米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は12日、米ラジオ番組でトランプ米政権が仕掛ける輸入制限に触れて「高関税が長期にわたって課せられれば、米景気に悪影響をもたらす」と指摘した。関税引き上げが物価上昇と景気悪化を同時に招くリスクを指摘して「(金融政策は)極めて難しい局面に置かれるだろう」とも懸念した。
トランプ米政権は340億ドル分の中国製品に制裁関税を課し、日本や欧州、カナダなどからの鉄鋼・アルミニウムにも輸入制限を発動している。パウエル氏は「第2次世界大戦後、関税の引き下げによって貿易は拡大し、生産性や所得の向上に役立ってきた」と述べ、輸入制限の弊害を指摘した。そのうえで米国の輸入制限が長引けば「我々の経済に悪影響をもたらすだろう」と各国との貿易戦争を懸念した。
米経済の基調については「少なくとも今後3年間は、大型減税が需要と経済活動を十分に支えるだろう」と強気な見通しを示した。足元の失業率の低下が「賃金と物価を押し上げる要因となる」とも強調した。もっとも貿易戦争が長期化すれば「インフレと景気悪化が起きて、極めて難しい状況になると想定できる」と警戒した。
一方でパウエル氏は、トランプ政権を擁護する姿勢ものぞかせた。「貿易は特定の地域や特定の人々に負の影響をもたらした」と述べ、グローバル化で雇用を失うなどした労働者層への対処が必要との認識を示した。「現政権は(貿易相手国の)関税を引き下げることが目的だと話しており、それは米国にとって良いことだ」とも指摘。「結果を予測するのは非常に難しい」として、表立った政権批判は控えた。
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