中国当局が人民元相場の段階的な切り下げを検討していることが、関係者の話で分かった。貿易をめぐる米国との対立が世界の金融市場を揺るがす中、中国指導部は取り得る手段を分析しているという。ただ、分析が元切り下げの実行を意味しているわけではなく、実行する場合には最高指導部の承認が必要となる。
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関係者によると、中国当局は政府が用意した元に関する2つの手段の影響の分析を進めている。1つ目は、貿易に関する米国との交渉手段の一つとして元を使った場合の影響であり、2つ目は、輸出を抑制する通商取引に至った際に、その影響を相殺するために元を切り下げた場合の影響だという。
仮に米国が中国製品に広範にわたる関税をかけた場合、元の切り下げは、中国の輸出産業を下支えするという効果が期待できる。
ただ、多大なリスクもつきまとう。元の切り下げが行われれば、トランプ氏に「為替操作国」に指定されやすくなるほか、中国企業にとっては海外に山積する負債の返済が困難になる。
中国当局が進めてきた市場主導の為替相場への移行を目指す取り組みの効果も薄まることになる。中国国内の金融市場のボラティリティー(変動性)が高まる恐れもある。
中国当局が2015年8月に突如、元を約2%切り下げた際、余波は世界の市場に広がった。大和証券キャピタル・マーケッツ香港の頼志文チーフエコノミストは「元の切り下げは賢明とは言い難い。米国よりも中国が受ける傷の方が深くなる可能性があるからだ。15年の時のように、市場が不安定になるだろう」と警戒している。
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