2017年6月7日水曜日

国民に一定の金銭を支給する制度を導入してから6年が経過したイラン、その影響は

すべての対象者に無条件で一定の金銭を支給する「ベーシックインカム」は、現在複数の国で実験的な導入が行われている。将来ロボットや人工知能技術の発達により、人間による労働が奪われる可能性があることもベーシックインカムが注目されている理由の一つだが、ベーシックインカムを導入すると働く意欲を持たない人が増える可能性があることが問題とされている。これに対し、ベーシックインカムに似た精度を導入したイランで人々の労働意欲がどう変化したかを調査した論文が発表された(GIGAZINEtheoutline.com)。

イランでは2010年、石油やガスの補助金を削減する代わりに、国民に定期的に一定の金銭を支給するという制度が可決、2011年より施行された。その結果、「現金補助制度がイランの労働需要に影響を与えたことを示す証拠はほとんどすべての世代で発見されず、かえってサービス業界のような職種では従業員の労働時間が増加し、事業拡大につながった」という結果が得られたという。

しかし、この現金支給制度は経済に負の影響を与えたという話もある。支給される金額は2011年の開始時から変わっていないが、インフレが進んでいるため支給される金額の実質的な価値は半分以下になっているという。また、施行以来イランの各世帯の経済力は25%低下、全世帯の31%が「貧困ライン以下」になっているという調査結果もあるという(東京外国語大学によるIran紙の翻訳記事)。

 

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