2018年4月19日木曜日

財務省、狂うシナリオ 人事見通せず、発言力も低下

 18日に事実上更迭された財務省の福田淳一事務次官の後任は、本命候補とされた岡本薫明主計局長ではなく、当面は矢野康治官房長が代行することとなった。岡本氏は森友学園の文書改竄(かいざん)が行われていた当時、国会対応を行う官房長の役職にあり、問題をめぐる省内での調査結果が判明するまで時間を置いたもようだ。森友問題で大量の処分も予想される中、「既定路線」に沿った人事を続けてきた財務省のシナリオに狂いが生じ始めている。

 財務省の次官は、主計局の要職を歩み、官房長、主計局長を経て就くケースがほとんど。辞任する福田氏もそうした経歴だった。岡本氏も主計局次長や官房長を経て主計局長という"王道コース"を歩んでおり、省内外から次期次官の大本命とみられている。

 ただ、森友問題の決裁文書改竄問題を起こした理財局の調査は道半ば。相次ぐ不祥事で財務省の信用が失墜する中、次の次官には高い倫理観とクリーンさが求められるのは確実で、文書改竄問題の調査結果と省内処分を踏まえて、次官人事は決定される見通しだ。

 影響は財政政策にも及ぶ。相次ぐ不祥事で財務省が政府内での発言力を低下させたためだ。財務省は、平成34年度から団塊世代が75歳以上になり始め社会保障費が急増することを念頭に、31年度以降、さらなる歳出抑制を目指している。だが、発言力の低下で、与党の歳出圧力を抑えられるかは見通しにくくなった。

 来年10月に消費税率を予定通り10%へ引き上げるかの議論にも不祥事の影響が指摘されている。安倍晋三首相は今秋にも引き上げの是非を最終判断する見通しだが、財務省の一連の不祥事で支持率低下に歯止めがかかっておらず、消費税増税が3度目の先送りとなる懸念がくすぶっている。

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