2017年2月6日月曜日

トランプ政権はドル安志向、年末に100円割れも=榊原元財務官

榊原英資・青山学院大学教授(元財務官)は6日、ロイターとのインタビューでトランプ政権がドル安を志向しているため、米利上げは今年、2─3回程度にとどまりそうだとの見方を示した。一方で日銀の積極的な金融緩和が終了しつつあるとの見方が市場で広がっており、ドル/円(JPY=EBS)は緩やかに円高に振れ、年末までに100円割れもあり得るとの見方を示した。

榊原氏は、これまでのドル高路線から転換し、トランプ新大統領がドル安を志向しているため、米FRB(連邦準備理事会)による今年の利上げも「昨年予想されたような4─5回から2─3回にとどまる」との見通しを示した。

日銀の金融政策については「日銀はさらに緩和できるとしており、現時点で利上げは視野に入っていないが、市場はこれまでのようなアグレッシブな緩和はそろそろ終局とみなし始めている」と指摘。こうした点から、緩やかな円高が進むと分析した。

ドル/円が100円程度まで円高になっても「米国は過度のドル安は望んでおらず、一気に90円までは行かない」「100円程度であれば、日本の輸出企業は相当現地生産しており、日本にマイナスでない」と述べた。

為替介入については「日米両国の合意がないとできない」ため、「できない」との認識を示した。口先介入も「強烈な介入の直後でないと効果はない」と指摘した。

円安については「日銀のアグレッシブな緩和の副産物」だとしつつ、金融緩和の結果、通貨安が生じたのはリーマンショック後の米国と同様とし「一国の根幹である金融政策で、米国にどうこう言われることはあり得ない」と言い切った。

10日に予定されている日米首脳会談では「日銀の金融緩和は国内経済のためだと堂々と主張すべき」と強調した。

日米首脳会談では、トランプ氏が批判する日本車を巡っても議論される可能性があるが、「妥協する必要ない。日本車市場に外国車が入っていなければともかく、ドイツ車が多数走っており反論できる」と指摘した。

もっとも「米国は大統領が交代すると貿易赤字解消を議題にしがちだ。本命は対中国だが、日本で小手調べをしている」と述べ、貿易赤字解消のため「かつての日米構造協議のようなフォーラムを提案される可能性があるのではないか」との見方を示した。

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