経済規模で世界一の米国と第2位の中国が「貿易戦争」に突入すれば、両国と経済的なつながりが深く、進出企業も多い日本は影響を免れない。
政府は、なりふり構わぬ米国の制裁措置発動に再考を促しているが、代わりに2国間の自由貿易協定(FTA)交渉などを要求される事態に発展することを警戒。日本の頭越しに対立を深める米中に対し、打つ手がないのが実情だ。
米国が3月下旬に発動した鉄鋼・アルミニウムの輸入制限では、日本製品も最大25%の高関税が課される対象となった。米国による一方的な措置に対して「本来は撤廃を要求すべきだ」(外務省幹部)との声が政府内にある。
ただ、あえて取り下げを強く求めれば、今月中旬に予定する日米首脳会談でトランプ大統領に農産物や自動車分野の輸入拡大など「取引」を迫られかねない。
実際には、高い技術力に裏打ちされた日本製の鉄鋼・アルミ製品は代替品がないものが多い。経済産業省幹部は「高関税がかかっても日本製を買うしかない。購入する米企業が困るだけだ」と指摘する。当面は、日本製品の適用除外を求めつつ、米中間の駆け引きを見守るしかなさそうだ。
貿易をめぐる米中の対立激化は世界の株式市場にも動揺を与えている。このまま制裁の応酬が続けば、「世界経済に多大な影響を及ぼしかねない」(経団連の榊原定征会長)との声は日増しに高まっている。
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