2017年2月9日木曜日

中曽日銀副総裁「強力な金融緩和を推進」 米経済をリスク要因に

 日銀の日銀の中曽宏副総裁は9日、高知市で開いた金融経済懇談会で講演し「経済・物価の見通しは下振れリスクがあり、強力な金融緩和を推進していくことが重要だ」と話した。海外金利の上昇から、日銀が長短金利の操作目標を引き上げるとの見方が市場で広がっていることをけん制した。

 中曽副総裁は国内経済のリスク要因として米国の動向を取り上げた。トランプ米大統領の経済政策に対し「減税やインフラ投資など積極的な財政運営で、経済成長率や物価上昇率が高まる方向に作用する」と指摘した。米景気の拡大で「米国の長短金利は上昇すると考えられ、国際金融市場に与える影響を注意してみていく」と述べた。米金利の上昇が日本にも波及しかねない状況に警戒感を示したもようだ。

 足元の物価情勢は「やや勢いを欠いた状況が続いている」としつつ「2%の物価安定目標に向けたモメンタムは維持されている」と述べた。原油安で押し下げられていた予想物価上昇率は、原油価格の持ち直しで「ニュートラルか若干押し上げ方向に作用する」との見通しを示した。

 「労働需給の引き締まりは賃金の上昇圧力をもたらしている」とし、賃金上昇が物価押し上げにつながる点も強調。「企業収益が高水準で推移し、賃金が上昇する環境は十分に整っている。今年の春季労使交渉の動向には大変注目している」と賃上げへの期待感を示した。

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