中国はかつてドルの傑出した役割を激しく非難してきたが、現在はライバル国の米国の通貨を積極的に受け入れ始めている。
中国の企業や銀行、そして政府までもが昨年、過去最高のペースでドル建て債を発行し、引受会社はこの伸びが数年続くとみている。約5000億ドル(約55兆5000億円)規模のドル建て債市場が中国の発行体を引きつける主な理由は2つある。当局がレバレッジ解消の取り組みを進める国内より資金調達しやすいのと、ドルが海外での買収や投資向けに使いやすい点だ。
つまり、一段と入手しやすくなっている中国の人民元建て内国債に手を出すのは心配だとする投資家に対し、中国企業へのエクスポージャーを提供するドル建て証券が多量に発行されており、発行額は増えているということだ。このオフショア債券市場はまた、習近平国家主席が掲げる中国の広域経済圏構想「一帯一路」への関わりも提供する見込み。銀行は一帯一路が中国のドル建て債の伸びの背景にある主因の1つとみている。
インベスコ香港のアジア太平洋債券担当最高投資責任者(CIO)、胡嘉林氏は「中国は米国との貿易摩擦激化をヘッジするため、同国が目指すグローバル化の形態である一帯一路に一段と専心するだろう」と指摘。「一帯一路と関わろうとして中国のドル建て債発行が増えるとわれわれは予想する」と述べた。
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