スリランカの港だけでなく、中国は世界規模で海上交通路(シーレーン)の要衝を押さえる動きを加速させている。中国は世界一の原油輸入国であり、その9割を海上輸送に頼っているからだ。
習近平指導部は「一帯一路(海と陸のシルクロード経済圏)」構想を掲げ、中国沿海からインド洋や地中海を結び、沿岸国のインフラ整備、貿易を中国主導で活性化する壮大な絵図を描く。
2015年10月には中国企業がオーストラリア北部ダーウィン港を99年間、総額5億600万豪ドル(約476億円)で賃借する契約を結んだ。ダーウィンは米海兵隊が駐留し、南シナ海有事の際は最前線になり得る場所だ。昨年4月には、中国国有の海運大手、中国遠洋運輸集団(COSCO)がギリシャ最大の港であるピレウス港の運営権を握る契約を締結した。
中国軍も昨年2月、日本の自衛隊も拠点を置くアフリカ東部ジブチに、海賊対策などを目的とする海軍の「補給施設」を建設中だと明かした。中国軍にとって初の海外基地とされ、昨年11月に制服組トップの范長竜・中央軍事委員会副主席が建設状況を視察。「軍事力による海外任務を遂行するため、有力な支えを提供しなければならない」と述べた。
世界のシーレーンの安全は事実上、米海軍が確保している。中国もその恩恵を受けてきたと言えるが、同時に米海軍がマラッカ海峡を封鎖すれば大打撃を被る「マラッカ・ジレンマ」と呼ばれる不安も抱える。米中が対立する南シナ海問題の背景にもシーレーンの掌握を巡る争いがある。
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