トランプ米大統領が発する相次ぐ関税の脅威を受け、中国の習近平国家主席は微妙なバランスを取る必要に迫られている。10日に行う博鰲(ボアオ)アジアフォーラムでの演説では、開放への中国のコミットメントを明らかにしつつ、貿易を巡る米国の威嚇に対抗する用意があることを示すことになりそうだ。
習主席は海南島で開かれるボアオ・フォーラムで、米国に自ら反撃する機会を初めて得る。参加する何百人もの外国人投資家に対し、米国の保護主義は世界2位の経済大国である中国では起きないことをあらためて確認する一方、関税を巡る米中対立が貿易戦争に発展することに対する警告を発する必要もある。
習近平国家主席
習主席は、トランプ氏の米大統領就任直前に開かれた昨年の世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)でグローバル化を擁護していた。トランプ大統領と習氏には当初、蜜月期間があったものの、大統領は中国に対する攻撃を再開。最大1500億ドル(約16兆円)相当の関税を中国製品に賦課すると威嚇している。
米国による一連の関税は習主席にかつてない難題を突き付けている。中国国内の不安に拍車を掛ける経済の低迷や国家主席の任期制限撤廃を先月実現した直後に弱腰とみられることは回避しなければならない。中国は数日前、米国内の政治的に敏感な地域を狙った報復関税計画を示し、「最後までいかなる代価も惜しまずに」反撃すると宣言した。
だが、習氏は中国とビジネスを行うメリットを強調する見通しで、高度経済成長のきっかけとなった改革開放から40年を迎えることから、外国投資制限の緩和を発表する可能性がある。
中国商務省の元当局者で、全球化智庫(センター・フォー・チャイナ・アンド・グローバリゼーション)の副主任を務める何偉文氏は、「習氏はボアオ演説で、グローバル化に対する中国の確固たる支持と世界貿易機関(WTO)ルールの順守、開放に向けたコミットメントをあらためて表明することになるだろう」と指摘した。
ただ、中国は何年にもわたり経済の開放を約束してきたが、その間に中央による管理が進み、中国企業への国家支援も行われており、習主席はこうした信頼性の問題を克服する必要がある。
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