 有休が取りにくい職場風土は問題ですが、働く側も効率的に働く意識が必要です。会社と働く側の双方が業務の中身や進め方を見直さないと有休の取得は進みません。

■ちょっとウンチク 海外は連続の休みが基本
 有休取得率の向上のため、時間単位の有休取得制度を導入する企業が最近目立つ。学校の行事や通院など1日休むほどでもない私用があるとき、有休を1~2時間に分割して取れる。便利な仕組みだと思う半面、なぜ丸々1日休もうとしないかが不思議だ。

 有休について国際労働機関(ILO)は第132号条約で、有休は連続して取得することと定めている。日本は同条約を批准していないが、ドイツやイタリアなど37カ国は批准。これらの国々ではバカンスが定着し、長期の休みを労働者は堪能している。勤勉が美徳とされる日本人は休み下手のようだ。

2018年9月14日金曜日

3大金融グループ企業が、シード期のスタートアップ企業支援に乗り出す理由

 みずほ銀行、三井住友海上火災保険(以下、三井住友海上)、三菱UFJ信託銀行。3大金融グループの企業がこぞって、創業後間もないシード期のスタートアップ企業を対象とした支援サービスに協力することを明らかにした。

 各社の狙いはどこにあるか。もちろん最終的にはビジネスにつながることを期待している。だが、スタートアップ企業を対象とした活動は、3社ともこれまで行ってきている。ビジネスマッチングや各種セミナーなど、内容も多彩だ。今回シード期のスタートアップ企業支援サービスに協力する理由は、スタートアップ企業側の目線に立つことにあるという。この時期特有の、「何をどうやればいいか分からない」という悩みに応え、役立つことができるかどうかから始めたいのだと、3社は口を揃える。

 3社が協力するのは、成長企業支援のフォースタートアップスが2018年8月下旬に提供を開始した「forSEED」。設立して間もない企業が抱くさまざまな悩みに答える会員制サービスで、同社は「コンシェルジュサービス」と呼んでいる。フォースタートアップスの取締役 CFO(最高財務責任者)兼 コーポレート本部長である藤井優紀氏が中心となり、自身の前職であるスタートアップ企業での経験を基に構築したという。

 「前職の技術系ベンチャーでは人数も少なく法務から財務経理、広報、開発、ホームページデザインまで、さまざまな手配や確認をしなければならず、忙殺された。広く浅く、いろいろなことをすぐに聞けるようなサービスが欲しかった」(藤井氏)

 会費を支払った会員に対し、チャットで質問や相談に対応する。対応内容は、資金調達の相談、経理、短期エンジニア派遣、プログラミング、ビジネスマッチングなど、基本的には何でも受け付ける。さまざまな悩みの一元的な窓口になることが特徴だ。

 フォースタートアップスは成長企業向けの人材支援を展開しており、人に関するニーズには対応しやすい。3社とも、自社にはできないこととして、特にこの点で補完関係が得られることに期待しているという。

 シード期のスタートアップ企業に対する支援は、「インキュベーター」あるいは「アクセラレーター」と呼ばれる企業も行っている。だが、こうしたところはまだ数が少なく、投資を伴う場合には、支援できる企業の数が限られる。また、スタートアップ企業の悩みを全般的に解決できるような機能を持たないという。

 一方、フォースタートアップスでこのサービスに関わるメンバーは、ほぼ全員スタートアップ企業出身。従って、実経験を踏まえた細かいアドバイスができるとする。そして、対応に専門的な知識が必要な相談については、3社が、それぞれの得意分野に応じてフォースタートアップスから依頼を受け、別料金で引き継いで対応する。

 では、3社はどんなサービスを提供するのか。

 三菱UFJ信託銀行は、信託銀行として証券代行業務、つまり株主名簿の管理や配当金の支払いなどを行い、日本の上場企業で42%のシェアを持つ。株式上場支援でも、ほぼ5割のシェアだという。

 シード期のスタートアップ企業であっても、株主総会の招集通知や議事録など、さまざまなドキュメントを作成する必要がある。三菱UFJ信託銀行では、同社の会員制組織「IPO倶楽部」のWebで提供しているドキュメントテンプレートの一部を、フォースタートアップスから紹介を受けた企業に対し、無償で提供するという。

 「ひな形の提供に始まり、ストックオプションのコンサルティングなどを含む、株式実務や資本政策、ガバナンスに関するコンサルティングを、一気通貫で提供できる」と、三菱UFJ信託銀行 証券代行営業推進部長、小澤寛高氏は話す。

 三井住友海上保険は、リスク管理に関するコンサルティングを提供する。

 「まず自社の進めている事業には、どのようなリスクがあるかを把握してもらいたい。早い段階でリスクを整理し、事故を起こさないための態勢を作ってもらう支援をしたい」と、同社理事で東京南支店長の馬場邦彦氏は言う。

 スタートアップ企業では、個人情報保護に関する事故が成長や上場の妨げになることがよくあるという。保険によってリスクを排除するか、保有するかは、当然ながら各スタートアップ企業の判断。だが、保険に加入していれば大きな損害の発生を防ぐことができた例は多いはずという。

 みずほ銀行は、主に融資とビジネスマッチングで、今回のサービスに協力する。

 「以前は、スタートアップ企業では融資を受けることが難しいとされていた。このため、ベンチャーキャピタルによる投資にこだわるスタートアップ企業が多かった。だが、最近では、融資を受けやすい環境が整ってきた。そこで、資本と融資を使い分けた最適化を進めやすくなっている。成熟した企業には金融サービスを選ぶノウハウがあるが、創業当初のスタートアップ企業では『どうしたらいいか分からない』のが現状だと思う。成長ステージの最初の時期に、自社に適した資金調達のあり方を見つけて欲しい」と、みずほ銀行 イノベーション企業支援部 執行役員 部長の大櫃直人氏は説明する。

 「結局、3社それぞれのサービスを使う方向へ誘導されるのでないか」という印象を抱く読者はいるだろう。だが、金融機関がスタートアップ企業を囲い込めるような時代ではないと、3社は言う。金融グループとしてはライバルである3社が、同一のサービスに「協力する理由もここにあるという。

 例えばみずほファイナンシャルグループには、ベンチャーキャピタル会社としてみずほキャピタルがある。だが、他のさまざまなベンチャーキャピタルにも出資しており、他金融グループが出資しているベンチャーキャピタルと連携することもあるという。また、同グループが運営するスタートアップ企業向けの会員制サービス「M's Salon」では、幅広いベンチャーキャピタル会社とのマッチングイベントを開催してきた。

 前出の大櫃氏は、「最も重要なのは、スタートアップ企業を支えるエコシステムを拡大すること。金融機関にしろ、ベンチャーキャピタルにしろ、それぞれ得手不得手がある。自社に足りないところを補完し合い、『寄ってたかって』企業の成長を促進したい。まずスタートアップ企業の役に立つことに徹し、その上で弊社のサービスを選んでもらえるなら有難い」と話している。

2018年9月13日木曜日

米財務長官、中国に貿易協議再開を打診 米報道

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は12日、ムニューシン米財務長官が中国に貿易問題を巡る閣僚級協議の再開を打診したと報じた。米政権が制裁関税の第3弾を準備する中、米国の要求に中国が応じる余地があるか改めて探るという。閣僚級協議を開けば6月以来となるが、貿易摩擦の緩和につながるかは不透明だ。
 同紙によると、ムニューシン氏が劉鶴副首相に送った書簡で閣僚級協議を開くことを提案した。数週間以内にワシントンか北京で会談することを想定しているという。
 トランプ米政権は技術移転の強要などの知財侵害や、ハイテク産業などへの過剰な補助金をやめるよう求めてきた。こうした要求の受け入れに中国側は消極的だ。
 対中穏健派で貿易戦争による経済への悪影響を懸念するムニューシン氏は、中国との対話に前向きな姿勢を示してきた。ただ制裁関税は対中強硬派の米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が担当する。現在、2千億ドル(約22兆円)分の輸入品に課す追加関税の詳細を詰めている。
 ムニューシン氏は5月の協議後に制裁関税を棚上げすると発言したが、ホワイトハウスが後に関税を発動すると改めて表明した。その後互いに計500億ドル分に関税をかけ合った。米中は8月下旬に事務レベル協議を開いたが、目立った進展はなかった。

仮想通貨、今年の下落率が80%にードットコム・バブル破裂を超える

仮想通貨は史上最大の暴落として歴史に名前を残しそうだ。年初につけたピークからの下げは80%に達し、ドットコム・バブル破裂時のナスダック総合指数の下落率を上回った。

仮想通貨は12日も下落。MVISクリプトコンペア・デジタル・アセット10指数の1月高値からの下げは80%となった。2000年のバブル破裂後、ナスダックのピークから底までの下落率は78%だった。

12日の下げは規模2番目の仮想通貨、イーサが中心で、ニューヨーク時間午前7時50分時点で前日比6%安の171.15ドル。今月の下落率は40%に広がった。規模が最大のビットコインはほぼ変わらず。MVISクリプトコンペア指数は3.8%下落。コインマーケットキャップ・ドット・コムが算出する仮想通貨全体の時価総額は1870億ドル(約20兆8500億円)と、10カ月ぶり低水準。

公式オンラインストアから姿を消した「iPhone X」

 Appleの公式サイトを見ると、「iPhone」のラインアップは「XS(XS Max)/XR/8(8 Plus)/7(7 Plus)」となっており、iPhone Xの他、「iPhone SE」「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」がオンラインストアから消えている。

 同サイトのモデル比較の機種一覧からこれらの機種を選ぶことはできるが、「Apple製品取扱店で購入できます」と書かれているだけで購入に進むことができない。

 iPhone 6s/6s Plus/SEは2015年9月~2016年3月に発表された機種であるため、約3年前のスペックとなればラインアップから消えていくのもうなずけるが、iPhone Xは2017年9月に発表、同年11月に発売と、世に出てから1年も経過していない。

 iPhone Xは、Appleの2018年第2四半期(1~3月)決算に貢献。ティム・クックCEOは業績発表後の電話会見で、「iPhone Xは同四半期を通じて、他のiPhoneより選ばれた。2014年のiPhone 6から複数モデル展開にしているが、ハイエンドモデルが一番人気モデルにもなったのはこれが初めてだ」と語っていた。

 iPhone Xの上位互換機となるのはiPhone XS。これまで、例えばiPhone 8と7などの互換機種でも同時に販売を続けていたAppleだが、わずか1年足らずで販売をやめるのはどのような事情だろうか。

 Appleは12日(現地時間)に行ったイベントの中で本件について触れなかったが、例えば有機ELディスプレイの部材を同じ5.8型であるiPhone XSに優先的に供給する関係で、X向けの部材を確保できないなどの理由があるのかもしれない。

2018年9月12日水曜日

普京为习破例 川普最不愿看一幕终发生

  俄罗斯"东方2018"军事演习受到广泛关注,外界也更关注在此次演习中中国军队的角色以及此次军演对中俄关系的影响。

  美国不希望中俄之间越走越近

  据9月11日报道,中国军队参加的"东方-2018"战略演习,9月11日在俄罗斯后贝加尔边疆区楚戈尔训练场正式拉开帷幕。在未来几天时间里,中俄两军官兵将密切协作共同上演一场规模空前的战略级联合战役演习。

  《华尔街日报》刊文称,中国和俄罗斯军队将开始联合军演,这是俄罗斯首次邀请一个不属于苏联盟国的国家参加其规模最大的年度军演,也为中国高级军官提供了难得且宝贵的海外训练经验。
  这场军演为期五天,在靠近中国边境的俄罗斯远东地区进行,意在显示中俄两国不再只是进行象征性的武力展示,而是发展到了协调武器系统和指挥结构的程度。美国政府称,中俄两国的军事实力会在危机时期对美国的军事主导地位形成考验。

  俄中关系专家、莫斯科高校的高级研究员卡申(Vasily Kashin)称,如果中国想建立一支在全球具备作战能力的部队,那么通过参加俄罗斯军演可以获得急需的海外训练经验。卡申称,如果中国军队想走出国门,他们需要这种经验。

  俄罗斯和中国此前已多次参加过联合军演。但这是中国首次受邀参加俄罗斯的年度战略军演,此类军演提供涉及大型军事冲突方面的训练。

  研究小组卡耐基莫斯科中心(Carnegie Moscow Center)的中国问题专家加布耶夫(Alexander Gabuev)说,虽然演习的规模很大,"但最重要的是,中国正在参加俄罗斯过去只跟盟友一起举行的演习。"

  加布耶夫说,像在之前这样的演习中,中国曾被视为潜在威胁或目标,但它现在作为朋友,甚至是准盟友获邀加入。这真是史无前例。

  此次军演的重点之一是反介入能力的训练,分析人士称,中俄两国都已在各自利益范围内成功拓展了此类能力,这引发了美国政府的不安。俄《观点报》之前也称,尽管中俄每年都会举行联合演习,但是如此大规模的还是第一次,这一事实说明两国关系已经上升至一个新的高度。中俄虽一再强调两国的合作不针对第三方,华盛顿仍然没有掩饰自己的不满。

  美国在不久前开始相信,他们最可怕的地缘政治噩梦正在实现:中俄联盟越来越得以巩固。在这种背景下,美国的地缘政治大师基辛格(Henry Kissinger)开始试图劝说美国不要再继续孤立俄罗斯,这样会令其继续与中国靠近,但华盛顿忽视了这些。

  中俄关系走进的新阶段始于习近平上台后,当然,两国关系的走进取决于彼此战略利益的相似以及两国领导有意识的选择。实际上美国出于其战略利益的考虑,可以采取措施令中俄关系有所疏远。但是,他们选择了相反的做法,同时向中俄施压。正是美国的这些策略,才令中俄持续走进,关系越来越密切。

急了!大豆进不了中国 美逼这国“吞下”

随着贸易战升温,美国总统特朗普似乎正感受着来自美国农业界前所未有的压力。最近,为了卖掉那些进不来中国的大豆,特朗普政府将目光盯上了它的"小伙伴"——日本。

据日本《每日新闻》9月9日报道,美国总统特朗普围绕贸易问题,进一步加大对日本的施压力度。他7日放出狠话称:"日本明白,如果不同美国做交易,将导致大问题。"

境外媒体分析,特朗普政府迅速加大对日本的施压力度,与美国肆意挑起贸易战不无关系。对于大豆等农产品,美国农民要求"应对中国出口减少而富余出来的部分,希望让日本来购买",鉴于此,美国打算把日本拉向谈判桌,迫使日本开放农产品市场。

有舆论认为,美国向日本施压在意料之中。

中国现代国际关系研究院美国研究所学者孙立鹏在接受参考消息网采访时表示,从特朗普政府目前的对外强硬贸易立场看,可谓四线出击,"一条主线"是对华经贸施压,妄图迫使中国做出最终的政策调整和改变;"一条辅线"是完成《北美自由贸易协定》(NAFTA)升级谈判,并把其作为模板推广至美国和其他国家的贸易谈判,塑造所谓"21世纪标准";另外"两条虚线"是对欧、日谈判,作为亲密盟友,美与日欧没有原则立场分歧,只是在农产品、汽车等具体经贸领域,美国希望"点到为止"迫使日、欧做出具体让步即可。美国对日本的施压敲打在意料之中,是其"美国利益"优先的一部分。

在谈及施压原因时,孙立鹏分析,除了美国国内利益集团的反对,特朗普政府及部分行业协会还存在错误认识。他们认为全世界的大豆等农产品供给和需求基本稳定,中国提高关税减少了对美国大豆的需求,会扩大对巴西大豆的进口,在巴西供给有限的背景下,就会在欧、日市场留下供给"空白",美国可以借机扩大对欧日的出口,填补空白,并减少对华出口受阻的损失。因此,特朗普政府也有施压日本进一步开放大豆等农产品市场的利益动机。

不过,有观点认为,美国的做法不太可能成功。根据美国国际贸易委员会(USITC)统计,2017年美国对中国大豆出口122.53亿美元,对日本的大豆出口仅为9.75亿美元,中日消费需求量和市场规模根本不是一个量级。即使美国想向日本出口大豆,也是杯水车薪,解决不了根本问题。

孙立鹏进一步表示,由于特朗普政府肆意发动的贸易战,全球农产品市场的供需结构和关系正在发生深刻变化,但这种调整是一个中长期的过程,不可能立竿见影。美国想短期内就可以寻找其他替代市场绝非易事。此外,未来美日贸易磋商谈判前景也并不是一片光明,在汽车关税问题上,美国没有退步的意思,日本也视其为不可退步的"底线"。一旦美日贸易磋商出现分歧,不排除会影响两国在农产品市场开放的合作。

統計所得、過大に上昇 政府の手法変更が影響 補正調整されず…専門家からは批判も

 政府の所得関連統計の作成手法が今年に入って見直され、統計上の所得が高めに出ていることが西日本新聞の取材で分かった。調査対象となる事業所群を新たな手法で入れ替えるなどした結果、従業員に支払われる現金給与総額の前年比増加率が大きすぎる状態が続いている。補正調整もされていない。景気の重要な判断材料となる統計の誤差は、デフレ脱却を目指す安倍政権の景気判断の甘さにつながる恐れがある。専門家からは批判が出ており、統計の妥当性が問われそうだ。

 高めになっているのは、最も代表的な賃金関連統計として知られる「毎月勤労統計調査」。厚生労働省が全国約3万3千の事業所から賃金や労働時間などのデータを得てまとめている。1月に新たな作成手法を採用し、調査対象の半数弱を入れ替えるなどした。

 その結果、今年に入っての「現金給与総額」の前年比増加率は1月1・2%▽2月1・0%▽3月2・0%▽4月0・6%▽5月2・1%▽6月3・3%-を記録。いずれも2017年平均の0・4%を大きく上回り、3月は04年11月以来の2%台、6月は1997年1月以来21年5カ月ぶりの高い伸び率となった。安倍政権の狙い通りに賃金上昇率が高まった形だ。

 しかし、調査対象の入れ替えとならなかった半数強の事業所だけで集計した「参考値」の前年比増加率は、1月0・3%▽2月0・9%▽3月1・2%▽4月0・4%▽5月0・3%▽6月1・3%-と公式統計を大きく下回る月が目立つ。手法見直しで、計算の方法を変更したことも誤差が生じる要因とみられる。

 誤差に対しては、経済分析で統計を扱うエコノミストからも疑義が相次いでいる。大和総研の小林俊介氏は「統計ほど賃金は増えていないと考えられ、統計の信頼性を疑わざるを得ない。報道や世論もミスリードしかねない」と指摘。手法見直し前は誤差が補正調整されていたことに触れ「大きな誤差がある以上、今回も補正調整すべきだ」と訴える。

 厚労省によると、作成手法の見直しは調査の精度向上などを目的に実施した。調査対象の入れ替えは無作為に抽出している。見直しの影響で増加率が0・8ポイント程度上振れしたと分析するが、参考値を公表していることなどを理由に「補正や手法見直しは考えていない」(担当者)としている。

ロシア、「同国史上最大」の軍事演習を開始 中国軍も参加

 ロシアは11日、同国史上最大とする軍事演習を開始した。西側に揺さぶりを掛けてきた軍事力を誇示する今回の演習には、ロシア兵数十万人に加え、中国軍も参加する。
 ロシア国防省は声明で、1週間にわたる軍事演習「ボストーク2018(Vostok-2018)」を極東地方と太平洋上で開始したと発表した。
 同省が公開した映像には、演習冒頭に軍用車や戦闘機、ヘリコプター、軍艦が配置につく様子が捉えられている。
 中国軍とモンゴル軍も参加するこの演習について、北大西洋条約機構(NATO)は「大規模な紛争」を視野に入れた予行演習だと非難している。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領も、東部ウラジオストク(Vladivostok)で開催中の「東方経済フォーラム(Eastern Economic Forum)」閉幕後に演習を視察する予定。同フォーラムには、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席も出席している。
 ロシアと西側諸国の間では目下、西側の諸問題へのロシアの介入疑惑や、ウクライナおよびシリアで続く紛争をめぐり緊張が高まっている。
 今回の演習は、1981年に行われたソ連期最大の軍事演習「ザパド81(Zapad-81)」に匹敵する規模とされている。当時の演習には、ワルシャワ条約機構(Warsaw Pact)加盟国の兵士10万~15万人が参加した。
 とはいえセルゲイ・ショイグ(Sergei Shoigu)国防相は、今回の演習の方がさらに大規模になり、兵士30万人、軍用車3万6000台、航空機1000機、軍艦80隻が参加するとしている。

IT業界の仕組みと偽装請負の闇を分かりやすく解説しよう

 ITエンジニアに憧れてIT業界に入ったのに、数年たつと「こんなはずではなかった」と後悔するエンジニアの声を聞くことがある。
 理由はさまざまだ。単純に「入社した会社が合わなかった」という人もいるだろう。しかし体感では「IT業界の構造そのものに対する誤解によって生じたミスマッチ」が驚くほど多いように思う。
 私も学生時代はIT業界の構造を正しく把握しておらず、業界に入って数年たってようやく、正しく認識できるようになった。
 就職のミスマッチを完全に防ぐことは不可能だが、IT業界の構造を正しく認知していないが故の不要なミスマッチはもっと回避されてしかるべきだろう。本記事は、不幸なミスマッチや遠回りを防ぐことを目的として、IT業界の構造を解説し、エンジニアにとって良い就職先を選択するために気を付けるべきポイントをまとめた。IT業界で就職/転職する皆さんに参考としていただきたい。
「ピラミッド型構造」と担当フェーズの違い
 IT業界の中にはさまざまな業種があるが、今回はその中の「ITシステムの受託開発を行う企業」について話をする。
 ウオーターフォール型巨大プロジェクトは、エンドユーザーが発注した開発案件を、元請け→下請け→孫請けの順に分散して仕事を流していく。その商流を図にすると、元請け企業を頂点としたピラミッドのような形になる。この構造自体は他の業種においても珍しいことではない。
 

ピラミッド型構造
 ピラミッドの頂点に存在する企業は、「元請け企業」「SI企業」と呼ばれ、システム開発の「上流工程」と呼ばれるフェーズを担当することが多い。「要件定義」や「システムの基本設計」辺りが仕事の中心だ。
 SI企業に就職する場合の注意点は、上流工程を担当することが多くなるため、プログラミングを伴う業務を行わない企業が多いということだ。プログラミングを行いながら開発の仕事に携わりたいと思っている人がSI企業に就職すると、希望と現実のミスマッチが生じる。
 SI企業の下にぶら下がる下請け企業は、「SES(System Engineering Service)企業」と呼ばれることが多い。このポジションの企業に在籍するエンジニアたちを中心に、プログラミングなどの開発業務が進められる。
 

ピラミッドのレイヤーによって、行う業務が異なる
勤務地が自社ではない「客先常駐」
 IT業界を特殊なものにしているのは、ここに「客先常駐」という形態がセットになる点だ。システム開発を事業内容としてうたっているIT企業に在籍するエンジニアの多くが、「ピラミッド構造+客先常駐」で仕事をしている。
 SES企業に在籍するエンジニアは、自社ではなく客先で開発業務を行う。派遣のような働き方だが、契約形態は派遣ではない。
 客先では、他社のエンジニアたちと共に働くことが多い。自社のオフィスで、自社のメンバーと開発を行うイメージを持っている人は、入社後にギャップを感じるだろう。
「多重請負」の仕組み、実態
 客先常駐のプロジェクト現場には複数の会社のエンジニアたちがいるが、お互いの実際の所属会社は分かっていないことが多い。
 元請け企業の人間も、エンジニアたちが実際はどこの社員なのか全て把握することは難しい。なぜなら、A社から来ていると思っているエンジニアが、B社とC社がピラミッドの間に挟まり、実際にはD社のエンジニアだったというようなことが当たり前にあるからだ。
 このように、ピラミッドの層が何層にもなることを「多重請負」「多重下請け構造」という。
 多重請負の悪い点は、間に入って契約を仲介しているだけの企業にマージンを中間搾取され、実際に働くエンジニアがもらえるお金が少なくなってしまうことだ。
実態は派遣、契約は請負や準委任の「偽装請負」
 最初のページで「客先常駐は派遣のような働き方だが、契約は派遣ではない」と書いた。これは、どういうことだろうか?
 会社が派遣業務を行うためには、「派遣法」という法律を順守しなければならない。
 派遣契約であれば上記のように間にB社やC社を挟めない。なぜなら、職業安定法第44条、労働基準法第6条(中間搾取の禁止)で「多重派遣は禁止」されているからだ。
 SES企業の中には特定派遣(2018年9月に完全廃止)や一般派遣の許可を得ている企業もあるが、派遣契約ではなく請負契約や準委任契約で自社社員を客先に常駐させている。これは「派遣契約だと多重派遣ができない」ことが大きな要因だ。
 実態が派遣であるにもかかわらず、契約形態を請負契約や準委任契約とし、派遣ではないかのように偽装したものが「偽装請負」だ。
 IT業界で多く見られる「多重下請け+客先常駐」のコンボは、他社のオフィスで働き、かつ他社の人たちとチームを組んで仕事をするため、偽装請負が発生しやすい。
偽装請負は、労務管理が曖昧になる
 では、派遣と請負の違いとは何か? 派遣の場合は「派遣先の指揮命令、作業管理の下、作業を行う」のに対し、請負の場合は「メンバーに直接指示を出すことも、勤怠管理を行うこともできない」。偽装請負の問題は、この労務管理の責任が曖昧になってしまうことだ。
 本来であれば、従業員の労務管理は所属会社が責任をもって行うべきである。しかし、労務管理に他社が介入するとさまざまな問題が生じる。
 例えば、残業が多い社員の健康管理のために労働時間を抑制する必要がある場合、普通は所属会社が責任を持って労働時間抑制などの対策を行う。しかし自社の社員が他社のオフィスで働き、そこの社員に業務上の指揮命令を受けている場合、所属会社では労務管理をコントロールしにくくなってしまう。
 ちなみに、請負契約や準委任契約は、社員の労務管理や指揮命令は所属会社が行わなければ、法律違反になる。
 偽装請負の問題をさらに難しくしているのは、「現場に出ているエンジニアには自分の契約が何なのか知らない場合がある」ことだ。派遣契約でなければ、他社の人間から直接指示を受けられないのだが、本人は自分が派遣契約なのか、SES契約(請負契約や準委任契約)なのか分かっていないため、指示を受けても良いのかどうか判断できないのだ。こうして、知らず知らずのうちに偽装請負の現場にいたなんてことも十分にあり得る話だ。
参考記事
SESで働いているけど、客先から直接指示を受けています。これって違法ですか?

多重下請けは避けられないのか
 5次請けや6次請けのSES企業は、エンドユーザーや元請け企業と直接契約すれば良いのではないかと思う方もいるかもしれない。しかし、話はそう簡単ではない。
 なぜなら、SES企業の営業も、その案件が何次請けなのか分かっていないことが多いからだ。「情報が流れてきた時点で既に間に何社も入っていた」ということが起きるので、間に何社入るかをコントロールすることは難しい。
就職先、転職先を選ぶ際のポイント
 開発フェーズの上流工程を中心に仕事したい人は、SI企業のような上流企業がマッチする。逆に自分はプログラミングをやりたいという人には、上流のSI企業はお勧めできない。
 プログラミングを含む開発の仕事をしたいが、客先常駐はしたくないというエンジニアも多いだろう。しかし企業のWebサイトを見るだけでは、客先常駐のSESを行っているかどうか分かりにくい。
 そこで、就職/転職先を探すときに客先常駐SES企業かどうかを判断するポイントを指南する。もちろん、全ての情報について以下の内容が必ずしも当てはまるわけではないので、一つの参考として理解してほしい。
求人票を見るときのポイント
 客先常駐することが明記されていなくても、勤務地が「東京23区」のように曖昧な書かれ方をしている場合は、いずれかの客先に常駐する可能性が高い。また就業時間や休日に関する記載が「客先に準ずる」となっている場合も、客先常駐である可能性が高い。
SES"も"やっている企業がある
 自社での受託開発や自社サービスの運営や開発とSESを併せて行っている企業もある。
 このような企業は、採用のタイミングでは自社開発ができることを売りにしていることが多い。しかし、自社開発の仕事が常に確保できるわけではないので、人員が余ったタイミングで客先常駐の仕事が回ってくる。
スクールと提携している企業
 未経験だけれどエンジニアになりたいと思って、スクールに通う人もいるだろう。
 最近は受講料無料のプログラミングスクールが増えているが、運営母体が客先常駐のSES企業や、関連企業や提携企業である場合がある。無料の条件として「卒業後に母体企業に就職すること」を義務付けられていることもある。
 卒業後の進路はもちろん、客先常駐だ。
希望通りの企業で働きたいエンジニアがやるべき、たった3つのこと
 プログラムなどの開発に携われて、なおかつ客先常駐を行っていないIT企業の一つが、「自社開発を行っている企業」だ。
 自社開発を行っている企業は人気があるので、未経験だったり業務経験が少なかったりする人にはハードルが高いかもしれない。でも、エンジニアとしてこういった企業で働きたいのならば、簡単に諦めないでほしい。
 自社開発を行っている会社は、業務経験だけではなくプログラミング能力をしっかり見てくれるところも多い。たとえプログラマーとして業務は未経験でも、実力さえあれば、自社開発の企業でプログラマーとして働くことは十分にできる。
 業務経験に乏しい人がプログラミング能力を客観的に証明する方法は簡単だ。何か作ってみればいいのだ。
 作ったシステムを公開し、ソースコードをGitHubで公開して履歴書に書いて送れば、自社開発を行うような開発会社は、システムやソースコードを見てくれるはずだ。逆に応募してきた人のソースコードを読んでもくれないような企業にプログラマーとして就職することは、避けた方がいいかもしれない。
 良い会社で働きたいのならば、しっかりとスキルアップすることだ。そうすれば、選択肢を格段に広げられる。
 考えてみれば当たり前のことではあるが、エンジニアとして働きやすい会社には多くのエンジニアの応募が集まってくる。その競争に勝ち抜くためには相応の実力を付けることを避けては通れない。
 逆に、しっかりと実力さえ付けてしまえば、業務未経験だろうと文系だろうといくらでも働く場所があるのがエンジニアだ。
 就職/転職先を選ぶ際には、まず「自分がどんな環境で、どのように働きたいのか」を考える。そのためにはIT業界の構造をよく知っておく必要もある。業界のことを理解し、自分が望む方向が分かったら、必要なスキルアップを行う。そして、実際に手を動かして何かを作り、能力をきちんとアピールする。
 ITエンジニアの仕事選びのポイントは、案外シンプルなのである。

2018年9月10日月曜日

大正製薬、業績堅調でも「人員大削減」の波紋

 栄養ドリンク剤「リポビタンD」や風邪薬「パブロン」などで知られる大衆薬最大手、大正製薬ホールディングス(HD)の大幅な人員削減が話題になっている。
 同社は5月に早期退職優遇制度の実施を発表しており、8月末にその結果を公表した。応募は943名。10年以上勤務、40歳以上の従業員約3000名が対象で、そのおよそ3割が手を挙げた計算になる。

■1人当たりの費用は約1290万円
 中堅として現場の中核を担うべき40歳以上の社員が一気に3割も抜けてしまうことになる。会社側は割り増し退職金と再就職支援費用として特別損失122億円を計上するが、1人当たりの費用は約1290万円。2000万円以上の"高額"な割り増し退職金が珍しくない製薬業界にあって、決して手厚いわけではない。
 大正製薬HDの2018年3月期の営業利益は前期比16%増の369億円。非常時とは言えない中での大量退職だ。会社は「想定内」と言うが、同業関係者からは「普通では考えられない」という声が多く聞かれる。
 もともと優遇制度は今回の募集のため新設した。退職呼びかけは、1912年の創業以来初めてのことだ。
 今回の早期退職はグループの中核会社、大正製薬の上原茂社長(HDの副社長を兼務)の意向が反映されているようだ。茂氏は、上原明・現HD社長兼会長の長男で、次のグループ総帥となることがほぼ確実視されている。2012年に36歳の若さで大正製薬の社長に就任した。慶応大学卒で、米国の著名なビジネススクールであるケロッグ経営大学院で学んだ国際派だ。

■大胆なショック療法
 「意識改革をするためには、仕事を変えればよい」。これまで茂氏は役員・幹部級社員の人事で、研究開発から営業担当への異動など、大胆な配置転換を実施してきた。今回の早期退職にも、ショック療法によって社員の意識改革を促す意味合いがあるようだ。
 確かに、大正製薬はこうした動きに出ざるをえない状況にある。
 長期トレンドを冷静に分析すれば、利益のピークは18年も前。利益は長期低下中なのに、従業員は増え続けた。従業員1人当たり利益は半分以下になっている。
 少子高齢化と人口減で柱の国内の大衆薬市場は今後も伸びない。さらに厳しいのは、弱点である医療用医薬品だ。2000年代から進めたM&A(合併・買収)や提携戦略は実を結んでいない。今年7月末には保有する富山化学工業の全株(34%)を富士フイルムHDに売却。富山化学とは合弁販社だけが残されており、同販社の従業員は今回の早期退職の対象に含まれている。
 早期退職で人員の水膨れは是正されるが、それは一時的。問題は次の稼ぎ頭をどう作るかだ。会社の方向性が見えない中での"ショック療法"は、人心が離れるリスクもはらんでいる。

2018年9月7日金曜日

トランプ氏“匿名批判”会議中止し犯人探し

アメリカのトランプ大統領を批判した、政権高官による匿名の文章が有力紙に掲載されたことで激怒した大統領が、「犯人探し」に躍起になっている。
有力紙「ニューヨーク・タイムズ」に掲載された寄稿文では、現役のトランプ政権の高官が匿名で、「トランプ大統領は国にとって有害」などと痛烈に批判している。

政権内は大きく動揺し、現地メディアによると、ホワイトハウスで予定されていた多くの会議が取りやめになり、この高官の割り出しが進められている。

また、激怒した大統領は、「国家安全保障の担当者か司法省の関係者ではないか」と疑い、「信用できるのは自分の子どもしかいない」と漏らしているという。

こうした中、ペンス副大統領やマティス国防長官など閣僚や高官が相次ぎ「私ではない」と表明する事態となっている。