2018年6月19日火曜日

対中制裁関税、新たに22兆円分検討指示 米大統領

 トランプ米大統領は18日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を巡り、新たに2千億ドル(約22兆円)相当の輸入品に10%の追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したと発表した。500億ドル分に25%の関税を課すと15日に発表したが、中国が同規模の報復措置を打ち出したのを受け、追加措置で対抗する。報復が報復を呼ぶ「貿易戦争」につながる恐れが高まっている。

 トランプ氏は声明で中国の報復関税について「米国の知財や技術を獲得するなど、不公正な貿易慣行を変える意思がみられない」などと不満を表明。追加措置を取らなければいけないと強調した。

 2千億ドル分の追加関税は「中国が不公正な慣行を改めるのを拒否し、報復関税を続けるのであれば、法的手続きを経て発動する」としている。2017年の中国からのモノの輸入は約5100億ドル。品目の特定作業に数カ月かかるため、すぐに追加関税を課すわけではないが、もし実施すれば計2500億ドルと米国の輸入品の半分が追加関税の対象となる。

 トランプ氏は米国の追加措置に対し、中国が再び報復関税で対抗してきた場合は、さらに2千億ドル分の措置を実行すると強調した。

 米政権は15日、中国の輸入品500億ドル分に25%の関税を課すと発表。7月6日に第1弾として、産業機械など340億ドル分に発動する。これを受けて中国政府は16日、米国産の農産品やエネルギーなど500億ドル相当に25%の報復関税を課すと公表した。

 トランプ氏は、中国が報復関税の準備を発表した4月上旬にも、1千億ドル分の追加措置をUSTRに指示したことがある。今回の2千億ドル分も中国から譲歩を引き出すための「脅し」の意味合いが強いとみられる。ただこのまま両国が実際に関税を課せば、報復が報復を呼んで対象規模が膨らみ、世界経済の大きなリスクとなる恐れがある。

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