政府が十日の日米首脳会談で提案を目指す政策パッケージ「日米成長雇用イニシアチブ」の原案が二日、分かった。日米が連携したインフラ投資などで米国を中心に七十万人の雇用を創出し、四千五百億ドル(約五十兆円)の市場を生み出すと明記した。民間航空機の共同開発構想や米国からアジアへの液化天然ガス(LNG)輸出拡大も掲げた。
安倍晋三首相は会談で、日米が幅広い政策で協力するメリットを訴え、自動車貿易をはじめとする通商問題や為替政策で対日批判を続けるトランプ米大統領の理解を得たい意向とみられる。
イニシアチブは(1)米国内での世界最先端のインフラ実現(2)世界のインフラ需要の開拓(3)ロボット・人工知能(AI)の共同研究(4)サイバー・宇宙における共同対処(5)雇用と防衛のための対外経済政策連携−の五本柱。
このうち中核となる米インフラには十年間で千五百億ドルを投じ、七十万人のうち六十五万人の雇用を生み出す。テキサス州などの高速鉄道プロジェクトや、地下鉄・都市鉄道の車両三千両の刷新に日本が協力。高効率ガス火力発電事業などに参画し、原発十基超の出力に当たる千三百万キロワットの電源開発に貢献する。
世界市場の開拓では共同での原発の売り込みも挙げた。ロボット分野では東京電力福島第一原発の廃炉への活用や船の自動航行、航空機の自動飛行を目標に掲げた。
雇用と防衛に絡む協力は台頭する中国を意識し、鉄鋼の過剰供給や知的財産権の侵害問題で連携を強化。新興国に日米企業が進出しやすくなるよう、政府調達や電子商取引(EC)分野の通商ルール作りで協力する。
0 件のコメント:
コメントを投稿