2017年2月2日木曜日

地球最古の生物・メタン菌は火星でも生存できる! 地球由来の生命も誕生している可能性

 火星に生命が存在するとしたら、それはどのような生物だろうか。タコのような姿をしたモンスターや、我々人類に似た人型生物が存在するかは不明であるが、火星に存在している生物として有力なものがいる。それが微生物である。米国アーカンソー大学の研究者らが、地球上の微生物が火星環境でも生育できるという研究結果を発表した。英紙「Express」が報じている。

■火星のメタンはどうやって生成した?

 今回試験されたのは、メタン菌と呼ばれる微生物の一種だ。メタン菌は古細菌の一種で、海底や地殻内などの極限状況下でも生育し、嫌気条件下でメタンを合成する。そして地球上に存在するメタンの大半は、なんとこのメタン菌によって生成されているものだ。その起源は、驚くべきことに35億年前にさかのぼるともいわれており、地球上最古の生物の一つであると考えられている。

 火星の大気は地球に比べて極めて希薄であり、二酸化炭素が95%を占めている。大気圧は6〜9ヘクトパスカル(地球の地表付近の大気圧は1013ヘクトパスカル)、平均気温は−41℃、最低気温は−135℃と、現在の火星は非常に厳しい環境下にある。だが、火星の大気中にはメタンが存在することが確認されており、地球と同様のプロセスを経て生成されている可能性が指摘されている。つまり、火星のメタンも生物によって生成されたかもしれないということだ。

■火星と同じ環境下にあるメタン菌が……!

 そこで、研究者たちはMethanothermobacter wolfeii、Methanosarcina barkeri、Methanobacterium formicicum、Methanococcus maripaludisという4種類のメタン菌を、火星を模した環境で培養した。火星表面の水分量に近い培地を用い、水素ガスを供給、火星の汚泥を再現したものを被せた上、極端な低圧下に置いた。結果、メタン菌は地球の6000分の1という低圧環境で、最大21日間生存したというのだ。

■"逆パンスペルミア"も十分あり得る!

 さて、この研究は火星に生命が存在し得る根拠を示すとともに、もう一つの可能性を提示している。それは、「地球上の生物が火星でも生存できる」ということだ。地球の微生物が火星でも生息できるのなら、地球からメタン菌などの微生物を送り込み、火星の環境をもっと高等な生物の生存に適した環境へと変えることができるかもしれない。いわゆる「テラフォーミング」である。実際、科学者の中には人間の死体を送れという過激な案を提案している者もいるのだ。

 火星の環境を人為的に変えるなんて……、と考える方もおられるだろう。だが、地球の生命もその起源は宇宙から飛んできたものだという仮説(パンスペルミア説)も存在する。そして、もしかしたら、その種はすでに撒かれているのかもしれない。火星探査機に付着した地球の微生物が火星で生存し、増殖している可能性もあるのだ。

 宇宙に足を踏み入れた時点で、私たちは知らず知らずのうちに、地球外に新しい生命の種を撒き散らしているのかもしれない。なんとも夢のある話である。

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