2018年10月29日月曜日

日立化成 揺らぐ信頼、半導体も 顧客に捏造数値提出

 化学大手、日立化成で、産業用鉛蓄電池の品質検査データ捏造(ねつぞう)に続き、半導体材料分野でも検査不正の疑いが浮上した。複数部門での不正が明確になれば、同社の信頼失墜は避けられない。昨年から大手製造業で品質に関する不正が相次いでおり、日本の「ものづくり」への信頼は揺らぐばかりだ。

 同社は今年6月、ビルや工場、原子力発電所などの非常用電源として使われる蓄電池について、品質検査のデータを捏造する不正があったと発表した。顧客と取り決めた検査方法とは別の独自の手法で検査し、顧客に提出する資料には捏造した数値を記入していた。2011年4月〜18年6月、約500社に約6万台を納入。「品質や安全性に問題はない」(同社)としている。

 この際、設置したのが外部の弁護士らでつくる特別調査委員会だ。原因究明などを進めているが、当初2〜3カ月をメドとしていた報告書はいまだ公表されていない。調査の過程で、新たな不正が見つかった可能性がある。

 今回の不正疑惑について、日立化成から連絡を受けた半導体メーカーは「取引先と決めた検査方法と異なる方法だったと見られる」としている。性能については「問題はなさそう」としているが、日立化成は半導体材料分野で業界上位の製品も多いだけに、半導体産業全体に影響が広がる可能性もある。

 日立化成は「調査結果の報告を受けた後、速やかに公表する」とコメントした。6月には明確化していなかった経営責任も、問われることになりそうだ。

 親会社の日立製作所は中西宏明会長が経団連会長を務める。昨秋以降、発覚した品質不正は、神戸製鋼所や三菱マテリアル、東レなどの素材メーカーから、日産自動車やSUBARUなど自動車メーカーまで名門企業が多い。最近では油圧機器メーカーKYBや川金ホールディングス(HD)による免震・制振装置の検査データ改ざんが見つかった。現場のコンプライアンス(法令順守)意識の低さや、品質管理を経営課題ととらえていない経営トップの認識の甘さなどが共通している。

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