日本社会の個人志向が強くなっている。内閣府が4月6日に発表した「社会意識に関する世論調査」で、「国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ」と回答した人が、36.2%と過去最高になった。
同調査は1969年から原則毎年実施されていて、昨年からは、全国の18歳以上の男女1万人が対象となっている。調査員が直接話を伺う個別面接聴取方式で行われていて、今回の有効回収率は57.4%だった。
「愛国心育てる必要ない」過去最高 若い世代ほど必要感じず
「国民は国や社会のことに目をもっと向けるべきだ」という社会志向と、「国民は個人生活の充実をもっと意識すべきだ」という個人志向、どちらの考えに近いか聞いた質問でも、「個人志向」が42.2%と過去最高になった。「社会志向」と答えた人は45.5%。昨年より1.8ポイント減少した。
社会に対する不満として最も多かったのは「経済的なゆとりがもてない」で41.7%。次に多かったのは「若者が社会での自立を目指しにくい」(35.5%)で、「家庭が子育てしにくい」(28.7%)、「熟年・高齢者が社会と関わりにくい」(23.3%)と続く。
「家庭が子育てしにくい」と答えた割合を男女別に見ると、男性(28.2%)の方が女性(25.8%)より高かった。育休取得のしにくさや期間の短さなど、比べ仕事と育児の両立をサポートする社会体制が、女性にくらべ不十分だと感じているのかもしれない。
現在の社会で、良い方向に向かっていると思う点とそうでない点についても聞いた。良い方向に向かっていると思う分野として最も多くの支持を集めたのは「医療・福祉」(31.5%)で、過去最高値を更新した。「教育」(18%)も過去最高だった。
反対に、悪い方向に向かっていると思うものでは「国の財政」(35.3%)がトップ。2位の「防衛」(30.3%)は、昨年に引き続き過去最高値を更新した。
「国を愛する気持ち」の程度の強さについては、52.8%が「強い」、6.8%が「弱い」、40.4%が「どちらともいえない」と答えた。「今後、国民の間に『国を愛する』という気持ちをもっと育てる必要があると思うか」という質問では、「そう思う」(72.8%)が過去最低、「そうは思わない」(14.9%)が過去最高になった。
「そう思わない」と答えた割合を世代別に見ると、18歳〜29歳が22.1%と全世代の中で唯一2割を超えた。30代は19.4%、40代は17.7%と、若い世代ほど「そうは思わない」と答える傾向が見られた。
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