人工知能(AI)とロボットの関連技術は近年、大きく進歩している。そのもたらす容赦ない変化は2030年までに、米国のおよそ7300万人の雇用を奪う可能性がある。
米マッキンゼーの調査部門、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートが先ごろ発表した報告書によると、政府や財界のリーダーらが雇用の創出に向けた具体策を講じた場合には、米国で雇用を奪われる人はおよそ3900万になると見られる。つまり、たとえ自動化が進んだとしても、こうした雇用の損失は生産性の向上や経済の成長、その他の要因によって一部を相殺することが可能だということだ。
ただ、いずれにしても、完全雇用の維持は難しい課題になるだろう。経済と労働市場はどちらも、競争力を維持するために全面的な見直しが必要となる。それまで従事していたのと同様の別の仕事に移行することができる米国の労働者は、約2000万人と見られている。
米国を含め先進国では、労働者の多くが新たなスキルを身に付けるか、全く新たな分野での訓練を受ける必要に迫られるだろう。そうした労働者の割合は2030年には、米国とドイツでそれぞれ3分の1程度、日本ではおよそ半数になると見られる。さらに、自動化が最も急速に進むことになった場合には中国とインドでも多くの雇用が奪われ、同年までに仕事を失う人はそれぞれ、2億3600万人、1億2000万人に上る可能性がある。
現在予想される将来の環境の下で最も自動化の影響を受けやすいのは、機械オペレーターやファストフード店での調理といった単純労働になるとされている。一方、影響が及ばない職種を予想するのはより難しいが、経営者やエンジニア、科学者、教師、配管工などが挙げられている。
自動化が最も急速に進んだ場合、以下の6か国では2030年までに次のとおりの雇用が失われると見られる。
・中国:2億3600万
・インド:1億2000万
・米国:7300万
・日本:3000万
・メキシコ:1800万
・ドイツ:1700万
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