米中間で起こり得る貿易戦争は、負け組のリストが既に勝ち組を上回る状況だ。
トランプ米大統領は3日、中国による知的財産権侵害への対抗措置となる制裁関税で、中国製ハイテク製品を中心とする対象品目案(総額500億ドル=約5兆3400億円相当)を発表した。これを受けて、中国側も米国から輸入する大豆や自動車、化学製品、航空機など106品目に25%の関税を上乗せすると即座に発表した。
太平洋を挟んで関税の影響を受ける業界の一部を以下に示した。
負け組:米中西部の農家
中国の関税は米国の農家、特に2020年米大統領選で再選を果たすためにトランプ氏が勝たなければならない中西部の州の農業従事者にとって、大きな打撃となる。中国は米国産大豆の最大の買い手であり、米国の生産量の約3分の1を占め、貿易額は約140億ドルに上る。4日のシカゴ市場で大豆先物相場は一時5.3%安と、2016年7月以来で最大の値下がりを記録した。
勝ち組:南米の農家
大豆・トウモロコシ市場で米国の農家の主な競争相手であるブラジルとアルゼンチンは、米国の農家が失うビジネスを奪いたいと考えるだろうが、完全に取って代わることはできないだろう。
負け組:中国に工場を置くテクノロジー企業
米国の関税は中国で製造されたハイテク製品が標的。中国に生産拠点を置くアップルやレノボ・グループ(聯想集団)といった企業が、コスト増やサプライチェーンの混乱に見舞われることになりかねない。ブルームバーグ・インテリジェンスによると、約40億ドル規模の薄型テレビ用スクリーンが最も打撃を受けそうだ。
負け組:米自動車メーカー(テスラを含む)
中国は電気自動車を含むほとんどの車に関税を課す計画だ。テスラは中国での販売の全てを米国製の自動車に依存しており、特別なリスクにさらされている。ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターなど他の米自動車メーカーも中国で製造している。
負け組:ボーイング
中国の関税は、ボーイングの旅客機「737」シリーズなど主力航空機の一部の販売にとって痛手となり、同社が欧州のエアバスに比べて不利な立場に置かれる恐れがある。中国市場はボーイングにとって極めて重要だ
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