2017年に全国の警察が摘発した来日外国人の犯罪1万7006件(前年比20%増)のうち、ベトナム人による事件が5140件と3割を占め、統計を取り始めた1989年以降、国籍別で初めて最多になったことが警察庁のまとめで12日、明らかになった。前年まで最多だった中国を439件上回った。同庁は来日ベトナム人の急増が背景にあるとみている。
摘発されたベトナム人の事件の4割が店舗での万引きだった。盗品をベトナム本国に空輸するなどして、換金する手口が目立つという。
同庁によると、ベトナム人による事件の摘発は08〜13年は1400〜1800件程度で推移していたが、14年2488件▽15年3315件と年々増加。17年は16年の3177件から62%増えた。一方、25年連続で最多だった中国は減少傾向にあり、17年は前年比2%増の4701件だった。中国に次いで多かったのはブラジルで前年比54%増の1058件だった。
同庁がベトナム人の手口を分析したところ、グループで見張りや実行役、盗品の運搬役などと役割分担。ベトナムで人気の高い日本の化粧品や衣料品を大量に万引きし、本国に送るケースが多かった。
佐賀県警は昨年、佐賀、熊本、福岡県の大手量販店で16年10〜11月に衣料品(65万円相当)の万引きを繰り返したとして、ベトナム人の男3人を窃盗容疑で逮捕した。男らは、狙う店や商品を本国の仲間から指示されていた。盗品は東京都内のマンションの一室にストックされた後、本国に空輸されていたという。
また、ベトナム人による空き巣の摘発は17年に325件に上り、16年の12件から急増した。数年前は主に関東や関西の都市部が狙われていたが、17年は中国地方や東北地方に広がった。
昨年に窃盗や不法滞在などで摘発(逮捕・書類送検)されたベトナム人は2549人で、窃盗などの刑法犯が57%を占めた。これを在留資格でみると、留学が41%で最も多く、技能実習23%▽定住者6%−−と続いた。
法務省の統計によると、在留ベトナム人は08〜12年は4万〜5万人程度だったが、昨年末時点で約26万2000人にまで増えている。
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