2018年9月25日火曜日

関税エスカレート警戒=25%に上がれば大打撃-米経済

 中国の知的財産権侵害に対抗したトランプ米政権による第3弾の制裁関税の対象は、家電や家具、食料品など広範な品目に及ぶ。関税引き上げに伴うコスト上昇が価格に転嫁されれば、米国の消費者にとって負担増となる。年末商戦に配慮し、当初の関税率を10%にとどめたが、中国との対立が解けず、来年1月1日に25%に上げられれば、個人消費の低迷など米経済に大きな打撃となりそうだ。


 「間もなく米国の消費者は、表示価格が上がり、家計が苦しくなったと気付くだろう」。全米小売業協会(NRF)のシェイ会長は、米政権による第3弾の制裁発動をこう非難する。NRFは関税が10%上乗せされることで、家具の小売価格が2%、旅行用品が4.8%上がると予想。小売業経営者協会(RILA)は、ガスグリルや旅行かばん、マットレスなどは輸入の8割以上を中国に依存し、代替品の確保が難しいと訴える。

 追加関税が当初10%に抑えられ、米経済全体に対する短期的な影響は「軽微」との見方もある。米金融大手バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは、10%の関税引き上げによる米家計の可処分所得の減少は0.12%にとどまると試算。ただ、上げ幅が25%に拡大すれば「米企業への打撃は大きく、投資計画の凍結などの大きなショックを招く」と警告する。

 ウォルマートなど小売り大手は、年末商戦のための商品調達をほぼ終えたとされるが、「貿易戦争」の長期化は今後、供給網の変更など企業に戦略の見直しを迫る。北米で約1万5000店舗を展開するディスカウントストア大手ダラー・ツリーのフィルビン最高経営責任者(CEO)は「仕入れ先を中国から変更する供給網の再構築には2~4年かかり、消費者はその間、不利益を被る」と困惑している。

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