サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、そしてバーレーンの中東4カ国は5日、カタールとの国交を断絶すると発表した。4カ国はカタールが過激派やイラン寄りグループとつながりがあるとしている。以下に関係国の歴史と今後の展望をまとめた。
何が起きたのか?
湾岸地域の3カ国とエジプトはカタールとの外交関係を断絶し、空路および陸路の交通を遮断した。小さな半島国であるカタールの首都ドーハでは、住民がパニックに陥り、スーパーで商品を買い占め銀行から預金を引き出すなどしている。
サウジ、UAE、エジプト、そしてバーレーンは、カタール籍の航空機や船舶が自国の領空や領海を通過することも禁じた。また4カ国に滞在しているカタール人は2週間以内の国外退去が命じられた。4カ国は自国民がカタールを訪問することも禁止した。
国交断絶の原因は?
4カ国はカタールと中東地域の政策について意見が衝突している。カタールはパレスチナ自治区を実効支配するハマスやエジプトのムスリム同胞団など、イスラム原理主義組織のメンバーを支援している。またシリアなどの過激派組織との関係も一部で維持している。サウジ、UAE、エジプト、そしてバーレーンはその状況を変えたい考えだ。
両サイドは地域での影響力をサウジと競うイランへの対応でも対立している。サウジはイランとの対立姿勢を強めており、友好国も後に続くことを期待している。だがカタールは外交を通じた問題解決を支持し、対立には消極的だ。
なぜ今、国交断絶なのか?
両サイドの対立は先月、カタールのタミム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長がイランやハマスを支持する旨の発言をしたと国営通信が報じたことで一気に緊迫した。カタール政府はその後、コメントは事実ではなくハッキングによって流れたものだとしている。
それでもサウジや他の湾岸諸国はアルジャジーラなどカタールのメディアを遮断。各国のマスコミはカタールの外交姿勢を痛烈に批判する報道を続けた。
両サイドは外交政策で長年にわたって対立していたが、今回の国交断絶は多くの人を驚かせた。カタールは経済面や文化面ではサウジや他の湾岸諸国と深いつながりがあり、友好国と考えられていたためだ。
一部の中東専門家は、先月にサウジを訪問したドナルド・トランプ米大統領が同国への協調姿勢を示したことを受け、サウジやその同盟国はカタールとの対立姿を強める後ろ盾を得たと感じたと指摘する。
なぜ大きな意味を持つのか?
国交断絶は湾岸地域内の対立を振り返っても、過去数十年で最も緊迫した状況だと言える。米政府が「イスラム国(IS)」の一掃と過激派組織への対策を強化しようとする中、米国と緊密な同盟国同士が衝突することにもなる。
米国が主導するISへの空爆も、カタールの米軍基地内に司令センターが置かれている。
今後の展望は?
カタールが4カ国との関係を改善する意志を持つのか、またそのためにどのような条件を受け入れる準備があるのか、今の時点では不明だ。カタール政府は5日、国交断絶の判断は「正当化できるものでなく、事実に基づかない根拠なき主張に基づくものだ」と批判した。
カタールやサウジなど湾岸6カ国が経済および政治面で協力する湾岸協力会議(GCC)も、今回生じた亀裂によってどのような影響を受けるのかは不明だ。
またサウジはイエメンの反体制シーア派系武装組織でイラン寄りの「フーシ派」に対抗する連合軍も主導し、5日までカタールもそこに参加していたが、連合軍は同国を軍事同盟から正式に外した。
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