2017年2月6日月曜日

花粉症の子は果物アレルギーにも注意

 気象情報会社「ウェザーニューズ」は先月31日、関東と九州の計6都県が花粉シーズンに入ったと発表しました。2月に入ると、各地でスギ花粉が飛散し、花粉症患者にはつらいシーズンがやってきます。つらいのは子どもだけではないようです。0〜16歳の子どものうち、花粉症だと親が実感している子どもは、アレルギーの代表格であるアトピー性皮膚炎の3倍以上にのぼることが分かりました。また、花粉症の人に起こりやすいとされる「口腔(こうくう)アレルギー症候群(OAS)」について聞いたところ、花粉症の子どもの20.6%にOASの症状である「果物を食べたときの口や喉のかゆみやピリピリ感」がみられました。小児アレルギーの専門家は「OASは花粉症の時期に悪化するため、花粉症の対策も忘れずに実行することが大切」と呼びかけています。【医療プレミア編集部】

 ◇花粉症の子どもは3割超

 調査は2016年11月15〜20日、ロート製薬が花粉症対策の啓発を目的にインターネットを通じて実施。0〜16歳までの子どもをもつ親1872人が子どもの人数に応じてそれぞれ答え、計2935人分の回答を得ました。

 「子どもは花粉症だと思うか」尋ねたところ、親が花粉症と実感している子どもは21.0%で、「花粉症も通年性アレルギー鼻炎も両方」と合わせると31.5%でした。また、子どもが該当すると思うアレルギー症状について聞いたところ(複数回答可)、花粉症以外では、「通年性アレルギー鼻炎」24.2%▽「アトピー性皮膚炎」9.9%▽「ぜんそく」8.0%▽「食物アレルギー」6.1%。アトピー性皮膚炎やぜんそくの子どもが減少傾向にある一方、花粉症の子どもは横ばい状態にあります。

 ◇花粉症があるとOASの症状が出る割合が高い

 花粉症の原因物質(アレルゲン)と似た物質は果物や野菜の中にも含まれていて、花粉症の患者が特定の果物や野菜などを食べると、口や唇、喉などにかゆみやピリピリ感を生じることがあります。こうしたアレルギー症状をOASと呼びます。花粉のアレルゲンと似た構造を持つアレルゲンが含まれると報告されている食べ物は多く、代表的なものにリンゴ・モモ・キウイ(ハンノキ、シラカバなどの花粉)、スイカやメロン(カモガヤ、ブタクサなどの花粉)などがあります。

 今回の調査で、OASの症状の有無についても聞いたところ、「果物を食べたときに口や唇、喉にかゆみやピリピリ感・イガイガ感」を感じていた子どもは全体の13.5%でしたが、花粉症の子どもに限ると20.6%で、約1.5倍高いことが分かりました。花粉症の子どもに症状が出たときに食べていた果物を尋ねると(複数回答可)、「リンゴ・モモ・キウイ」50.0%▽「メロン・スイカ」38.9%▽「その他の果物」35.8%−−でした。

 ◇乳幼児期から花粉を回避し、発症を予防することが大切

 子どものアレルギーに詳しい大阪府済生会中津病院小児科免疫・アレルギーセンターの末広豊医師によれば、最近は小児花粉症患者の増加や低年齢化が目立つそうです。そのうえで「子どもの症状は鼻水や連続するくしゃみが出るというより、ぼーっとしているなど他人からは分かりづらいという特徴がある。周囲の大人が注意してあげることが大切だ」と指摘しています。花粉症はアレルゲンの暴露量がある一定ラインを超えると発症すると考えられているため、乳児期から花粉を回避したり、屋内への花粉の侵入を防いだりして、発症を予防することが大切だといいます。

 また、末広医師はOASに関し、「花粉症の人で果物を食べたときに口や唇にかゆみやピリピリ感があったら、すぐに摂取をやめ、かかりつけ医に相談してほしい」と呼びかけています。症状は多くの場合、しばらくすると治まりますが、長く続く場合や息苦しくなるなど呼吸器の症状が出た場合は、迅速に受診する必要があるといいます。さらに「OASを起こす果物のアレルゲンは熱に弱く、加熱してジャムなどにすれば食べられることもあるので、医師に相談を」とアドバイスしています。

 ◇【子どもの花粉対策5カ条】

・花粉の飛散情報をしっかりとチェックする

・屋外では、マスクの着用など花粉との接触を避ける工夫をする

・屋内に花粉を入れないようにする

・目に症状が出たら、かいて症状が悪化しないように目薬を使う

・子どもの症状は気付きにくいので、親はサインを見逃さないようにする

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