2018年7月3日火曜日

これまで何度も写真加工をしてきたAdobe、今度は「加工を見抜くAI」を開発中

Adobe Photoshopと言えば、写真加工の代名詞です。でも、普及しているからこそ問題もあり、特にツールの使いやすさやソーシャルメディアもあいまって、悪意を持って加工された画像が嘘情報を広めたり、個人の中傷に使われたりすることも頻繁にあります。そこでAdobe(アドビ)は、人工知能を使って画像が加工されているかどうかを判断するシステムを開発しています。画像を加工するAdobeが今度は加工を発見する側に…なんとも皮肉ですね。

PetaPixelによりますと、Adobeの研究者であるVlad Morariu氏は、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)のメディア科学捜査プログラムの一環として、ディープラーニングを利用した判別システムを開発しています。

加工を発見するツール自体はすでに存在し警察機関などでも使われていますが、このプロジェクトの目的は人工知能を導入することで、加工の発見をより簡単で、速く、正確にすることなのだそうです。

さて気になるのは「どうやって見つけるの?」ってことですよね。

Morariu氏が執筆した論文(PDF)によると、研究チームは加工の最も一般的な3つのテクニックに注目しました。それは、別の画像から切り取って他の画像にペーストするスプライシング、同じ画像の別の部分をコピーして他の場所にコピーするクローニング、そしてコンテンツに応じた塗りつぶしなどで物体を消去するリムーバルです。

「これらのテクニックは、強いコントラストのエッジや意図的にスムーズな部分、異なるノイズパターンなど、何かしらの形跡が残ります。そこで、加工されているのが確認された画像を何万枚もニューラルネットワークに学習させることで、画像の加工を判別させることに成功したのです」とMorariu氏。

結果として、AIは写真が加工されているかどうか、加工されているのがどこで、どういったテクニックが使われているのかを数秒で判断できるようになったのです。

過去にも加工された写真が真実として伝えられ、問題になったことはあります。しかし特に現在は、そういった情報がソーシャルメディアで一瞬にして広まってしまうため、今まで以上に写真の真贋を確かめるのが重要になってきました。問題の一端を担っているAdobeが、それを防ぐ技術を開発しているというのも、何か因果を感じますなぁ。

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