2018年7月31日火曜日

経産省がECのルールを定めた準則を改定。AIスピーカーによるネット通販の規則などを追加

経済産業省は7月27日、電子商取引(EC)などに対して関連法規がどのように適用されるかを明記した「電子商取引及び情報財取引等に関する準則(以下、準則)」を改定した。

人工知能を使った音声認識スピーカー(AIスピーカー)の普及が進んでいることから、AIスピーカーを使ったネット通販に関する見解を追加。

また、「平成28年 改正特定商取引法」が2017年12月に施行されたことを受け、定期購入の申込画面に記載すべき内容や、通販広告の規制に関する記載を改定した。


■ AIスピーカーによる誤発注は取り消せる?

準則では、消費者が発注する意思がないのに、AI スピーカーが発注を誤認識した場合の契約取消の可否について例示した。

たとえば、「テレビドラマの中でのAIスピーカーを使った発注の場面の音を、AIスピーカーが拾って注文してしまった」「幼児が母親にお菓子をねだっている音声を、お菓子の発注と誤認識して注文してしまった」といったケースでは、消費者は注文を取り消せるとしている。

AIスピーカーを提供している事業者が取るべき対策として、AIスピーカーが認識した注文内容をユーザーに通知し、ユーザーから確認が得られた場合に注文を確定することが有用としている。

また、発注者(消費者)が商品名を言い間違えて別の商品を注文してしまった場合も注文が無効になるとしている。ただし、発注者に「重過失」がある場合には契約を取り消せない。

経産省の見解では、言い間違えは誰にでも生じ得ることから、一度の言い間違えでそのまま注文されてしまうシステムであれば、言い間違えが「重過失」とされる可能性は低いという。

ただし、発注が完了する前に発注内容に誤りがないかを確認する仕組み(AIスピーカーと連動したメールやアプリによる確認など)が組み込まれている場合には、発注者に重過失があると認定される可能性があるとしている。


■ 定期通販やファックス広告の記載を改定

通販を規制する「平成28年改正特定商取引法」(2017年12月施行)において、定期購入に関する規制が追加された。

定期購入で商品を販売する場合、通販の広告や購入申込画面において、定期購入契約であることや支払金額の総額(各回の商品代金や送料、および支払総額)、契約期間(商品の引き渡し回数)などの販売条件を明示する必要がある。

こうした変更を受け、定期購入に関する準則の記載を改定した。

サプリメントのECにおいて、1年間の定期購入後に契約が自動更新されるケースについて例示。ECサイトの利用規約の中に「当初の契約期間1年を経過した後も、新たに連絡がない限り、引き続き1年間契約が更新されるとみなされる」という条項があり、その条項が申込画面に必ず表示され、同意する旨のチェックを入れると申込みが完了する仕組みとなってれば自動契約が認められるという。

別の事例では、サンプル購入の1か月後に通常料金での定期購入が自動的に始まるケースをあげた。契約が新たに自動的に成立することが申込画面には記載されておらず、利用規約が申込画面からもリンクされていないような場合には、通常料金での販売を自動的に開始することは認められないとの見解を示している。

このほか、改正特定商取引法によって無許可でのファックス広告が禁止されたことを受け、準則の通販広告規制に関する記載の中に、ファックス広告が認められる条件などを追加している。

経産省は2018年5月、準則の改定案を公表し、パブリックコメントを6月20日まで募集していた。

りそな、一部店舗で平日休業導入…行員効率配置

 りそなホールディングス(HD)が、傘下銀行の一部店舗で平日に定休日を設けることがわかった。銀行業界では極めて異例だ。平日休業店の行員が営業中の別の店に勤務し、より少ない人数で店舗網の維持を目指す。人口減や超低金利環境で収益の先細りが見込まれる銀行業界では店舗の統廃合が相次いでおり、りそなの動きは店舗維持のモデルケースとして注目されそうだ。

 りそなHD傘下のうち、りそな銀行と埼玉りそな銀行が対象となる。両行の店舗数は3月末時点で計460店。

 まず、りそな銀行あきる野支店五日市出張所(東京都あきる野市)で、8月8日から毎週水曜日を定休日とし、週4日営業にする。定休日となった店の行員は近隣の店舗で勤務するか、事務作業や研修などの時間にあてる。運営状況を見ながら、平日休業をほかの店にも広げる。店ごとに休業日をずらせば、少ない人数で多くの店を運営できる。

2018年7月30日月曜日

中国がシフト、ドルの批判者から過去最高ペースのドル建て債発行国に

  中国はかつてドルの傑出した役割を激しく非難してきたが、現在はライバル国の米国の通貨を積極的に受け入れ始めている。
  中国の企業や銀行、そして政府までもが昨年、過去最高のペースでドル建て債を発行し、引受会社はこの伸びが数年続くとみている。約5000億ドル(約55兆5000億円)規模のドル建て債市場が中国の発行体を引きつける主な理由は2つある。当局がレバレッジ解消の取り組みを進める国内より資金調達しやすいのと、ドルが海外での買収や投資向けに使いやすい点だ。
  つまり、一段と入手しやすくなっている中国の人民元建て内国債に手を出すのは心配だとする投資家に対し、中国企業へのエクスポージャーを提供するドル建て証券が多量に発行されており、発行額は増えているということだ。このオフショア債券市場はまた、習近平国家主席が掲げる中国の広域経済圏構想「一帯一路」への関わりも提供する見込み。銀行は一帯一路が中国のドル建て債の伸びの背景にある主因の1つとみている。
  インベスコ香港のアジア太平洋債券担当最高投資責任者(CIO)、胡嘉林氏は「中国は米国との貿易摩擦激化をヘッジするため、同国が目指すグローバル化の形態である一帯一路に一段と専心するだろう」と指摘。「一帯一路と関わろうとして中国のドル建て債発行が増えるとわれわれは予想する」と述べた。

MRで完成図を容易に想像可能に――建設業界で進むICT活用で現場はどう変わっているのか?

 「VR」(Virtual Reality:仮想現実)や「MR」(Mixed Reality:複合現実)、AI(人工知能)、IoT(Internet of Things)など、多くのICTが登場し、さまざまな企業で活用されている。例えば、VRを活用することで従業員を効率良く訓練させたり、IoTを使うことで遠隔から機械の状態が分かったりする。ICTの活用が進んでいるのは、建設業界も例外ではない。
 ソリトンシステムズは、2018年6月26日、建設業に携わる顧客を対象に「業務効率化とセキュリティ対策 ~建設業界での課題と事例を中心に~」と題したセミナーを開催した。本稿では、日本建設業連合会 IT推進部会先端ICT活用専門部会 主査兼大林組 グローバルICT推進室 担当部長の堀内英行氏による基調講演「建設現場における先端ICT活用の最新動向」の内容をお伝えする。

建設業でのスマートデバイス導入率は96%

 「スマートデバイス導入済みの企業は、2016年度の81.6%に対して、2017年度には96.0%に達した。そして、その半数は直近3年間に導入していた。利用用途については、『図面閲覧』『写真管理』『コミュニケーション』『検査』などの用途で、利用率や導入効果が高かった。導入成果としては、『生産性』『業務精度・スピード向上』『コミュニケーション向上』『働き方・業務改革意識の向上』の4つの項目で、成果が挙がっている」 堀内氏はまず、日本建設業連合会(以下、日建連)の会員を対象に2017年12月に実施したスマートデバイスの導入、展開に関するアンケート結果を用いて、建設業界でスマートデバイスの導入、利活用が急速に拡大していることを紹介した。
左:スマートデバイスの導入状況、右:スマートデバイスの利用用途
 こうした背景を踏まえて堀内氏は、建設現場のさまざまな課題を解決するICTサービスの最新動向について、具体的な事例を挙げながら紹介した。その中で、特に注目を集めているのが、VRとMRを活用したICTサービスの事例だ。

VR、MR、AI……最新ICTが活用される建設業界

 VR技術は、現場訓練、研修システムへの活用が進んでいるという。今まで実地訓練が必要だった特殊技術や現場での経験を、VRを通じて習得可能となるため、効率的な人材育成や現場の職人不足解消につながると期待されている。
 「例えば、施工管理者向けの教育システムでは、配筋のモックアップをVRで再現し、配筋の不具合を検知する訓練を行う。これにより、実際にモックアップを製作することなく、低コストかつ手軽に、現場さながらの環境で訓練ができる。また、BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)データを活用できるため、さまざまな内容の訓練を容易に作成可能になる」
 この他、現場での類似体験が難しい墜落、転落、火災などの災害を、リアルに体感できる教育VRの事例を挙げ、「現場作業員の安全に対する意識を向上させるための教育に役立つ」とした。
 
VRを使った訓練の様子
 MR技術については、家庭用昇降機の実測、設計でヘッドマウントディスプレイを活用した事例を紹介。具体的には、ヘッドマウントディスプレイを使うことで、家庭で階段に設置する昇降機の製作や設置施工時に使う図面を現地で作製して、図面を基にした3Dモデルと現実の階段の映像を重ね合わせて見ながら確認する。ダイレクトに製作工程につなげることで、工数やコストを大幅に削減したという。
 また、1分の1スケールの図面実寸投影を実現するMRソリューションについて、デモを交えながら紹介した。
 「まずCADデータを取り込み、ARマーカーとCADデータの相対的な表示位置を定義する。次に変換サーバで3Dデータへの変換処理を行い、ヘッドマウントディスプレイのビュワーからダウンロードすると、CADデータが1分の1スケールで現実世界に重畳表示される」
 このMRソリューションは、建設現場における干渉検討や出来形確認、墨出しチェック、メンテナンスなどの活用に期待されており、実証実験では、「インサートなどの墨出し工数を3分の1に削減」「施工ミスの軽減、施工品質の向上」「BIMデータと連携して隠蔽(いんぺい)部の構造、設備を透視」「完成後の保守、メンテナンス作業の軽減」といった導入効果があったという。
 堀内氏は、VR/MRの他にも、建設現場の課題解決につながるさまざまな先端ICTサービスを紹介。例えば、ソフトウェアとコンテンツ、ハードウェアをセットにしたオールインワンの「サイネージソリューション」を活用することで、ホワイドボードによる手書きの作業予定表を、迅速かつ容易にデジタルサイネージへ移行できる。
 また、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックを組み合わせた2次元カラーバーコード「カメレオンコード」とスマートデバイスを利用した車両入退場管理システムでは、車両入退場の記録を写真とともに管理でき、オリンピック関連施設など大規模な建設現場における、より厳重な車両管理を実現する。
 左右2つのレンズを内蔵するカメラを使った「3D画像解析システム」では、距離、高さ、体積を認識して、3Dで解析、検知を行う。人の目と同じように動くものを立体として認識できるため、建設現場での入退監視や不審者の検知、通報、ゲート通過時の人数カウントなどに活用できるという。
 建設現場では、工事写真関連業務が現場スタッフの大きな負担になっているケースが多く、これらの業務をアウトソーシングするニーズも高まっている。このニーズに応えるのが、アプリと連携して電子黒板や写真帳の作成業務を請け負うBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスだ。これにより、建設現場のスタッフは、工事写真の撮影準備から写真整理までの業務負荷を大幅に軽減可能だ。
 この他、IoT、AI関連では、給電不要なEH(エネルギーハーベスト)型環境センサーと仮設Wi-Fiを組み合わせることで、現場の作業環境をモニタリングして熱中症を予防するシステムや、打音検査時の「音」をスマホで取得するだけで熟練工の五感に頼らずに良否判断ができるAI搭載アプリを紹介。さらに、ドローンの活用例として、ドローンによる建設現場のデータ分析および進捗(しんちょく)管理ソリューションをピックアップ。構造物の壁面を自律飛行するドローンを活用することで、より高精度なモデルの生成と進捗管理が可能になるとした。

 多くのところでICT化が進む建設業界。今後はIoTやAIなどによって、熟練工の技術やノウハウの多くが数値化され、若手の従業員でも熟練工の技術が使えるようになるかもしれない。さらにロボティクスが発展することによって、危険な建設業務は全て機械化されるかもしれない。そのときに、必要な能力をしっかりと見極めて、ICTと向き合っていくことが大切になるだろう。

AIは、どうマーケティングを変革しつつあるのか

 人工知能(AI)のマーケティングへの活用が盛んにもてはやされている。AIは、マーケッターが日々携わる仕事の成果を高めるためのさまざまな"インテリジェント"機能を表す最新のバズワードであり続けている。マーケッターは、リアルタイムパーソナライズから音声による会話のやりとりまで、AIを利用した顧客エクスペリエンスをますます大規模に構築、管理するようになっている。
 「AIは、今後10年以上にわたってマーケティングのやり方を大きく変革する可能性を持っている」と、Gartnerのリサーチディレクターを務めるブライアン・イェーガー氏は語る。
 「AIブームが過熱する中、マーケティングリーダーは長期的な視野に立って、粘り強くじっくりと、どのようなアプローチでAIを活用するかを考えなければならない」(イェーガー氏)
 AIは、洞察や直感をもたらし、リクエスト規模に合わせてスケールさせることができ、マーケッターにとって、個々の見込み客や顧客とのコンテキストに応じたきめ細かい関係の構築という長年の念願の達成に役立つ。そうしたAIの長期的な効果は、いかに先進的なマーケッターをもってしても、実現するのは数年先だろうが過小評価してはならない。
 「2017 Gartner Research Circle」調査によると、ほとんどの組織がAIをビジネスに活用する戦略を研究または策定中だ。企業がAIに関する初期の実験を最も活発に行っている分野としては、顧客エンゲージメントとデジタルマーケティングが双璧だ。現在、さまざまな注目すべきアプリケーションが使われるようになっており、それらが今後数年間で普及しそうだ。

1.会話エクスペリエンス

 自然言語処理(NLP)の進化に伴い、人々がテキストや音声でコンピュータなどのデバイスと会話する場面が増えている。現在の実装は基本的なものだが、プラットフォームの機能が向上し、マーケッターが大量のデータにAIを適用すれば、人々が顧客として自身のコンテキストでデバイスと会話することが広く行われるようになる。

2.リアルタイムパーソナライズ

 人々のデバイス操作状況からコンテキスト、意図、ジャーニーステージ(企業と顧客が関わる一連のプロセスの1つ)が抽出され、それらの情報を踏まえた傾向モデリング、機械学習、マシンビジョン、NLPを利用して、カスタマイズされたコンテンツ提供、各種提案、販売促進が行われる。

3.アイデンティティー解決

 機械学習アルゴリズムは、数十億の広告インプレッションと数億のデバイスアイデンティティーをより分けてマッピングし、マーケッターに適切なメッセージが適切な人に届くことを確実に保証する。

4.マーケティングオーケストレーション

 AIがキャンペーンオーケストレーションの機能をより多く担うようになるとともに、マーケティング専門家がさまざまなトリガーやチャネル、コンテンツを関連付けてキャンペーンダイアログやジャーニー管理ワークボードを作成するのは、時代遅れになるかもしれない。

5.拡張マーケティングアナリティクス

 マーケティング技術全般にわたって、使いやすい分析機能の導入が進んでいる。こうした機能には、自然言語クエリ、自然言語による貢献分析、規範分析、ロゴ検出などがある。

次のステップ

 組織内の他のリーダーと連携し、組織の全員が現行のAIプロジェクトについて、同じレベルの理解を共有するよう導く。さらに、データリソースのインベントリ作成と共有における優先順位を設定する。
 AIに関する当面の取り組みでは、データを中心とした時間のかかるマーケティング課題に焦点を当てるとよい。時間とともに精度が向上する予測分析や規範分析のほか、膨大な数のデータ変数やコンテンツ変数のテストと最適化が、最初のユースケースの候補になる。

2018年7月27日金曜日

人工細胞で糖からイソプレンを合成する技術「自然界では不可能な驚異的レベル」

 横浜ゴムは2018年7月26日、理化学研究所(以下、理研)、日本ゼオンとの共同研究により、バイオマス(生物資源)から効率的にイソプレンを生成できる「世界初」(横浜ゴム)の新技術を開発したと発表した。

 3者は2013年から共同研究を進めており、2015年にコンピュータで微生物の代謝経路をゲノムスケールで設計する「in silico代謝設計技術」を用いて人工経路を設計し、イソプレンの新規合成法を発見している※)。

 今回の新技術はこれを進化させたもので、新しい人工経路の構築と高活性酵素の作成により、優れたイソプレン生成能を持つ細胞を創製。この細胞内(in vivo)で出発原料であるバイオマス(糖)からイソプレン生成までを一貫して行うことに成功した。さらに、生成したイソプレンの重合によるポリイソプレンゴムの合成も実現した。研究に当たっては、理研・環境資源科学研究センター(CSRS)が保有する細胞設計技術、植物科学技術を活用している。

 自然界において、イソプレンはメバロン酸(糖から生成した中間物質)から5段階の反応を経て生成することが知られている。今回構築した新しい人工経路は、メバロン酸からイソプレン生成までを2段階で行える。さらに高活性酵素は、「自然界の酵素では不可能なレベルの驚異的なイソプレン生成能を持つ」(横浜ゴム)という。これらを、本来はイソプレン生成能を持たない大腸菌に導入してイソプレン生成能を持たせることにより、効率的なイソプレン生成を人工的に行えるようになる。

 イソプレンは、自動車タイヤに用いられる合成ゴムの1種であるポリイソプレンゴムの原料だ。一般的には、石油由来のナフサを熱分解した副生成物として工業的に生産されている。今回の技術は、これをバイオマス由来に置き換えられるため、石油への依存度を低減し、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素排出量の削減に貢献できるという。

 また今回の技術は、同じく合成ゴムであるブタジエンのようなジエンゴムにも適用できることを確認しており、イソプレンにとどまらない可能性も示されいる。

2018年7月25日水曜日

静岡県の浄水場で小水力発電、リコーリースが割賦契約

 リコーリースは地域発電推進機構との間で、静岡県伊東市の鎌田片平大川浄水場内に設置する小水力発電設備の割賦販売契約を締結したと発表した。

 同社はこれまでも太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの発電設備に対するリース契約または割賦販売契約を数多く手掛けてきたが、小水力発電設備に対する取り組みは初めてとなる。今回の取り組みは、伊東市と地域発電推進機構が共同で実施する官民連携のプロジェクトであり、地域発電推進機構は、同浄水場における伊東市大川浄水場小水力発電所の発電事業者となる。「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」による売電期間終了後、発電設備は地域発電推進機構から伊東市へ寄贈される。寄贈後、伊東市は自家利用による電気料金の軽減または民間への売電による収入を得ることで、将来的な人口減少による減収対策を図ることを狙いとしている。

 伊東市大川浄水場小水力発電所の取水地点は奥野ダムで、松川湖との標高差を利用して発電する。有効落差は最大85.649m(常時92.443m)、使用水量は最大0.283立方m/s(メートル毎秒)、常時0.229立方m/sで、出力最大は179kW(キロワット)、常時153kWとなっている。水車型式は横軸前口フランシス水車を採用した。既に発電所は2018年4月から稼働を開始している。

 毎時1000kW以下の比較的小規模な水力発電は、小水力発電と呼ばれている。小水力発電は、水流により発電するため、天候や時間などに左右されにくい安定した発電が可能となる。日本は、豊富な水資源に恵まれており、大規模水力発電所の建設はほぼ完了しているものの、中小規模の開発最適地は多数残されており、小水力発電は今後の再生可能エネルギーの普及に向けて注目されている発電方法の一つに挙げられている。

 リコーリースは、中期経営計画(2017〜2019年度)に定める事業成長戦略の一つに「創エネ・省エネを軸とした新たな環境分野への挑戦」を掲げており、中期経営計画最終年度の2019年度における環境関連分野のリース・割賦取扱高500億円を目標としている。

2018年7月24日火曜日

G20、中国企業に過剰債務リスク 貿易戦争の悪影響は想定以上か

 21日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、米国発の貿易摩擦に対する懸念の声が相次いだ。米国は貿易赤字の相手先では最大の中国を特に問題視し、削減に向けた強硬姿勢を崩さない構え。ただ、中国では企業が過剰な債務を抱えており貿易戦争で景気が後退すれば、企業業績悪化で不良債権が積み上がり金融不安が一気に広まりかねない。打撃は世界経済に跳ね返り、米国も自らの首を絞める事態に陥る可能性がある。

 通貨政策透明化を

 「為替、金融のコミュニケーションができなければ(ならない)」

 麻生太郎財務相は21日の会議終了後、記者団に対し、米中の対立を助長する人民元の相場下落を念頭に中国の通貨政策を透明化する重要性を強調した。

 米財務省高官は17日の電話会見で、G20と合わせて開く予定の先進7カ国(G7)会議について「中国の経済侵略を議論する」と、中国相手に一歩も引かない姿勢を示した。

 G7では、鉄鋼産業への過剰な補助金といった、中国政府の不公正な慣行についても議論する見通しだ。

 足元で米中の貿易摩擦は激しさを増している。貿易量減少による中国経済への打撃は大きく、大和総研は、米中双方が輸入品500億ドル分に25%の追加関税をかけた場合、中国の成長率が0.1%押し下げられると試算している。

 もっとも、中国経済の構造的な問題を考えると「悪影響は予想以上に深刻になる」(第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミスト)。その問題の一つが中国企業の過剰債務だ。

 国際決済銀行(BIS)によると、中国の金融機関以外の企業の債務残高が国内総生産(GDP)に占める比率は2015年以降160%台で推移し17年10〜12月期は160.3%だった。バブル崩壊直後(1994年)の日本のピーク(150%程度)を上回る危機的水準だ。

 債務が膨らんだきっかけはリーマン・ショック直後の輸出急減を補い内需を拡大するため、中国政府が08年11月に打ち出した4兆元(約66兆円)の大型景気対策。鉄鋼などの製造業を中心に、銀行融資などを増やし設備投資を急激に膨らませた。

 倒産企業増加恐れ

 今後、貿易戦争で中国の景気が後退し企業業績が悪化すれば、借金を返せず倒産する企業が連鎖的に増える恐れがある。世界的な金利上昇の流れも、債務負担を重くする要因だ。債権を回収できなくなる金融機関の収益が悪化し破綻リスクが強まれば金融システムの不安も広がることになる。

 また、習近平政権がデレバレッジ(借り入れによる投資の解消)を目指し、銀行やシャドーバンキング(影の銀行)の規制を強化していることも心配材料だ。既に企業は資金繰りに窮しており、米メディアによると、中国の今年1〜6月の社債のデフォルト(債務不履行)は、前年同期比約36%増の計190億元に達した。

 GDP世界2位の中国経済が腰折れすれば、貿易量が減る米国や欧州、日本の経済鈍化につながる。中国へ進出してスマートフォンや自動車などを生産している各国の企業にも逆風だ。

 さらに金融市場にも混乱が広がる可能性がある。15年夏の「チャイナ・ショック」では元切り下げで中国経済の先行き不安が高まり世界同時株安につながった。今後、貿易摩擦の激化で中国経済の減速懸念が強まれば、一層の元安が進み、世界的な金融危機に発展しかねない。

 想定以上の悪影響が世界経済に広がり、「勝者なき戦い」(永浜氏)の無限連鎖となる恐れがある。

2018年7月23日月曜日

日銀:副作用対策で持続性高める方策を議論、政策は維持−関係者

  日本銀行が30、31の両日開く金融政策決定会合を間近に控え、市場機能の低下や金融機関の経営に及ぼす悪影響など、超金融緩和の長期化で累積する副作用を軽減する方策を模索している。

  週末に流れた一連の報道では、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で長期金利目標を柔軟化する案から、今会合では結論を出さず声明文に副作用に配慮した政策の検討を示す文言を盛り込む可能性などが報じられた。これらを受けて、20日の米国市場で国債先物相場が下落し、円ドル相場も1ドル=112円台半ばから111円台半ばに上昇した。

  事情に詳しい複数の関係者によると、日銀は時期尚早な正常化に向かっていると受け取られない形で副作用を軽減できる方策に焦点を当てており、長短金利操作やリスク資産の買い入れ額の変更など、現時点で大きな政策変更が行われる可能性は低い。日銀内では、副作用を根本的に抑え込むことは困難との声も根強い。

  黒田東彦総裁にとって悩ましいのは、物価の低迷が長引く状況で金融緩和に逆行するような政策を取れば、円相場が急伸してデフレ脱却がおぼつかなくなることだ。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するためアルゼンチンのブエノスアイレスを訪れている総裁は記者団に対し、一連の報道について「どういう根拠で報道されているのかも全く存じません」と述べた。

  月末の金融政策決定会合については「当然のことながら最近の経済・金融情勢を十分議論し、次回の決定会合までの政策運営方針を決定する」とした上で、「事前に予測めいたことを言うのは適切ではない」と語った。

  23日の東京市場は、長期金利が2月以来の水準の0.09%に上昇したことを受け、日銀が指定した利回りで金額に制限を設けずに国債を買い入れる指し値オペを約5カ月半ぶりに実施した。午前11時現在、日経平均株価は前週末比255円78銭(1.13%)安の2万2442円10銭と大幅安。円ドル相場は110円台後半で推移している。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは同日付のリポートで、「緩和の長期化」とそれに伴う「副作用の軽減」をうまく達成できるような政策を決定することは容易ではないと指摘。今回の決定会合で何らかの結論が出される可能性は「高くない」としている。

  ロイターは20日、長期金利目標やETF(上場投資信託)買い入れ手法の柔軟化などが選択肢になると報じた。英文記事では、議論は準備段階のもので政策委員が出す物価見通し次第で変わり得るという。21日付の朝日新聞は、今会合で「本格的な議論を始める」が、具体的な対応策について結論を出さず、声明文に「緩和の副作用に配慮した政策を検討することを示す文言を盛り込む可能性がある」としている。

  日銀は同会合で経済・物価情勢の展望(展望リポート)をまとめ、消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の見通しを示す。4月時点の政策委員の見通し(中央値)は今年度が前年比1.3%上昇、19年度と20年度が消費増税の影響を除き1.8%。6月の実績値は0.8%上昇と4カ月ぶりに伸びを高めたが、エネルギーを除くコアコアCPIは0.2%と伸びが鈍化しており、見通しの大幅な下方修正は必至の状況だ。

  異次元緩和が始まって5年以上たった今も目標達成への道筋は見えない。金融正常化が進む米欧との距離が広がる中、大量の国債購入を続ける異次元緩和の副作用への懸念も強まっている。物価見通しが大幅に下方修正されれば、現在の超金融緩和が一段と長期化するため、金融機関経営への負担や市場機能の低下など、日銀としても副作用を無視できない状況になりつつある。

  金融庁がまとめた報告書によると、長期の金融緩和、特にマイナス金利政策に伴う利ざや縮小などにより、地方金融機関は貸し出しや手数料など本業の利益が悪化しており、17年度は過半数の54行が赤字、うち12行が2期連続、40行が3期以上連続の赤字となった。国債市場では、日銀の大量購入で市場に流通する国債が減少し、新発10年物国債の売買が不成立に終わる日が頻発している。

  6月14、15の両日開かれた金融政策決定会合の主な意見では、「経済・金融環境に深刻なゆがみが生じることがないよう注意しながら、持続性に十分配慮した政策運営がなされるべきだ」といった声や、「本来の市場機能をできるだけ維持する観点から市場調節を運営していくことが重要」など、副作用を懸念する声が増えている。

  一方で、片岡剛士審議委員が同会合で、消費増税や米景気後退などリスク要因を考慮すると「金融緩和を一段と強化することが望ましく、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう長期国債買い入れを行うことが適当」と主張するなど、政策委員会は一枚岩とは言えない状況だ。

7月28日は皆既月食! 夜明け前の西空に注目を

7月28日(土)の未明から明け方にかけて、皆既月食が起こります。1月31日に続いて、今年2回目です。前回(1月31日)は、宵から深夜にかけて月食が起こりましたが、今回は夜明け前。明るくなり始めた空の中で、月食がどのように見えるのか注目です。

そもそも月食とは、地球の影の中を月が通過することによって、満月なのに欠けて見えたり、暗くなったりする現象のこと。月の一部分が地球の影に入りこむと「部分食」に、月全体がすっぽりと影に入ると「皆既食」になります。7月28日の月食タイムスケジュールは、次の通り。月食は、日本のどこにいても同時刻に起こります。

【月食タイムスケジュール】

部分食の始まり:3時24分
皆既食の始まり:4時30分
皆既食の終わり:6時14分
部分食の終わり:7時19分
皆既食が観察できる時間はたった20分!
しかし、今回は注意すべき点があります。それは、月が沈む時刻は地域によって異なるということ。そのため、北海道と東北地方の一部では皆既食になる前に月が沈んでしまい、そのほかの地域でも皆既食の状態のまま月が沈む「月入帯食(げつにゅうたいしょく)」となります。

今のうちに、ネット検索やスマホのアプリなどを活用して、自分が住んでいる地域の月没時刻をチェックしておきましょう。たとえば東京の場合、月没時刻は4時49分。皆既食が観察できる時間はたった20分たらずとなります。

また、どの地域で観察するにしても、月が沈んでいくタイミングなので、観察場所は西の低空が見られることが必須条件。観察方法は、時間になったら空を見るだけでOKです。

幻想的な光景を見せてくれる予感!
西の空で月食が起きているとき、東の空には太陽が昇ろうとしています。東京の場合、日の出の時刻は4時45分。空が明るくなり始めた頃の皆既月食は、どのように見えるのでしょう。皆既食中の月の色は、一般的に「赤銅色」と表現されますが、日の出の影響を考えると、色や見え方はそのときになってみないとわかりません。

夜明け直前の空の中で起きる月食は、私たちに幻想的な光景を見せてくれる予感がします。「早起きは三文の徳」といいますが、7月28日はまさにそうなるはずです。

人民元が揺らぎ韓国外為市場もぐらつく…ウォン相場は年初来安値

米国と中国の通商対立が激しくなる中、中国の中央銀行である人民銀行が人民元の価値を1年来の最安値で告示した。両国間の通貨戦争が始まったという評価とともに、韓国をはじめとする新興国の通貨市場もすでに影響圏内に入ったという懸念が出ている。

人民銀行は20日、対ドルの人民元相場を前日より0.9%引き下げ1ドル=6.7671元と告示した。これは昨年7月から1年来の最安値だ。下げ幅では2016年から2年来の最大幅だ。人民銀行は7日連続で人民元相場を引き下げた。中国本土で取引される人民元は先月だけで4.5%下落した。タイミングも敏感だった。トランプ米大統領が米CNBCとのインタビューで「私にはドル高が不都合だ」と話した直後だった。

トランプ大統領の通貨市場直接介入とこれを意に介さない人民元下落の流れの中で韓国をはじめとする新興国の通貨は不確実性に包まれた。20日のソウル外国為替市場で対ドルのウォン相場は今年に入り最低水準に落ちた。ウォンの価値が最近の国際通貨市場で人民元と同調化現象を見せていることが大きかった。メリッツ総合金融証券のイ・スンフン研究員は「今年末に2016年当時のようなウォン高ドル安現象が再現されると予想したが、貿易紛争が予想のシナリオとは異なって展開しドル高がさらに長く維持されるものとみられる」と話した。米ブルームバーグは21日、「貿易紛争から通貨戦争にシフトしている。両国が次第に対立し、株式や原油価格だけでなく、新興市場資産まで総体的な悪影響を受けかねない」と伝えた。

カギは今後の人民銀行の動きだ。トランプ大統領の警告にもかかわらず、人民元切り下げ政策を固守するかに関心が集まる。2015年8月に人民銀行が人民元切り下げを試みた当時、中国の経済成長が鈍化するだろうという恐怖感から世界の株価と原油価格が揺れ動いた。ウォールストリートジャーナルは「(過去の経験を考慮すると)中国政府が人民元を急速に切り下げたりはしないだろう」と予想する。外国為替市場参加者の間では1ドル=6.8元が心理的マジノ線とされている。

中国に過剰債務リスク 貿易戦争の悪影響は想定以上?世界経済の火種に

 21日のG20財務相・中央銀行総裁会議では、米国発の貿易摩擦に対する懸念の声が相次いだ。米国は貿易赤字の相手先では最大の中国を特に問題視し、削減に向けた強硬姿勢を崩さない構え。ただ、中国では企業が過剰な債務を抱えており貿易戦争で景気が後退すれば、企業業績悪化で不良債権が積み上がり金融不安が一気に広まりかねない。打撃は世界経済に跳ね返り、米国も自らの首を絞める事態に陥る可能性がある。

 「為替、金融のコミュニケーションができなければ(ならない)」

 麻生太郎財務相は21日の会議終了後、記者団に対し、米中の対立を助長する人民元の相場下落を念頭に中国の通貨政策を透明化する重要性を強調した。

 米財務省高官は17日の電話会見で、G20と合わせて開く予定の先進7カ国(G7)会議について「中国の経済侵略を議論する」と、中国相手に一歩も引かない姿勢を示した。G7では、鉄鋼産業への過剰な補助金といった、中国政府の不公正な慣行についても議論する見通しだ。

 足元で米中の貿易摩擦は激しさを増している。米国は6日、知的財産権の侵害を理由に約340億ドル(約3兆7800億円)相当の中国製品に25%の追加関税を課す制裁措置を発動し、今後も拡大するとしている。主要な標的は、軍事転用も可能なハイテク分野などの産業振興策「中国製造2025」で、中国も報復の関税措置に動いた。

 貿易量減少による中国経済への打撃は大きく、大和総研は、米中双方が輸入品500億ドル分に25%の追加関税をかけた場合、中国の成長率が0・1%押し下げられると試算している。

 もっとも、中国経済の構造的な問題を考えると「悪影響は予想以上に深刻になる」(第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミスト)。その問題の一つが中国企業の「過剰債務」だ。

 国際決済銀行(BIS)によると、中国の金融機関以外の企業の債務残高が国内総生産(GDP)に占める比率は2015年以降160%台で推移し17年10〜12月期は160・3%だった。バブル崩壊直後(1994年)の日本のピーク(150%程度)を上回る危機的水準だ。

 債務が膨らんだきっかけはリーマン・ショック直後の輸出急減を補い内需を拡大するため、中国政府が2008年11月に打ち出した4兆元(約66兆円)の大型景気対策。鉄鋼といった製造業を中心に、銀行融資などによる借金を増やし設備投資を急激に膨らませた。

 今後、貿易戦争で中国の景気が後退し企業業績が悪化すれば、借金を返せず倒産する企業が連鎖的に増える恐れがある。世界的な金利上昇の流れも、債務負担を重くする要因だ。債権を回収できなくなる金融機関の収益が悪化し破綻リスクが強まれば金融システムの不安も広がることになる。

 また、習近平政権がデレバレッジ(過剰債務の解消)を目指し、銀行や、非正規の「シャドーバンキング(影の銀行)」の規制を強化していることも心配材料だ。既に企業は資金繰りに窮しており、米メディアによると、中国の今年1〜6月の社債のデフォルト(債務不履行)は、前年同期比約36%増の計190億元に達した。

 GDP世界2位の中国経済が腰折れすれば、貿易量が減る米国や欧州、日本の経済鈍化につながる。中国へ進出してスマートフォンや自動車などを生産している各国の企業にも逆風だ。

 さらに金融市場にも混乱が広がる可能性がある。15年夏の「チャイナショック」では、人民元切り下げで中国経済の先行き不安が高まり世界同時株安につながった。今後、貿易摩擦の激化で中国経済の減速懸念が強まれば、一層の元安が進み、世界的な金融危機に発展しかねない。

 想定以上の悪影響が世界経済に広がり、「勝者なき戦い」(永浜氏)の無限連鎖となる恐れがある。

中国に貿易戦争を仕掛けた、トランプを待つブーメラン

<中国への強硬路線は大統領再選への道を開くどころか、自らの重要な支持層を痛めつける結果を招く>

貿易戦争が本格的に始まった。トランプ政権は7月6日、中国からの輸入品340億ドル相当に25%の追加関税を発動。中国も直ちに同規模の報復関税を導入した。両国はこれに加えて160億ドル相当の輸入品に対する関税措置を互いに計画している。

米政府は10日、対中制裁としてさらに2000億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を課す計画も明らかにした。これらの措置が全て実施されれば、中国からの輸入品の約50%が関税引き上げの対象になる。

トランプ大統領の貿易戦争に対する識者の反応は、おおむね批判的だ。有力エコノミストたちもほぼそろって、無謀で見当違いな政策だと非難している。

レーガン政権で行政管理予算局長を務めたデービッド・ストックマンによれば、トランプは「自分がやっていることの意味を理解していない」。経済の複雑性と相互依存性が高まっている今日、アメリカが中国と貿易戦争を始めれば、世界経済が壊滅的な打撃を受けかねないと、ストックマンは指摘する。

トランプの対中強硬姿勢は、16年米大統領選での過激な発言の延長線上にある。トランプは中国との貿易不均衡に終止符を打つと心に決め、20年大統領選での再選に向けて「アメリカ・ファースト」の政策に突き進んでいる。

中国政府に有利な戦い?
しかし、トランプにとって、これほど危うい行動はないかもしれない。中国に対する制裁関税の影響がブーメランのように戻ってきかねないからだ。

中国との貿易戦争は、もっと経済規模の小さな民主主義国を相手にするより格段にリスクが大きい。中国は巨大な経済を擁している上に、国を統治する指導部は選挙の心配をせずに済むからだ。

制裁関税は中国経済にかすり傷くらいは負わせられるかもしれないが、選挙の洗礼を受けない中国指導部は長期戦に持ち込む余裕がある。それに対し、アメリカでは、来年の今頃には次の大統領選のテレビCMが流れ始めるだろう。もし貿易戦争により株式相場が下落したり、物価が目に見えて上昇したりすれば、トランプは有権者の厳しい目にさらされることになる。

経済への影響次第では、自由貿易志向の強い与党・共和党内でもトランプに挑む候補者が登場するかもしれない。それでも、トランプが共和党予備選を勝ち抜けない可能性は小さい。共和党支持層での支持率は87%に達している。それでも、共和党支持者の投票率が前回より下がれば、本選挙で民主党候補に勝つことは難しくなる。

問題は、対中貿易戦争により、トランプをホワイトハウスの主に押し上げた主要支持層である農家が大打撃を受けかねないことだ。「トランプは自らの支持層を狙い撃ちにしているかのようだ」と、ある共和党の選挙戦略家はため息をつく。

特に大豆農家のダメージが大きい。下院には、大豆生産が主要産業の選挙区が30ある。16年大統領選ではこの全てをトランプが制し、現在の下院ではこのうち25議席を共和党が押さえている。しかし、今後の選挙で共和党がこれらの議席を失うことがあれば、議会がトランプの弾劾手続きに着手する可能性も高まりかねない。

トランプは特定のイデオロギーを持たず、衝動性と負けず嫌いな性格のせいで混乱を来している、とよく言われる。この見方には賛成しかねる。

ブルッキングズ研究所のトーマス・ライト研究員が大統領選前に指摘していたことが的を射ている。「過去30年間のトランプの発言を注意深く検討すると、常に一貫した世界観を持っていたことが分かる。大統領に当選したとしても、それはあまり変わらないだろう」

トランプは、今後もゼロサムゲーム的な世界観の下、商取引と同様の姿勢で外交に臨むに違いない。そうなれば、さらなる波乱は避け難い。シートベルトを締め直す時だ。

株・通貨「米国買い・中国売り」鮮明に

 「米国買い・中国売り」の動きが金融市場で強まっている。米中貿易摩擦が強まるなか、景気動向の違いなどから「米国は有利な立場で、中国は譲歩せざるを得ないのでは」との見方が強まっているためだ。ただ、経済規模で1、2位の大国同士による貿易摩擦の行方は読み切れないうえ、トランプ米大統領の場当たり的な動きがどんな影響を及ぼすかも不確実だ。

 米中の株・通貨は6月に入ったあたりから乖離(かいり)が鮮明になっている。5月末比で米ダウ工業株30種平均は3%上昇。一方、上海総合指数は9%下落し、7月上旬には約2年4カ月ぶりの安値を付けた。米ドルは通貨の総合的な実力を示す名目実効レートでみて5月末比で約1.5%上昇。中国人民元は4%強下落している。

 「米中の景気の方向性の違い」(三井住友アセットマネジメントの永見哲氏)がある。米国は大型減税の効果もあって、個人消費が伸び、企業の生産活動も活発だ。一方、中国ではインフラ投資が落ち込み、個人消費も弱含んでいる。過剰債務の削減の途上でもあり、「貿易摩擦が重なると景気の減速リスクが一段と強まってしまう」(米BNYメロン・インベストメント・マネジメントのリズ・ヤング氏)。

 経済構造の面でも「中国が不利」(三菱UFJ国際投信の石金淳氏)との声がある。米国に比べて中国は輸出依存度が高い。米モルガン・スタンレーの試算では米国による500億ドル(5兆6000億円)分の中国製品への25%の追加関税は、輸出減を通じて中国の経済成長率を0.1ポイント下押しする。仮に2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を追加すれば、中国景気への悪影響は0.3ポイントに拡大するという。

 また、中国は関税による対抗措置の規模が限られる。中国の米国からの輸入額は年間約1300億ドルと、米国の中国からの輸入額(約5000億ドル)の約4分の1にとどまるためだ。関税以外では米国製品の不買運動、人民元の大幅切り下げ、米国債の売却なども取り沙汰されるが「どれも中国へのデメリットが大きく非現実的」(SMBC日興証券の肖敏捷氏)。例えば、元切り下げは資本流出につながるリスクがある。このため、中国はいずれ輸入拡大などの譲歩策に追い込まれるとの見方が強まっている。

 もっとも、米中を含めた世界全体に打撃が広がり、「全員が敗者」となる恐れは否定できない。国際通貨基金(IMF)は18日、貿易戦争が激化すれば世界の経済成長率が0.5ポイント下振れするとの試算を公表した。

 トランプ氏の政策・発言の一貫性のなさもリスクだ。高関税で安い輸入品を締め出せば米国内でインフレ圧力が強まって、一段の利上げ・ドル高につながり、輸出競争力が低下して貿易赤字の削減はおぼつかなくなる。利上げ・ドル高をトランプ氏はけん制し始めたが、インフレを放置すれば実質賃金が低下して景気を冷やす恐れがある。場当たり的な「トランプ流」の帰結はまだみえず、「米国買い」がどこまで続くかも不透明だ。

Google、Microsoft、Facebook、Twitterがユーザーデータ移行プロジェクト「DTP」立ち上げ

 Google、Microsoft、Facebook、Twitterの4社は7月20日(現地時間)、ユーザーが自分のデータをサービス間で安全かつ簡単に移行できるようにすることを目的としたオープンソースプロジェクト、「Data Transfer Project」(以下、「DTP」)の立ち上げを発表した。

 ユーザーに、データをダウンロードして再アップロードする必要なしに、あるサービスから別のサービスに直接データを転送するためのツールを提供していく。

 欧州連合(EU)が5月に施行したGDPR(一般データ保護規則)への対応だが、EU以外の地域でも利用可能にする。

 Googleは2007年の「Data Liberation」立ち上げ以来、ユーザーデータのインポート・エクスポート機能の充実に取り組んでおり、YouTube、Gmail、Googleフォトなど、ほとんどすべてのサービスのユーザーデータをダウンロードできるようにしている。DTPではダウンロードの手間が省けるようになる。

 DTPは4社だけでなく、参加を希望する企業がデータ移行ツールを作れるオープンソースイニシアチブだ。ホワイトペーパーによると、参加企業がユーザーデータを「Data Model」に変換するAPIを構築することで、ユーザーは他の参加企業のサービスに直接データを移行できる。DTPは、Data Modelの標準化を目指している。

 既に、写真、メール、連絡先、カレンダー、タスクなどのData Modelのプロトタイプがある。Google、Microsoft、Twitter、Flickr、Instagram、Remember the Milk、Smugmugが公開しているAPIでサービス間でのデータ移行が可能だ。つまり、例えばFlickerの写真を直接Instagramに移行できるということだ。Data ModelやAPIを含む関連資料はGitHubで公開されている。詳細はプロジェクトサイトにもまとめられている。

2018年7月20日金曜日

Skype史に残るアップデート。待望の通話録音機能がついに公式導入けってーい!

Skypeユーザーにはとっても嬉しいニュース。この夏ついに、Skypeに通話録音機能が加わります。Skypeが初めてリリースされてから約15年、Microsoftに買収されてから約8年、通話録音はユーザー待望の機能でした。

アメリカ現地時間で16日の月曜日、MicrosoftはブログにてSkypeのあれこれアップデートを発表。まず、16日より最新デスクトップ版のヴァージョン8.0の配布がスタート。9月1日以降は、古いヴァージョンは使用できなくなるので、Skypeユーザーは8.0へのアップデートをお忘れなく!

ヴァージョン8.0リリースがメインニュースのブログではありますが、世間が注目しているのは、チラ見せ情報として、この夏にリリース予定のアップデートあれこれ。中でもSkype史に残ると言っても過言ではないアップデートが通話録音機能の搭載。

不思議なことに、今までSkypeに録音機能はなく、公式FAQページでも、サードパーティアプリを紹介していました。いわば、紹介するほどユーザーが必要とした機能だったわけで、正直、遅すぎる新機能と言ってもいいほど。

通話録音機能はクラウドベース。録音をスタートすると、通話相手(複数の場合は全員)に録音の通知が届きます。通話録音には、シェアされたスクリーンや動画も含まれます。なので、正しくは、録音ではなく通話記録システム、ですね。クラウドにあなたの会話置いておくねと言われると、不安に思う人もいる今日この頃…。これは、テクノロジーの発展と共にある、便利さとデータ漏えいの怖さを秤にかける問題で、結論はでません。まぁ、サードパーティの録音機能使っていた人からすると、本家が出してくれるのは願ったり叶ったりで、むしろちょっと安心感増しますけど。

録音機能の他にも、この夏のリリース予定として、iPad用のヴァージョン8.0、既読機能(アバターが誰がどこまでメッセージ読んだか表示)、テキスト&音声メッセを暗号化するプライベートメッセージ機能(Signal Protocol使用)が発表されました。

Microsoftとタッグを組んだWalmart 対Amazonで譲れるものと譲れないもの

 米Microsoftと米小売最大手のWalmart717日(現地時間)、小売分野でデジタルイノベーションを加速するため、5年間の戦略的提携を結ぶと発表した。WalmartMicrosoftの提供する最新ツールやクラウド、AI(機械学習)技術を使って自社の業務改善の他、Eコマース分野での協業など、デジタル技術において比較的広範囲に及ぶ。

 これは先日、「MicrosoftがAmazon Goに対抗しようとする理由」という記事でも触れた、Microsoftによる「レジなし店舗技術」の延長のようなものだと当初筆者は考えていた。Microsoftがリアル店舗での協業相手としてWalmartをターゲットの1社に選んでいたと報じられていたためだが、実際には市場での競合を巡る、より深い理由があるようだ。

WalmartMicrosoftと提携しても譲れないもの

 今回の協業では、Walmartは「Microsoft Azure」と「Microsoft 365」を含むクラウドソリューションを広範囲に利用し、同社ならびに関連ブランドでのIT業務を標準化する。

 これに伴い、両社の技術者らが協調して既存アプリケーションのAzure対応を進める。同様に、walmart.comsamsclub.comEコマースサイトのシステムも大部分をAzureへと移行し、米国内外でのシステムの競争力強化を図っていく。サプライチェーンの改善では機械学習を使うことでエネルギーの効率利用を実現し、Microsoft 365の業務への適用でコラボレーションツールをさらに活用していく。

 つまり、「Walmartやグループ内企業でMicrosoftの最新クラウド製品を本格導入することにしました」というわけだが、関連情報を調べる限りは「どのような分野にどの製品を導入したのか」という話よりも、「なぜWalmartMicrosoftとこのような契約を行ったのか」の背景の方が興味深いようだ。

 これを端的に示しているのが、米The Wall Street Journal(WSJ621日に報じた記事だ。それによれば、WalmartITソリューションを同社に提供するパートナー企業に対し、米Amazon.comWebサービス、つまり「AWSAmazon Web Services)」を使わないよう強要しているという。

 例えば、その1社であるデータウェアハウス(DWH)関連のソリューションを提供するSnowflake Computingでは、Walmart側からそうした要請があり、その結果としてMicrosoftAzure上でサービスを走らせる必要があったことを同社のボブ・マグリアCEOが認めているようだ。

 なお、マグリア氏は2011年までMicrosoftに在籍しており、当時CEOだったスティーブ・バルマー氏の下でWindows Serverやエンタープライズ向けアプリケーション製品を統括するトップとして活動していた人物だ。

 同様の動きは他の大規模小売店にも広がっており、ビデオゲーム販売店のGameStopのように引き続きAWSを使う企業がある一方で、事実上のAmazon締め出しを目的とした包囲網が構築されているという。

 その意図は「小売分野で競合となるライバル企業に一切の利益を与えない」という方針によるもので、Amazonにとって営業利益の源泉となっているAWSの影響力を削ぐことにある。

 営業利益率で2%前後の超低空飛行経営を続けるAmazonだが、利益率の高いAWS事業を除外すれば、その利益率はさらに低下するため、その調整弁となっていた顧客還元や研究開発投資への勢いを削ぐことで、結果的にAmazonの競争力を下げるという目算だ。

 もっとも、これで削げる競争力は微々たるものだとは思うが、単純に「ライバルに少しでも利する行為はしたくない」ということなのだろう。

 だが、いくら小売最大手で研究開発に投資する予算が大きいとはいえ、既にクラウドサービスでは業界最大手になっているAmazonWalmartが正面からぶつかるのは分が悪い。Amazonは一連のITやサプライチェーンにおける投資の本質として「データの収集と最適化」を目指している。

 WSJによれば、Walmart自身も対抗のために独自のクラウド運用を進めていたようだが、2016年に買収したEコマースサイト運営の米Jet.comを通じ、同サイトで利用していた「Azure」という外部サービスの世界に触れたようだ。

 恐らくは、今回の提携もAmazonの伸長を横目に見つつ、より素早く変化に対応するためのアジャイル開発体制が重要になることをMicrosoftとの新しい関係を経て学び、関係構築へと至ったのだろう。

 Amazon対抗という意味で協業相手を探したとき、「選択肢がMicrosoftしか存在しない」という理由もあるだろう。クラウドサービスの世界ではAWSが抜きん出たトップであり、2位以下は頭1つ飛び出たMicrosoftを除けば、Googleなどを含め競合がひしめき合っている。この状況を見る限り、やはりMicrosoftを選ぶというのは当然な判断かもしれない。

 一方で、Walmart自身は「コア」技術までMicrosoftに全てを委ねる気はないようだ。こちらもやはりWSJが報じているが、例えば「レジなし店舗」はWalmartの独自開発で進められていると、Jet.comの創業者でもあるWalmartの米国Eコマース事業担当のマーク・ロア氏が述べているという。

 米Reuters6月に「MicrosoftWalmartを含む世界の小売関係者に(レジなし店舗の)技術を売り込んでいる」と報じたが、少なくともWalmartはこの申し出を断っているようだ。

 これは、「どこが自社のコアビジネスで、どのような技術を自社でも持たなければならないのか」という視点で小売各社が判断をしている部分であり、それぞれの戦略が見えてくるようで興味深い。

成長市場にシフトしつつあるWalmart

 Walmartといえば612日(日本時間)に、日本の子会社である西友の売却に向けて大手小売や投資会社との交渉を進めていると日本経済新聞電子版が報じて話題となった。その後、Walmartはこれを否定するコメントを出したが、恐らく買収価格の交渉で折り合いがつかず、当面は安売りするよりは抱え込んでいた方がメリットがあると判断したのだと筆者は考えている。

 Walmartにとっては、労働人口の減少で売上増が期待しにくい日本より、人口が増え続けて需要も期待できる中国や東南アジア方面にリソースを集中した方がいいと判断してもおかしくない。

 実際、Walmartは世界での現地戦略を適時整理しており、最近は英国での活動母体だったスーパーマーケットのAsdaをライバルのSainsburyに売却した一方で、インドのEコマース事業者であるFlipkartをソフトバンクから株を買い取る形で買収するなど、成長市場にシフトしつつある様子がうかがえる。

 20181月に米ニューヨークで開催された全米小売協会(National Retail FederationNRF)の展示会「Retail's Big Show」にて、Walmartプレジデント兼CEOのダグ・マクミロン氏が世界戦略について興味深い話をしていた。

 「先進国でも途上国でも、つまるところ"安価で便利に商品を購入したい"という欲求に違いはないというのは、世界展開の中で学んだことだ。先日中国のある家庭に滞在中、女性が折りたたみ携帯でSMSを送信したところ、配達人が3つのきれいなトマトを木製のリヤカーで運んできた場面に遭遇した。方法は違えど、その国や地域に適した形で、より便利で安価な手段で小売の世界が存在している」と同氏は語る。

 重要なのは一元的な手段を広域展開するのではなく、その地域に根ざした戦略が存在するというのだろう。

ビル・ゲイツ vs. ジェフ・ベゾス

 一方でスケールを武器に拡大を続けてきたAmazonだが、この先どのようにさらなる拡大を続けていくのだろうか。716日にスタートした同社の一大セールイベント「Prime Day」では、米国でサイトがダウンするといったトラブルに見舞われるほど盛況だったようだ。

 CNBCによれば、Amazon.comAMZN)の株価は716日に過去最高となる1841.95ドルを記録。同社株を持つジェフ・ベゾスCEOの手持ち資産が1500億ドルを突破し、歴史上最大の富豪となった。これは、1999年に米Microsoft共同創業者であるビル・ゲイツ氏が1000億ドル(現在の価値に変換して1490億ドル)に達した水準を上回るものだという。

 
716日の米Amazon.comAMZN)の株価の動き(出典:Google Finance

 ここでもMicrosoft vs. Amazonという象徴的な構図を描き出しているが、小売分野で拡大しつつある両社の勝負の行方はどこに向かうのだろうか。

 

2018年7月18日水曜日

「レゴランド」19日から入場料大幅値下げ

 名古屋市港区のテーマパーク「レゴランド・ジャパン」は19日から、入場料を大幅値下げすると発表した。夏休みや年末年始などの繁忙期と通常時で価格を分け、1日券で大人は最大1900円、子ども(3〜12歳)は最大1600円安くなる。昨年4月の開業以来、利用客から「料金が高すぎる」と不満の声が絶えず、夏休みを前に大幅な値下げに踏み切った。年内は無休で営業することも決め、巻き返しを図る。

 運営会社は料金改定について「メインターゲットの子どもファーストの価格にした」と説明。1日券はこれまで子ども5300円だったが、新料金は繁忙期4500円、通常時3700円に。大人は繁忙期は6900円で据え置きだが、通常時は5000円に値下げする。事前購入するとさらに安くなる。

 年間パスポートも入場可能な時期や施設に応じた3種類のパスポートを新設し、料金もこれまでより割安になる。

格安SIM利用者シェアは楽天モバイル、総合満足度はLINEモバイルがトップ ICT総研の調査結果

 ICT総研は、717日に「2018MVNO格安SIMの市場動向調査」の結果を発表した。1679人に対するWebアンケートのうち、格安SIM利用者1227人の回答結果を基にしている。

 現在利用している事業者は「楽天モバイル」が25.7%でトップとなり、ケイ・オプティコムの「mineo」が16.1%、UQコミュニケーションズの「UQ mobile」が12.1%、インターネットイニシアティブの「IIJmio」が8.6%、NTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」が7.7%と続く。なかでも楽天モバイルとUQ mobileのシェア拡大ペースが目覚ましく、上位5事業者のシェア合計は70.1%まで進んだ。

 格安SIM利用者に対し、10項目の指標で聞いた満足度ポイントを100点満点換算した。「コストパフォーマンスの高さ」(平均76.8ポイント)や「最適な料金プランの有無」(平均74.8ポイント)など、料金面に対する項目が前年同様に他項目から相対的に高くなっている。料金面に対する項目の満足度ポイントは「LINEモバイル」が80ポイントを超えた。

 一方「ホームページ閲覧の品質・安定性」「ホームページ閲覧の速度」「動画視聴の品質・安定性」「動画視聴の待機時間・速度」などの通信品質面、「コールセンターのつながりやすさ」「コールセンターの対応」などのサポート面は相対的に低い。「ホームページ閲覧の品質・安定性」はLINEモバイル、「動画視聴の品質・安定性」はUQ mobile、「事業者に対する信頼性」は3年連続でIIJmioが満足度トップとなった。

 総合満足度はLINEモバイルが75.4ポイントでトップ。IIJmio71.0ポイントで次点、「BIC SIM」が69.0ポイントと続いた。LINEモバイルは全体的に際立って低い項目がなく、料金面やサポート面の項目でポイントが高いことが満足度に寄与した。

 

2018年7月17日火曜日

あなたの社会的信用はAIが評価する時代に? 統計家・西内啓が語る「信用スコア」の可能性とは

 AI(人工知能)があなたの社会的信用度を判断する──そんな時代が当たり前になるかもしれない。年齢、職業、年収、学歴、公共料金の支払い記録、ネットショッピングの決済状況、契約履行の履歴など、あらゆるデータから個人の信用をスコア算出する社会信用システムの試みが一部の国で始まっている。

 信用スコアは、個人のあらゆる素行を高度なAIや機械学習、クラウドといった技術で処理して算出しているという。データを細やかに記録、処理、管理できるようになった今の時代だからこそ実現できるこの仕組み。もしもこのトレンドが日本にもやってくるとしたら……?

 今回は、「あらゆるデータから人の信用を評価する仕組みは、データからその性質や規則性を見いだす『統計学』の考え方に近いのでは」という仮説を基に、シリーズ累計で40万部を超える『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)の著者である統計家・西内啓(ひろむ)氏に、AIを使った信用スコアによる社会信用システムの可能性や合理性を聞いた。

AI技術と統計学は似ている?
──今回は社会信用システムについてのお話を西内さんにお伺いするにあたり、そもそも膨大なデータを基に答えを推測するAIと、データから意味を読み取る統計学は近しいだろうという認識は合っていますか。

 そうですね、AIの第1次ブームと呼ばれる60〜70年代、そして80年代の第2次ブームでは、いずれも「コンピュータにロジックや知識を教え込めば、人間の知能をシミュレートできるはず」という研究が進められていました。しかし、いずれも行き詰まってしまいます。

 そこで80年代ごろから、統計学で使われていた確率や、データの中から一番当てはまるものを推定するといった概念が盛んに取り入れられるようになりました。GoogleのWebサービスなどで注目を集めているディープラーニング(深層学習)技術も、そうした考え方の延長線上にあり、裏側では統計学に近い数学的仕組みで動いています。

 一方で、AIと統計学で微妙な違いもあります。AIは人間が介入せずに「いい感じのものを勝手にやっておいてよ」というもの。仕組みや中身が人間には理解しづらいブラックボックスでも、正しい結果が出ればいい訳です。

 それに対して統計学は、「自分たちが興味のある結果に対して、原因がこれくらい関係しているよ」というものを探り出し、それに対処できれば世の中を良くしていけるのではという発想です。

 例えば、同じ電子カルテやライフログなどの健康データを扱ったとして、「この人はあと何年、生きられますか」「どんな病気になりそうですか」などをとにかく正確に推測しようというのがAIの仕事です。一方、「どうすればこの人がもっと長生きできるのか、運動したほうがいいのか、食事に気を付けたほうがいいのか──そういったものを考えていけば、もっと寿命が延びますよね」というのが統計学の考え方です。微妙に使い方が異なります。

AIで算出する個人の「信用スコア」は合理的か?
 信用スコアを既に取り入れている国と言えば、モバイル決済やシェアリングエコノミーなど、新しいテクノロジーの浸透が著しい中国だ。アリババの芝麻信用(セサミ・クレジット)を中心としたサービスが広まりつつあり、信用スコアによってクレジットカードの限度額や資金融資可能額が変化する。

 これらの取り組みは民間企業だけではない。中国政府は社会信用システムとして信用スコアを使い、国民が受けられる公的サービスの質の差を生じさせたり、公共料金の支払いが滞っていると公共交通機関の利用が制限されたりと、少々手厳しい政策も検討しているという。

 一方で課題もある。例えば「スコアのアップにつながる高額商品の購買履歴が手に入る」などとうたい、架空の取引を消費者に持ちかけ、手数料を取るようなケースだ。

──先ほどのお話で、AIが合理的な結果を導き出すものということがよく分かりました。その技術を使って個人の社会的信用スコアを算出する仕組みは合理的だと考えられますか。

 中国で普及しているサービスも含め、多くの信用スコアの算出方法は公開されていないと思いますが、「この条件を入れたら、こうなる」というのは、データを取ればハックできるでしょう。(スコアを算出する要素が)アンケート方式だと平気でうそをつく人もいるかもしれません。「犬を飼っていることにすれば信用が上がるらしいから、飼っていることにしよう」「趣味はクルーザーに乗ること、と書いておこう」などです。

 これはAI全般にもいえる課題と言えそうです。AIは基本的に「この先も続くとして、最適解はこれだ」という予測をします。大前提である「現状がこの先も続くとして」が変わってしまうと、一気に予測が外れてしまうリスクもあるでしょう。

 現在の社会で普及しているクレジットスコア(=支払い能力に関する信用偏差値)は人の生き死にを左右するほどではありません。しかし、より高度な社会システムとして信用スコアを扱うなら、今後はうそをつきにくいような形で情報を収集する仕組みが必要です。

 また、仮に信用スコアを算出するアルゴリズム自体が不正確だった場合、「あのデータに基づいて融資したら、貸し倒ればっかりじゃないか」となって、自然にそういったサービスは淘汰されていくのではないでしょうか。

──利用者側の視点ではいかがでしょうか。

 信用スコアの基になるデータソースが本人の同意を得て参照されるという前提であれば、(信用スコアを活用するかは)本人にとってメリットがあるかどうかですよね。お金を借りやすくなったり、金利が下がったりするといったメリットを取りに行くか、データを出さないかは大人としての自由意志でしょう。逆にいえば、本人の同意が得られているのであれば、サービス側は何に使おうと自由なのかもしれません。

 例えば「お金を貸す」ということは世の中で大事な役割をしていると思います。18世紀半ばに技術が大幅に発達したり、大企業が生まれたりした産業革命は、技術の進歩だけではなく、金融が進歩した時期でもありました。

 理屈的に「こういうことをすれば大きく稼げそうだ」と、機械や商売のアイデアを思い付いても、金融という機能が社会にないと、生涯をかけてお金をためておじいちゃんになる頃にやっと工場を建てられる──なんてことに。それでは経済は発達しづらいですよね。従来は全くお金を借りられなかった、もしくは高利貸ししかいなかった世界に、近代的な金融が発達したことによって、現実的に返せなくはないぐらいの借り方、貸し方が少しずつ広まり、産業の競争力が生まれました。

 それと同様に、従来の方法ではなかなかお金を借りられなかった人が、「学費が欲しい」「商売を始めたいからそのスキルを身に付けたい」など、生産性に寄与するような投資欲が自分の中で湧き起こったとき、信用スコアの存在によって貸す側のリスクを低減できる(=貸しやすくなる)のならば、大きな意義があると思います。

信用スコアは日本で受け入れられる?
──真面目に生きている人ほど得をしそうな仕組みではあります。中国で浸透し始めている信用スコアですが、日本でもこういったサービスは受け入れられると思いますか。

 今後、信用スコアが普及する鍵というのは、融資ならお金を貸す側、もしくは信用情報を利用したい側が信用スコアを使うことで、"低リスクで、もうけられた"という成功事例が生まれることですね。これに追従する人たちが続々と出てくるでしょう。

 今、お金を貸す側は基本的に「お金を貸して利息がこれぐらい取れます」「これぐらいの確率で貸し倒れます」という2つが期待値として黒字になるところでお金を貸していると思います。住宅ローンの審査で職業や収入を答える欄があるのもその期待値を計算するためですね。ただし、これは同業者もみんなやっていること。もっと精密で、競合が知らない期待値の予測方法があれば、それがそのまま競争力になります。

 もし、信用スコアをもとにミドルリスクミドルリターンで新しい人たちに融資できるようになれば、ビジネスの可能性が広がりますね。信用スコアを構成する、今まで見過ごしていたデータを使えば、予測精度はさらに上がるはずです。

──中国政府のように、国が信用スコアの仕組みを取り入れるといったことも考えられますね。

 もし政府がスコアを使った社会信用システムを大規模にやるメリットがあるとしたら、金融面での流動性を上げられるかもしれないという点ですね。

 放っておいてもお金が貸されない状況は、要するに銀行などお金を貸す側が「あの人たちにお金を貸しても、返ってくるか分からない……」と考えていて経済社会でお金が滞ってしまっている状態。これが信用スコアという政府のお墨付きで、しかも確かなデータを使っているという話なら金融の流動性は上がる。これは政府が全面的に取り組んでもいいメリットなのかもしれません。

 金融以外では、婚活のマッチングにも適していそうです。もともと、知り合いの紹介だと「生活力がありそう」みたいなフィルタリングは自然と働くと思いますが、現代のように仕事が多様化してくる時代では、自分の所属するコミュニティーにいないタイプの職業だと、どれぐらいの生活力や将来性を持つ人なのか判断できないかもしれません。

 さらに、現状は個人の信用度を測るスコアですが、アルゴリズムを変えれば同じデータソースから自分と相性がよさそうな人を見つけ出すマッチングの仕組みも構築できるのではないでしょうか。

──日本国内では、みずほ銀行とソフトバンクが共同出資して立ち上げた合弁会社J.Score(ジェイスコア)のサービス「AIスコア」が登場しています。ユーザーが質問に答えていくと、個人の信用力と可能性を表すスコアが算出され、さまざまな場面で活用できるようになるというサービスです。実際に使ってみると、信用力を測るのに本当に必要なのかと思うような質問が出て不思議です。

J.Scoreには、「お持ちのゲーム機を全てお選びください」「いつもどんなテレビ番組を見ていますか?」など、ユニークな質問もある
 「現時点では(この設問に)意味はないが、今後関係性が見つかるかもしれないものは試しにデータを取ってみよう」という作りなのかもしれません。自分ならそう設計しますね。その中で、「意外と個人の信用力や可能性を測るのに関係しているぞ」という設問を見つければ見つけるほど、精度の向上につながるはずです。

 例えば、全体平均としては持っているゲーム機と信用がそれほど関係しないけど、友達とルームシェアしている人に限れば特定のゲーム機を持っているかどうかで大きく信用が予測できるとか、そういうさまざまな組み合わせの中で過去に借金滞納歴があるかなどのデータを照らし合わせていくと、「何%の確率で、この程度の額なら返済可能」みたいなことが提示できるはずです。

 教育系の調査で子どもの学力を測りたいとき、学力に関連性が強い親の学歴や所得といったデータも収集したいとします。しかし、子どもの学力調査なのに親の収入を聞かれると回答者に引かれてデータの抜け漏れになってしまうことも。そこで「住まいは持ち家か賃貸か」「家に漫画や雑誌を除いた本が何冊あるか」など、収入や家の教育レベルに関係しそうな質問を入れるなんてことをします。

 一見、本来の調査とは関係なさそうな設問でも、実は相関が強いみたいな設問をこっそり見つけておくと、調査の精度向上につながるわけです。

勉強する人としない人で10年もの時代感覚の差が生まれる?
──J.Scoreの「AIスコア」は、中国などの社会信用システムとは似て非なるもので、自身の可能性を広げてくれるようなスコアです。個人の信用やスキルが判断されるとしたら、多くの人はスコアを上げたいと思うはずです。どういうことを意識するべきだと思いますか。

 スキルアップの観点なら、私はよく「鬼のように勉強するといい」と言っています。一番進んだ勉強というのは学術論文を読むことですね。新しい技術が出てきたときに、その基礎理論が頭に入っている状態から情報をアップデートする人と、2次3次の情報を取り入れる人では、10年くらい時代感覚の差があると感じています。この差で仕事の出来は大きく変わってくる。

 確実にデータ上でいえるのは、人も1つの資本であること。自分の人的資本に投資すればそのリターンは返ってきます。例えば、英語を話せるかどうかだけで、年収は100万から200万も変わる。同じ技量のプログラマーがいたとしても、英語が話せるだけで外資系でもスムーズに働けるかもしれない。英語が喋れないことが就職先の限界になることも考えられますね。

 よく社会に出てから(学校で習った)勉強が役に立たないという大人がいますが、大ウソだと思っています。私は受験生の頃や大学院生の頃が生ぬるく感じるくらい、今でも鬼のように勉強していますが、すごく仕事に役立っている。多くの社会人は最低限、自分が関係する周辺領域で興味のある専門書を少なくとも年間1冊きっちり読み通すだけで、大人の上位何%かの勉強度合いには入れるのではないでしょうか。ほとんどの人ができていないことはアドバンテージになると思いますね。

社会的信用がスコアで判断される時代がやってくるかも
 個人の信用力をスコアで測る仕組みが、今後日本でも身近な存在になるかもしれない。そして、そのスコアが自身のスキルアップを手助けする強力な武器になる可能性も。自身が現時点でどの程度の信用力を持っているのか。スコアの算定だけならニックネームで使える「AIスコア」をまずは第一歩として試してみて、自分の信用力と将来の可能性を確認してみてはいかがだろうか。

2018年7月13日金曜日

「高関税、長引けば悪影響」 FRB議長、輸入制限を懸念

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は12日、米ラジオ番組でトランプ米政権が仕掛ける輸入制限に触れて「高関税が長期にわたって課せられれば、米景気に悪影響をもたらす」と指摘した。関税引き上げが物価上昇と景気悪化を同時に招くリスクを指摘して「(金融政策は)極めて難しい局面に置かれるだろう」とも懸念した。

 トランプ米政権は340億ドル分の中国製品に制裁関税を課し、日本や欧州、カナダなどからの鉄鋼・アルミニウムにも輸入制限を発動している。パウエル氏は「第2次世界大戦後、関税の引き下げによって貿易は拡大し、生産性や所得の向上に役立ってきた」と述べ、輸入制限の弊害を指摘した。そのうえで米国の輸入制限が長引けば「我々の経済に悪影響をもたらすだろう」と各国との貿易戦争を懸念した。

 米経済の基調については「少なくとも今後3年間は、大型減税が需要と経済活動を十分に支えるだろう」と強気な見通しを示した。足元の失業率の低下が「賃金と物価を押し上げる要因となる」とも強調した。もっとも貿易戦争が長期化すれば「インフレと景気悪化が起きて、極めて難しい状況になると想定できる」と警戒した。

 一方でパウエル氏は、トランプ政権を擁護する姿勢ものぞかせた。「貿易は特定の地域や特定の人々に負の影響をもたらした」と述べ、グローバル化で雇用を失うなどした労働者層への対処が必要との認識を示した。「現政権は(貿易相手国の)関税を引き下げることが目的だと話しており、それは米国にとって良いことだ」とも指摘。「結果を予測するのは非常に難しい」として、表立った政権批判は控えた。

ヤフーもLINEに対抗してQRコード決済手数料0円を準備——加盟店開拓している現場を偶然にキャッチ

 今週の日経電子版「モバイルの達人」では、ヤフーがQRコード決済サービスを決済手数料0円で提供すると報じた。QRコード決済における決済手数料0円は、LINEが6月28日に行った事業戦略説明会で「決済革命を起こす」と宣言したばかりだ。

 ヤフーがLINEに対抗して来たかと思いきや、実はヤフーはLINEよりも先に決済手数料0円で加盟店開拓を行なっていた模様だ。

 今回、モバイルの達人で、ヤフーの決済手数料0円をスクープ的に報じることができた。記事中では「筆者の取材で明らかになった」と書いたが、実は偶然の賜物といえる棚からぼたもち的な記事に過ぎなかった。

 今週、連日の猛暑の中、ちょっと時間ができたので、15年以上通う理髪店で散髪してもらっていた。

 仰向けになり、目のところにタオルをかけられて、ヒゲを剃ってもらっていたら、理髪店のドアが開き、「ソフトバンクですけど」と訪問してくる人がいた。

 その様子はタオルをかけられていて見ることはできなかったのだが、店主が髭剃り中で忙しいということで、ソフトバンクを名乗る男は資料だけを置いて引き下がった。

 ヒゲ剃りが終わり、起き上がると、店主が、その資料を見せてくれた。そこには「ヤフーが10月からスマホ決済サービスを開始。決済手数料・入金手数料・初期費用はすべて0円」という見出しが躍っていたのだ。

 ヤフースマホ決済のメリットとしては、QRコードの店舗掲示型であるため、店舗は、QRコードを店頭に紙で貼っておくだけでいい。スマホアプリの操作をするのは客であり、客がスマホアプリでQRコードを読み取り、金額を打ち込むことで決済が行われ、店舗側がその画面を確認して支払が完結する流れだ。

 実際に、理髪店の店主は「個人経営だとクレジットカード決済を導入したくても、手数料で5%もとられるのはつらい。決済手数料0円はちょっと気になる」と興味を示していたものの「客が踏み倒して、こちらの収入がゼロになったら困る」と、ボヤいていた。

 そういったリスクは決済事業者が負っているものだが、多くの個人で経営している理髪店や飲食店の店主の理解はこの程度なのだろう。

 営業マンは、ヤフーよりもソフトバンクと名乗った方が、話が早いと判断しているのだろう。しかし、店主によれば、名刺にはリクルートと書いてあるという。

 おそらく、ヤフーがリクルートの代理営業を使っているか、ヤフースマホ決済がリクルートのAirレジに対応する可能性が高そうだ。

 ヤフーも、こうした加盟店開拓をしていたら、どこかのタイミングでメディアにバレてしまうのだから、まずはプレスリリースで決済手数料0円をアピールしてから、加盟店開拓を始めれば良かったではないだろうか。

 いずれにしても、記事になるネタというのが、意外なところで見つかるということが改めてわかった気がした。

2018年7月11日水曜日

米、対中追加関税22兆円分に10% 9月にも6031品目

 トランプ米政権は10日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の追加措置案を公表した。衣料品や食料品など2千億ドル(約22兆円)に相当する6031品目の輸入に10%の追加関税を課す。発動は9月以降になる見通し。7月6日に課した関税に対して中国が報復に動いたため、追加関税の対象を広げて対抗する。中国側もさらなる報復に出る構えを示しており、両国間の対立は一段と激しくなりそうだ。

 米通商代表部(USTR)がまとめた品目リストの原案は衣料品やスポーツ用品、かばん、家具、テレビのほか、水産品や農産品などの食料品を盛り込んだ。6日に発動した対象品目に比べて一般消費者向けの製品が目立つ。携帯電話やパソコンは含めていない。

 USTRは8月末まで公聴会を開くなどして、意見を公募した上で最終リストを確定する。

 米政権は既に500億ドル分の中国製品に25%の関税を課す方針を決定。このうち産業用ロボットや電子部品など818品目、340億ドル分を7月6日発動した。中国は即座に大豆や自動車など同額分の米国からの輸入品に報復関税を課した。米国は残り160億ドル分について、7月末までに意見募集を終えた後で発動するが、トランプ大統領は月内への前倒しも示唆している。

 トランプ氏は6月18日、中国が報復に動いた場合は追加措置を打ち出すと表明。2千億ドル分の対象品目を選ぶようUSTRに指示していた。米政権は原案の公表によって追加措置が単なる「脅し」ではないことを明確に示し、中国との今後の協議で対米貿易黒字の削減やハイテク分野への支援縮小、知財保護などの譲歩を促す狙いがあるとみられる。

 USTRのライトハイザー代表は10日の声明で中国による報復に関して「国際法上の正当な根拠がない」と批判した。米国の対中輸出額は約1300億ドルと中国からの輸入額より小さいため、同規模の関税をかけ合っても中国側の措置の方が対象となる割合が大きくなると指摘し、追加措置の必要性を強調した。

 米国の関税は追加措置を含めれば2017年の中国からの輸入(約5056億ドル)の半分を対象にする形になり、米国経済への副作用も大きくなる。トランプ氏はさらに3千億ドル分の追加措置にも言及。合計すれば5千億ドルを超え、中国からの輸入品全体に及ぶ。

2018年7月10日火曜日

ドンキ店内に「宅配ロッカー」「フリースペース」出現 多様なニーズに対応

 ドンキホーテホールディングス(HD)は7月9日から、ドン・キホーテの既存店舗内に宅配ロッカーとフリースペースを設ける取り組みを始めた。前者は宅配便の再配達の削減、後者は顧客満足度の向上が狙い。まずは「MEGAドン・キホーテ ラパーク成東店」(千葉県山武市)で試験運用を行い、多店舗展開を検討する。

 顧客が各種EC(インターネット通販)サイトで買い物をした際、配送先に近隣の「ヤックスドラッグ成東店」(千葉県山武市)を指定すると、荷物が届くと要望に応じて同店舗のスタッフがドンキ内の宅配ロッカーまで商品を運ぶ仕組み。「メルカリ」などで中古商品の個人売買を行う際の配送先としても指定できる。

 ロッカーに荷物が収納されると、顧客のスマホに通知が届く。受け取る際はスマホにバーコードを表示させ、ロッカーの読み取り機にかざすことで扉が開く。

 フリースペースには、デスクやソファといった設備のほか、無線LAN(Wi-Fi)も完備する。ドンキホーテHDは「食事、勉強、ビジネスなど、来店者に1人の時間を楽しんでほしい。コワーキングスペースとしての活用も可能だ」(広報室)と話している。

就个人而言,围绕创新我们可以做些什么?


我想借此机会对在座每一位毕业生同学谈谈对你们的希望,权当对你们的临行嘱托。

  

这里,我主要谈六个方面。

  

第一,养成并保持学习的能力。

 

我在每一次开学典礼上都要谈一个话题:上大学是为了什么?我认为两件事情最为重要:一是掌握学习的能力,二是养成合作的习惯。掌握了学习的能力和拥有合作的习惯,才能事业顺利,缺一不成。

 

在我看来,学习的能力不是指掌握知识和技能,而是指认知世界、理解世界的能力。我们已经知道"知识越多越反动"这句话是错误的,我还要说培根的"知识就力量"这句话也是有时代局限的。在今天信息爆炸的时代,信息和技能永远在过时的道路上。人的一生只有不断掌握并增强自身的学习能力才能不落后于时代。

 

这也是真正的大学教育的宗旨。

 

耶鲁大学的前校长理查德.莱文曾经说过一句话:如果一个学生从耶鲁大学毕业之后居然掌握了某种很专业的知识和技能,那是耶鲁教育的失败。学习的能力不仅仅来自阅读,更多的还有走出去看世界、观察世界、思考世界、品味世界,只有这样才能够拥有开阔的视野,体会、了解人类的诸多不同,这会使人更加宽容。宽容是人类最高的智慧之一,它会使人类增进幸福。

  

第二,独立思考的能力。

 

没有独立思考的个人,不会产生创新性社会。

 

我们都看过电影《阿凡达》,导演卡梅隆70多岁时拍了这部电影,我看后曾说过一句话:这是基于人类的想象达到了人类想象的边界。为什么他可以拍出这部片子?是由于他幼年时代的幻想、对世界的好奇心到了70多岁依然如故,没有被泯灭。

 

好奇心、想象力在今天的中国,在座各位还剩下多少?我真的不敢恭维。大家从幼儿园走到今天,基本上是做着标准答案走过来的。


在毕业典礼上,本应对大家说些鼓励的话,但是我还是想严肃地跟大家说,在各位今后的生活当中,如果没有好奇心和想象力的话,将是人生的悲剧。

 

好奇心和想象力塑造着一个人的偏好和喜好,没有自身喜好的人生或者说有自己的喜好却被父母和其他人强行改变的人生是非常恐怖的。这样的人多了,这样的人组成的社会也一定是恐怖的。所以,学习能力加上独立思考,是形成创新性社会的基本条件。

  

第三,自主选择的能力。

 

经济学是一门研究资源稀缺条件下行为主体如何选择的学问。

 

在计划经济条件下,我们基本上是不需要选择的。我上小学、中学的时候,感到自己没有什么选择,因为组织上已经替我选好了,不是上山下乡,就是到工厂接班。其实那时也没有什么痛苦,想起来很快乐。

 

今天,同学们的选择非常多。早晨起来你会选择是到A食堂还是B食堂或C食堂吃早餐,要选择上李老师的课、赵老师的课还是张老师的课。选择是有成本的,起码有机会成本,但不论怎样,市场经济条件下自主选择的成本再多也是必要的,市场经济就是由无数的选择组成的。

 

今天,在应试教育体制下大家还有多少自主选择能力?近几年经常遇到大学同学、朋友打来电话,说我孩子或者亲属今年要高考了,请你跟我说说哪个专业更好?我问他们孩子自己喜欢什么?经常的回答是"不知道"在座的各位家长,你们可能更清楚是不是这样。这是很悲哀的一件事情。

 

在我上课提问时,很多同学不敢正视我的眼睛,目光所到之处他们基本上都是放下眼帘,好像他不看我我就看不到他一样。没有问题意识,提不出问题,也自然缺乏自主选择能力,这是个恶性循环。

 

具有学习能力的人,能够独立思考的人,也一定是拥有自主选择能力的人,自然是创新能力很强的人。

  

谈及自主选择能力,我想谈一点个人体会。现在大家都已基本上选择好了职业,未来还可能有许多新的选择,今天谈这些体会还不晚,也许对你们有参考。经济学强调发挥比较优势,但在做出人生选择的时候,应该注重自己的比较劣势。就是说,你要知道自己的缺点和不足。

 

什么是理性?理性就是知道自己是无知的,或者说知道自己的不足。

 

当你深入了解这些之后,比如在选择职业的时候,就要尽力回避因自身缺陷或不足难以胜任的领域。这样做,不仅避开了自己的不足,实际上也是选择了你的比较优势,而且会使自己更加快乐、宽容。

 

你不会见到某同学去金融机构做的很好,便产生凭啥我不能去金融机构、大学时我金融学成绩比他好之类的不正常心态。冷静地了解自己的比较劣势会让你有一个健康心态,你会认为那个同学成功是因为他确实很优秀,而在他很优秀的那个方面,我却是不足的。

 

所以,了解自己的不足却不回避,一味地同他人比较,盲目跟风,无异于人生的铤而走险。

  

第四,审美能力。

 

如果展开一幅世界经济地图,你会发现每个国家都有自己的比较优势,如美国出口的是金融服务,日本出口的是制造业技术,中国人出口的是劳动力,欧洲人出口的是古老的贵族文明积淀下来的审美,几乎所有的奢侈品都来自欧洲。审美是一种历史积淀,前提是一个国家历史、文化的连续性。

 

这个话题其实是很沉重的,在此我只想谈谈自己的体会。对个人而言,审美是一种品质和修养。一个审美能力低下的民族不仅素养、品格不高,道德水准也会有问题。

 

迄今为止,大家的审美能力基本上都是从父母那里熏陶出来的,问题是在座的各位父母都是"文革"后的一代,这在很大程度上是问题所在。

 

我非常高兴地看到,在今天的毕业典礼上,大家都穿着皮鞋,穿着带领子的正装,我跟赵勇书记提出过毕业典礼上同学们的着装要求。为什么?看看我们的校园里,许多男同学穿着一条大短裤,露着带毛的双腿,穿一双拖鞋,身披庄严的毕业礼服满校园逛。

 

你们觉得美吗?今天,走在世界上任何地方,判断一个人是否是中国人的标准,基本上就是服饰与行为。

 

针对个体,主要看服饰,相对于其他亚洲人,中国人的服装搭配比如衣裤、鞋帽、鞋袜等的搭配基本是不合体的,远远一看便知道是中国人,在亚洲人里韩国人喜欢穿着鲜艳,穿的素雅且搭配合理的多半是日本人。如果是团体,看到一个人在说,几乎所有人在听是日本人;一个人在讲,一半人在听,一半人乱乱哄哄的是韩国人;一个人在说,少数人在听,多数人各干各的,大多是中国人。

 

审美是一种尊严意识,是一种自我尊重也是对别人的尊重。

 

在庄重的场合,一个没有仪式感的人、着装随意的人既是对自己的贬低,也是对他人的极大不敬。

 

在更大意义上讲,审美可以让人知晓世界上的美好与丑恶,它告诉每一个人,人类的行为应当是有底线的,知道有些事情是绝对不可以去碰的、不可以去做的,而不是为达目的不择手段。

 

这样,我们社会的道德水准才会有所提升。

  

第五,战胜困难的能力。

 

人生中困难是常态,幸福是短暂的,海明威说"勇气就是优雅地面对压力",人的一生中能成为优雅的人太难了,这也是我自己经常苦恼的问题。

 

有时候,我跟同事说话时会忘乎所以,事后会反思自己的不优雅。但是优雅地面对压力真的是很难的一件事情,一个人在压力面前如果能做到优雅的话,这本身就说明你真的能够把困境作为常态。这一点对大家未来的人生、工作非常重要,会增进你的幸福感。

  

最后一点,要做一个具有使命感的人。

 

我不想在这里空谈使命感,不要把它看作离我们很遥远的神圣之物。

 

一个人做好自己每一个人生阶段中应该做好的事情,把自己喜欢做的事情尽可能地做到极致甚至像清教徒那样对待自己喜欢的职业并愿意为此努力一生,你就是一个具有使命感的人。所谓工匠精神,本质上与这种对职业的敬畏和使命感的理解与坚守密不可分。

 

工匠精神与功利主义无缘。

  

在此我还想强调的是,今天的中国已经不是国土沦丧、家破人亡的民族危亡状态,而是处在快速崛起的进程当中,过去的"为中华崛起而读书"不应当是现在大家读书、学习的目标。

 

今天的中国面对着前所未有的经济全球化的大环境、面对着如何成为创新性国家的重任,只有我们每一个人、在座的每一位毕业生同学成为真正的人,即成为具有学习能力、独立思考能力、自主选择能力、审美能力、战胜困难能力和有使命感的人,你自己的一生才会幸福,我们这个社会才能不断进步,中华民族才真的有希望。

  

最后,我祝愿大家健康、幸福、事业有成!但是我更想说的是,健康和幸福更为重要!




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