2017年12月26日火曜日

ビットコイン下げ止まらず、最高値から30%安水準−休日で売り先行

  仮想通貨で最大のビットコインはクリスマスの祝日にかけて続落した。2万ドルの大台を突破できなかったことを契機とした下落基調に歯止めを掛けられずにいる。先週は4日続落していた。

  ビットコインはニューヨーク時間25日午後4時8分(日本時間26日午前6時8分)時点で前週末比3.8%安の1万3703ドルとなった。ブルームバーグがまとめた価格に基づけば、これは過去最高値1万9511ドルを30%下回る水準。他の米市場はクリスマス休日でほとんどが休場。

  オンラインブローカー、イートロ(テルアビブ)のシニアマーケットアナリストのマティ・グリーンスパン氏は、最近の仮想通貨の上昇があまりにも急激だったため、投資家がクリスマスのホリデーシーズン入りで資金を引き揚げる傾向にあると説明した。

  ビットコインが週日に5日連続の下げとなったのは前回が9月で、その前は7月。これまでは数日続落の後、反発するケースが多かった。

  一方、イーサリアムは上昇し、前週末比約5%高の717ドル。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、マイク・マクグローン氏は24日公表のコメントで、ブロックチェーンをベースとした新生の仮想通貨は急速に主流のファイナンスに入りつつあるが、イーサリアムのような第二世代のデジタルコインの幾つかの方がビットコインよりも前途が明るいと指摘した。

2017年12月22日金曜日

ビットコインはバブル「遅かれ早かれはじける」

 インターネット上でやり取りする仮想通貨の代表格「ビットコイン」を巡り、取引所を運営するビットバンクの広末紀之社長と、京大の岩下直行教授が21日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、現状や先行きについて議論した。

 今年初めに10万円程度だった1ビットコインの価格が200万円前後まで急騰したことについて、広末氏は「業界関係者も驚きだ。新しい技術を受け入れられる若者や、資産運用(の対象)として年配の人が買っている」と話した。

 岩下氏は「株には理論価格があるが、ビットコインは基本的に(理論価格が)ゼロで、バブルと言える。あしたとは思っていないが、遅かれ早かれはじけるだろう」と述べた。

2017年12月20日水曜日

楽天とビックカメラが合弁会社、実店舗・設置サービス・配送・商品開発などで連携

楽天とビックカメラは合弁会社を設立し、2018年4月から家電分野を中心としたネット通販を始める。12月19日付で新会社設立などの基本合意書を締結した。

ビックカメラは現在、「楽天市場」に「ビックカメラ楽天市場店」を出店している。新会社は「ビックカメラ楽天市場店」の基盤を引き継ぎながら新たに「楽天ビック」として「楽天市場」に出店する。

楽天によると、今回の合弁設立を主軸とした協業の目的は、「価格競争力の強化」「配送関連サービスの充実」「OtoO関連サービスの充実」の3点があげられるという。

□ 価格競争力の強化

ビックカメラならではの競争力のある価格と幅広い品ぞろえに加え、独自商品の開発も検討。「楽天ビック」やビックカメラグループで販売する。

家電の設置といった役務サービスも展開する方針。楽天によると、「大型家電の設置を依頼したい」「店頭で実物を確認しながら専門スタッフにメンテナンスや使い方の相談をしたい」といった家電EC特有のニーズも高まっているという。

楽天とビックカメラのノウハウなどを融合し、スムーズな設置工事を依頼できるサイトを実現しするとしている。

□ 配送関連サービスの充実

配送面でも協業する。ビックカメラは現在、千葉県船橋市にネット通販向けの物流拠点を構えている。ビックカメラの物流インフラを活用し、当日配送などの展開を検討。物流面における協業深化も視野に入れ、物流・配送の効率化、付加価値の高いサービス提供を推進するとした。

□ OtoO関連サービスの充実

オンラインとオフラインの連動も強化する。「楽天ビック」のサイト上でビックカメラの実店舗における商品在庫の確認、「楽天ビック」で購入した商品をビックカメラの実店舗で受け取ることのできるサービスの提供もめざす。

ビックカメラの実店舗で「楽天スーパーポイントが貯まる・使える」ようにするなど、顧客満足度の向上につなげるとした。


■ ビックカメラのEC売上高は729億円

ビックカメラの2017年8月期連結業績におけるグループのEC売上高は、前期比5.3%増の729億円。EC化率は同0.3ポイント上昇して9.2%。

グループのEC売上高はビックカメラ、コジマ、ソフマップなどの合計。ブランド別の成長率はビックカメラが同12.6%増、コジマは同8.3%増だった。

ビックカメラグループはインターネット通販関連の中期計画として「オムニチャネル強化」「品揃えの拡充」「配送品質の向上」を掲げている。前期はグループのECシステムを統合したほか、物流拠点の再配置などを実施した。

家計の金融資産1845兆円、過去最高を更新 企業の現預金も最大

日銀が20日に発表した2017年7─9月期の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産残高は9月末時点で前年比4.7%増の1845兆円となり、過去最高を更新した。株高・円安を受けて株式などの時価評価額が上昇したほか、投資信託や保険に資金が流入している。企業が保有する現金・預金も259兆円で過去最高となった。

家計の金融資産が過去最高を更新するのは2四半期連続。保有の過半を占める現金・預金が943兆円と同2.8%増加したことに加え、前年と比較した株高・円安で保有資産の時価評価額が上昇したことも残高を押し上げた。

株式は同22.1%増の198兆円と2007年6月末以来の高水準。取引自体は売り越しとなったが、株価上昇による時価評価の上昇が大きく寄与した。投信は同16.3%増の104兆円、保険・年金・定型保証は同1.2%増の521兆円といずれも過去最高となった。投信や保険には新規資金も流入している。

仮想通貨「ライトコイン」の価格が急上昇している理由

アルトコインの代表格である「ライトコイン(Litecoin)」の価格が急騰している。CoinMarketCapによると、12月12日時点での価格は290.99ドルと、この1年で4000%も上昇した。多くの投資家は、ビットコインの高騰が影響しているのか、またバブルがいつか崩壊するのか疑問に思っている。

ビットコイン以外の仮想通貨を総称してアルトコインと呼ぶが、その先駆けであるライトコインはビットコインをベースにしており、元グーグルのエンジニアでコインベースのエンジニアリング責任者を務めたチャーリー・リーが、仮想通貨の分散投資を可能にするために開発した。ビットコインとの最大の違いは、ブロック生成時間(取引の承認時間)を10分から2.5分に短縮したことだ。

「このことはトレーダーにはあまり関係ないが、ハードウェアを使ってビットコインネットワークでマイニングを行っているマイナーは、ライトコインに乗り換えることができない。このため、大規模なマイニング業者が参入せず、非中央集権性が一層強化された。ライトコインはブロックサイズが大きく、コイン流通量も多いため、より安価で迅速に取引きを行うことができる」とインベストピアには記載されている。

Coindeskによると、ライトコインは取引時間が短いことで、より多くの取引量に対応することができるという。ビットコインがライトコインと同じスケールの取引きを行おうとしたら、コードのアップデートが必要になるという。

ライトコインは、ブロックサイズが大きい一方で、「孤立ブロック」が多くなるという。Coindeskには次のようにも記載されている。「ビットコインとライトコインのハッシュパワーが同じだった場合、ライトコインの方がブロック生成時間が短いため、理論上は二重支払い攻撃のリスクが低減される」

CBOE(シカゴ・オプション取引所)は12月10日、ビットコインの先物取引を開始した。この影響を受け、他の仮想通貨の価格も軒並み上昇した。今後もビットコインの価格が上昇を続ければ、ライトコインやイーサリアムも値上がりする可能性が高い。ライトコインは他の仮想通貨に比べて取引きスピードが速く、手数料も安い。また、知名度が比較的低いためか、論争の的になっておらず、投資家にとってはより良い選択肢かもしれない。

最近、チャーリー・リーによるビットコインの高騰に関するコメントが多くのメディアで取り上げられ、リーの知名度が向上したこともライトコインの価格上昇につながっているのかもしれない。

韓国の仮想通貨取引所ユービット、ハッキング攻撃受け破産申請へ

韓国の仮想通貨取引所ユービットは19日、取引所を閉鎖するとともに破産を申請すると発表した。同取引所は今年に入って2度目となるハッキング攻撃を受けたばかり。

韓国紙が16日に報じたところによると、ユービットが4月に被害に遭った1度目のハッキング攻撃について、韓国の情報機関は北朝鮮が関与したとみている。この攻撃では約4000ビットコインが盗まれた。

韓国の仮想通貨取引所ユービット、ハッキング攻撃受け破産申請へc REUTERS 韓国の仮想通貨取引所ユービット、ハッキング攻撃受け破産申請へ
ユービットはウェブサイト上で、現地時間19日午前4時35分にハッキング攻撃を受け、総資産の17%相当を失ったと発表。具体的な損失額については明らかにしていないが、全ての顧客の仮想通貨資産は評価額が75%に引き下げられると説明。取引は既に停止していると付け加えた。

韓国の仮想通貨市場では、取引所のビッサムがシェアの約7割を握っており、ユービットの取引所としての規模は比較的小さい。

2017年12月19日火曜日

中国Vivoが世界初「画面埋め込み型指紋センサー」スマホ発売へ

米「Synaptics」と中国のスマホメーカー「Vivo」が12月12日、ディスプレイ埋め込み型の指紋センサーを共同で発表した。Synapticsはスマホのディスプレイに指紋センサーを組み込むことに成功し、既に量産が可能だという。

画面埋め込み型の指紋センサーはこれまで多くのメーカーが開発にトライしてきたが、この技術により今後のスマホ市場が大きく変わる可能性がある。

Synapticsのセンサー「Clear ID FS9500」はOLEDディスプレイに組み込み可能。Clear IDは指紋認証の際に認証エリアが点灯し、認証を終えると見えなくなる仕様となっている。この認証方法のメリットは、ユーザーがわざわざ端末下部や背面の指紋認証ボタンに触れずとも、スマホのアンロックが可能になることだ。

また、iPhone Xの顔認証のように画面の上部に専用のエリアを設け、センサーを設置する必要がなくなる。SynapticsはCMOSイメージセンサー技術で、ディスプレイを通して指紋を認証することを可能にした。ディスプレイの下にセンサーがあるため、指が濡れていても認証可能という強みもある。また、Face IDの約2倍の認証スピードを持ち、製造コストもFace IDの2分の1から3分の1程度だとSynapticsは述べている。

筆者がVivoの開発中のテスト端末を使用した実感としては、Clear IDは非常にスムーズに動作した。ただし、現時点ではClear IDを搭載したVivo端末は右側面のボタンを押してセンサーを起動させる必要があり、実際の製品では違った形式になることを期待している。Synapticsによると、同社はClear IDを搭載したモバイル端末が2018年に7000万台出荷されることを見込んでいるという。

Clear IDの技術は現在のスマホの技術的及びデザイン的制限を取り払うものになる。このテクノロジーが次世代のサムスンやアップル、LG等のスマホに搭載される日が楽しみだ。また、この技術を最初に製品に組み込むのが、中国のVivoであることも非常に興味深い。

2017年12月14日木曜日

楽天、第4の携帯キャリアに名乗り 参入検討は「事実」

 楽天は12月14日、同社が携帯キャリア事業に参入する方針だと伝えた同日付の一部報道について「携帯キャリア事業への参入を検討しているのは事実」と認めるコメントを出した。

 同日付の日本経済新聞やNHKニュースなどは、総務省が2018年1月にも新たに割り当てる電波について、楽天が取得を申請する方針を固め、2025年までに最大6000億円を投じて基地局などを整備する——などと伝えた。参入が決まれば、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに次ぐ国内第4のキャリアが誕生することになる。

 楽天は報道について14日、コメントを発表した。報道内容について「当社から発表したものではない」としながらも、「携帯キャリア事業への参入について検討していることは事実」と認めた。

 楽天は2014年、NTTドコモの回線を利用するMVNOに参入し、「楽天モバイル」をスタート。今年9月にはプラスワン・マーケティングからMVNO事業を買収するなど、MVNO事業を強化している。

 総務省は、4G携帯向けに1.7GHz帯と3.4GHz帯の追加割り当てを行う方針で、既にドコモが割り当て申請を検討すると発表している。

元日銀・中原伸之氏、日本経済「来年後半は危険」

 千葉「正論」懇話会(会長=千葉滋胤・千葉商工会議所顧問)の第61回講演会が13日、千葉市美浜区のホテルニューオータニ幕張で開かれ、元日本銀行審議委員の中原伸之氏が「内外の政治経済情勢について」と題して講演した。

 中原氏は、米国の原油先物価格の「バックワーデーション(逆ざや)」が起きているとして、「世界の景気は半年先から危なくなる。景気循環の上昇局面も来年のどこかで終わるのではないか」と予測した。

 また、平成以降の日本の経済状況に関して「世界の経済大国から転落している。ただし生活の質は良くなり、安定した」と分析。中国経済のバブル崩壊懸念や北朝鮮の脅威が日本の経済に与える悪影響について「特に来年の後半は危険だ。先行きを慎重に見ている」と不安視した。

2017年12月13日水曜日

オープンIoTからIoSへ、モノからコトへ

 EE Times Japan、MONOist、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの産業向け5メディアは2017年12月4日、都内でセミナー「MONOist IoT Forum in 東京」を開催した。東京での開催は2016年に続いて2回目となる*)。

オープンAPIであらゆるものを連携

 特別講演に登壇した東洋大学INIAD(情報連携学部)の学部長を務める坂村健氏は、「オープンIoTからIoSへ」をテーマに、IoT(モノのインターネット)の先にあるIoS(サービスのインターネット)に向けた取り組みなどについて講演した。

 冒頭に坂村氏が紹介したのは、中国における「シェアリングエコノミー」への取り組みである。これは、インターネットを介して、企業や個人などが持つ資産やノウハウについて貸し借りをするシステムである。新たなシェアリングサービスが、続々と登場する中で、自転車のシェアリングをする「Mobike」などの事例を紹介した。このサービスの特長として、クラウドを最大限に活用していることや、シェアリングに適した独自の車体設計を行っている点を強調した。

 シェアリングエコノミーが急速に拡大する背景には、中国で急速に普及するモバイル決済システムがあると指摘する。「アリペイ(Alipay)」や「ウィーチャット(WeChat)ペイメント」に代表される、QRコードを使ったモバイル決済システムが、中国で日常化しているという。銀行口座などの裏付けがなくても、身分証番号だけでアカウントを持つことができる。利用者に対するインセンティブなども、クラウド側のプログラムを変更することで対応でき、サービスの改善などを迅速に行える。

 このためには、「API(Application Program Interface)を解放し、自動連携することが重要だ」と坂村氏は指摘する。その一例として配車サービス「Uber」を紹介した。スマートフォンにワンタッチするだけで迎えの車を手配できるシステムである。「APIの先にいるのはモノや人や組織であり、これらがインターネットでつながることが重要だ。さまざまなオープンAPIの連携がIoSとなる」と坂村氏は述べた。

 これ以外にもオープンAPI連携の事例として、ドイツにおける産業政策「インダストリー4.0」、官民が保有するデータをオープンにして活用するための「官民データ活用推進基本法」の施行、などを紹介した。また、公共交通オープンデータ協議会(ODPT)、オープン&ビッグデータ活用地方創生推進機構(VLED)などについても、その活動概況を紹介した。最後に、「文芸理融合」を掲げるINIADの教育方針や、学部創設の狙いなどを語った。

「モノ作りだけではないコト作り」へ

 特別講演として登壇した、ジャパンディスプレイ(JDI)でマーケティング&イノベーション戦略統括部 執行役員CMOを務める伊藤嘉明氏は、「第2の創業を迎えたジャパンディスプレイのIoTへのアプローチ」と題して、新たなビジネスモデルによる成長戦略について講演を行った。

 伊藤氏は2017年10月にJDIのCMOに就任した。かつては家電機器メーカーの立て直しに携わったこともある。伊藤氏は冒頭、日本の企業に警鐘を鳴らした。伊藤氏は別の企業に在籍していた当時、2年前のドイツのエレクトロニクスショー「IFA」において、IoTを搭載した冷蔵庫のコンセプトモデルを発表した。

 2017年のIFAでは、IoTを搭載した同様の冷蔵庫が、中国や韓国企業から具体的な商品として発表された。ところがこの場で日本企業からは1社も発表されなかった、と指摘する。「日本企業は、IoTに必要な技術を開発することでは先行している。それを具体的な製品に落とし込んでいくプロセスに大きな課題がある」と伊藤氏は話す。

 高い技術力を持ち、有力な顧客を抱えるJDIにも同様なことがいえるという。そこで伊藤氏は、既存のビジネス領域にとどまることなく、新たなビジネス領域の拡大にも取り組む。その背景には、IoTの浸透によるディスプレイの用途拡大がある。同時にディスプレイ単体から入出力デバイスへと進化させるためのビジネス戦略がある。

 例えば、スマートフォンや車載、デジカメ、医療機器向けなどはこれまで手掛けてきた領域である。これらの用途に加えて、棚札や指紋認証対応のスマートカード、ウェアラブル機器、サイネージ装置などの領域にもビジネスを拡大したいという。指紋センサー、高精細でフレキシブルなディスプレイ、極めて透明度が高いディスプレイ、などがその中核技術、製品となる。必要に応じて、高い技術力を持つ世界の企業とアライアンスを結びつつ、ディスプレイを利用した新たなビジネスモデルを構築したい考えである。

 もう1つ伊藤氏が強調したのが、「モノ作りだけではないコト作り」である。これまでのようにモノを作って販売する「トランザクションビジネス」ではなく、利用期間に応じて料金を支払う(あるいは受け取る)「サブスクリプションビジネス」形態への移行である。一例として、冷蔵庫のドア開閉などを遠隔地からチェックすることで、居住者の活動状態などが分かる「見守りサービス」などの事例を挙げた。

 この他、自動運転車とディスプレイの役割についても述べた。ヒューマンマシンインタフェースとして、大画面で超ワイド化、形状や曲面の自由度が高いディスプレイ、死角をなくす透明ディスプレイ、センサー技術との組み合わせなど、さまざまな技術の進化に対応できる入出力デバイスを提供する考えである。

 「MONOist IoT Forum in 東京」では基調講演や特別講演の他、モノ作り業界に特化したIoTの最新トレンドについて、具体的な事例などを紹介するセッションも実施した。その様子をダイジェストで紹介する。

IoT活用で何を期待するのか

 日立システムズは、「日立システムズIoTビジネスへの取り組み」をテーマに、導入支援からデータ収集、セキュリティ対策まで、同社が提案するIoTソリューションの活用事例を紹介した。

 日立システムズの産業・流通フィールドサービス事業グループ産業・流通インフラサービス事業部で副事業部長を務める前田貴嗣氏は、ドイツのインダストリー4.0を始め、米国や日本におけるIoT関連への取り組みに触れ、工場などにおける導入成果を紹介した。

 こうした中で同社は、顧客のIoT導入に対してさまざまな支援サービスを用意している。例えば、「フェーズ1」として、IoT活用シナリオの提案や、IoT導入支援パックの提供などを行う。この中にはトライアルの実施や、事前の想定値とトライアル結果に基づくギャップ検証なども含まれるという。さらに、「フェーズ2」として、工場内のアナログデータをデジタル化する業務代行サービスなどを用意している。「顧客はまず、IoTを活用して何をしたいのかを明確にすることが重要だ」と述べた。

緊密となるIoTとエッジコンピューティング

 ウインドリバーは、「エッジ/フォグコンピューティングで広がる新たな世界と実現に必要な技術」をテーマに、エッジコンピューティングの実現に必要な基盤技術と、フォグコンピューティングの実現による新たな世界について、デモ機などを用意して具体的に紹介した。

 ウインドリバーの営業本部IoT事業開発部で部長を務める石川健氏は、「エッジコンピューティング市場は2018年もさらなる成長が見込まれている。フォグコンピューティングはPAから普及する」と話す。

 日本における2017年のIoT市場について石川氏は、「AI・機械学習とIoTがとても緊密な関係になっている。また、エッジコンピューティングによるリアルタイム解析の市場が形成されつつある」と分析する。

 エッジコンピューティングやフォグコンピューティングの必要性や、導入するメリットなどについても触れた。例えば、エッジコンピューティングを活用するメリットとして、「工場内の生産設備をリアルタイムに制御できパフォーマンスが向上」「クラウドへ送信するデータ量を減らし通信コストの節減につながる」「オープンプラットフォームを導入することで外部製のソフトウェアが活用できる」などのメリットを挙げた。一方で、ソフトウェアのデバッグ、システム検証の工数が増大するといった課題も指摘した。

リスクベースのアプローチへシフトするセキュリティ対策

 ラピッドセブン・ジャパンは、「IoTの脆弱(ぜいじゃく)性と対策−Rapid7の取り組み」をテーマに、脆弱性の現状や同社が提供するサービスを紹介した。

 ラピッドセブン・ジャパンの執行役社長を務める牛込秀樹氏は、「セキュリティ対策は、これまでの防御ベースから、迅速な検知と対応を行うリスクベースのアプローチへとシフトする。そのためには脆弱性を認識すること(可視化)が重要」と話す。

 IoTセキュリティの特長として、「脅威や攻撃、被害の範囲が広い」「長期利用するIoT機器が多い」「用途によってはセキュリティ対策に限界がある」「IoT機器の接続先を事前に想定することが難しい」ことなどを挙げた。

 こうした中で同社は、IoTセキュリティサービスとして、自動車と運輸、家電、医療、監視カメラなどの領域に向けて、「IoTペネトレーションテスト」や「プロトコルテスト」などを提供している。講演では、監視カメラや携帯型医療機器、デジタル玩具、Bluetooth搭載機器、車載機器、照明器具などの具体的な製品を挙げ、サービス事例を紹介した。

潮目が変わる、イメージセンサー市場

 IHS Markitは、「5Gで花開くセンサー&イメージング市場〜ポスト・スマホカメラ時代の戦略〜」をテーマに、産業用途や自動運転/ドローン用途など、イメージセンサーの新たな市場についての予測などを紹介した。

 IHS Markit日本支社テクノロジー・メディア・テレコム部門の李根秀氏は、「スマートフォン向けで需要が拡大したイメージセンサー市場だが、5年以内に潮目が変わる。現在、踊り場を迎えている」と話す。その理由として、「通信環境が5Gに移行することで映像に対する要求が変わる」ことや、「車載システムや産業機器、医療機器など、新たな用途で需要が拡大する」ことなどを挙げた。

 車載カメラ市場は、2016年に5000万台を超えた。2020年に1億台規模となり、2022年には1億5000万台に達する見通しだという。車1台当たり10台のカメラが搭載されるとの予測もある。カメラ投入率は携帯電話機、スマートフォンのそれと同じスピードで推移しているという。自動運転に対応するための前方監視用カメラもこれから需要が増えると予測している。

 この他、農業や資源探査に用いるプロ用ドローン向けや、食品検査や部品検査などに用いるマシンビジョン向け、任意の波長を検出できるマルチスペクトルカメラ向けなど、新たな用途のイメージセンサーに注目。これらの市場予測などを紹介した。

2017年12月8日金曜日

“脱メール依存”に本気なら「チームコラボレーションツール」を検討しよう

 従業員や顧客、パートナーなど各者間のコミュニケーションを合理化し、コラボレーションを促進する手段として「チームコラボレーションツール」を採用している企業は少なくない。最近のチームコラボレーションツールは、グループメッセージングからコンテンツ共有、相手と1対1で向き合うミーティングに至るまで、幅広い分野の機能を備える。生産性の向上やプロジェクトの追跡など、数多くのメリットをもたらす。

組織の規模は問わない

 かつてコミュニケーション手段といえば、ボイスメール(留守番電話)サービス付きの音声電話といった標準的な手段ならともかく、高度な機能を持つシステムを導入するのは大規模なユーザー企業に限られていた。オンプレミス向けの複雑なユニファイドコミュニケーション(UC)製品の場合、その購入、配備、管理に当たって費用が参入障壁となっていた。

 クラウドコンピューティングの普及によって、ユーザー企業間の競争の土台が平準化された。今はごく小規模な企業でも、大企業が使っているものと全く同じチームコラボレーションツールを利用できる。

 大規模企業向けチームコラボレーションツールは一般的に、複数組織の間でシームレスなコミュニケーションを可能にするメッセージング機能を備える。小規模な新興企業であっても、大企業の顧客と同一のチームコラボレーションツールを使用して、一貫した方法でコミュニケーションができる時代になった。規模の異なる企業間で関係を確立したり、コミュニケーションを強化したりする際に、チームコラボレーションツールは非常に大きな役割を果たす。

チームコラボレーションツールとメールとの違い

 従来のコミュニケーション手段と比較した場合に、チームコラボレーションツールの利点が特に目立つ場面がある。例えば複数のチームメンバーが長期的なプロジェクトを受け持っているビジネスユニットにおいて、チームコラボレーションツールのメッセージング機能と、従来のメールを比較するとしよう。

 チームコラボレーションツールのメッセージング機能を使うと、プロジェクトチームのメンバーをいつでもチャットグループに追加したり削除したりできる。グループに追加したメンバーは、そのメンバーの参加前に共有されていた以前のメッセージやリンク、コンテンツなどにアクセスできる。メンバーやグループへの参加時期に関係なく、全員が確実にプロジェクトのコンテンツへアクセスできるようになる。

 チームコラボレーションツールのほとんどは、コンテキスト検索機能を備えている。この機能があると、グループチャットの履歴に含まれているコンテンツを探しやすくなる。

 これまでプロジェクト内での情報共有手段として使われてきたメールでは、2者間の会話に新しい受信者を追加すると、メールスレッドが混乱する場合がある。特定の情報を検索する際に、重複の山の中から探し出さなければならなかったり、逆に探しているコンテンツが欠落していたりすることもある。

 添付ファイルについては、以前送信されたメールには含まれていない可能性がある。そうすると送信者にファイルの再送を要求せざるを得ず、さらなる混乱を招く場合がある。グループメンバーに対してメールを送信する場合、チームメンバーの誰かが「全員に返信」のつもりで1人のメンバーへの「返信」をクリックすると、そのスレッドの輪から、不本意ながら他のメンバーの誰かが外れてしまうこともある。

 複数のチームメンバーとプロジェクト情報をやりとりする場面では、1つ1つの出来事はささいなものでも、こうした要因が組み合わさると大きな障害となる。

チームコラボレーションアプリはコンプライアンスの要件もカバーする

 これまで医療、金融機関、政府機関など一部の業種では、データに関する各業界向けの法制度に準拠していないため、チームコラボレーションツールを採用できない状況が発生していた。幸いなことに、大企業向けのチームコラボレーションツールのベンダーは、データ処理関連の特殊な法制度や仕様への準拠が求められる業種でも、問題なく利用可能にするための取り組みを始めている。

 従来のチームコラボレーションツールは、エンドツーエンドのメッセージ暗号化やデータの可視化、レポート作成、オンプレミスの専用サーバを使った暗号鍵管理など、幾つかの機能が不足していた。現在は、こうした高度なコンプライアンス機能を提供するチームコラボレーションツールが幾つか販売されており、幅広い業種で安心して使用できるようになりつつある。

別拠点のチームメンバーとのコミュニケーションに伴う課題もクラウドで軽減

 本社以外の広範囲に拠点が分散し、従業員が複数のタイムゾーンにまたがって勤務している企業は、クラウドベースのチームコラボレーションツールが有効であることに気付いている。クラウドベースのチームコラボレーションツールは、モバイルデバイスからの利用を中心に据えており、多くの従業員が別拠点に常駐している企業やグローバル企業に適している。

 トラブル対応コールセンターを24時間年中無休で運営している企業を想定しよう。この企業では「フォローザサン」(Follow the Sun)というモデルを採用しているとする。これは24時間体勢で運用するコールセンターを1カ所だけ配置するのではなく、複数のコールセンターを世界各地に点在させ、各コールセンターは通常の勤務時間で、次々と別拠点に引き継ぐことだ。ある拠点の稼働時間が終了した際には、インフライト(仕掛かり中)の障害チケットを次の拠点へと引き継ぐ。

 クラウドベースのチームコラボレーションツールがあれば、障害の情報を受け付けたコールセンターの従業員が、次のシフトの勤務を開始しようとしている拠点のスタッフに、その障害チケットに関する情報を引き継ぐことができる。障害チケットに関する情報は、地理的に分散したチーム間で共有できる。

単一ツールで真のUCを実現

 UCの最終的な目標は、あらゆるコミュニケーションニーズを満たす単一のシステムを組織全体で使用することだ。チームコラボレーションツールは前述の通り、メッセージング、電話会議、ビデオ会議、ソーシャルネットワークなど、幅広い機能を含む。ユーザー企業としては、自社で必要とするコミュニケーション手段を全て包含した製品を見つけることを目標にすべきだ。

 全エンドユーザーが使うチームコラボレーションツールを1種類に絞り込むと、組織は次の2つの主要な効果を実感できる。1つは、会社やIT部門の許可なくIT製品/サービスを業務利用する「シャドーIT」が、コラボレーションに与える影響を軽減できる点だ。基本機能を無料で利用可能にしているチームコラボレーションツールが少なくないことから、各部署がIT部門からの情報提供や支援を受けずに、独自の決定に従ってチームコラボレーションツールを使用する例もある。この傾向は、重要なデータの損失を防ぐのが困難になるという、セキュリティ上の課題につながる。こうしたシャドーITを統制できる見通しが立たない場合、機密情報や知的財産を紛失したり盗まれたりする可能性が高まる。

 もう1つの利点は、全員が同じツールを使用することで、チームコラボレーションツールの効果がますます増大するという事実だ。コミュニケーション手段の統一により、部門間の縦割り志向(サイロ化)を打破し、社内の全員で情報を交換できるようになる。裏を返せば、各部門が独自のチームコラボレーションツールを使用すると、コミュニケーションが分断されたり、データセキュリティの問題が即座に発生したりする可能性がある。企業は最終的に、単一のチームコラボレーションツールが大多数の従業員のニーズを満たすことを保証する必要がある。

 どのような規模の企業であっても、チームコラボレーションツールの購入を正当化する方法は複数存在する。大企業向けツールの場合は一般的に、幅広い要件を満たすために微調整用のオプションを用意している。とはいえ競合よりも圧倒的に優れたチームコラボレーションツールは現時点では存在しないので、今後の選択肢の充実に期待が集まる。

2017年12月5日火曜日

自動化が2030年までに奪う雇用、日米で1億超える可能性

人工知能(AI)とロボットの関連技術は近年、大きく進歩している。そのもたらす容赦ない変化は2030年までに、米国のおよそ7300万人の雇用を奪う可能性がある。

米マッキンゼーの調査部門、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートが先ごろ発表した報告書によると、政府や財界のリーダーらが雇用の創出に向けた具体策を講じた場合には、米国で雇用を奪われる人はおよそ3900万になると見られる。つまり、たとえ自動化が進んだとしても、こうした雇用の損失は生産性の向上や経済の成長、その他の要因によって一部を相殺することが可能だということだ。

ただ、いずれにしても、完全雇用の維持は難しい課題になるだろう。経済と労働市場はどちらも、競争力を維持するために全面的な見直しが必要となる。それまで従事していたのと同様の別の仕事に移行することができる米国の労働者は、約2000万人と見られている。

米国を含め先進国では、労働者の多くが新たなスキルを身に付けるか、全く新たな分野での訓練を受ける必要に迫られるだろう。そうした労働者の割合は2030年には、米国とドイツでそれぞれ3分の1程度、日本ではおよそ半数になると見られる。さらに、自動化が最も急速に進むことになった場合には中国とインドでも多くの雇用が奪われ、同年までに仕事を失う人はそれぞれ、2億3600万人、1億2000万人に上る可能性がある。

現在予想される将来の環境の下で最も自動化の影響を受けやすいのは、機械オペレーターやファストフード店での調理といった単純労働になるとされている。一方、影響が及ばない職種を予想するのはより難しいが、経営者やエンジニア、科学者、教師、配管工などが挙げられている。

自動化が最も急速に進んだ場合、以下の6か国では2030年までに次のとおりの雇用が失われると見られる。

・中国:2億3600万

・インド:1億2000万

・米国:7300万

・日本:3000万

・メキシコ:1800万

・ドイツ:1700万

2017年11月29日水曜日

京大発ベンチャーが開発した「透明な窓用断熱材」

京都大学発のベンチャー「ティエムファクトリ」が、透明度が高く軽量で断熱性が極めて高いという断熱材を製品化した。窓ガラスの間に挟み込むことで、従来の断熱材を遙かにしのぐ効果が得られるという。

この断熱材「SUFA」はエアロゲルと呼ばれるものの一種で、組成の95%が空気という軽い物質。同社は低コストな製造方法を開発したほか柔軟性の改善なども行い、実用化に成功した。従来の断熱材は不透明なものしかなかったが、SUFAは透明なので窓など透明である必要がある部分に利用できるという。

バブルか飛躍的革新か、中銀悩ます仮想通貨

 ビットコインなど仮想通貨の急速な普及が各国中央銀行の悩みの種となっている。単なるバブルと冷めた見方がある半面、決済システムに飛躍的な革新が起きて中銀の制御が効かなくなり、金融政策の遂行が難しくなる恐れがあるためだ。

 ビットコインは8営業日で50%上昇するなど急騰。中銀は相場が暴落すれば責任を問われるとの懸念も強めており、中銀当局者からは仮想通貨の規制強化を求める声が出る一方で、中銀独自の仮想通貨導入を検討する動きもある。

 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁はロイターのインタビューで、「ビットコインの問題は、あっけなくバブルが破裂したときに中銀が無策だったと非難を受けかねない点にある」と指摘。仮想通貨に関連する銀行の動きが規制の見直しを必要とするかどうか把握に努めていると述べた。

 世界の仮想通貨市場の規模は2450億ドルで、日銀や米連邦準備理事会(FRB)、ECBのバランスシートに比べて微々たるものだ。

 しかし、仮想通貨は中央機関に依存していない。当局の規制下にある銀行や従来型の決済システムは介さず、ブロックチェーン(分散型台帳)と呼ばれるシステムを使っている。

 このためハッカーの標的になりやすかったり、犯罪に利用されたりする懸念がある。また、仮想通貨を運用しているのが公的機関ではなく民間企業であるため、運営会社の経営が破綻したり、システム運用が停止することもあり得る。

 こうした弱点を持ち、小売業界での導入も進んでいないため、中銀は仮想通貨を実体経済とは無縁のリスクの高いコモディティ—にすぎないとみなしてきた。

 ECBのコンスタンシオ副総裁は9月、ビットコインを17世紀にオランダで起きたチューリップバブルになぞらえ、「投機の手段」と断じた。

 仮想通貨による投機が盛んな中国と韓国は、仮想通貨技術を使った資金調達「イニシャル・コイル・オファリング(ICO)」を禁止。ロシア中銀もウェブサイト経由での仮想通貨の販売を禁じると発表した。ECBは昨年、「中銀のマネーサプライ管理に重大な影響を及ぼしかねない」として、仮想通貨の普及を後押ししない方針を示した。

 一方、日本では4月にビットコインが法的な通貨と認められ、登録手続きを踏んだ企業にビットコイン取引所の運営が承認された。

 ECB、日銀、ドイツ連銀は既に、将来の決済システムでの利用を視野に入れてブロックチェーン技術の試験に乗り出している。

 商業銀行はこれまでのところ既存の仮想通貨に距離を置いている。ただ、既に電子決済システムが現金に取って代わりつつあることから、仮想通貨の普及でビジネスチャンスを失うことには警戒感を抱く。

 このため、スイスの大手銀行UBSを筆頭とする6行は合同で、独自の仮想通貨づくりを試みている。

 こうした動きは、銀行システムと決済システムの番人たる中銀にとっては危険をはらむ。

 米セントルイス地区連銀のブラード総裁はロイターとのインタビューで「ある日目覚めたら、大半の大手銀行が骨抜きになり、ほとんどの事業がよそに移ってしまっていたということになりかねない」と述べ、規制当局が監視を怠れば金融危機につながりかねないとの考えを示した。 

 スウェーデンのリクスバンクや英イングランド銀行などは、中銀版デジタル通貨(CBDC)導入の利点について検討している。CBDCの保有者は、中銀に直接債権を持つという点では紙幣の保有者と同じだが、大量の現金を抱えておく不便は免れる。

 中銀としては金融業界を通さず、実体経済に直接流動性を供給できるようになるため、金融政策の有効性が増すとの研究もある。しかし、金融危機になれば預金者は市中銀にある預金をCBDCに交換したくなり、取り付け騒ぎを助長する恐れもある。

 日本銀行の山岡浩巳・決済機構局長はトムソンロイター主催による金融技術(フィンテック)関連のパネルディスカッションに参加し、仮想通貨の技術が銀行業に革新を起こす可能性があるとした上で、近い将来に仮想通貨が現金に取って代わることはないとの見方を示した。

パナソニック、磁界結合方式のロボット用無線給電ユニットを開発

パナソニックがロボット向けの非接触給電ユニットを開発しているという。
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00451946

ロボットでは各関節部分にサーボモーターを搭載しているが、そのため各関節部分までに電力供給用のケーブルを用意する必要があった。開発された給電ユニットは直径11cm、厚さ2.3cmほどのサイズで、重さは約800g。最大300Wの電力を送信できるという。また、同時に最大10Mbpsでのデータ電送も可能という。

2017年11月21日火曜日

三菱UFJ銀、23年度末までに6000人削減

 三菱東京UFJ銀行が2023年度末までに、約4万人の従業員のうち約6000人を減らすことが21日、分かった。

 低金利の長期化で厳しい経営環境が続く中、デジタル化を一層加速させて業務の効率化を急ぐ。

 持ち株会社の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の平野信行社長が21日、投資家向けの説明会で明らかにした。

 採用者数の抑制や退職者の増加による自然減での削減を進める方針だ。

 三菱東京UFJ銀ではこれまで23年度末までに9500人分の業務量を削減すると表明していた。

 みずほフィナンシャルグループも、従業員(臨時含む)約8万人を26年度末までに1万9000人減らす方針だ。具体的には、21年度までに8000人を削減し、1000億円程度の経費を減らす。その後、24年度までに合計で1万4000人を削減する。

2017年11月20日月曜日

AIすげええ! ロボットが “医師国家試験” に合格! 誕生から9カ月、知識は医学博士レベルらしい / 人間の医者が消える時代きちゃう?

近年、爆発的な進化を遂げているAI(人工知能)技術。2016年に囲碁AI「AlphaGO」が人類最強の棋士を破り世界に衝撃が走った。新バージョン「AlphaGo Zero」も開発され、その強さもスピードも人間の手が届かないレベルと言えるだろう。

さて、そんなAI界に衝撃のニュースが走った。今度は、AIが医師国家試験に合格したというのだ。……マジかよ! もうそんな未来なの!? ロボットのお医者さんがついに誕生するのだろうか。

・世界初! AIが医師国家試験に合格!
医師国家試験の筆記試験を通過したのは、「暁医(シャオイー)」と呼ばれるAI搭載のロボット。どことなくソフトバンクのペッパーに似ているが、中国の名門大「清華大学」と中国企業「iFlytek(アイフライテック)」が共同開発したロボットである。正式名は『智医助理』とのこと。

さて、そんな暁医は2017年8月、本物の医師国家試験に臨んだという。他の受験者への配慮もあり、さすがに別室対応。試験用紙も暁医のみ電子版が使われたが、内容はもちろん同じ。ネットが遮断された部屋で、技術者や試験監督らが見守るなかで行われた。

結果は……600満点中456点という点数で見事合格! この成績は"中の上"とのこと。ぶっちぎりトップではなかったものの、合格点を96点上回る成績。余裕で筆記をパスしたと言えるだろう。ロボットの医師国家試験合格は世界初とのことだ。

・医者に代わってロボットが診療する時代がくる?
"AI医師国家試験プロジェクト" スタートから9カ月でのスピード合格。その知識も深く、医学博士レベルに相当するのだとか。うむ、暁医がスゴイのはよーくわかった! しかし、医療の知識をもったロボットは一体何ができるのだろうか? まさかお医者さんにとって代わってしまうの?

この疑問について、iFlytekの陶暁東氏は、「実際の診療には常に突発的な状況が発生するものです。AIは医学知識を網羅しているにすぎず、知識の運用はまだ完全とは言えません」と話しているそう。

清華大学の呉及氏も「ロボットは診療補助は可能ですが、医師に代わって診療をできるものではありません」としており、あくまで診療のスピード化や医師の負担軽減が当面の目的であるようだ。

・診療助手としての活躍が期待
暁医は筆記試験にも合格したが、技能テストは受けておらず、医師の資格はまだ得ることはできない。しかし、知識が豊富で判断も早いのは事実。すでに中国全土50以上の病院に配備されており、何科にかかるべきかといった受付案内などをしているそうだ。

今後は、さらに一歩すすみ医師の診療助手、また地域のコミュニティなどの場での活躍が期待されているとのことである。

Fスターズ---大幅続伸、国産量子コンピューターの試作機を無償公開との報道で

Fスターズ<3687>は大幅続伸。国産量子コンピューターの試作機を国立情報学研究所などが開発し、27日から無償の利用サービスを始めると一部メディアが報じている。従来のスパコン向けのソフトウェアは使用できないため、専門家が不足しているのが現状。試作段階で公開することで改良に繋げ、19年度末までに国産での実用化を目指す方針のようだ。同報道が同社など量子コンピューター関連銘柄の刺激材料となっているもよう。

2017年11月7日火曜日

日経平均、一時2万2666円超え 平成8年6月のバブル崩壊後の最高値を上回る

 7日の東京株式市場では日経平均株価が続伸し、バブル経済崩壊後にいったん株価が戻った局面での高値(平成8年6月26日の終値の2万2666円80銭)を一時上回った。終値でこの水準を上回れば、4年1月以来約25年10カ月ぶりの高値となる。前日の米国株が過去最高値を更新した流れを引き継いだのに加え、好業績の銘柄を中心に投資家の買い意欲が旺盛だった。

 前日の米国株相場はダウ工業株30種平均など主要な3つの株価指数がそろって過去最高値を更新。一方、東京外為市場で円相場が一時1ドル=113円70銭近辺とやや強含み、平均株価は朝方に下げて始まった。

 ただ、発表が本格化している企業決算は総じて好調で、「下値では買い意欲が強かった」(大手証券)。平均株価はじわりと上げ幅を広げ、バブル崩壊後の戻り高値を一時上回った。

全米の学校が使う授業「ゲーム化」アプリ

現在、アメリカの学校の9割が、授業管理アプリのClassDojo(クラスドージョー)を採用している。

アプリ上では、病欠連絡や学校からの知らせなどを確認できる。生徒を褒めたいときは、本人のアバターにポイントを加算してあげる。そして、1日に2回は教室の写真や動画を親たちにシェアする。

ClassDojoは、常にフィードバックを提供する2万人の教師たちによって形作られている。共同創業者のサム・チョーダリーCEOはこう話す。

「教育アプリなら、現場の教師に耳を傾けるのが一番いい。当たり前のようだけれど、誰もそうしようとはしなかったのです」

いまやClassDojoは35カ国語に翻訳され、180カ国で導入されており、毎日700万人の子供が使用しているという。

ClassDojoは、基本的には無料アプリだ。アプリ内には有料機能もあるが、それを教師や子供たちが使うよう仕向けようとすると、反発を招いてしまう点が難しい。

そこで、学外の学習に関する機能を有料にし、私立校には行かせられないが子供の将来に投資したいという親をターゲットにする──。これが、ClassDojoの黒字化戦略である。

2017年11月6日月曜日

登場!AI先生 教育はどう変わる?

鈴木
「AI=人工知能についてです。
この番組でたびたびお伝えしていますよね。」

河野
「囲碁や将棋でプロ棋士を破ったり、恋愛相談に乗ってくれたりするAIというのもありましたね。」

鈴木
「そして今日(9日)は、勉強を教えてくれる『AI先生』の登場です。
生徒の評判は、どうなんでしょうか?」

生徒の評判は? どうなる?人間の先生

リポート:松井裕子記者(社会部)

東京・世田谷区にある学習塾です。

生徒は黙々とタブレット端末に向き合い、AI先生の指導を受けていました。
人間の先生からの指導は、ほとんどありません。
生徒はどう感じているのでしょうか。

生徒
「『AIの先生』とどっちが自分を分かってくれるかと言うと、『AIの先生』のほうが早く分かって早く直せる。」



 

AI先生は、それぞれの生徒の習熟度に合わせ、いわば「個別指導」を行っています。

この生徒に出しているのは、エックスの解を求める、方程式の問題。

生徒は、計算途中の式を答えとして記入したために、不正解となりました。

するとAI先生は、生徒がどこでつまずいたのかを気づかせるための別の問題を、すかさず出します。





生徒は間違えやすいポイントに気づき、正しい答えの出し方にたどりつくことができました。





AI先生が持つ問題のレパートリーは、およそ1万。
そこから、各生徒に最適な問題を出題することで、効率的な学習を可能にしています。

中学1年生のこの生徒は、すでに3年生の問題に取り組んでいます。

生徒
「これだと、立ち止まって復習して、分からないところを無くしてから先に進める。
どんどんできるようになる。」

 

実はこの塾、AIの教材を開発している会社の一角にあります。
社長の神野元基(じんの・げんき)さんは、以前は一般的な塾を経営していましたが、最も効率的な学習方法を模索する中で、AI先生にたどりついたといいます。


 

AI教材会社 社長 神野元基さん
「一人一人に最も最適な問題を出したら、本当はもっと上がる。
一気に勉強するということに関しては、人工知能が最も優れている。」


 

AI先生の登場によって、講師の役割は大きく変わっていました。
以前は数学を教えていたというこの講師。
今は、AI先生からリアルタイムで送られてくる生徒たちの状況をチェックするのが主な仕事です。


 

「手が止まっている」といった指摘や…。




 

独自に算出した、集中度を表すグラフを見守っています。

講師
「集中力が下がってしまっている場合は声をかけて、リフレッシュさせてあげたりとか。」

講師
「難しい?順調?」



 

現在、AI先生は数学を教えることしかできませんが、神野さんは、ほかの教科にも広げていきたいと考えています。

AI教材会社 社長 神野元基さん
「今までの、国語・数学・理科・社会・英語みたいなものを一番効率良く学習しようと。
ゆくゆくは、公立の小学校だとか中学校にもアプローチできたらいい。」

今後の普及は 人間はどうなる?

河野
「ここからは、取材にあたった社会部の松井記者とお伝えします。
AI先生、すごくおもしろかったんですが、実際に教育現場ではどれぐらい広がっているんですか?」


 

松井裕子記者(社会部)
「すでにほかの塾でも導入が進んでいるんですが、利用している生徒はまだ500人程度です。
ただし、AIの進歩の早さを考えると、今後、教育分野にも急速に普及することは避けられないのではと思います。」

鈴木
「そうすると気になるのは、人間の先生の役割はどうなってしまうんだろうということですよね。」

松井記者
「このAI教材を開発した会社によると、今のAI先生では、生徒たちがみずから思考する力や、周りの人と意見を交わしながら協力する力を育てることは難しいということです。
AI先生ができないことをどう指導していくかが、まさに人間の先生の腕の見せどころで、その模索が始まっているんです。」

何を教えるのか 始まった模索

中学校の理科の授業です。





教室には、6台のカメラが並んでいました。
AI時代に先生が何を教えるべきか、東京学芸大学が行っている研究です。

東京学芸大学 鎌田正裕教授
「知識だけ与えておけばいいという時代ではなくなった。
授業の中でどういうスキル・キャラクターが身につくか。」


 

教員には、ふだん通りに授業を行ってもらいます。
この日の課題は、プラスチックの種類を、実験を通して特定することです。





教員は、子どもたちに具体的な実験方法をあえて指示しませんでした。
子どもたちは、どんな実験方法が適切か自分たちで考え、話し合っていきます。

複数の方法から、よりよいものを相談しながら1つにまとめ上げていきました。
研究チームが観察していたのは、生徒が主体的に考える力や、ほかの生徒と協力する力を引き出しているかどうかです。




研究チームは、活発な意見交換が行われた今回のような授業こそ、AI時代に求められると教員に伝えました。




 

東京学芸大学 鎌田正裕教授
「授業で実験方法を考えさせる場面設けることが、先を見通す力を育成する場面になっていて、そのひとつの典型がここに出ている。」



 

�田太樹教諭
「子どもたちのために教員がやるべきこと、もしくはデジタルに任せられるところはある。
こういうスキルを育てたいとかは常に考えていかないといけない。
負けたくないっていうのも、もちろんある。」

AIと人間 生徒のために

河野
「『負けたくない』と人間の先生が言っていましたが、今のリポートを見ていますと、これからの『人間の先生』というのは、単に知識を教えるだけではやっていけないというのがよくわかりますよね。」


 

松井記者
「AI時代に、先生の役割が変わっていくというのは避けられないと思います。
これを脅威に感じる人もいるかもしれませんが、生徒にとっては必ずしも悪いことばかりではないと思います。
AIに任せられることは任せることで、先生にできることが広がっていくということもあるんです。」

鈴木
「つまり、知識を教える以外のことに、人間の先生は力を注げるということですよね。」

松井記者
「そうですね。
さらに今、先生は、いじめや不登校などさまざまな問題に直面していて、多忙で時間もないと言われています。
AI先生をうまく活用すれば、その分、時間に余裕ができて、よりきめこまやかな教育を行うことも考えられると思います。
生徒のためになるAIと、人間の共存のあり方を探っていく必要があるのではないかと思いました。」

 

中国、次は“AI教師” 5兆円投入 世界一“AI国家”へ

 さて、今週ご紹介するエンターテインメントは、いろんな意味で世界に存在感を発揮しまくるあの国と人工知能(AI)に関するお話でございます。

 米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の音声アシスタント機能「Siri(シリ)」をはじめ、人間の声に反応し、音楽やニュースを流したり、家電を操作できたりするスピーカーや自動運転車などなど、人工知能(AI)の普及ぶりにはめざましたものがありますね。

 とはいえ、かつての本コラムでご紹介したように、車いすの天才宇宙物理学者で知られる英のスティーヴン・ホーキング博士や米宇宙開発企業、スペースXのCEO(最高経営責任者)などを務めるイーロン・マスク氏といった最先端の考えで動く人々が「AIが人類を滅ぼす」的な警告で物議を醸すなど、AIが日常の一部になることへの抵抗感が強いのもまた事実です。

 そんななか、あの国がいま、国を挙げて、あらゆる分野での"AI化"を猛スピードで進めています。中国です。なかでも最近、世界を驚愕(きょうがく)させているのが、学校の先生をどんどん"AI化"しようという計画なのです。

 10月14日付で香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP、電子版)が報じているのですが、中国の最高国家行政機関である中国国務院が今年の7月、2030年までに、中国をAI開発の分野における世界の中心地に育てるというAI活用計画の一環として、AIを使った教育を国家戦略に位置づけると発表。

 政府の教育部は、農村部の子供たちにも最新のAI教育が受けられるように、地方レベルも含む全行政組織に対し、年間の教育関係予算の8%以上を教育のデジタル化に費やすよう要求しているといい、こうした動きを後押しすべく、中国政府は既に昨年、3000億元、日本円にして約5兆1500億円をこの分野に投資したというのです。

 中国国内には現在、約1400万人の教師と、約1億8800万人の生徒たちがいるというのですが、AIの本格導入によって、彼らをとりまく教育環境が劇的に改善するのは間違いなさそうです。

 例えば、上海に拠点を置くオンライン教育サービスのベンチャー企業「マスター・ラーナー」には超優秀な"AI教師"がいます。

日本の某"学習アプリ"と桁違いな高レベル

 この"AI教師"は既に国内の中学校で最も多く出題された計約5億問のデータを蓄積しており、文字通り、人民の人生がかかった高校入試である全国普通高等学校招生入学考試「高考(ガオカオ)」でも高得点を挙げ続けているといいます。

 具体的には、専用のアプリをタブレット端末にダウンロード。このアプリを介し、生徒に対して設問や宿題が出されます。

 生徒たちは回答をノートなどに手書きしますが、このシステムは手書きの文字をデータとして認識。この答えを"AI教師"がリアルタイムで採点。同時に、例えば数学だと、どこで答えを間違えたかや、その間違いがどこでどう発生したかについてまで細かに分析。生徒がどこから勉強し直せばよいかまで示唆(しさ)してくれるというのです。

 さらにこの"AI教師"は生徒1人1人だけでなく、クラス全体の習熟パターンを分析し、クラスとしての問題点をあぶり出すこともできるのです。まさに家庭教師ではなく、リアルな学校の先生なわけですね。

 同社のエンジニアのひとりはこのSCMPに対し「"AI教師"の助けを借りれば、人間の教師の負担は大幅に軽減されるとともに、1人1人の生徒によりきめ細かく適切な指導ができる」と指摘します。

 この"AI教師"、同社のエンジニア300人が協力した作り上げたAI教育プログラムのプラットフォームなわけですが、この企業の創業者兼最高経営責任者(CEO)であるZhang Kailei(チャン・カイレン)氏はこのSCMPに「教育において、効率性と教育の質を両立させることは非常に困難でしたが、AIを用いればそれが可能になります」と説明。同社が既に1億ドル、日本円にして約113億円の企業価値を獲得、つまり、投資家のグループから資金を調達したと胸を張りました。

 また、中国最大規模のオンライン教育サービスのひとつ、Hujiang(●江(●=さんずいに戸))では、画像と音声の認識システムを活用し、生徒の表情や反応をリアルにコンピューターに取り込むことで、オンライン学級における教師と生徒との交流をよりリアルなものに改善する取り組みを続けています。

 こうした動きを受け、中国のアナリストやビジネス関係者は、計約1億8800万人の生徒が学校で学ぶ中国で、AIは教育の質を上げるための避けられないステップであると声をそろえます。ある関係者はこのSMPCに「AIは中国の教育産業を改善するだろう。コストは削減され、効率性は向上する」と断言。

 そして、マスター・ラーナー社のチャン・カイレンCEOは同じSMPCに「良い教師と学校は首都圏に集中しているが、農村部の教育環境は劣悪である」と述べ、いまの中国の教育制度が直面する課題が、教育資源の分配の不均衡であると明言し、将来を次のように予測します。

 「適応型の学習技術やインテリジェントな学習管理システムなどを通じ、生徒はオンラインによる(効率的な)学習方法を入手します。同時に、教師への依存度を減らし、個人化された教育サービスを受けることができるようになります」

 確かにそうですね。"AI教師"が優秀であればあるほどリアルな教師の数を減らせ、当然ながら彼らに支払う人件費や経費なども減らせます。多大なコスト削減です。

たった「コーラ飲料1本分」料金で教育格差を是正

 実際、AIを使った英語学習サービスを提供している上海の振興IT系企業の最高技術責任者(CTO)も同じSCMPに「中国の一般的な英語訓練校だと年間の学費は通常、3万元(約51万5000円)になりますが、弊社だと年間966元(約1万6600円)。つまり、1日あたりコーラ1本分の出費で済みます」などと述べ、AIを駆使した教育システムの優位性を強調します。

 この企業、生徒は60万人いるそうで、AIによって薄利多売を実現できたわけですね。

 前述したように、中国では、国家戦略に位置付けた教育分野だけでなく、軍事や経済(労働力のコスト削減)といった分野でもAI化が猛スピードで進んでいます。

 6月29日付のSCMP(電子版)によると、昨年、中国政府は、来年までに150億ドル、日本円にして約1兆7000億円以上の規模を有するAI市場を創出すると発表。北京ではすでに全国の大学や研究機関に勤務する何百万人もの研究者がAIの研究に携わっているといいます。

 また中国のシンクタンク「Wuzhen Institute(ウーチェン研究所)によると、中国は、昨年、AI企業に総額26億ドル(約2900億円)を投資しており、この分野で世界第2位でした。ちなみに1位は米国で179億ドル(約2兆円)で大差を付けてはいるものの、米国は中国の追い上げに危機感を持っています。

 実際、7月27日付の英経済誌エコノミスト(電子版)によると、中国におけるAI関連の特許出願数は2010年から14年までの4年で約3倍に増えています。

 AIに関する研究課題のひとつ「機械学習」について研究する科学者でもある北京大学のFeng Jufu(フェン・ジュフ)教授はSCMPにこう述べています。

 「13億8000万人の人口を有する中国は、世界最大の(ネットの)利用者のデータベース貯蔵庫であり、機械学習における"パラダイス"である。AIは子供のようなもので、より多くの人が利用すれば、学び方もより早くなる。そしてより多く学べば、習熟度はより向上するのです」

 何と言っても数は力。データの母数が多ければ多いほどAIが賢くなるとすれば、やはり中国が優位に立つことができますね。

 前述したように、中国では、国家戦略に位置付けた教育分野だけでなく、軍事や経済(労働力のコスト削減)といった分野でもAI化が猛スピードで進んでいます。

 6月29日付のSCMP(電子版)によると、昨年、中国政府は、来年までに150億ドル、日本円にして約1兆7000億円以上の規模を有するAI市場を創出すると発表。北京ではすでに全国の大学や研究機関に勤務する何百万人もの研究者がAIの研究に携わっているといいます。

 また中国のシンクタンク「Wuzhen Institute(ウーチェン研究所)によると、中国は、昨年、AI企業に総額26億ドル(約2900億円)を投資しており、この分野で世界第2位でした。ちなみに1位は米国で179億ドル(約2兆円)で大差を付けてはいるものの、米国は中国の追い上げに危機感を持っています。

 実際、7月27日付の英経済誌エコノミスト(電子版)によると、中国におけるAI関連の特許出願数は2010年から14年までの4年で約3倍に増えています。

 AIに関する研究課題のひとつ「機械学習」について研究する科学者でもある北京大学のFeng Jufu(フェン・ジュフ)教授はSCMPにこう述べています。

 「13億8000万人の人口を有する中国は、世界最大の(ネットの)利用者のデータベース貯蔵庫であり、機械学習における"パラダイス"である。AIは子供のようなもので、より多くの人が利用すれば、学び方もより早くなる。そしてより多く学べば、習熟度はより向上するのです」

 何と言っても数は力。データの母数が多ければ多いほどAIが賢くなるとすれば、やはり中国が優位に立つことができますね。

 この分野で米中に遅れを取っている日本。AIを教育や遠隔地医療などに役立てるための本格的な研究が待たれるところです。

2017年10月17日火曜日

40歳年収「東京都除く関東325社」ランキング

東京都を中心とする関東地域は日本で最大の経済圏を築いている。東京を除く近郊の関東各県だけでも合わせると3000万人近くが住み、有名企業が本社を置いていることも多い。

東洋経済オンラインは上場企業3205社を対象に各社の40歳社員の年収を推計。全国5地域(「東京除く関東」「東京」「中部」「近畿」「北海道・東北、中国四国、九州沖縄」に分けてまとめた。これまで「東京都トップ500社」「東京都ワースト500社」の40歳推計年収ランキングをお届けしてきたが、第3弾として東京都を除く関東圏(神奈川、埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木の各県)に本社を置く325社のランキングを公表する。

『会社四季報』の本社欄に掲載した本社所在地が関東圏(東京都除く)となっている会社のうち、単体の従業員数が20人に満たない場合や平均賃金の発表がない企業は除いた。有価証券報告書(2015年6月期~2016年5月期)の公開データと、厚生労働省が調査・公表している「平成26年賃金構造基本統計調査」を基に試算した。

40歳は人生でも社会人でも中間点。上場企業が発表する平均年収は年齢がバラバラのため、比較条件をそろえてみることで、あくまで理論的に割り出した推計値ながら一定の目安となるはずだ。

グループ企業については、全体で連結ベースの年収を算出するのがベストだが、基データとして使用している有価証券報告書のデータが単体会社のものであるため、単体の年収数字となっている。また、純粋持ち株会社は本社の中枢機能を担う社員のみで成り立っているケースが多く、年収が製造現場などの実態より上振れる傾向にある。こうした純粋持ち株会社について、原則としてランキングの対象から除外していることも、併せてお断りしておきたい。

上位には神奈川、千葉の企業が目立つ

1位はともに横浜市に本社を置く2社が、40歳推計年収953万円で並んだ。レーザーテックは主に半導体マスク欠陥検査装置などを扱い、東京汽船は東京湾全域に展開する曳舟大手で国内2番手だ。

3位は日揮、4位は千代田化工建設。ともに神奈川県に本社がある総合エンジニアリング大手で、日揮が国内首位、千代田化工建設が二番手だ。神奈川県以外の県で最高位となったのは、千葉県の東洋エンジニアリングで5位につけた。10位までのうち、神奈川県の会社が7社を占めた。東洋エンジニアリングのほか、千葉県の企業ではキッコーマンが7位。上位には神奈川県と千葉県の企業が目立つ結果となった。

40歳推計年収について:各企業が発表した直近決算の有価証券報告書に記載された平均賃金と平均年齢を基に40歳平均年収を推計。推計に使用した賃金カーブ(賃金の伸び率)は厚生労働省が調査・発表している「平成26年賃金構造基本統計調査」の5歳刻みの賃金額(所定内給与+賞与)から業種分類ごとの賃金カーブを算出。その賃金カーブを各企業の平均年収と年齢に当てはめて試算。データ出所:各社の有価証券報告書(2015年6月期~2016年5月期)、厚生労働省「平成26年賃金構造基本調査」を基に東洋経済が作成。

40歳年収「東京都ワースト500社」ランキング

8月16日に配信した「40歳年収『東京都トップ500社』ランキング」にはさまざまな反響が寄せられた。40歳といえば、社会人としても人生でも、ちょうど中間点に位置する年齢。そうなると、若い頃よりも業種・業態や企業ごとの給与格差が広がってくる。

東洋経済オンラインは上場企業を対象に各社の40歳社員の年収を推計。全国5地域(「東京除く関東」「東京」「中部」「近畿」「北海道・東北、中国四国、九州沖縄」に分けてまとめた。その第2弾として今度は東京都の下位ランキングを公表する。

企業や読者の一部から「トップ500でランキングをすると、まるで500位が低いように見える」「給料の高い会社ばかりではなく、高くない会社の情報も知りたい」という指摘があり、それに応える狙いもある。

集計対象としたのは、『会社四季報』の本社欄に掲載した本社所在地が東京都となっている上場企業3205社。単体の従業員数が20人に満たない場合や平均賃金の発表がない企業は除いた。有価証券報告書(2015年6月期~2016年5月期)の公開データと、厚生労働省が調査・公表している「平成26年度賃金構造基本統計調査」を基に試算した。あくまで理論的に割り出した推計値ながら、一定の目安となるはずだ。

40歳推計年収500万円以下は276社

『会社四季報 夏号 2017年3集』(東洋経済新報社)。上場企業の業績、財務データなどをはじめ平均年収など就活・転職に役立つ情報も満載

グループ企業については、全体で連結ベースの年収を算出するのがベストだが、基データとして使用している有価証券報告書のデータが単体会社のものであるため、単体の年収数字となっている。また、純粋持ち株会社は本社の中枢機能を担う社員のみで成り立っているケースが多く、年収が製造現場などの実態より上振れる傾向にある。こうした純粋持ち株会社について、原則としてランキングの対象から除外していることも、併せてお断りしておきたい。

平均賃金での比較になると、各社ごとに平均年齢が異なり一律に比較しにくい。直近では団塊ジュニア(1971~1974年生まれ)の少し下の世代が40歳に差し掛かっており、人口ボリュームも相対的に大きく、この前後の世代がこれから日本の経済・産業界を牽引する存在となる。

東京都に本社を置く会社は相対的な物価の高さもあって、地方に比べると高水準な給与を払っているケースが多いものの、48社が40歳推計年収で400万円に達していない。500万円未満でみた場合、276社だった。

会社によっては専門職や定年後の再雇用社員を集計対象に含み、平均年収や平均年齢との関係から、いわゆる正社員の実態と乖離がある場合もありうる点には注意していただきたい。

【8月23日17時30分追記】ランキング5位のMUTOHホールディングスは、平均年収の解釈について同社の誤認があり「賞与、時間外手当を含めずに計算した」ものでした。同社より連絡を受けた正確な平均年収は450万円、平均年齢は41.0歳。東洋経済が改めて集計した40歳推計年収は441万円でした。

40歳推計年収について:各企業が発表した直近決算の有価証券報告書に記載された平均賃金と平均年齢を基に40歳平均年収を推計。推計に使用した賃金カーブ(賃金の伸び率)は厚生労働省が調査・発表している「平成26年度賃金構造基本統計調査」の5歳刻みの賃金額(所定内給与+賞与)から業種分類ごとの賃金カーブを算出。その賃金カーブを各企業の平均年収と年齢に当てはめて試算。データ出所:各社の有価証券報告書(2015年6月期~2016年5月期)、厚生労働省「平成26年度賃金構造基本調査」を基に東洋経済が作成。

40歳年収「東京都トップ500社」ランキング

8月も中盤。まだまだ暑い日が続く中、夏のボーナス(賞与、一時金)を活用して、旅行するなど気分転換を図っているビジネスパーソンも少なくない。ボーナスを含めた今年前半の給与から、今年の年収がどれほどなのか、大まかに試算している人もいるだろう。

東洋経済オンラインは上場企業を対象に各社の40歳社員の年収を推計。全国5地域(「東京除く関東」「東京」「中部」「近畿」「北海道・東北、中国四国、九州沖縄」)に分けてまとめた。その第1弾として東京都の上位500社ランキングを公表する。

集計対象としたのは、『会社四季報』の本社欄に掲載した本社所在地が東京都となっている上場企業3205社。単体の従業員数が20人に満たない場合や平均賃金の発表がない企業は除いた。有価証券報告書(2015年6月期~2016年5月期)の公開データと、厚生労働省が調査・公表している「平成26年度賃金構造基本統計調査」を基に試算した。あくまで理論的に割り出した推計値ながら、一定の目安となるはずだ。

グループ企業については、全体で連結ベースの年収を算出するのがベストだが、基データとして使用している有価証券報告書のデータが単体会社のものであるため、単体の年収数字となっている。また、純粋持ち株会社は本社の中枢機能を担う社員のみで成り立っているケースが多く、年収が製造現場などの実態より上振れる傾向にある。こうした純粋持ち株会社について、原則としてランキングの対象から除外していることも、併せてお断りしておきたい。

1000万円を超えたのは28社

『会社四季報 夏号 2017年3集』(東洋経済新報社)。上場企業の業績、財務データなどをはじめ平均年収など就活・転職に役立つ情報も満載

平均賃金での比較になると、各社ごとに平均年齢が異なり一律には比較しにくい。40歳といえば社会人としても人生でも、ちょうど折り返し地点ともいえる年齢だ。直近では団塊ジュニア(1971~1974年生まれ)の少し下の世代が40歳に差し掛かっており、人口ボリュームも大きい。この年代あたりからは給与の差も出やすくなっている。

1~4位はM&Aキャピタルパートナーズ(2271万円)、GCA(2247万円)、ストライク(1771万円)、日本M&Aセンター(1537万円)といったM&A(企業の買収・合併)の仲介や助言を行う企業が並んだ。M&Aキャピタルパートナーズは中堅・中小企業向けのM&A仲介を得意とするなど、4社のM&A関連事業はそれぞれだが、特殊な事業に対応できる知識と経験を持つ、優秀な人材をそろえてビジネスを展開するために、高給を払っているのだろう。

このほか上位には総合商社、デベロッパーや海運、金融系などの姿が目立つ。1000万円超は28社と40歳で大台を突破できる高給企業は限られた存在だ。

40歳推計年収について:各企業が発表した直近決算の有価証券報告書に記載された平均賃金と平均年齢を基に40歳平均年収を推計。推計に使用した賃金カーブ(賃金の伸び率)は厚生労働省が調査・発表している「平成26年度賃金構造基本統計調査」の5歳刻みの賃金額(所定内給与+賞与)から業種分類ごとの賃金カーブを算出。その賃金カーブを各企業の平均年収と年齢に当てはめて試算。データ出所:各社の有価証券報告書(2015年6月期~2016年5月期)、厚生労働省「平成26年度賃金構造基本調査」を基に東洋経済が作成。