「今年の東京大学理科3類(医学部)入試結果で、異例の学校から合格者が出ている」(大手の学習塾関係者)
大学通信の調査による最新の「東京大学の合格者・高校別ランキング」が塾関係者の間で話題だ。
例年、その上位には筑波大学附属駒場、灘、開成、桜蔭、聖光学院などのおなじみ"超名門中高一貫校"が名を連ねる。
だが今年は、見慣れない高校2校がランクイン。しかも、それぞれ2人もの合格者数をたたき出し、塾関係者に衝撃が走った。
これがいかにすごいことなのか。開成に並ぶ最難関の麻布でも3人、さらに、東大合格者数の上位のラ・サール、渋谷教育学園幕張、栄光学園、東海、洛南と、これらランキング常連校も2人である。
その2校のうちの一つは、群馬県立トップ男子校、前橋高校だ。
県民の間で、"前高(マエタカ)"の愛称で親しまれ、高崎高校と並び、トップ高校に君臨する。
理3に合格した2人について、前橋高校の沢田徳彦副校長は、「普段の授業はもちろん、数学や物理のコンテストで上位入賞するなど、学問の意識が高かった。最近、同様な生徒が増えた」と話す。
その上で、沢田副校長は「理3の2人合格を一つのきっかけに、医学部対策の強化を図っていきたい」と意気込む。
もう1校は、片山学園だ。近年、富山県の高校で東大理3に複数の合格者を出したのは同校のみ。
北陸地区の最大手塾「富山育英センター」が、2005年に中学を開校、富山県唯一の中高一貫校である。早期の教育で医学部へ入学させたい、医師の子どもが多く入学している。
富山"御三家"並みに台頭
特筆すべきは、開校から短期間で、富山県のトップ公立高校"御三家"(富山中部、高岡、富山)を、東大や国公立大学医学部の実績で、追い上げていること。
なんと、1期生から九州大学医学部の合格者を出している。その後、3期生で東大理3と京都大学医学部へ、そして今年は、東大理3に2人合格の快挙に至った。
もともと地方高校では、高い学力があっても県外の医学部を受験しない生徒が多い。そのため、地元以外の医学部実績を伸ばすのは至難の業といえる。
同校はそこで「授業や進路指導で、全国の大学に関して興味を持ってもらう機会を増やした」(片山学園高校の松原肇校長)という。
ともあれ、同校の医学部実績の伸びは、教育の中身の満足度も高く、その土台があってこそ可能だと、大学通信の安田賢治常務取締役は力説する。
いずれにせよ、全国の医学部は三大都市圏の私立中高一貫校の出身者が大多数を占める。
その中で前橋高校、片山学園の快挙はまさに、全国の学校の"希望の星"といえるのではないだろうか。
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