閉幕したG7財務相・中銀総裁会議は、トランプ米政権から鉄鋼輸入制限を発動された日欧やカナダの6カ国が、対米包囲網を敷く異例の展開となった。通商問題をめぐる対立解消は、8日からのG7首脳会議(サミット)に持ち越されたが、トランプ米大統領は強硬姿勢を崩しておらず、サミットでも厳しい論戦が予想される。
「彼(ムニューシン米財務長官)には、われわれの一致したメッセージを、ワシントンに持ち帰ってもらう」。議長国カナダのモルノー財務相は2日の記者会見でそう述べ、米政策への憤りをあらわにした。
米国から鉄鋼・アルミニウム関税を突きつけられた各国は、討議内容をまとめた議長総括に「懸念と失望」を明記。トランプ氏の「翻意を促す」(モルノー氏)ことに期待を残した。
米国とカナダは、メキシコを加えた北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を進めてきたが、メキシコ大統領選などの政治日程から逆算した"時間切れ"が迫っている。トランプ氏が、公言してきた「NAFTA離脱」を決断するとの危機感を背景に、米−カナダ関係は緊迫感が高まる。
サミットでは12日の米朝首脳会談を控えた外交議題への注目が高まりそうだが、今回のG7会議から通商問題も引き継がれており、麻生太郎財務相は「トランプ大統領と一番近い首脳である安倍晋三首相から話すのが一番説得力がある」と望みを託す。
ただ、トランプ氏は2日のG7会議の終了に前後して、ツイッターに「ばかげた通商関係だ」「貿易戦争に負けるわけにはいかない」と相次いで投稿。自国優先の「米国第一」を貫く構えをみせており、サミットに向けた対立解消の機運は見いだせない。
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