人工知能(AI)をはじめとする最新テクノロジーの登場により、医療の飛躍的な進歩が期待されている。そんな医療業界に身を置く看護師にとって、AIはやはり脅威なのか。それとも強力な助っ人となり得るのか。ビジネス特化型SNS「リンクトイン(LinkedIn)」は最新テクノロジーの影響に関する印象調査に乗り出た。
同社は2018年2月、約600名の看護師を対象に、同調査を実施。医療者と患者とのやりとりにコンピュータが介入すること自体に抵抗を感じていたとある訪問看護師の強い要望により急遽、実態を探るべく、調査を行う次第となった。
結果、82パーセントの回答者は患者のケア業務への最新テクノロジーの影響に関し、肯定的に捉えていることが判明。とはいえ、最新テクノロジー導入に伴い作業時間の大幅な短縮化が見込まれている一方で、トラブルを起こした機械への対応に追われ、かえって仕事量が増えてしまわないかという懸念の声もあがっている。生身の人間と触れ合う機会が減少したり、看護師自身がソフトウェアの指示を過信したりする可能性を危惧する人もいたようだ。
具体的に、病院内の最新テクノロジーには電子健康記録(EHR)、遠隔モニタリング装置、電子処方、遠隔診療、スマート検査機器、通・入院スケジュール管理用ソフトウェア、それからAIが含まれる。なかでも看護師の間において良い意味で注目を集めているのが狭義の電子カルテを指す電子健康記録だ。今回の調査では、回答者の75パーセントが電子健康記録に対し好意的なイメージを持っていることが明らかとなった。
一方、AIに対しては良いイメージを持っている人は最も少なく、全体の25パーセントが否定的な見解を持っていることが示された。
さらに今回、人事面でのAIの活用方法に関する興味深い回答が目立ったことも特筆すべき点のひとつだ。「今後のキャリアアップには、コンピュータやテクノロジーに関するスキルが必須になるであろう」(64パーセント)、「雇用される側の教育に最新テクノロジーが必要」(36パーセント)という意見があった。
すでにアップルやアマゾン、サムスンなどの世界的大手が医療業界に参入している。これらの企業はいずれもユーザーフレンドリーなヘルスケア機器を生み出している。そして、医療機器市場全体において競争が生まれ、イノベーションは加速化していく。そう考えている看護師の方は少なくないという。
AI医療が現実味を帯びてきた今、人間の医療者と機械との付き合い方についてよく考える必要があると言えよう。
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