2017年2月7日火曜日

ドラギ総裁がトランプ氏に反論−為替操作を否定、金融規制緩和に警告

  欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は6日、ドイツによる為替操作を示唆したトランプ米政権の発言に反論、また同政権が金融規制を後戻りさせようとしていることに警告を発した。

  総裁はブリュッセルの欧州議会で証言し、ドイツが「甚だしく過小評価」されたユーロ相場によって貿易面で不公正な優位を得ているとした、国家通商会議(NTC)のナバロ委員長などトランプ政権からの発言に反論。「ECBは2011年以降、外為市場に介入したことはない」と述べ、ドイツの貿易黒字は生産性向上の結果だと主張した。「ドイツは米国との2国間で著しい貿易黒字を抱え、経常黒字も小さくないが、継続的かつ一方的な外為市場への介入はしていない」と言明した。

  質疑応答ではトランプ政権が米金融規制改革法(ドッド・フランク法)の改正を目指していることについて問われ、金融危機の再来を防ぐための柱となっている規制を後戻りさせることは「非常に憂慮するべきことだ」と回答。「規制緩和だけはしてはならないのが現状だ」とし、「銀行・金融サービス業界を危機前よりも強固にした規制を、今緩和する理由が正直なところ見当たらない」と語った。

  冒頭のコメントでは金融政策について「12月の決定は、ユーロ圏経済の見通しが底堅くなっているとの自信の強まりを示す」と述べ、「同時に、インフレ率が望ましい水準へと持続的に収れんする明確な兆候が見られないこと」を考慮したと話した。

  ユーロ圏の成長は2015年以降すべての四半期において「堅調」だとした上で、「インフレ率が確実かつ持続的に目標水準へと収れんするためには、金融政策による支援が引き続き必要だ」と指摘。「ユーロ圏内外で続く不透明性を考慮し、良好な資金調達環境を維持する必要がある」と述べた。

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