2016年9月30日金曜日

人工知能で消える職業と生まれる職業

機械学習などの技術の進歩によって、特徴量の抽出が可能になり、特徴量個人の検索データ、行動データを蓄積し、そのデータを使って最適な作業を機械でできることが増えたきた。さらに、テクノロジーの進化により自分で考えて話すことができるPepperやパーソナルアシスタントSiri、Google Nowが活躍できる場が増えてきている。

便利にはなるものの、仕事面で考えると進化する人工知能は将来、わたしたちの仕事を奪ってしまうのではないだろうか?もし人工知能が自分の部下として配属される時代がきたら、自分はどのように指示を出し一緒に働くのであろうか?

1.「識別」「予測」「実行」

HBR記事の安宅氏によると機械学習をベースにしたAIの利用には主に以下の三つに分けられる。
(1)識別

情報の判別・仕分け・検索(言語、画像ほか)
音声、画像、動画の意味理解
異常検知・予知
(2)予測

数値予測
ニーズ・意図予測
マッチング
(3)実行

表現生成
デザイン
行動の最適化
作業の自動化
3つの利用用途を応用をしているものを見ると、「識別」や「予測」の領域ではすでに一定以上のレベルでできているものが多く、一方で実行には至っていないものが多い印象である。とりわけ、設計や枠組み化などのデザイン、行動や作業を単純化した状態での最適化、自動化に至ってはこれからの課題となる分野がまだ多いように読み取れる。

技術によって認識・予測はできても、その予測モデルの精度や予測可能な領域、実行をするためのスキーム、プロセス改善に課題が大きいことがわかる。技術の進化によって、近い将来にはその課題も埋まるだろうと予想されている。

2. 機械と働く

人工知能やロボットの進化・発達で自動化が進み、これまで人が行ってきた仕事を機械が置き換えられる可能性が非常に高くなったことにより、「肉体労働」「単純作業」だけではなく「意思決定」を機械に任せる(委ねる)必要が出てくる。

それにあたって、経営資源はこれまで「人・モノ・金」だったが、AIの進化によって「人がどこで価値を生み出し、機械やデータにどの判断を任せるべきか」が問われるようになり、経営資源は「人・データ(情報)・機械」になっていくであろう。モノや金の必要性は消えないが、AIが意思決定をサポートをする時代においてはそれらを管理するデータや機械に主体が移っていく可能性が高い。

その上で、人と機械を「どうマネジメントするか」も考える必要が出てくる。「マネジメントのあり方」は意思決定や実行をするために、これまでは「指示」や「実行管理」が主体であったものを、意図する解に導けるように「正しい問いを投げかけること」「AIやデータ領域を理解し、自動化をさせるために枠組み化をして回すこと」ができるようになる力が求められる。

こういったパラダイムシフトについていける企業・組織が成長し、そこから取り残される停滞をする懸念は今後考えうるであろう。

参考: 人工知能 (AI)や機械に絶対奪われない3つのスキル

3. キャリア

これからのキャリアでは、機械と働く上で、人々が持つ(機械が持ち得ない)3つ強みを磨くことが期待されるである。

クリエイティビティ(デザインする力)
課題の特定にいたる枠組みや新しいコンセプトをデザインすること、またアイデア、新しい組み合わせを着想(ひらめき)、通常では発想に至らない仮説を導き出す力などを指す。
リーダーシップ/マネジメント(人を動かす力)
人と人が行うデリケートかつ複雑なコミュニケーションを行い、人々を奮い立たせて勇気付け、人々をある目的に導き、目標を達成させるための意識付けるなど、意識に働きかけて人を動かすことを指す。
ホスピタリティ・課題解決
人が感じる潜在的・顕在的な課題と向き合い、自分ごととして不便、不満など「不=問題」を解決・解消するための働きを指す。
AIの進化・普及によりなくなる職業・新たに発生する職業も見逃せない。

<なくなる職業>

オックスフォード大学の論文で示された「あと10〜20年でなくなる職業」の一部抜粋しており、「正確性を要求される」「単純作業・マニュアル化しやすい」「システム化することで計算、算出できる」職業はなくなる可能性が高いと言えるであろう。また、「過去の判例を持ってくる」など訴訟に関連した情報を抽出することは人工知能が得意であり、リーガルにも影響がありそうだ。

<発生する、増加する職業>

なくなる技術だけではなく、人工知能が進化、浸透していく中で様々な課題、ニーズも出てくる。空飛ぶ機械「飛行機」ができた時に、パイロット(操縦する人)、整備士(メンテナンスする人)、税関(取り締まる人)、客室乗務員(サポートする人)、管制官(監視する人)などが生まれたように、近いポジション・役割が生まれるだろう。そういった関連するポジションの他にどんな職業がこの先に生まれるだろうか?について予想されているものを5つピックアップしていく。

ロボット・アドバイザー(Robot Counsellor)
ロボットの進化・普及によって、家庭においてもアシスタントとして働くのが一般的になっていることが想定される。ロボットが人間のアシスタントとして関わる過程で、トラブル・課題を各家庭や企業からヒアリングし、改善をするための働きや、逆にロボットの正しい向き合い方を普及させていくようなアドバイザーと言う役割を担う人が必要とされるであろう。
企業文化のエキスパート(Company Culture Ambassador)
企業同士が、最良の人材を確保しようと競合することになる。そして、企業が才能を獲得し、彼らが「自分はいま、ふさわしい場所にいる」と感じさせるためには、それ専門の人材が必要となるだろう。彼らが担う仕事は、レクリエーションや金銭とは異なる利益によって人を楽しませ、コミュニケーションを取り、企業の価値観を伝え、それが共有されるようにして、仕事が楽しいという環境と雰囲気をつくり出すことだ。
単純化の専門家(Simplicity Expert)
情報化社会で複雑化する事象を「単純化」すると言う課題・要請が増えていくことが想定される。あるプロセスの要点を見つけだし、合理化することで実行の時間を減らし、より価値の高い活動のために時間を残すために、複雑なことを整理し、単純化する専門家が必要になるであろう。
輸送アナリスト(Auto-transport Analyst)
自動運転の発展・普及により、「運転手」がどんどん少なくなって、輸送はますます自動化されていくことが想定される。ここでも、適切に状況を判断し、配送を効率化すること、または問題を予防し不測の事態に対処しユーザーの不便をタイミング良く解決する管理者が必要になるであろう。
マインドインストラクター(Mind Instructor)
人工知能や技術の進化によって、急激に変化する世界で価値観や自身の幸福を見出せない人が増えてくることが想定される。人々の顕在的、潜在的な意識を引き出し、「仕事のベクトル」「幸福度」「自分のあり方」など内面的な課題への解決ができる人を指す。
近年GoogleなどIT系の企業でも導入が進んでいる「マインドフルネス」を今はインストラクターが主体として行っている。一方でヘルスケアの領域でもパーソナルデータの分析やストレスケアのトレーニングが進んでいる。今後はそれらの領域を跨いで人々の心身の健康のために、定性的・定量的な情報から課題解決をすることができる人、技術を作る人が増えてくるのではないだろうか。

マインドインストラクターという「禅」と「データ」をブレンドした新しい職業

最後に

近年、特にGoogleによる人工知能ライブラリ TensorFlow をオープンソース化や、元GoogleリサーチのAlon HalevyがリクルートAI研究所に就任、東京大学の松尾氏著書の「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」など、人工知能に関連する記事や書籍を数多く見るようになり、ある種のバズワードのように人々に馴染みがある概念になってきた。日常生活、職場での環境、旅行先など、ありとあらゆるシーンで人工知能を用いたものが普及する未来はそんなに遠くないかもしれない。

一方で、人工知能の実態やそれを支える技術、歴史を学び、その影響を推測・予測し、自分のキャリアを考える人は(自分も含めて)まだまだ少ないように感じる。近年、エンジニアはもちろん、データサイエンティスト、人工知能の領域に精通した人材の不足はより顕在化した課題になってきた。一部ではデータサイエンス(特に機械学習)は、今後の理系学生はほぼ必修に近いような領域になるだろうとも言われているほど、注目・期待をされているものとなっている。

配達も“シェア” Uberのフード宅配「UberEATS」

 「UberEATS」という、都内のレストランメニューを宅配するサービスが9月29日から開始しました。特徴は、配達するのは従業員ではなく、シェアリングエコノミー的に、登録した配達員が空き時間に配達することと、今まで宅配をしてこなかったレストランの登録が多いということです。配達に使用できる車両は125cc以下の原付と、自転車だけです。対応エリアは29日時点で渋谷区と港区の一部のみです。

 配達員への支払いは基本的に歩合制です。

配達1件ごとに報酬が発生する
注文額と報酬は比例する
最低保証時給が発生する場合があり、注文が無くても時給がつくことがある
業務委託関係であり、雇用ではない
 振込は週単位で行われます。

 配達を待つには、「Uber Partner」という配達員用アプリでオンラインにしておくだけです。アプリから呼び出されたら数分以内に応答して、配達元のお店に向かうことになります。このアプリはUberタクシーの運転手も共通っぽいですね。

 実際に待ち受けてみると、待っている間は暇といえば暇なのですが、呼び出されたらすぐに出発しなくてはならないので、多少の集中を求められるような暇つぶしはする気になれませんでした。小難しい本を読むのも微妙な感じで、ポケストップが集まる所に移動してポケモンGOをやってひたすら時間を潰しました。客待ちしているタクシーの運転手さんもこんな感じなのかなあ、と思いました。

 注文は2件とも同じ店舗からでした。200メートルほど先まで、ペダルを漕いで急いでかけつけました。

 店舗に到着して「UberEATSです」と伝えると、店員の方もタブレットを出し、注文番号を読み上げて、こちらのスマホに表示されている番号と同じかを確認します。出来上がりまでまだ時間がかかる様子で、なるべく邪魔にならない所で10分ほどじっと待ちました。

 このときの服装はジーンズにポロシャツだったのですが、まあ、ただの普段着です。これがロゴでも入った帽子やシャツでもあれば「お客じゃない、何かの人かな」という雰囲気にもなるのですが、普段着だと「スマホを持って立ち尽くしてるただの人」なので、なんとなく目立たないようにふるまうのが精一杯でした。

 お昼どきで少し混雑していて、小さなお店だったので、お店の外に出ちゃったほうが邪魔にならないかもなあ、と考えつつも、出来上がりまで待つことになりました。

 商品を受け取ったらまたアプリの操作です。「お店に到着しました」を選択すると、注文一覧が表示されます。

 受け取った商品を確認したら、チェックボタンを押していきます。確認として店員の方が注文を読み上げてくれたのですが、こちらの画面には表示されていないトッピングの内容などを読み上げてしまい、それは確認できず、お互いに少し焦りました。2注文あったので間違いがあったらいけないので、店員の方が梱包用の箱に注文番号を書いてくれたので、事なきを得ました。

 注文された品物は、水分が少なく、偏りもしにくいような、配達しやすい形状のものでした。イベント会場の「10回配達ベテランさん」から「スープとかこぼれるからめっちゃ怖い。坂道とか通りたくないもん。アイスも溶けないかどうかすごく気になった」という苦労話を聞かされて、かなりびびってたのですが、スープ系が無くて安心しました。

 チェックを押して次の画面で配達開始(START DELIVERY)ブロックをスライドさせると、配達開始となります。この時点から、お客様側のUberEATSアプリに、配達員の現在位置が表示されます。Uberタクシーを利用したことがある人ならわかると思います。

 そんなふうにお客様側に現在地がリアルタイムで表示されているとなると「見られているから、急いで届けなきゃ!」という気持ちになります。自転車をこいでいるときも「この移動も見られているのかなー」と無駄に想像したりしました。

 お店を出ようとするときに、UberEATSの配達員の方と入れ違いになりました。ここで、「なるほど、注文が殺到しても、従来の雇用型配達員では対応できなかったりするが、配達員を集中させることで厨房の能力全開で宅配できちゃうんだな」という店側のメリットを実感しました。店舗側の支払いは従量制です。

 初回から2件いっぺんに配達するミッションだったのですが、なんと1件目が郵便番号と名前しか表示されていません。地図は表示されていて目的地のピンは立っているので、気になりつつもまずはピンに向かうことにしました。

 ピンの近くまで来て、もう一度落ち着いてアプリを操作します。ですが、やはり住所欄は空同然の表示です。注文者にメッセージ(SMS)か電話で連絡するボタンがあるので、電話ボタンを押してみますが、電話アプリも立ち上がらず、何も反応しません。メッセージの方を押すと、宛先が空の状態でメッセージアプリが立ち上がってしまいます。

 これはサポート案件だと思い、サポート電話番号にかけてみますが、話し中になってしまいました。

 そうこうしているうちに、「X階まで来てください」というSMSが届きました。察するに、注文者側のアプリには僕の現在地が表示されていて、近くまで来ているのはわかっているのになかなか来ないので、ラストワンマイルで迷っているのだと思ったのでしょう。

 送り主は1件目か2件目のどちらの方かはわからなかったのですが、とりあえず2件目に表示されている住所がその階数と一致したので、最悪2件目の配達を先にしてしまおう、と思い、ビルに入ります。

 ビルに入ろうとしたときに、サポートから折り返しの電話がかかります。住所が表示されていない、電話もメッセージもできない、ということを伝えていると、注文者らしき方が声をかけて下さり、名前は表示されていたので確認したところ、住所表示のない1件目の注文の方で、ほっとしました。

 ということは2件目の配達先と同じだったということで、メッセージで到着を伝えると、ほどなくして引き取りに来て下さり、ヒヤヒヤしながら初配達を終えることができました。

 ビルを出ると、僕以外にもUberEATSのバッグを抱えた配達員の方がいました。さすがローンチ日のお昼どきです。挨拶すると、ビルの場所がわからないらしく、そこのビルですよ、と伝えました。配達員同士のちょっとした情報交換ですが、なんかいいなあ、と、素朴に思いました。

この現場コミュニケーションの前にも、イベント会場で配達員同士でいろいろ話していて、単純に楽しいなあ、と思いました。配達員のFacebookグループコミュニティとか、誰かつくらないかなあ。

 UberEATSでは注文者とレストランが配達員を評価することができます。この評価は今後の配達優先度やインセンティブに影響するので、かなり重要な指標となります。万が一低い評価がつけられたら……と思うと、自然にしっかりとした対応をしなくては、という思いになります。

 配達員は、清潔感のある服装で、挨拶をしっかりし、声もはっきりと出さなければなりません。当たり前のことですが、明確な評価機能がついていると、いわゆる時給アルバイトしてた頃の心構えとはかけ離れた感覚でした。まあ報酬自体が時給ではないですしね。

 ただ評価を気にするあまり、「急いで配達してやろう」という気持ちがはやり、安全に徹した走行ができない気がしました。早く届けることは正義ですが、無事故で確実に届けるほうが優先すべきです。でも明確な評価や配達時間の正確な記録というゲーム的感覚が、多少なりともそれを妨げるだろうなあ、と思いました。

 事前説明会で、Uberの中の人が「効率よく配達する方法」のひとつとして、「人気レストランの近くで待機する」と言っていました。これは、配達員の選ばれ方のアルゴリズムのひとつとして、「配達元レストランの近くで待機している」ことが影響するそうです。

 となると、人気レストランには配達員が集まってしまい、駅前の乗車待ちタクシー状態になりそうだなあ、と思いました。そこにUberEATSのロゴが入ったバッグが目について、人気レストランだからお客さんも多くて宣伝になって、そのレストランからの宅配も増えるという、なにこのポジティブスパイラル。

 配達系の仕事につくと、道に詳しくなります。UberEATSの配達員も同じです。そして、UberEATSは特定の店舗ではなく、待ち受け中の位置情報に近い店舗からの配達が優先されます。

 配達後に元の場所に戻る必要はありません。なので、最初は渋谷で待ち受けていて、渋谷の店舗から配達先が恵比寿で、配達終了後に来た注文が恵比寿の店舗で、配達先が目黒で……と、配達エリアがどんどん移動していくこともありえます。

 たとえば土日にUberEATSをまる1日やれば、それだけで渋谷区港区にかなり詳しくなるのでは、と思いました。

 UberEATSは利用者側としても興味があったので、1500円クーポンコードを利用して注文しました。注文先は僕自身が配達したお店にしました。

 注文側では、注文後に到着予定時間が表示されるのですが、到着予定時間近くになっても「ただいまご用意しております」から進まず、なかなか配達員の位置情報を確認できません。

 そうこうしているうちになんと配達員さんが到着してしまいました。なぜ配達中にならなかったのか気になったので、同じ配達員としてことわった上で配達員さん側のアプリ画面を確認してみると、配達の開始操作をしていませんでした。練習なしだと、まあ、仕方ないですね。僕も初めてのときはおっかなびっくりで操作しましたしね。

意外にもクラウドソーシングビジネスと競合する

 たまたま知ったのですが、あるクラウドソーシングビジネスを手がける企業の方々の多くが、UberEATSを一斉に利用したそうです。それではたと、クラウドソーシングビジネスとUberEATSは競合であると気づきました。

 というのも、仕事を受ける側になってみると、「自由な時間にできる仕事比較」としては、クラウドソーシングのお仕事を選ぶか、UberEATSの配達員を選ぶかは、結構、天秤にかけちゃう気がします。

 UberEATSの報酬はスムーズに配達すると時給換算で2000円くらいは行ける感じで、荷物を担いで自転車に乗れるスキルがあればできちゃうので、クラウドソーシングにある誰でもできる系仕事よりよっぽど良い報酬が得られます。

 終電後にどうするかという点において、深夜タクシーの競合は漫画喫茶だ、という有名な話がありますが、UberEATSというシェアリングエコノミーと、クラウドソーシングも、ちょっと意外な競合だな、と思いました。

 時給はどれぐらいになるのでしょうか。結論としては「後々、最低保証なしで時給2000円くらい行ける時間もあるようになるのでは」と思いました。

 というのも、しばらくはローンチキャンペーン期間として1500円クーポンでの初見利用者が多く、配達料もかからず、気にせずに少額注文できてしまうので、いまいまは1注文あたり600円の報酬などになってしまいます。1時間にスムーズに宅配できて2件くらいなので、だいぶ厳しいですね。

 このキャンペーン期間が落ち着いて、配達料もかかるようになり、リピーター利用が安定すると、1注文の金額が上がり、時給換算も上がるのではないでしょうか。なお報酬は注文額に比例します。

 ただ、配達員が増えすぎて注文が回ってこないことも考えられるので、そこは読めないところですね。まあ、それもそれで調整されて、皆が「これくらいなら続けよう」という時給に落ち着くのでは、と思います。

 ちなみにローンチから2日間の29、30日には、原付は2600円、自転車は2100円の最低保証時給がつきました。これからも雨の日などの配達員が減ってしまう場合や、クリスマス時期などに、最低保証時給のインセンティブが発生しそうです。

 身元確認は、日本人か外国人かによって提出する書類が違います。僕は運転免許証をアプリからアップロードし、3日ほどで承認されました。

Amazon、米テキサスで大型の風力発電所「Amazon Wind Farm Texas」を建設

米Amazonが米テキサス州西部に同社最大となる253MWの風力発電所を建設することを発表した。

この風力発電所「Amazon Wind Farm Texas」は2017年に稼働予定で、100台以上のタービンが設置される。各タービンのローターの直径は「Boeing 747」の翼長の2倍ほど。Amazon Wind Farm Texasは1年間に100万メガワット時の電力を発電する。米国の約9万世帯の電力をまかなえる量だという。

投資家などの圧力から、ICT大手企業の再生可能エネルギーへの投資が加速している。Appleは2015年に使用するエネルギーの93%が再生可能エネルギーによるものだと主張。データセンターに関しては再生可能エネルギーの利用率が100%に達しているという。AWEA(米風力エネルギー協会)の調査でも2015年に売電された風力エネルギーの購入者の上位にGoogleやAmazonなどが入っている。

「トクホ」の成分含有量が表示よりも少なかった商品に対し許可取り消し、ほかの製品についても再調査へ

9月23日、日本サプリメントが販売する「ペプチド茶」などの6商品について、特定保健用食品(トクホ)の許可を取り消すと消費者庁が発表した。効果があるとされていた成分の含有量が表示よりも少ない、もしくは含まれていなかったため。トクホの許可取り消しは初という。

外部からの指摘で明らかになり、同社が自主的に消費者庁に報告していたもの。これを受けて、消費者庁はトクホの許可が与えられている1270製品すべてについて、成分調査をやり直すようメーカーに指示を出した(朝日新聞)。また、消費者庁による「抜き打ち検査」もスタートするようだ。

デフレ脱却、黄信号か 東京都区部の物価下落

 政府と日銀が目指すデフレ脱却に黄信号がともり始めた。総務省が30日発表した消費者物価指数(CPI)によると、8月の生鮮食品を除く総合指数は前年同月比0.5%の下落で、6カ月連続で前年同月を下回った。

 原油安による電気代やガソリン代の下落が物価全体を押し下げる構造は従来と変わらず、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は0.2%の上昇だった。だが上がり幅は13年10月(0.3%上昇)以来で最小。市場関係者は、先行指標として公表される東京都区部の9月の動向に注目している。

 総務省は東京都区部のCPIを、9月中旬時点の速報値として公表する。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は9月、0.1%下落した。前年同月を下回るのは2年11カ月ぶりだ。

 品目別に見ると、通信が2.8%下落した。特にスマートフォン(スマホ)を含む携帯電話機が8.3%と大きく下がった。折しも9月中旬には米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」の新機種が発売されたばかり。他のメーカーも新製品を投入する時期だが「性能が向上しても価格は横ばい、または値下がりしている」(総務省)。

 総務省は今春、携帯電話各社に端末を過剰に値引きする「実質0円」販売をやめるよう要請したが、販売各社は指針に触れない、独自の割引手法を思案しているとみられる。テレビも21%下落と大きく下がっている。

 都区部の通信分野の値下がりは、9月の全国の動向に影響する。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「物価の実力はゼロに近づいていく」とみる。日銀は独自に、生鮮食品・エネルギーを除くCPIを公表し、加工食品や菓子の値上げ効果を反映している。だが宮前氏は「円高による食品の輸入価格押し下げの影響はこれから表れる。日銀版コアも上昇期待は小さい」と指摘する。

「平成」が変わるとき、どのような経済効果があるのか

天皇陛下は先日「ビデオメッセージ」で現在のお務めに対する「お気持ち」を表明されました。もし天皇陛下の生前退位が実現した場合には、年号が変わることになるでしょう。年号が変わると、どのような経済効果が考えられ、どういった銘柄に注目が集まるのでしょうか?

天皇陛下の生前退位報道で日経平均先物が急騰

「天皇陛下、生前退位のご意志」とNHKがスクープしたのが713日でした。夕方655分過ぎにテレビスーパーによる速報を打ち、直後の7時のニュースでトップニュースとして詳しく報道しました。

報道後の716分、シカゴ日経平均先物(シカゴ・マーカンタイル取引所で取引されている日経平均の先物。シカゴ日経平均先物が安いか高いかで、その日の日経平均の方向性をつかむ事ができるとされています)は16350円から16480円程度まで一時急騰しました。

ただ、1分後には完全に元のレベルに戻り、証券用語で言う「往って来い(いってこい)」となりました。これは、ニュースなどのヘッドラインで自動売買が発動するように仕掛けているアルゴリズムが、どこかのニュースのヘッドラインの「天皇」「退位」等のキーワードに誤反応して作動したのではないかという見方がされています。

実際のところは判りませんが、天皇陛下の退位は、元号が変わり印刷物等で特需が発生するほか、新しい元号をお祝いするムードが高まるため株式市場では買い材料と見られています。

実際に昭和から平成に変更されたときの状況を振り返ってみましょう。

昭和天皇陛下崩御では株式市場は急騰

昭和天皇崩御は198917日土曜日の早朝でした。

翌営業日の19日月曜日の日経平均は、天皇陛下崩御の自粛明け後の経済波及効果を期待して、469円高の30678円と急騰、さらに翌10日も328円高、11137円高、12日変わらず、13155円高と1週間の上げ幅は1088円高、率にして3.6%も上げました。

天皇陛下のニュースがこれだけ市場に影響を与えることを考えると、ヘッジファンド(銀行や年金基金などの機関投資家や富裕層が投資する金融商品。とても複雑な仕組みで運用しており、どんな状況でもとにかく利益を出すことを目指している)が、「天皇」「退位」というキーワードに対して自動的に買い注文ど出すよう仕掛けていても違和感はないことがわかっていただけるのではないかと思います。

昭和天皇崩御の記者会見から2日間、テレビCMは自粛となりました。歌番組、ドラマ、クイズ番組などのエンターテイメント系の番組はすべて放送中止となり東日本大震災後と同じような状況でした。

「昭和」が終わって、売れたもの

こうした自粛ムードが影響し、レンタル・ビデオ店はどこも大繁盛。普段の45倍の貸し出しだったようです。

株式市場の祝賀ムードを牽引したのは、元号変更による特需が見込まれる印刷、紙パルプ、インクなどの元号変更関連銘柄でした。

たとえば、今回のNHK報道翌日に大きく買われた銘柄では、オフセット印刷用写真製版大手の光陽社<7946>の25.0%高や光村印刷<79168.0%高などの印刷株が目立ちました。

これは、両社が1989年から1990年の平成の元号変更時に大相場となり、光陽社は1990年に4135円、光村印刷は3050円という歴史的な高値をつけたことからの連想で買われたのでしょう。

1989年から1990年はバブルのピークでもあり、この2銘柄に限らず、多くの銘柄が同時期に歴史的な高値を付けているとも言えているのですが……

■NHKスクープ後に特需期待で印刷株急騰

今回もNHKがスクープした翌営業日である714日に買われたのはこういった銘柄でした。

光陽社、光村印刷以外でも、カワセコンピュータサプライ<78518.9%高、野崎印刷紙業<79195.6%高、図書印刷<79134.9%高、大日本印刷<79124.4%高、凸版<79112%高などの印刷関連会社が目立ちました。インクでは、DIC4631>が2.4%高としっかりでした。

それ以降でも、元号変更関連と思われ動いた銘柄には、印刷機械関連の東京機械製作所<6335>、日本写真印刷<7915>、共同印刷<7914>などもありました。

いつでも一歩先を考える習慣を

株式市場ではこのように過去のイベントで動いた銘柄を覚えておいたり、

あらたなイベント時に動く銘柄をあらかじめ想定しておいたりと、経験や学習、連想で収益チャンスは広がります。

いつでも一歩先を考える習慣を身につけるようにしたいものですね。

 

人民元、1日から主要通貨 国際経済に責任

 国際通貨基金(IMF)は10月1日付で、加盟国に配る特別引き出し権(SDR)の新たな構成通貨に中国の通貨、人民元を加える。SDRの現在の構成通貨はドル、ユーロ、円、英ポンドの4通貨。中国経済の急成長を背景に、人民元も国際主要通貨の「お墨付き」を得ることになる。

 「我々はSDRの共同研究を拡大していく」。中国の習近平国家主席は中国・杭州で4〜5日にあった主要20カ国・地域(G20)首脳会議の閉幕式で、SDRなど国際通貨体制の強化に向け中国が主体的な役割を果たしていく決意を示した。

 中国はIMFなどでの発言権が米国など先進国に集中し、中国の影響力が経済規模に比べて限定したものにとどまっている状況に不満を持ってきた。「責任ある大国」を掲げる中国にとって人民元のSDR採用は、国際経済における中国の存在感を確立する「悲願」と言える。

 SDRの構成比率は、貿易や金融取引でどの程度、その通貨が使用されているかを基に算出される。人民元の採用を決めた昨年11月末のIMFの発表によると、人民元の構成比率は、円(8.33%)や英ポンド(8.09%)を上回る10.92%となり、ドル(41.73%)、ユーロ(30.93%)に次ぐ3位となる見込みだ。

 国際銀行間通信協会(SWIFT)の今年7月のデータでは、人民元を取り扱う金融機関は世界で1800を超え、1年前に比べ12%増えた。中国は通貨危機の際などに相手国に人民元を融通する通貨スワップを30カ国以上と締結、アジアやアフリカの新興国には人民元建てで資金援助するなど「人民元の国際化を推進してきた」(中国人民銀行)。

 しかし、人民元には「国際通貨」としての課題も山積している。SDRの構成通貨採用は「自由に取引できる」ことが条件になる。しかし、人民元は人民銀が毎朝発表する「基準値」の一定の範囲内でしか取引が認められていない。中国の金融機関が人民元をドルなど外貨に換金する際には当局の厳しいチェックを受ける必要がある。市場の自由な取引を許せば、人民元相場の急激な変動や、中国からの資本流出が起きかねない、と当局が懸念しているためだ。

 こうした中、IMFや米国が人民元のSDR採用を認めた背景には、独自の金融秩序の確立を狙う中国を、既存の国際金融システムに引き込み、為替、金融改革を促す狙いがある。

 昨年末まで米大統領副補佐官(国際経済担当)を務めたキャロライン・アトキンソン氏は23日にワシントンでの討論会で「人民元のSDR採用は、中国が国際金融システムに対する責任を受け入れるということだ」と指摘。「中国は市場開放や為替制度の透明化を進める義務を負った」と強調した。

 【ことば】SDR

 Special Drawing Rights(特別引き出し権)の略で、国際通貨基金(IMF)加盟国が外貨不足に陥った際、外貨を引き出せる権利のこと。加盟国にはIMFへの出資比率に応じてSDRが割り当てられており、外貨が不足した時は配分されたSDRを他の加盟国に渡し、米ドルなどを融通してもらう。現在の構成通貨は米ドルのほか、欧州のユーロ、日本円、英ポンドの計4通貨。10月からは中国の人民元が加わり5通貨となる。構成通貨となるためには(1)貿易額が多い(2)自由に取引できる−−の二つの条件を満たす必要があり、SDR採用は、世界で広く使用されている国際主要通貨として、世界的な信認を得たことを意味する。


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中銀は万能でない、知見共有が重要=黒田日銀総裁

黒田東彦日銀総裁は30日、日銀とカナダ銀行との共催ワークショップであいさつし、中央銀行が万能でないのは事実とし、さまざまな課題に直面する各国中銀が知見を共有することが重要と語った。

総裁は21日の金融政策決定会合で、3年半にわたる大規模緩和の効果と影響を分析した「総括的な検証」を踏まえ、新たな枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和(QQE)」を導入したことに言及。

「多くの中央銀行が各々に与えられた責務を果たすために、様々な課題に直面している」と述べるとともに、「中央銀行が万能ではないということもまた事実だ」とし、「中銀が互いの知恵と見識を持ち寄り、交換する機会を持つことを重視している」と語った。

そのうえで、カナダ人作家のルーシー・モード・モンゴメリの小説「赤毛のアン」の中で、主人公の少女アンが「これから発見することがたくさんあるって、すてきだと思わない?もし何もかも知っていることばかりだったら、半分もおもしろくないわ」と話す場面を引用。

「日々、新しい知恵や解決策、政策ツールを見つけ出そうと多大な努力を続けている全ての中央銀行職員とエコノミストにとって大きな励ましとして心に響く」と課題克服に苦悩する中銀マンの心情を表現した。

2016年9月27日火曜日

クライアントを仮想化しワークスタイル変革を実施した企業のROIは453.1%と高水準

 調査会社のIDC Japan2016411日、クライアント仮想化市場に関する調査結果を発表した。それによると、2012年以降の過去5年間におけるクライアント仮想化のROI400%を超え、高い投資対効果が実証されているという。

 同社は、今回の調査において、クライアント仮想化導入企業(全体)と、その中でもワークスタイル変革を実施している企業とのROIを比較分析。それによると、クライアント仮想化導入企業全体のROI421.2%、その中でワークスタイル変革を実施している企業のROI453.2%となり、ワークスタイル変革実施企業のROIがより高い結果となった。同社は、投資額、ベネフィットについても、同様の傾向が見られると指摘。ワークスタイル変革実施企業では、全社目標が設定されているケースが多く、具体的な効果が「見える化」されやすいことが背景にあると分析した。

 同社は、ワークスタイル変革に取り組んでいる企業のクライアント仮想化における初期投資額、年次投資額、ベネフィットについても調査。それによると、それぞれエンドユーザー1人当たり初期投資額が225640円、年次投資額が57448円、ベネフィットが837447円だった(1)。

図●〈参考資料〉クライアント仮想化製品のROIデータ:ワークスタイル変革実施企業

出所:IDC Japan

 一方、クライアント仮想化製品の従業員普及率(クライアント仮想化製品を使用している従業員の割合)は41.7%で、エンドユーザーの1日当たりの平均使用時間は約3.68時間(18時間勤務と想定した場合)に達した。

 同社では、「ITの有用性を測定する定量的指標としてROIは有効な指標の一つである。今後、適正かつ健全なIT投資/活用が経営戦略上不可欠であり、ROI分析によって、クライアント仮想化がエンドポイントにおける重要なIT施策の一つと捉えられる」と指摘している。

 

2016年9月26日月曜日

Deep Learningが人工知能の裾野を拡大。ビジネス、社会、エンジニアはどう変わるのか

ビッグデータ/IoTFinTechトレンドの中、再び注目されている人工知能

 近年、激しい市場環境変化の中で、ビジネス展開の「スピード」が差別化の一大要件となっている。また企業・個人を問わずニーズが多様化している今、従来のように「顕在ニーズを見定めて、時間をかけて製品・サービスを開発・リリースするやり方」だけではニーズに対応することも難しくなった。FinTechトレンドで顕著なように、大量データから潜在・顕在ニーズを掘り起こし、"これまで全く存在しなかったようなイノベーティブな製品・サービス"を迅速にリリースするアプローチの重要性は年々増している。

 一方で、2011年ごろからのビッグデータトレンドも本格化し、分析テクノロジも進展した。これに伴い、現実世界のあらゆるデータを分析し、製造機器の故障予測、自動車の自動運転など、"大量データから得た知見を現実世界の有益なアクションに変える"IoTの取り組みも多様な分野で進んでいる。

 こうした潮流と並行して、いま再び社会一般の大きな注目を集めているのが「人工知能」だ。周知の通り、人工知能研究は1950年代に第一次ブーム、1980年代に第二次ブームを迎え、現在は第三次ブームといわれている。

 特に2011年、質疑応答システムを搭載したIBMWatson」が、米国のクイズ番組「Jeopardy」で、人間のクイズチャンピオンに勝利したことがブームの火付け役となった。1956年、ジョン・マッカーシー教授が「人工知能」という言葉を作った当時から概念は存在してきたが、具体的にどのようなことができるのか、テクノロジの進化が驚きと分かりやすさをもって、世間一般にその可能性を広く示してくれたわけだ。

今議論されている「人工知能」とは

 以来、人工知能は各種メディアで盛んに取り上げられるようになった。だが、ここで気を付けるべきは、「コンピュータが意識を持ち、人を凌駕してしまう」といった、ある種のホラーストーリーも同時に喧伝されるようになったことだろう。

 人工知能とは、一言で言えば「人間のような知能を持ち、人と同様のことができる」ものだ。だが、人間同様の知能や意識を持つ「強いAI」と、人間の知能の一部を代替させる「弱いAI」の2種類がある。これはカリフォルニア大学バークリー校の哲学者、ジョン・サール氏によって生み出された言葉だが、昨今の人工知能ブームは、この分類が曖昧なまま議論されている傾向も強い。言うまでもなく、IBM Watsonも含めていま注目を集め、実用化に向けた研究が進んできたのは「弱いAI」だ。具体的には、推論、探索、学習、自然言語処理といった各種技術を使って、人の能力を補佐するものという位置付けとなる。

 ではなぜ二度のブームを経て、今またブームが訪れているのか。その背景にあるのは、前述した大量データの蓄積・リアルタイム処理を可能にしたビッグデータ/クラウド関連テクノロジの発展と、「学習」技術の進化だ。

 中でも、さまざまなデータの特徴を学習することでパターンを認識し、そのパターンを基に新たなデータに対して将来を予測する「機械学習」と、人の脳内の神経回路網と処理プロセスを模倣した「ニューラルネットワーク」と呼ぶ技術を多層的に組み合わせることで、高精度な画像認識、音声認識などを実現する「Deep Learning」がトレンドをけん引している。

 特に注目を集めているのが、スピードや精度面での"機械学習のボトルネック"を解消したDeep Learningの仕組みだ。

 機械学習では、まず人間がデータに見られる「特徴的な量」(例えば画像データなら面積や長さなどの値)を抽出し、それを機械に学習させることで、さまざまなデータに対して将来を予測する仕組みを採る。一方、Deep Learningでは、そうした「特徴量の抽出」もコンピュータが自動的に行う。

 人手による特徴量の抽出には高度な専門スキルが必要な上、時間もかかってしまう。また人手による以上、抽出は属人化し、抽出の仕方によって分析精度が左右されてしまうという課題があった。だがこれを自動的に行うことによって、スキルやスピード・精度といった問題が大幅に解消され、一般企業におけるビジネス活用への可能性が大きく開けてきたわけだ。

参考リンク:いまさら聞けないDeep Learning超入門(1(@IT

 とりわけ2012年、画像セットを用いた画像識別コンペティション「ImageNet」でトロント大学のジェフリー・ヒントン教授がDeep Learningを使って2位を大きく引き離す精度を記録したことが世界中の関心を集める大きなきっかけとなった。以降、グーグル、フェイスブックなど、多くの企業がその可能性に注目し、実際に成果を上げ始めている。

参考リンク:グーグルの人工知能を利用できるWebインターフェースが登場(@IT

人工知能はビジネス、社会をどう変えるのか?

 そして現在、われわれに身近なところでも人工知能の活用が始まりつつある。自動運転技術はその代表的なものだろう。自動車に限らず「機器の制御」に人工知能を使うことで、製造業の可能性は大きく広がると目されている。店舗やモールで人流を分析し、その予測結果を商品の仕入れ・配置などに生かすことで収益を伸ばすなど、流通・小売りにおいてもオムニチャネル戦略の一環として、すでに複数社で取り組みが始まっている。その他、コールセンター業務を自動化する「バーチャルオペレータ」、農作物の色などから生育状況を判断し、最適な量の肥料をドローンで自動的に散布する「精密農業」などもよく話題に上るところだろう。

 特に冒頭で述べたIoTFinTechトレンドにおいては、ニーズが多様化している中で、スピーディにイノベーティブな製品・サービスを開発する、短いスパンでトライ&エラーを繰り返し製品・サービスを改善する、といった取り組みが求められる。人工知能は、このようないわば"何が当たるか分からない"中で、効率的に"当たる"製品・サービスを開発する上でも、大きな力を発揮することだろう。

 各種調査もこうした期待を裏付けている。例えば、EY総合研究所の調べによると、人工知能関連の国内市場規模は、製造、建設、卸・小売り、金融、運輸など各業種で投資が進み、2020年には23638億円、2030年には869620億円になると予測されている。

参考リンク:人工知能が経営にもたらす「創造」と「破壊」EY総合研究所)

 ガートナー ジャパンが20164月に発表した「日本における『人工知能』に関する意識調査」も目を引く。調査によると「仕事をサポートする」「仕事を奪う」など、「10年以内に人工知能による仕事への何らかの影響がある」と54.6%が回答。「人工知能に関するスキル獲得の意向」については、41.3%が「獲得したい」と答えたという。同社では、これを「多くの人が人工知能による将来への影響を自分たちの問題として捉え始めている」と分析するが、事実、人工知能によるビジネスインパクトは、社会構造、業界構造も変え得るほどの力と可能性を秘めている。

参考リンク:日本における「人工知能」に関する意識調査(ガートナー ジャパン)

 では具体的に、人工知能はわれわれの毎日をどう変えていくのだろうか?——本特集「人工知能入門」では、"ビジネスにおける人工知能の可能性"を見据え、活用事例や専門家へのインタビューなどを通じて、人工知能の今とこれからを明らかにする。また、エンタープライズITに従事するエンジニアにはこれから何が求められるのか、"人工知能時代"のエンジニアの役割についても考えていく。ぜひ参考にしてほしい。

 

AIは人間のキャリアを破壊するのか

人口減少、少子高齢化、低労働生産性……日本が抱える問題たち

 日本は現在超少子高齢化が進み、労働人口の急速な減少が予測されている。内閣府は2016825日に公表した「地域の経済2016−人口減少問題の克服−」で、「2030年度は、東京都や愛知県、大阪府などをのぞく38道府県で供給より需要が上回り、労働力不足に陥る」と予測している。

 労働人口の減少による労働力不足に加えて、日本の労働生産性の低さも大きな課題だ。日本生産性本部の2014年の調査によると、「日本の労働生産性は72994ドル」「OECD加盟34カ国の中で第21位」「主要先進7カ国で最も低い水準」となっている。

人工知能(AI)は、人間のキャリアを破壊するのか?

 人口減少や少子高齢化による雇用者の減少に対応する取り組みを政府は強化している。経済産業省は2016828日、「産業構造審議会総会(第19回)」を開催し、平成29年度の「『新産業構造ビジョン』の今後の検討事項(案)」などの資料を公開した。

 本検討事項は、人口減少や少子高齢化による雇用者の減少、国内市場の縮小が進む中で、第4次産業革命(IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボット)によるパラダイムシフトを進めていくことを目指している。従来対応できなかった「社会的・構造的課題=顧客の真のニーズ」に対応し、「革新的サービスの創出」と「生産性向上」で中間層の仕事を充実させていこうというアプローチだ。

 AIやロボットなどの活用は、「新しいビジネスの創造や生産性を高めるといったメリットはあるものの、人間の雇用が奪われてしまうのではないか」というネガティブな要素が、これまで多く指摘されてきた。これは、メディアなどで、人間同様の知能や意識を持つ、いわゆる「強いAIばかりをクローズアップすることが多かったためだろう。しかし現在、現実的に活用が進んでいるのは、人間の知能の一部を代替させるいわゆる「弱いAIの方だ。

参考記事

DeepLearningが人工知能の裾野を拡大。ビジネス、社会、エンジニアはどう変わるのか?


 現実的に活用が進んでいくのは「弱いAI」の方なので、今後は、「人間は、AIを活用してワークスタイルそのものを変えていき、仕事を充実させて労働生産性や自身のキャリアにおける市場価値を高めていこう」といった前向きな考えを持つ人が増えていくだろう。

 なお、調査会社のガートナーは、20157月にAIやスマートマシンによる人間のキャリアの変化について、次のような予測を発表している。

 
AIやスマートマシンによる人間のキャリアの変化予測(出展:Your Job Is About To Get A Whole Lot Better - Smarter With Gartner

 これは、2020年までに、AIを実装した自律的に行動するロボットや自動運転車などを指す『スマートマシン』によって破壊されるキャリアパスは『17%』、パーソナル向けのスマートマシンによって良い影響を受けるキャリアパスは『12%』、エンタープライズ向けのスマートマシンによって良い影響を受けるキャリアパスは『22%』、影響を受けないキャリアパスは「49%」という予測だ。つまり、AIによって破壊されるキャリアパスよりも、良い影響を受けるキャリアパスの方が多いということだ。

AIの導入により、タスクが増える職種とは?

 良いキャリアパスを築いていくためには、人間にしかできないことに集中する、つまり、AIなどに業務タスクの一部を割り振り、人間は人間にしかできないコア業務に集中し、生産性を上げていくアプローチが重要だ。

 ジャストシステムが2016823日に発表した「職業別の仕事と人工知能に関する実態調査」結果では、「AIに仕事の一部を頼みたいか」の問いに対して「Yes」の解答が最も多かった職種は「企画・マーケティング(35.7%)」、続いて「医師・看護師(33.3%)」だった。

 
人工知能(AI)に仕事の一部を頼みたいか(出展:「ジャストシステム 職業別の仕事と人工知能に関する実態調査 2016.8

 マーケティング分野は、デジタルマーケティングやマーケティングオートメーションなどのキーワードに代表されるように、データを活用したマーケティングの自動化や効率化の取り組みが進んでいる。これからはさらにAIを活用して、企画・マーケティング業務の精度や効率性を高め、人間は「事業の判断」や「戦略策定」など、人間にしかできない業務にシフトしていくだろう。

 AIと雇用の関わり方について、もう少し掘り下げてみたい。

 総務省は、2016729日に公表した「情報通信に関する現状報告(平成28年版情報通信白書)」の中で、AIの普及による人間の仕事のタスク量の変化と雇用への影響を整理している。

 
人工知能(AI)導入で想定される雇用への影響(出展:「総務省 情報通信白書2016

 本白書では、AIの業務効率・生産性の向上効果により、機械化の可能性が高い職種のタスク量が減少していくと指摘している。その一方で、AIの導入や利用拡大に伴うAIを導入・普及させるために必要な仕事」と「AIを活用した新しい仕事」の2種類は、タスク量の増加が進んでいくとしている。

 タスク量の増加に対する雇用の対策は、「雇用の一部代替」「雇用の補完」「産業競争力への直結による雇用の維持・拡大」「女性・高齢者などの就労環境の改善」の5つだ。

 「雇用の一部代替」は、人間がする仕事のうち、AI活用と比べて同じ生産性でコストが割高となる一部のタスクのみがAIに取って代わられる。

 「雇用の補完」は、AIと一緒に働く人間やAIで軽減したタスク量であれば働ける人間によって補完される。

 つまり業務の生産性を上げていくためには、中長期的に「AIの活用を前提としたワークスタイルの在り方」を考え、行動することが必要だということだ。

IT業界は需要増——就業構造の変化による雇用の流動化

 AIによる雇用の流動化も進んでいくと見られる。経済産業省は、2016427日に発表した「新産業構造ビジョン」の中間整理で、第4次産業革命の進展による産業構造や就業構造の劇的な変化を予測している。

 就業構造の変化とは、「AIやロボットなどを作り、新たなビジネスのトレンドを創出する仕事」を国内外から集積し、「AIやロボットなどを使って共に働く仕事」を拡大させるといった変革だ。

 
4次産業革命による就業構造変革の姿(イメージ)(出展:「経済産業省 「新産業構造ビジョン 中間整理」 2016.4

 「新産業構造ビジョン」では、就業構造を現状放置した場合、2015年度と2030年度で比較した職業別の従業者数の変化(伸び率)は、「経営戦略策定担当」「研究開発者」などの上流工程で136万人減少すると予測している。

 逆に、「新産業構造ビジョン」による変革を進めた場合は、「経営・商品企画」「マーケティング」「RD」など、新たなビジネスを担う中核人材が96万人増加すると予測している。

 IT業界は、製造業のIoT化やセキュリティ強化など産業全般でITへの需要が高まるため、現状放置だと3万人減少であるが、変革を進めた場合は約45万人増加すると予測している。

 一方、大衆飲食店の店員、コールセンターなどのサービス業(高代替確率)は、現状放置では23万人増加だが、変革した場合は減少していくと予測される。減少によって雇用を失った人たちは、新たな成長分野への雇用シフトが必要だ。

 まとめると、AIやロボットによる効率化や自動化により、経営やマーケティングなど、人間の判断や創造性が求められる業種への「雇用の流動化」が進んでいくことが予想される、ということだ。

AIやスマートマシン活用による明るい未来(予測)

 最後に、AIAIを実装したロボット自動運転車などの「スマートマシン」を活用したワークスタイルの変革について整理する。

 
ICTインテリジェント化の影響に関する展望(出展:総務省 「AIネットワーク化検討会議」2020年以降の産業別ロードマップ  2016.4

 グローバル化の面では、多言語を含む「対話支援サービス」が挙げられる。これにより、迅速な意思決定や海外とのコミュニケーション増加に伴うビジネスの機会が増えていくだろう。

 定型業務は、「バックオフィス業務の自動化」やAIによる「自動決済機能」「自分秘書代行」などで、業務の自動化や効率化を進めていくことが想定される。

 新しい事業や業務を始めるときにも、優秀な人材の採用や育成にコストや時間をかけることなく、AI活用で事業の早期立ち上げを実現するといったアプローチが想定される。

 マネジメント業務では、「第三者的で客観的な視点の助言」をAIに求めることで、意思決定のスピードを速め、事業の成功率を高められる可能性がある。

 また、商品開発や企画・マーケティング分野も、開発した商品の発売前に消費者の評価が得られる仕組みを作るなどのアプローチが考えられるだろう。

 自動運転車の活用もワークスタイルの変革につながると考えられる。

 例えば自動車通勤で毎日片道30分運転している人なら、自動運転車に置き換えることで、11時間仕事に充てられる時間が増える。月間で21時間、年間なら252時間の仕事時間の確保にもつながる。



 このように本稿では、AI活用によるワークスタイルの変革予想図を紹介してきたが、いかがだっただろうか。「AIは人間の労働を代替する」といたずらに不安がるのではなく、業務におけるタスクをAIと分担することで、AIは「自動化による労働生産性の向上や意思決定支援など、人間の業務を補完・拡張する」ものとして、ワークスタイルを変革するきっかけになることがお分かりいただけたかと思う。

 極端にいえば、AIを活用することで、(同じ業務量であれば)週休3日制が一般的になり、仕事重視からプライベート重視型のワークスタイルやライフスタイルに大きくシフトしていく可能性もあるのだ。

 現時点では、AIは十分に市場に普及しておらず、テクノロジー的に成熟していない部分もあり、セキュリティリスクなどさまざまな課題も山積しているのが現実だが、今後、AI関連のテクノロジーやサービスは普及していくと想定される。AIを業務に取り入れ、ワークスタイルを変革し、進化させていくことができるかが、これからのビジネスパーソンのキャリアパス形成で、重要な位置付けとなっていくだろう。

 

 

 

個人の「想い」が社会を変えていく

 今日と同じ明日がいつまでも続くとは限らない、仕事も大切だが家族のことももっと考えたい、など私たちは以前よりも「個」を大切にし、自分たちの働き方を見直すようになった。

 最近、@IT自分戦略研究所で取材した中だけでも、「島根にいながら、東京やベトナムのエンジニアとバーチャルプロジェクトチーム組んで開発」したり、「長野に移住して起業し、もともと在籍していた会社とのダブルワークを実現」したり、「岡山で暮らしながら、東京の顧客の受託開発したり」、さまざまな地域に移住し、さまざまな働き方を選択したエンジニアがいた。

 活躍の場所は国内にとどまらず、「ベトナムで起業し、現地のエンジニアを雇用してプロジェクトチームを作った元エヴァンジェリスト」や、「カンボジアでWeb開発者デビューを果たした文系出身エンジニア」もいる。

 変わったのは、働く場所だけではない。

 正社員"以外"の雇用形態を選択し、やりたいことやプライベートとの両立を果たしているエンジニアも増えてきた。同じく@IT自分戦略研究所で近年取材したり出会ったりしたエンジニアには、「半年単位でオンとオフを切り替え、スキー選手とエンジニアを両立する派遣エンジニア」や、「子育てを全て引き受け、ノー残業で働くパパエンジニア」、「副業と開発の両立を図るフリーランスエンジニア」などがいた。

 こうした「個」の動きに合わせて、さまざまな働き方を社員に提示する企業も増えてきた。

 日本ヒューレット・パッカードは、1日の就業の全部または一部を自宅で就業できる「フレックスワークプレイス制度」を導入し、日本アイ・ビー・エムは、通常の60%勤務を可能とする短時間勤務制度を設け、社員のプライベートの変化に伴って働き方を変えられるようにした。「副業推奨」「育自分休暇」など、サイボウズのさまざまな施策も興味深い。

もっと自由に、もっと柔軟に

 個人や企業の意識が変わり始めた今、ITは新しい働き方の実現を強力に支援してくれる。ネットワークやクラウドの進展はリモートワークスタイルの実現に大きく寄与した。では新しいIT技術、例えばIoTAIは、私たちの働き方をもっと自由に、もっと柔軟にしてくれるのだろうか。

 「特集:テクノロジーが支援する1億総ワークスタイル変革時代」は、ITの活用で今後ワークスタイルがどのように代わり、私たちにどのような変化がもたらされるのかを解説していく。お楽しみに。

 

2016年9月6日火曜日

福島第一原発の凍土壁が台風10号の影響で溶解、汚染水が流出

先日東日本を中心に大きな被害を引き起こした台風10号による大雨の影響で、東京電力福島第一原発の凍土壁が2カ所で溶けていたそうだ。
 
凍土壁は汚染水の海への流出を防ぐために設置されたが、完全には凍らない状況で運用が行われていた。今回大雨で大量の水が流れ込み、これによって凍土壁の2か所が溶け、汚染水が凍土壁外に流れ出ているという。東京電力は薬剤を用いて再凍結を促進する工事をするようだ。
 
雨程度で溶けるようでは、既にあちこちで言われているように、凍土壁は対策になっていないのかもしれない。