2016年12月27日火曜日
ホワイトハウス、人工知能関連技術の発達に向けた施策を検討したレポートを公開
レポートによると、AIには多くの利点があり、AIへの投資や研究開発はを推し進めるべきであるとしたうえで、AIが浸透した社会に対応するための教育を子供だけでなく大人にも提供していく必要があるとし、さらに社会構造の転換に対応するための労働者対策も必要だとしている。
レポートではAIによって今後10〜20年で米国の仕事のうち9〜47%が脅かされるという数字も紹介されている。
2016年12月20日火曜日
特定の脳活動に対し報酬を与えることで、知覚した物事に対する「確信度」を操作できるという研究結果
人間は物事を知覚した際に、その「確信度」によって異なる脳活動を行うという。この脳活動を外部から観測し、「確信度を下げたい」場合には確信度が低い脳活動に対し報酬を、「確信度を上げたい」場合は確信度が高い脳活動に対し報酬を与えることで、確信度を誘導できることが分かったという。なお、実験は10人の被験者に対し行われ、報酬は金銭で与えられたという。また、被験者はこのような「確信度の操作」が行われていることには無自覚だったという。
この研究結果は精神疾患等の治療に有用であるいっぽう、洗脳などに使われる可能性もあるようだ。
鶏の有精卵にレーザーを当て雌雄を見分ける技術が開発される
この技術は、産卵後4日の段階でレーザー光を卵に照射して画像を撮影し、画像処理によって雌雄を判断するというもの。オスの卵はレーザー光を照射すると、特定の波長でメスの卵とは異なる反応が見られるという。この技術を380個の卵に適用して判断したところ、その正答率は93%だったそうだ。
2016年12月16日金曜日
Aging Process May Be Reversable, Scientists Claim
A new type of gene therapy is showing promise in reversing the aging process. The scientists are not claiming that aging can be eliminated, but say that in the foreseeable future treatments designed to slow the process could increase life expectancy.
The Guardian explains the scientists' experiment in its report: "The rejuvenating treatment given to the mice was based on a technique that has previously been used to 'rewind' adult cells, such as skin cells, back into powerful stem cells, very similar to those seen in embryos. These so-called induced pluripotent stem (iPS) cells have the ability to multiply and turn into any cell type in the body and are already being tested in trials designed to provide 'spare parts' for patients. The treatment involved intermittently switching on the same four genes that are used to turn skin cells into iPS cells. The mice were genetically engineered in such a way that the four genes could be artificially switched on when the mice were exposed to a chemical in their drinking water. The scientists tested the treatment in mice with a genetic disorder, called progeria, which is linked to accelerated aging, DNA damage, organ dysfunction and dramatically shortened lifespan. After six weeks of treatment, the mice looked visibly younger, skin and muscle tone improved and they lived 30% longer. When the same genes were targeted in cells, DNA damage was reduced and the function of the cellular batteries, called the mitochondria, improved. Crucially, the mice did not have an increased cancer risk, suggesting that the treatment had successfully rewound cells without turning them all the way back into stem cells, which can proliferate uncontrollably in the body." The study has been published in the journal Cell.
「アベノミクスは失敗だった」と声高に言いづらい空気の原因
「アベノミクスは失敗だった」と、はっきりと言えないのはなぜだろう?
異次元の金融緩和を行った上で財政出動(公共投資)を行い、民間投資の喚起を目指して成長戦略も推進する。そのことでデフレを脱却し、経済成長を促す。これが2013年にブームとなったアベノミクスの「三本の矢」だったのだが、足もとの状況を見る限り、とても成功したとは思えない。
目玉政策だった金融緩和については次第に「黒田バズーカ」が不発になり、経済成長の実感が持てない上に、2%のインフレ目標も達成できるどころか、デフレに逆戻りする雰囲気が出始めている。
どう考えてもアベノミクスは失敗なのだが、メディアでは色々議論がなされつつも、「失敗」と断言しているケースは稀だし、国民の世論もそこまでの空気にはなっていない。これは不思議なことではないか。
なぜかというと、アベノミクスはラッキーなのだ。今回はアベノミクスをめぐる「3つの好運」について述べてみよう。
1つめのラッキーは中国の経済回復だ。そもそもアベノミクスは、2013年に日経平均株価の大幅上昇によってブームとなった。しかし、その因果関係を考えると、三本の矢で日経平均が上昇したというよりも、中国景気のおこぼれがやってきたという方が正しい。
中国人が一斉にスマホを買うようになったので、日本の電子部品株やスマホケースを削る工作機械株が上昇したり、中国人観光客が銀座で爆買いするようになったので百貨店株が上昇したりした。都心の湾岸エリアの不動産価格が高騰したのも、中国人の富裕層がタワーマンションに投資をしたからだ。
ところが2015年夏にチャイナショックが起きて、中国の経済成長が減速しそうになったとたん、日本経済も失速した。この頃から「アベノミクスに限界が来た」と言われるようになったが、何のことはない、中国景気が失速しただけのことだ。実際、その後の1年は、黒田バズーカを何発撃っても日本経済は冴えなかったではないか。
ところが今年の夏あたりから、中国経済が持ち直し始めた。国際的なダンピングで余剰の鉄鋼を売りさばき、意味のある公共投資に力を入れた結果、どうやら目先の中国経済は最悪期を脱したようだ。
それで中国の景気が戻ってきた結果、以前のように様々なコモディティ(資源)の価格が上昇してきた。また中国の実需が世界相場を押し上げ始めたのだ。これが1つめのラッキーだ。現時点では、多くの日本企業が再び中国景気の恩恵を受けられるようになり始めた。
● 中国とトランプの追い風で 責任がうやむやになった「ラッキー」
2番めのラッキーはトランプ氏だ。大統領選挙前までは1ドル=100円台の円高傾向にあったが、直近の為替は1ドル=117円とアベノミクス全盛時の円安に逆戻りした。
このメカニズムの説明には色々あるのだが、定説で言えばトランプ氏が大統領就任後にアメリカ国内に対して大きな財政出動をすることを表明していることが、為替変動の引き金となった。「アメリカ政府がたくさんお金を使うぞ」というのでアメリカにグローバルな資金が集まり、ドルが買われて円安になった。
そして1ドル=90円台の円高に突入することを覚悟していたトヨタ自動車や日産自動車、ファナックや日本電産といった製造業は、逆に為替レートが振れたことで息を吹き返した。
つまり、三本の矢とまったく関係ないところで、中国とトランプ氏という2つの要因により、景気回復への期待が高まり、株価が上がるというラッキーが起きたわけだ。
言い換えると、アベノミクスは失敗しても、足もとのエコノミクスはいい感じになってきたということだ。しかしなぜ、このような状況で誰も声高に「アベノミクスは失敗した」と言えなくなったのか。そこに3番めのラッキーが関係してくる。それは、朝日新聞が安倍政権の経済政策に対して名付けた「アベノミクス」という呼称が、世間に定着してしまったことが理由だろう。
これがもし「異次元緩和政策」のような呼称だったとすれば、「結局経済を持ち直させたのは、異次元緩和ではなく中国とトランプだったよね」というように批判しやすいのだが、「アベ」という呼称がついてしまったがゆえに、政策を批判することと権力者を批判することが、同じになってしまったのだ。
● 経済政策の呼称に首相の名前が 入ってしまったという不幸
本質的には、安倍総理が打ち出した異次元緩和政策には限界が見えてきた。外的要因で我が国の経済は持ち直してきたからこそ、ここで新たな政策を打ち出そうというような議論が、本来ならなされるべき局面にある。
しかし、固有名詞がアベノミクスになってしまったがゆえに、安倍政権が続く限りは、アベノミクスを見直そうとは誰も言えなくなってしまったのだ。そして、もしこのまま2017年の経済が2016年よりも良くなったとしたら、アベノミクスの失敗の検証や政策の見直しなど、政治家は誰も口に出せなくなってしまう。自民党の総裁選挙が近づくので、アベノミクス批判は「イコール安倍批判」と取られかねなくなってしまうという理由も大きい。
実は、黒田日銀総裁のマイナス金利政策がうまくいかないのは、経済学的に説明ができるそうだ。経済学では「貯蓄イコール投資」という恒等式がある。古典経済学では「カネ余りでもマネーが投資に向かない」などという現象は本来起きない。ただ、この恒等式が成立するためには、利子率が自然利子率(景気を緩和するでもなく引き締めるでもない中立的な利子率)と同じになる必要がある。
そして数年前からヨーロッパで問題になってきたのが、どうやらその自然利子率がマイナスになったらしいということだった。
簡単に言うと、以前は金利を下げれば投資が活発になったところが、現在では市中金利が(公定歩合がではなく)マイナスにならないと投資が活発にならないということだ。不思議な話だが、「貯金をすると金利がとられる、借金をすると利子がもらえる」という状態になることが、世の中で投資が活発になる条件になってしまったのだが、現在のレベルのマイナス金利ではそうはならない。つまり日銀のマイナス金利は自然利子よりもまだ高すぎて、効果が出ないということらしい。
しかし、銀行にお金を預けたら金利が取られるという政策が今の日本で実現できるとは思えない。だから黒田バズーカは不発になるし、アベノミクスはうまくいかない。この手詰まりについてきちんとした議論をすべき時期に来ているのだが、国民にとってアンラッキーなことに、「アベノミクスは失敗した」と声高に言えない状況が続いているのだ。
2016年12月15日木曜日
鴻海とシャープ、Samsung向け液晶パネル供給中止
液晶パネルの価格低迷で赤字に陥るなど経営が悪化しているSDPが、販売交渉でパネル価格の値上げを目指した結果、サムスンと折り合いが付かなかったためとみられる。
SDPはシャープが2009年に大型液晶パネルの量産を目指し巨額を投じて設立し、12年に鴻海側が出資した。
SDPは09年の操業開始後、供給先が安定せず、シャープの業績が悪化する要因となった。現在は鴻海側とシャープがそれぞれ37.61%の株式を保有する持ち分法適用会社となっている。
2016年12月12日月曜日
会社に「評論家」は要らないんだ
同じ状態だったのは、私だけではなかったのだろう。変化に対して抵抗を示す人、新しいやり方に戸惑う人、新しい組織に馴染もうとする人——組織全体が混沌(こんとん)としていた。
古株社員としての自負があったのだろう。血気盛んだった30代の私は、何か問題があるたびに「これって、こういうふうになっている方が良いと思うんですよね」「こうあるべきではないのでしょうか?」と口にしていた。上司に対してもよく文句を言っていた。あるべき論を口にし、言い方も結構キツかった(だろうと思う。そのときは自覚していなかったが)。そのため、あちこちで人とぶつかった。
ある日上司に呼ばれて会議室に行くと、上司はホワイトボードに絵や文字を書きながらこんなことを話し始めた。
「会社には、こうした方がいい、ああした方がいいと評論する人、つまり『評論家』と、こうした方がいいと思ったことを主体的に行動に移す人の2種類がいます。大きな会社には、こっちがたくさんいます」
そう言って「評論家」という文字に下線を引いた。
「でもね、うちみたいな立ち上がったばかりの少人数の会社には、こっちの人は要らないんだよね」
今度は「評論家」という文字の上に大きく「×」を書き、こう続けた。
「今のままだったらあなたは要らない。他の仕事をしてよく考えろ」というメッセージだと受け取った。戦力外通告である。
仕事に就いて10年、こう淡々と「あなたはここには不要」というニュアンスのことを言われたのは初めてだったので、私は衝撃を受けた。
この日から、「私はいったい何をしたくてここにいるのか?」「そのためにどうするべきなのか?」を、脳が汗をかくくらい徹底的に考えた。
そしてある日、「あ、そうか!」と悟った。
「私は、評論したり文句を言ったりするのではなく、実現するためにどう動けばいいのかを考えなければならないのだ。これが20代と30代の違いだ。目の前のあれこれに愚痴るのではなく、解決策を考え、自ら行動することが期待されているのだ。それができないなら、自分の実力不足だと反省すべきだ。ベテランになるとは、そういうことなんだ」
つきものが落ちたような気分だった。それから少しずつ、「考え方」に加え「行動」も変化した。
それまでの私は、「したいこと」「すべきだと思うこと」「この方が良くなると思うこと」がたくさんあっても、「誰かがそれをやればいいのに」と無意識に考えていた。自分は管理職でもないし、その担当でもない。「経営者がしっかり考えればいい」「上司がちゃんとやればいい」「それは私の役割ではない」——そんなふうに思っていた。
しかし、あのときの上司の言葉が、「あれこれ評論している場合じゃない。自分が動かなければ!」と気付かせてくれた。
乳児に卵を少しずつ摂取させることで卵アレルギーを防止できるという研究結果
生後4〜5か月にアトピー性皮膚炎と診断された乳児は食物アレルギーになりやすいそうだが、そういった乳児に生後6か月から1歳までの間、毎日少量のゆで卵の粉末を与えたところ、アレルギーの発症を大幅に抑えることができたという。また、重い副作用はなかったという。
赤ちゃんによる卵アレルギーの発生は比較的多いとされており、そのため乳児に卵を与えないケースも多いようだが、少しずつ摂取させることでアレルギーを減らせる可能性があるようだ。
2016年12月9日金曜日
ES細胞から精子幹細胞を作り出すことに成功
今回の成果では、試験管内でマウスのES細胞から精子幹細胞様細胞を誘導することに成功したそうだ。同時に、精子幹細胞形成過程におけるDNAのメチル化制御異常が精子形成不全につながることも分かったという。
この成果は新たな不妊治療法の開発に繋がる可能性があるほか、生殖細胞系列の分化過程や、エピゲノム情報の再構成の解析がしやすくなり、新たな知見の獲得に繋がる可能性がある。
2016年11月29日火曜日
「甲状腺がん子ども基金」12月から申請受け付け
給付対象は、原則として原発事故後、東北・関東・甲信越地方に住んだことがある25歳以下で甲状腺がん、またはその疑いがあると診断された人。給付金は1人10万円。アイソトープ治療の必要があると診断された人にはさらに10万円が支給されるという。
第1期申請期間は来年3月まで。毎月末に審査をして順次支給する。
事故当時18歳以下の福島県民を対象にした同県の検査では、170人以上が甲状腺がん、またはその疑いがあるとされる。同基金は「原発事故子ども・被災者支援法」で国に義務づけられた医療の包括支援策が「十分に講じられていない」と批判。療養費支給だけでなく、医師ら専門家による治療環境や療養生活の向上についての支援にも取り組むという。
申し込みや問い合わせは、同基金(080・3757・0311、http://www.311kikin.org別ウインドウで開きます)へ。
2016年11月28日月曜日
タワーマンション高層階は増税へ 階が上がると税額引き上げ、でもなぜ?
例えば、各戸の税額が現在は年20万円の40階建てマンションの場合、見直し後は1階が約19万円、階が上がるごとに増えていき最上階は約21万円となる。
マンションの固定資産税は、まず1棟全体を評価。床面積に応じて税額を割り当てている。このため、タワー型でも階数に関係なく、床面積が同じなら税額も同じ。しかし、取引価格は眺望などの面から高層階ほど高くなるのが一般的で、不公平との指摘が出ていた。
2016年11月22日火曜日
戦闘タイプと性交タイプの2タイプに成長できるゴキブリ
戦闘に特化したタイプは角が大きくなり、攻撃性も高いという。一方性交に特化したタイプは角が小さいものの、代わりに精巣が大きくなっているそうだ。
研究者によると、「武器となる部分を欠いたオスが、より多くの精子を作ろうと、精巣を大きくすることに力を使っている可能性が高い」という。ただ、何が要因となってこのような変化が生まれるかはまだ分かっていないようだ。
ちなみにマダガスカルゴキブリは体長5〜7センチメートルと大柄で、ペットとして飼われることもあるという。
注射によって遺伝子操作を行える手法が開発される、非分裂細胞に対しても有効
従来のゲノム編集手法では細胞分裂の際に遺伝子を挿入していたため、対象にできる細胞が皮膚の表皮細胞や腸の上皮細胞などに限られていたという。今回開発された新手法は非分裂細胞に対してもゲノム改変を行える技術で、また従来手法よりも高い効率で遺伝子挿入を行えたという。
実験では人の培養分裂細胞やマウス胎児由来の培養神経細胞、生きたマウスの胎児脳などを対象に遺伝子挿入に成功しており、また生きたマウスに局所注射することで脳の一部など組織・器官の目的部位のみに遺伝子挿入したり、静脈注射での投与によって全身の組織・器官の細胞を改変できることも確認できたという。
理研の恒川雄二研究員は「遺伝子改変が難しかったサルや鳥類にも使え、基礎研究でも有用ではないか」と話している。
2016年11月21日月曜日
エプソン、OLEDディスプレイを採用する新型スマートグラスを発売へ
ヘッドセット部69グラム、Android 5.1搭載、画素数は1280×720ドットで、20m先に320型(2.5m先に40型)の大画面相当。価格は同社オンラインストアで税別8万3,280円。また2017年2月には商用モデル・業務用モデルも登場するとのこと。
Engadget Japaneseでも紹介されているが、前モデルのBT-200より一段とスペックアップしているようだ。実際のところスマートグラスの使い心地はどうなのだろう。体験者は是非語っていただきたい。
中国の研究チーム、ゲノム編集を肺がん患者に適用へ。人体への応用は世界初
中国・四川大学の研究グループが遺伝子操作技術の1つである「ゲノム編集」技術を用いたガン治療を世界で始めて行ったことを発表した。
この臨床試験は肺がんを患った患者に対し10月28日に行われたもの。患者の血液から細胞を取り出し、免疫反応をつかさどる遺伝子を「CRISPR-Cas9」と呼ばれるゲノム編集技術で操作した後に患者の体内に戻すという措置が行われた。これによって免疫にブレーキをかける「PD-1」と呼ばれる遺伝子を働かなくさせ、免疫を活性化させるという。
経過は順調で近く2回目の治療を実施する予定という。この手法がガン治療で効果を示した場合、自ら志願したさらに9人の患者の治療にこの手法が用いられるとしている。
2016年11月18日金曜日
スマホ:価格を明確化へ 「端末下取り値以上」
総務省は18日に改正案を公表、19日からパブリックコメント(意見公募)に入り、来年初めまでに指針を改正する予定だ。
実質ゼロ円販売を巡っては、総務省が3月に指針を策定し、購入者の負担が「合理的な額」となるよう求めたが、4月の指針適用後もNTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクの携帯大手3社は実質ゼロ円販売をやめず、同省は4月に3社を行政指導、10月に行政処分していた。こうした経緯を踏まえ、同省は指針で購入者の負担額を明確化する。
指針の改正案によれば、例えば新型の「iPhone(アイフォーン)」が発売された場合、携帯電話会社が2年前に発売されたアイフォーンを2万円で下取りしていたとすると、新型機種は2万円以上で販売しなければいけなくなる。「古い機種より新しい機種の方が安いのはおかしい」(同省)と判断した。
SIMロックの解除期間は現在の6カ月から、割賦払いの場合は100日程度以下まで短縮。一括払いの場合は支払いを確認できるまでの期間に短縮する。
また、総務省は消費者保護に関する指針も改正する予定で、利用者が利用実態に応じた料金プランを選択できるよう、携帯電話会社や代理店の適切な説明をルール化する。
中国からの輸入品、値上がり? 「特恵関税」外す方針
このなかで中国は、日本の輸入額の4分の1を占める。15年度に優遇税率を適用されたものの6割が中国からの輸入品だった。マツタケやウナギのかば焼きなどは、輸入増を理由にすでに関税が上がっている。今回上がるのは、冷凍タコやペットボトルの原料ポリエチレンテレフタレートなど3千品目程度とみられる。
同制度は、途上国の輸出振興や経済支援を目的に、多くの先進国が導入。日本も、143カ国・地域からの輸入品を対象に、低い関税をかけたり、免除したりしている。日本の輸入額の約2%(1兆6千億円分)が対象になっている。
広告見れば固定・携帯への通話が無料に 「LINE Out Free」スタート
LINE Outは、LINEから利用できる通話機能。発信時に「LINE Out free」を選んだ状態で通話すると、広告動画が流れ、その後無料通話が始まる。
日本だけでなく米国や中国、英国などにも発信可能。1回当たりの無料通話時間は国によって異なり、日本の固定電話が3分、携帯電話が1分まで。通話終了20秒前に「ピー」音が流れる。
2016年11月17日木曜日
米金利上昇でも、日本の金利上昇を容認することはない=日銀総裁
日銀は同日午前、固定利回りで特定年限の国債を無制限に買い入れて金利上昇を抑制する、いわゆる「指値オペ」を初めて実施した。
先の米大統領選での共和党のトランプ氏勝利を受け、大規模な財政出動が実施されるとの思惑から米国の長期金利が上昇している。これを受けて日本の長期金利もプラス圏に浮上するなど金利全般に上昇圧力がかかっている。
総裁はこの点について「米国の金利が仮に上がっていった場合は、日本を含めて金利に対する影響が出てくる」との認識を示した。
そのうえで、9月に導入したYCC政策の下で日銀は「日本の経済・物価・金融情勢に合わせて適切なイールドカーブの形成を促す」とし、「米国の金利が上がったから、自動的に日本でも金利の上昇を容認しなければならない、ということにはならない」と語った。
総裁は米次期政権の政策について「具体的にどのような政策をどういうタイミングで打ち出してくるかは、まだわからない」としながら、米国の動向が国際金融市場に与える影響は大きいとして「今後とも米国の新政権の政策がどのようになっていくのか、十分に注視していきたい」と述べた。
次期政権への政策期待で米株価が上昇していることなどを踏まえ、「これまでのところ市場は好意的に受けとめている。その結果、市場の米国経済に対する見方が上昇していることは事実だと思う」との見方を示した。
不動産融資、最高の7兆円=マイナス金利で、日銀は過熱警戒
新規融資額は、都市銀行や地方銀行など139行と265信用金庫の合算。銀行は16.8%増の5兆8943億円、信用金庫は5.4%増の1兆1763億円だった。東京五輪・パラリンピックに向けた首都圏の再開発や、不動産投資ファンドに対する融資が伸びたほか、節税目的で賃貸住宅を建設する個人への貸し出しも増加した。
企業の設備投資が勢いを欠く中で、地価上昇などを背景に資金需要が伸びている不動産業界は、金融機関の数少ない有望な貸出先になっている。ただ、「積極的な融資が不動産への過剰投資を後押ししている」(民間信用調査会社)として、バブル発生を招かないか懸念する声も出ている。
「Google翻訳」の進化、Googleが正式発表
同サービスは、これまで統計的な機械翻訳が行われてきた。そこでは、文章がパーツごとに翻訳されてきたが、新たに導入されたシステムでは、ひとつの文として扱うことが可能となり、文章のコンテキストを把握することができるようになった。これによって、より正確な訳語の候補が発見可能となったほか、語順を変えて調整することで、より人の言葉に近い翻訳ができるようになっている。
また、今回導入されたニューラルネットに基づく機械翻訳は、学習し続けるシステム設計となっているため、ユーザーが使用することで、より自然な翻訳ができるように進化する。
新システムは英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、日本語、韓国語、トルコ語の計8言語が対象で、iOS/Androidアプリのほか、検索、ウェブサイトなどで利用できる。
日立製作所、同心円パターンを印刷したフィルムをレンズの代わりに利用する技術を開発
日立製作所が、レンズの代わりに同心円を印刷したフィルムを使った撮影技術を開発したと発表した。レンズを利用しないことでカメラの薄型化・軽量化を実現できるという。
複数の異なる同心円パターンを印刷したフィルムを重ね合わせると「モアレ」と呼ばれる縞模様が発生するが、この縞模様はフィルムへの光線の入射角によって間隔が変わるという。これを利用し、縞模様をセンサーで記録することで光線の入射角を記録し、その後画像処理を行うことで撮影画像を得られるという。
また、画像処理に必要な計算量も少なく、標準的なノートパソコンで毎秒30フレームで動画撮影できることも確認したとのこと。
2016年11月15日火曜日
世界の主要銀行に仮想通貨採用の動き
世界の主要銀行が仮想通貨技術を利用した国際送金ネットワークを構築しようという動きがあるようだ。先月、みずほフィナンシャルグループ、りそな銀行、三井住友信託銀行などの大手金融機関を含む国内42の銀行が、米リップル社が開発する仮想通貨技術Ripple(リップル)を利用するためのコンソーシアムを設立したのはまだ記憶に新しいが(スラド記事)、これと同様の動きが海外の主要銀行にも見られるというのだ。(Ripple総合まとめ、Rippleの発表、ZDNet Japan)。
具体的には今年9月にバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(米国)、カナダロイヤル銀行(カナダ)、サンタンデール銀行(スペイン)、スタンダードチャータード銀行(英国)、ウニクレーディト・イタリアーノ(イタリア)、ウエストパック銀行(豪州)が同じくRippleを利用するためのインターバンクグループを結成している。参加銀行はいずれも各国を代表するメガバンクで、グループの名称は『Global Payments Steering Group(GPSG)』と名付けられた。
また、米R3CEVが主導するブロックチェーンを利用した共同プラットフォームの構築を目的としたコンソーシアムにおいても、今年10月にコンソーシアムメンバーの12の金融機関(バークレイズ、モントリオール銀行、カナダ帝国商業銀行、インテーザ・サンパオロ、マッコリー・グループ、ナショナルオーストラリア銀行、Natixis、ノルデア銀行、カナダロイヤル銀行、サンタンデール銀行、ノヴァ・スコシア銀行、ウエストパック銀行)がRipple内のブリッジ通貨XRP(エックスアールピー/リップル)を利用した銀行間国際決済の検証を行っていると発表した(SBIホールディングスの発表)。
こうした世界の金融機関の動きはこれだけにとどまらず、今年9月にナショナルオーストラリア銀行、レウミ銀行、カナダ帝国商業銀行がRippleの利用で戦略的同盟を結成し(ブルームバーグ)、11月にはスウェーデンの主要銀行の一つスカンジナビスカ・エンスキルダ・バンケンもRippleの採用を発表している。(CoinPortal) 国内銀行42行が構築するRippleを用いた新システムが2017年3月の稼働を予定していることから(日本経済新聞)、これら海外の主要銀行のシステムも同じく来年中に稼働することが予想される。
2016年9月30日金曜日
人工知能で消える職業と生まれる職業
便利にはなるものの、仕事面で考えると進化する人工知能は将来、わたしたちの仕事を奪ってしまうのではないだろうか?もし人工知能が自分の部下として配属される時代がきたら、自分はどのように指示を出し一緒に働くのであろうか?
1.「識別」「予測」「実行」
HBR記事の安宅氏によると機械学習をベースにしたAIの利用には主に以下の三つに分けられる。
(1)識別
情報の判別・仕分け・検索(言語、画像ほか)
音声、画像、動画の意味理解
異常検知・予知
(2)予測
数値予測
ニーズ・意図予測
マッチング
(3)実行
表現生成
デザイン
行動の最適化
作業の自動化
3つの利用用途を応用をしているものを見ると、「識別」や「予測」の領域ではすでに一定以上のレベルでできているものが多く、一方で実行には至っていないものが多い印象である。とりわけ、設計や枠組み化などのデザイン、行動や作業を単純化した状態での最適化、自動化に至ってはこれからの課題となる分野がまだ多いように読み取れる。
技術によって認識・予測はできても、その予測モデルの精度や予測可能な領域、実行をするためのスキーム、プロセス改善に課題が大きいことがわかる。技術の進化によって、近い将来にはその課題も埋まるだろうと予想されている。
2. 機械と働く
人工知能やロボットの進化・発達で自動化が進み、これまで人が行ってきた仕事を機械が置き換えられる可能性が非常に高くなったことにより、「肉体労働」「単純作業」だけではなく「意思決定」を機械に任せる(委ねる)必要が出てくる。
それにあたって、経営資源はこれまで「人・モノ・金」だったが、AIの進化によって「人がどこで価値を生み出し、機械やデータにどの判断を任せるべきか」が問われるようになり、経営資源は「人・データ(情報)・機械」になっていくであろう。モノや金の必要性は消えないが、AIが意思決定をサポートをする時代においてはそれらを管理するデータや機械に主体が移っていく可能性が高い。
その上で、人と機械を「どうマネジメントするか」も考える必要が出てくる。「マネジメントのあり方」は意思決定や実行をするために、これまでは「指示」や「実行管理」が主体であったものを、意図する解に導けるように「正しい問いを投げかけること」「AIやデータ領域を理解し、自動化をさせるために枠組み化をして回すこと」ができるようになる力が求められる。
こういったパラダイムシフトについていける企業・組織が成長し、そこから取り残される停滞をする懸念は今後考えうるであろう。
参考: 人工知能 (AI)や機械に絶対奪われない3つのスキル
3. キャリア
これからのキャリアでは、機械と働く上で、人々が持つ(機械が持ち得ない)3つ強みを磨くことが期待されるである。
クリエイティビティ(デザインする力)
課題の特定にいたる枠組みや新しいコンセプトをデザインすること、またアイデア、新しい組み合わせを着想(ひらめき)、通常では発想に至らない仮説を導き出す力などを指す。
リーダーシップ/マネジメント(人を動かす力)
人と人が行うデリケートかつ複雑なコミュニケーションを行い、人々を奮い立たせて勇気付け、人々をある目的に導き、目標を達成させるための意識付けるなど、意識に働きかけて人を動かすことを指す。
ホスピタリティ・課題解決
人が感じる潜在的・顕在的な課題と向き合い、自分ごととして不便、不満など「不=問題」を解決・解消するための働きを指す。
AIの進化・普及によりなくなる職業・新たに発生する職業も見逃せない。
<なくなる職業>
オックスフォード大学の論文で示された「あと10〜20年でなくなる職業」の一部抜粋しており、「正確性を要求される」「単純作業・マニュアル化しやすい」「システム化することで計算、算出できる」職業はなくなる可能性が高いと言えるであろう。また、「過去の判例を持ってくる」など訴訟に関連した情報を抽出することは人工知能が得意であり、リーガルにも影響がありそうだ。
<発生する、増加する職業>
なくなる技術だけではなく、人工知能が進化、浸透していく中で様々な課題、ニーズも出てくる。空飛ぶ機械「飛行機」ができた時に、パイロット(操縦する人)、整備士(メンテナンスする人)、税関(取り締まる人)、客室乗務員(サポートする人)、管制官(監視する人)などが生まれたように、近いポジション・役割が生まれるだろう。そういった関連するポジションの他にどんな職業がこの先に生まれるだろうか?について予想されているものを5つピックアップしていく。
ロボット・アドバイザー(Robot Counsellor)
ロボットの進化・普及によって、家庭においてもアシスタントとして働くのが一般的になっていることが想定される。ロボットが人間のアシスタントとして関わる過程で、トラブル・課題を各家庭や企業からヒアリングし、改善をするための働きや、逆にロボットの正しい向き合い方を普及させていくようなアドバイザーと言う役割を担う人が必要とされるであろう。
企業文化のエキスパート(Company Culture Ambassador)
企業同士が、最良の人材を確保しようと競合することになる。そして、企業が才能を獲得し、彼らが「自分はいま、ふさわしい場所にいる」と感じさせるためには、それ専門の人材が必要となるだろう。彼らが担う仕事は、レクリエーションや金銭とは異なる利益によって人を楽しませ、コミュニケーションを取り、企業の価値観を伝え、それが共有されるようにして、仕事が楽しいという環境と雰囲気をつくり出すことだ。
単純化の専門家(Simplicity Expert)
情報化社会で複雑化する事象を「単純化」すると言う課題・要請が増えていくことが想定される。あるプロセスの要点を見つけだし、合理化することで実行の時間を減らし、より価値の高い活動のために時間を残すために、複雑なことを整理し、単純化する専門家が必要になるであろう。
輸送アナリスト(Auto-transport Analyst)
自動運転の発展・普及により、「運転手」がどんどん少なくなって、輸送はますます自動化されていくことが想定される。ここでも、適切に状況を判断し、配送を効率化すること、または問題を予防し不測の事態に対処しユーザーの不便をタイミング良く解決する管理者が必要になるであろう。
マインドインストラクター(Mind Instructor)
人工知能や技術の進化によって、急激に変化する世界で価値観や自身の幸福を見出せない人が増えてくることが想定される。人々の顕在的、潜在的な意識を引き出し、「仕事のベクトル」「幸福度」「自分のあり方」など内面的な課題への解決ができる人を指す。
近年GoogleなどIT系の企業でも導入が進んでいる「マインドフルネス」を今はインストラクターが主体として行っている。一方でヘルスケアの領域でもパーソナルデータの分析やストレスケアのトレーニングが進んでいる。今後はそれらの領域を跨いで人々の心身の健康のために、定性的・定量的な情報から課題解決をすることができる人、技術を作る人が増えてくるのではないだろうか。
マインドインストラクターという「禅」と「データ」をブレンドした新しい職業
最後に
近年、特にGoogleによる人工知能ライブラリ TensorFlow をオープンソース化や、元GoogleリサーチのAlon HalevyがリクルートAI研究所に就任、東京大学の松尾氏著書の「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」など、人工知能に関連する記事や書籍を数多く見るようになり、ある種のバズワードのように人々に馴染みがある概念になってきた。日常生活、職場での環境、旅行先など、ありとあらゆるシーンで人工知能を用いたものが普及する未来はそんなに遠くないかもしれない。
一方で、人工知能の実態やそれを支える技術、歴史を学び、その影響を推測・予測し、自分のキャリアを考える人は(自分も含めて)まだまだ少ないように感じる。近年、エンジニアはもちろん、データサイエンティスト、人工知能の領域に精通した人材の不足はより顕在化した課題になってきた。一部ではデータサイエンス(特に機械学習)は、今後の理系学生はほぼ必修に近いような領域になるだろうとも言われているほど、注目・期待をされているものとなっている。
配達も“シェア” Uberのフード宅配「UberEATS」
配達員への支払いは基本的に歩合制です。
配達1件ごとに報酬が発生する
注文額と報酬は比例する
最低保証時給が発生する場合があり、注文が無くても時給がつくことがある
業務委託関係であり、雇用ではない
振込は週単位で行われます。
配達を待つには、「Uber Partner」という配達員用アプリでオンラインにしておくだけです。アプリから呼び出されたら数分以内に応答して、配達元のお店に向かうことになります。このアプリはUberタクシーの運転手も共通っぽいですね。
実際に待ち受けてみると、待っている間は暇といえば暇なのですが、呼び出されたらすぐに出発しなくてはならないので、多少の集中を求められるような暇つぶしはする気になれませんでした。小難しい本を読むのも微妙な感じで、ポケストップが集まる所に移動してポケモンGOをやってひたすら時間を潰しました。客待ちしているタクシーの運転手さんもこんな感じなのかなあ、と思いました。
注文は2件とも同じ店舗からでした。200メートルほど先まで、ペダルを漕いで急いでかけつけました。
店舗に到着して「UberEATSです」と伝えると、店員の方もタブレットを出し、注文番号を読み上げて、こちらのスマホに表示されている番号と同じかを確認します。出来上がりまでまだ時間がかかる様子で、なるべく邪魔にならない所で10分ほどじっと待ちました。
このときの服装はジーンズにポロシャツだったのですが、まあ、ただの普段着です。これがロゴでも入った帽子やシャツでもあれば「お客じゃない、何かの人かな」という雰囲気にもなるのですが、普段着だと「スマホを持って立ち尽くしてるただの人」なので、なんとなく目立たないようにふるまうのが精一杯でした。
お昼どきで少し混雑していて、小さなお店だったので、お店の外に出ちゃったほうが邪魔にならないかもなあ、と考えつつも、出来上がりまで待つことになりました。
商品を受け取ったらまたアプリの操作です。「お店に到着しました」を選択すると、注文一覧が表示されます。
受け取った商品を確認したら、チェックボタンを押していきます。確認として店員の方が注文を読み上げてくれたのですが、こちらの画面には表示されていないトッピングの内容などを読み上げてしまい、それは確認できず、お互いに少し焦りました。2注文あったので間違いがあったらいけないので、店員の方が梱包用の箱に注文番号を書いてくれたので、事なきを得ました。
注文された品物は、水分が少なく、偏りもしにくいような、配達しやすい形状のものでした。イベント会場の「10回配達ベテランさん」から「スープとかこぼれるからめっちゃ怖い。坂道とか通りたくないもん。アイスも溶けないかどうかすごく気になった」という苦労話を聞かされて、かなりびびってたのですが、スープ系が無くて安心しました。
チェックを押して次の画面で配達開始(START DELIVERY)ブロックをスライドさせると、配達開始となります。この時点から、お客様側のUberEATSアプリに、配達員の現在位置が表示されます。Uberタクシーを利用したことがある人ならわかると思います。
そんなふうにお客様側に現在地がリアルタイムで表示されているとなると「見られているから、急いで届けなきゃ!」という気持ちになります。自転車をこいでいるときも「この移動も見られているのかなー」と無駄に想像したりしました。
お店を出ようとするときに、UberEATSの配達員の方と入れ違いになりました。ここで、「なるほど、注文が殺到しても、従来の雇用型配達員では対応できなかったりするが、配達員を集中させることで厨房の能力全開で宅配できちゃうんだな」という店側のメリットを実感しました。店舗側の支払いは従量制です。
初回から2件いっぺんに配達するミッションだったのですが、なんと1件目が郵便番号と名前しか表示されていません。地図は表示されていて目的地のピンは立っているので、気になりつつもまずはピンに向かうことにしました。
ピンの近くまで来て、もう一度落ち着いてアプリを操作します。ですが、やはり住所欄は空同然の表示です。注文者にメッセージ(SMS)か電話で連絡するボタンがあるので、電話ボタンを押してみますが、電話アプリも立ち上がらず、何も反応しません。メッセージの方を押すと、宛先が空の状態でメッセージアプリが立ち上がってしまいます。
これはサポート案件だと思い、サポート電話番号にかけてみますが、話し中になってしまいました。
そうこうしているうちに、「X階まで来てください」というSMSが届きました。察するに、注文者側のアプリには僕の現在地が表示されていて、近くまで来ているのはわかっているのになかなか来ないので、ラストワンマイルで迷っているのだと思ったのでしょう。
送り主は1件目か2件目のどちらの方かはわからなかったのですが、とりあえず2件目に表示されている住所がその階数と一致したので、最悪2件目の配達を先にしてしまおう、と思い、ビルに入ります。
ビルに入ろうとしたときに、サポートから折り返しの電話がかかります。住所が表示されていない、電話もメッセージもできない、ということを伝えていると、注文者らしき方が声をかけて下さり、名前は表示されていたので確認したところ、住所表示のない1件目の注文の方で、ほっとしました。
ということは2件目の配達先と同じだったということで、メッセージで到着を伝えると、ほどなくして引き取りに来て下さり、ヒヤヒヤしながら初配達を終えることができました。
ビルを出ると、僕以外にもUberEATSのバッグを抱えた配達員の方がいました。さすがローンチ日のお昼どきです。挨拶すると、ビルの場所がわからないらしく、そこのビルですよ、と伝えました。配達員同士のちょっとした情報交換ですが、なんかいいなあ、と、素朴に思いました。
この現場コミュニケーションの前にも、イベント会場で配達員同士でいろいろ話していて、単純に楽しいなあ、と思いました。配達員のFacebookグループコミュニティとか、誰かつくらないかなあ。
UberEATSでは注文者とレストランが配達員を評価することができます。この評価は今後の配達優先度やインセンティブに影響するので、かなり重要な指標となります。万が一低い評価がつけられたら……と思うと、自然にしっかりとした対応をしなくては、という思いになります。
配達員は、清潔感のある服装で、挨拶をしっかりし、声もはっきりと出さなければなりません。当たり前のことですが、明確な評価機能がついていると、いわゆる時給アルバイトしてた頃の心構えとはかけ離れた感覚でした。まあ報酬自体が時給ではないですしね。
ただ評価を気にするあまり、「急いで配達してやろう」という気持ちがはやり、安全に徹した走行ができない気がしました。早く届けることは正義ですが、無事故で確実に届けるほうが優先すべきです。でも明確な評価や配達時間の正確な記録というゲーム的感覚が、多少なりともそれを妨げるだろうなあ、と思いました。
事前説明会で、Uberの中の人が「効率よく配達する方法」のひとつとして、「人気レストランの近くで待機する」と言っていました。これは、配達員の選ばれ方のアルゴリズムのひとつとして、「配達元レストランの近くで待機している」ことが影響するそうです。
となると、人気レストランには配達員が集まってしまい、駅前の乗車待ちタクシー状態になりそうだなあ、と思いました。そこにUberEATSのロゴが入ったバッグが目について、人気レストランだからお客さんも多くて宣伝になって、そのレストランからの宅配も増えるという、なにこのポジティブスパイラル。
配達系の仕事につくと、道に詳しくなります。UberEATSの配達員も同じです。そして、UberEATSは特定の店舗ではなく、待ち受け中の位置情報に近い店舗からの配達が優先されます。
配達後に元の場所に戻る必要はありません。なので、最初は渋谷で待ち受けていて、渋谷の店舗から配達先が恵比寿で、配達終了後に来た注文が恵比寿の店舗で、配達先が目黒で……と、配達エリアがどんどん移動していくこともありえます。
たとえば土日にUberEATSをまる1日やれば、それだけで渋谷区港区にかなり詳しくなるのでは、と思いました。
UberEATSは利用者側としても興味があったので、1500円クーポンコードを利用して注文しました。注文先は僕自身が配達したお店にしました。
注文側では、注文後に到着予定時間が表示されるのですが、到着予定時間近くになっても「ただいまご用意しております」から進まず、なかなか配達員の位置情報を確認できません。
そうこうしているうちになんと配達員さんが到着してしまいました。なぜ配達中にならなかったのか気になったので、同じ配達員としてことわった上で配達員さん側のアプリ画面を確認してみると、配達の開始操作をしていませんでした。練習なしだと、まあ、仕方ないですね。僕も初めてのときはおっかなびっくりで操作しましたしね。
意外にもクラウドソーシングビジネスと競合する
たまたま知ったのですが、あるクラウドソーシングビジネスを手がける企業の方々の多くが、UberEATSを一斉に利用したそうです。それではたと、クラウドソーシングビジネスとUberEATSは競合であると気づきました。
というのも、仕事を受ける側になってみると、「自由な時間にできる仕事比較」としては、クラウドソーシングのお仕事を選ぶか、UberEATSの配達員を選ぶかは、結構、天秤にかけちゃう気がします。
UberEATSの報酬はスムーズに配達すると時給換算で2000円くらいは行ける感じで、荷物を担いで自転車に乗れるスキルがあればできちゃうので、クラウドソーシングにある誰でもできる系仕事よりよっぽど良い報酬が得られます。
終電後にどうするかという点において、深夜タクシーの競合は漫画喫茶だ、という有名な話がありますが、UberEATSというシェアリングエコノミーと、クラウドソーシングも、ちょっと意外な競合だな、と思いました。
時給はどれぐらいになるのでしょうか。結論としては「後々、最低保証なしで時給2000円くらい行ける時間もあるようになるのでは」と思いました。
というのも、しばらくはローンチキャンペーン期間として1500円クーポンでの初見利用者が多く、配達料もかからず、気にせずに少額注文できてしまうので、いまいまは1注文あたり600円の報酬などになってしまいます。1時間にスムーズに宅配できて2件くらいなので、だいぶ厳しいですね。
このキャンペーン期間が落ち着いて、配達料もかかるようになり、リピーター利用が安定すると、1注文の金額が上がり、時給換算も上がるのではないでしょうか。なお報酬は注文額に比例します。
ただ、配達員が増えすぎて注文が回ってこないことも考えられるので、そこは読めないところですね。まあ、それもそれで調整されて、皆が「これくらいなら続けよう」という時給に落ち着くのでは、と思います。
ちなみにローンチから2日間の29、30日には、原付は2600円、自転車は2100円の最低保証時給がつきました。これからも雨の日などの配達員が減ってしまう場合や、クリスマス時期などに、最低保証時給のインセンティブが発生しそうです。
身元確認は、日本人か外国人かによって提出する書類が違います。僕は運転免許証をアプリからアップロードし、3日ほどで承認されました。
Amazon、米テキサスで大型の風力発電所「Amazon Wind Farm Texas」を建設
この風力発電所「Amazon Wind Farm Texas」は2017年に稼働予定で、100台以上のタービンが設置される。各タービンのローターの直径は「Boeing 747」の翼長の2倍ほど。Amazon Wind Farm Texasは1年間に100万メガワット時の電力を発電する。米国の約9万世帯の電力をまかなえる量だという。
投資家などの圧力から、ICT大手企業の再生可能エネルギーへの投資が加速している。Appleは2015年に使用するエネルギーの93%が再生可能エネルギーによるものだと主張。データセンターに関しては再生可能エネルギーの利用率が100%に達しているという。AWEA(米風力エネルギー協会)の調査でも2015年に売電された風力エネルギーの購入者の上位にGoogleやAmazonなどが入っている。
「トクホ」の成分含有量が表示よりも少なかった商品に対し許可取り消し、ほかの製品についても再調査へ
外部からの指摘で明らかになり、同社が自主的に消費者庁に報告していたもの。これを受けて、消費者庁はトクホの許可が与えられている1270製品すべてについて、成分調査をやり直すようメーカーに指示を出した(朝日新聞)。また、消費者庁による「抜き打ち検査」もスタートするようだ。
デフレ脱却、黄信号か 東京都区部の物価下落
原油安による電気代やガソリン代の下落が物価全体を押し下げる構造は従来と変わらず、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は0.2%の上昇だった。だが上がり幅は13年10月(0.3%上昇)以来で最小。市場関係者は、先行指標として公表される東京都区部の9月の動向に注目している。
総務省は東京都区部のCPIを、9月中旬時点の速報値として公表する。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は9月、0.1%下落した。前年同月を下回るのは2年11カ月ぶりだ。
品目別に見ると、通信が2.8%下落した。特にスマートフォン(スマホ)を含む携帯電話機が8.3%と大きく下がった。折しも9月中旬には米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」の新機種が発売されたばかり。他のメーカーも新製品を投入する時期だが「性能が向上しても価格は横ばい、または値下がりしている」(総務省)。
総務省は今春、携帯電話各社に端末を過剰に値引きする「実質0円」販売をやめるよう要請したが、販売各社は指針に触れない、独自の割引手法を思案しているとみられる。テレビも21%下落と大きく下がっている。
都区部の通信分野の値下がりは、9月の全国の動向に影響する。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「物価の実力はゼロに近づいていく」とみる。日銀は独自に、生鮮食品・エネルギーを除くCPIを公表し、加工食品や菓子の値上げ効果を反映している。だが宮前氏は「円高による食品の輸入価格押し下げの影響はこれから表れる。日銀版コアも上昇期待は小さい」と指摘する。
「平成」が変わるとき、どのような経済効果があるのか
天皇陛下は先日「ビデオメッセージ」で現在のお務めに対する「お気持ち」を表明されました。もし天皇陛下の生前退位が実現した場合には、年号が変わることになるでしょう。年号が変わると、どのような経済効果が考えられ、どういった銘柄に注目が集まるのでしょうか?
■天皇陛下の生前退位報道で日経平均先物が急騰
「天皇陛下、生前退位のご意志」とNHKがスクープしたのが7月13日でした。夕方6時55分過ぎにテレビスーパーによる速報を打ち、直後の7時のニュースでトップニュースとして詳しく報道しました。
報道後の7時16分、シカゴ日経平均先物(シカゴ・マーカンタイル取引所で取引されている日経平均の先物。シカゴ日経平均先物が安いか高いかで、その日の日経平均の方向性をつかむ事ができるとされています)は1万6350円から1万6480円程度まで一時急騰しました。
ただ、1分後には完全に元のレベルに戻り、証券用語で言う「往って来い(いってこい)」となりました。これは、ニュースなどのヘッドラインで自動売買が発動するように仕掛けているアルゴリズムが、どこかのニュースのヘッドラインの「天皇」「退位」等のキーワードに誤反応して作動したのではないかという見方がされています。
実際のところは判りませんが、天皇陛下の退位は、元号が変わり印刷物等で特需が発生するほか、新しい元号をお祝いするムードが高まるため株式市場では買い材料と見られています。
実際に昭和から平成に変更されたときの状況を振り返ってみましょう。
■昭和天皇陛下崩御では株式市場は急騰
昭和天皇崩御は1989年1月7日土曜日の早朝でした。
翌営業日の1月9日月曜日の日経平均は、天皇陛下崩御の自粛明け後の経済波及効果を期待して、469円高の30678円と急騰、さらに翌10日も328円高、11日137円高、12日変わらず、13日155円高と1週間の上げ幅は1088円高、率にして3.6%も上げました。
天皇陛下のニュースがこれだけ市場に影響を与えることを考えると、ヘッジファンド(銀行や年金基金などの機関投資家や富裕層が投資する金融商品。とても複雑な仕組みで運用しており、どんな状況でもとにかく利益を出すことを目指している)が、「天皇」「退位」というキーワードに対して自動的に買い注文ど出すよう仕掛けていても違和感はないことがわかっていただけるのではないかと思います。
昭和天皇崩御の記者会見から2日間、テレビCMは自粛となりました。歌番組、ドラマ、クイズ番組などのエンターテイメント系の番組はすべて放送中止となり東日本大震災後と同じような状況でした。
■「昭和」が終わって、売れたもの
こうした自粛ムードが影響し、レンタル・ビデオ店はどこも大繁盛。普段の4〜5倍の貸し出しだったようです。
株式市場の祝賀ムードを牽引したのは、元号変更による特需が見込まれる印刷、紙パルプ、インクなどの元号変更関連銘柄でした。
たとえば、今回のNHK報道翌日に大きく買われた銘柄では、オフセット印刷用写真製版大手の光陽社<7946>の25.0%高や光村印刷<7916>8.0%高などの印刷株が目立ちました。
これは、両社が1989年から1990年の平成の元号変更時に大相場となり、光陽社は1990年に4135円、光村印刷は3050円という歴史的な高値をつけたことからの連想で買われたのでしょう。
1989年から1990年はバブルのピークでもあり、この2銘柄に限らず、多くの銘柄が同時期に歴史的な高値を付けているとも言えているのですが……。
■NHKスクープ後に特需期待で印刷株急騰
今回もNHKがスクープした翌営業日である7月14日に買われたのはこういった銘柄でした。
光陽社、光村印刷以外でも、カワセコンピュータサプライ<7851>8.9%高、野崎印刷紙業<7919>5.6%高、図書印刷<7913>4.9%高、大日本印刷<7912>4.4%高、凸版<7911>2%高などの印刷関連会社が目立ちました。インクでは、DIC<4631>が2.4%高としっかりでした。
それ以降でも、元号変更関連と思われ動いた銘柄には、印刷機械関連の東京機械製作所<6335>、日本写真印刷<7915>、共同印刷<7914>などもありました。
■いつでも一歩先を考える習慣を
株式市場ではこのように過去のイベントで動いた銘柄を覚えておいたり、
あらたなイベント時に動く銘柄をあらかじめ想定しておいたりと、経験や学習、連想で収益チャンスは広がります。
いつでも一歩先を考える習慣を身につけるようにしたいものですね。
人民元、1日から主要通貨 国際経済に責任
「我々はSDRの共同研究を拡大していく」。中国の習近平国家主席は中国・杭州で4〜5日にあった主要20カ国・地域(G20)首脳会議の閉幕式で、SDRなど国際通貨体制の強化に向け中国が主体的な役割を果たしていく決意を示した。
中国はIMFなどでの発言権が米国など先進国に集中し、中国の影響力が経済規模に比べて限定したものにとどまっている状況に不満を持ってきた。「責任ある大国」を掲げる中国にとって人民元のSDR採用は、国際経済における中国の存在感を確立する「悲願」と言える。
SDRの構成比率は、貿易や金融取引でどの程度、その通貨が使用されているかを基に算出される。人民元の採用を決めた昨年11月末のIMFの発表によると、人民元の構成比率は、円(8.33%)や英ポンド(8.09%)を上回る10.92%となり、ドル(41.73%)、ユーロ(30.93%)に次ぐ3位となる見込みだ。
国際銀行間通信協会(SWIFT)の今年7月のデータでは、人民元を取り扱う金融機関は世界で1800を超え、1年前に比べ12%増えた。中国は通貨危機の際などに相手国に人民元を融通する通貨スワップを30カ国以上と締結、アジアやアフリカの新興国には人民元建てで資金援助するなど「人民元の国際化を推進してきた」(中国人民銀行)。
しかし、人民元には「国際通貨」としての課題も山積している。SDRの構成通貨採用は「自由に取引できる」ことが条件になる。しかし、人民元は人民銀が毎朝発表する「基準値」の一定の範囲内でしか取引が認められていない。中国の金融機関が人民元をドルなど外貨に換金する際には当局の厳しいチェックを受ける必要がある。市場の自由な取引を許せば、人民元相場の急激な変動や、中国からの資本流出が起きかねない、と当局が懸念しているためだ。
こうした中、IMFや米国が人民元のSDR採用を認めた背景には、独自の金融秩序の確立を狙う中国を、既存の国際金融システムに引き込み、為替、金融改革を促す狙いがある。
昨年末まで米大統領副補佐官(国際経済担当)を務めたキャロライン・アトキンソン氏は23日にワシントンでの討論会で「人民元のSDR採用は、中国が国際金融システムに対する責任を受け入れるということだ」と指摘。「中国は市場開放や為替制度の透明化を進める義務を負った」と強調した。
【ことば】SDR
Special Drawing Rights(特別引き出し権)の略で、国際通貨基金(IMF)加盟国が外貨不足に陥った際、外貨を引き出せる権利のこと。加盟国にはIMFへの出資比率に応じてSDRが割り当てられており、外貨が不足した時は配分されたSDRを他の加盟国に渡し、米ドルなどを融通してもらう。現在の構成通貨は米ドルのほか、欧州のユーロ、日本円、英ポンドの計4通貨。10月からは中国の人民元が加わり5通貨となる。構成通貨となるためには(1)貿易額が多い(2)自由に取引できる−−の二つの条件を満たす必要があり、SDR採用は、世界で広く使用されている国際主要通貨として、世界的な信認を得たことを意味する。
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中銀は万能でない、知見共有が重要=黒田日銀総裁
総裁は21日の金融政策決定会合で、3年半にわたる大規模緩和の効果と影響を分析した「総括的な検証」を踏まえ、新たな枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和(QQE)」を導入したことに言及。
「多くの中央銀行が各々に与えられた責務を果たすために、様々な課題に直面している」と述べるとともに、「中央銀行が万能ではないということもまた事実だ」とし、「中銀が互いの知恵と見識を持ち寄り、交換する機会を持つことを重視している」と語った。
そのうえで、カナダ人作家のルーシー・モード・モンゴメリの小説「赤毛のアン」の中で、主人公の少女アンが「これから発見することがたくさんあるって、すてきだと思わない?もし何もかも知っていることばかりだったら、半分もおもしろくないわ」と話す場面を引用。
「日々、新しい知恵や解決策、政策ツールを見つけ出そうと多大な努力を続けている全ての中央銀行職員とエコノミストにとって大きな励ましとして心に響く」と課題克服に苦悩する中銀マンの心情を表現した。
2016年9月27日火曜日
クライアントを仮想化しワークスタイル変革を実施した企業のROIは453.1%と高水準
調査会社のIDC Japanは2016年4月11日、クライアント仮想化市場に関する調査結果を発表した。それによると、2012年以降の過去5年間におけるクライアント仮想化のROIは400%を超え、高い投資対効果が実証されているという。
同社は、今回の調査において、クライアント仮想化導入企業(全体)と、その中でもワークスタイル変革を実施している企業とのROIを比較分析。それによると、クライアント仮想化導入企業全体のROIは421.2%、その中でワークスタイル変革を実施している企業のROIは453.2%となり、ワークスタイル変革実施企業のROIがより高い結果となった。同社は、投資額、ベネフィットについても、同様の傾向が見られると指摘。ワークスタイル変革実施企業では、全社目標が設定されているケースが多く、具体的な効果が「見える化」されやすいことが背景にあると分析した。
同社は、ワークスタイル変革に取り組んでいる企業のクライアント仮想化における初期投資額、年次投資額、ベネフィットについても調査。それによると、それぞれエンドユーザー1人当たり初期投資額が22万5640円、年次投資額が5万7448円、ベネフィットが83万7447円だった(図1)。
図●〈参考資料〉クライアント仮想化製品のROIデータ:ワークスタイル変革実施企業
出所:IDC Japan
一方、クライアント仮想化製品の従業員普及率(クライアント仮想化製品を使用している従業員の割合)は41.7%で、エンドユーザーの1日当たりの平均使用時間は約3.68時間(1日8時間勤務と想定した場合)に達した。
同社では、「ITの有用性を測定する定量的指標としてROIは有効な指標の一つである。今後、適正かつ健全なIT投資/活用が経営戦略上不可欠であり、ROI分析によって、クライアント仮想化がエンドポイントにおける重要なIT施策の一つと捉えられる」と指摘している。
2016年9月26日月曜日
Deep Learningが人工知能の裾野を拡大。ビジネス、社会、エンジニアはどう変わるのか
ビッグデータ/IoT、FinTechトレンドの中、再び注目されている人工知能
近年、激しい市場環境変化の中で、ビジネス展開の「スピード」が差別化の一大要件となっている。また企業・個人を問わずニーズが多様化している今、従来のように「顕在ニーズを見定めて、時間をかけて製品・サービスを開発・リリースするやり方」だけではニーズに対応することも難しくなった。FinTechトレンドで顕著なように、大量データから潜在・顕在ニーズを掘り起こし、"これまで全く存在しなかったようなイノベーティブな製品・サービス"を迅速にリリースするアプローチの重要性は年々増している。
一方で、2011年ごろからのビッグデータトレンドも本格化し、分析テクノロジも進展した。これに伴い、現実世界のあらゆるデータを分析し、製造機器の故障予測、自動車の自動運転など、"大量データから得た知見を現実世界の有益なアクションに変える"IoTの取り組みも多様な分野で進んでいる。
こうした潮流と並行して、いま再び社会一般の大きな注目を集めているのが「人工知能」だ。周知の通り、人工知能研究は1950年代に第一次ブーム、1980年代に第二次ブームを迎え、現在は第三次ブームといわれている。
特に2011年、質疑応答システムを搭載したIBM「Watson」が、米国のクイズ番組「Jeopardy」で、人間のクイズチャンピオンに勝利したことがブームの火付け役となった。1956年、ジョン・マッカーシー教授が「人工知能」という言葉を作った当時から概念は存在してきたが、具体的にどのようなことができるのか、テクノロジの進化が驚きと分かりやすさをもって、世間一般にその可能性を広く示してくれたわけだ。
今議論されている「人工知能」とは
以来、人工知能は各種メディアで盛んに取り上げられるようになった。だが、ここで気を付けるべきは、「コンピュータが意識を持ち、人を凌駕してしまう」といった、ある種のホラーストーリーも同時に喧伝されるようになったことだろう。
人工知能とは、一言で言えば「人間のような知能を持ち、人と同様のことができる」ものだ。だが、人間同様の知能や意識を持つ「強いAI」と、人間の知能の一部を代替させる「弱いAI」の2種類がある。これはカリフォルニア大学バークリー校の哲学者、ジョン・サール氏によって生み出された言葉だが、昨今の人工知能ブームは、この分類が曖昧なまま議論されている傾向も強い。言うまでもなく、IBM Watsonも含めていま注目を集め、実用化に向けた研究が進んできたのは「弱いAI」だ。具体的には、推論、探索、学習、自然言語処理といった各種技術を使って、人の能力を補佐するものという位置付けとなる。
ではなぜ二度のブームを経て、今またブームが訪れているのか。その背景にあるのは、前述した大量データの蓄積・リアルタイム処理を可能にしたビッグデータ/クラウド関連テクノロジの発展と、「学習」技術の進化だ。
中でも、さまざまなデータの特徴を学習することでパターンを認識し、そのパターンを基に新たなデータに対して将来を予測する「機械学習」と、人の脳内の神経回路網と処理プロセスを模倣した「ニューラルネットワーク」と呼ぶ技術を多層的に組み合わせることで、高精度な画像認識、音声認識などを実現する「Deep Learning」がトレンドをけん引している。
特に注目を集めているのが、スピードや精度面での"機械学習のボトルネック"を解消したDeep Learningの仕組みだ。
機械学習では、まず人間がデータに見られる「特徴的な量」(例えば画像データなら面積や長さなどの値)を抽出し、それを機械に学習させることで、さまざまなデータに対して将来を予測する仕組みを採る。一方、Deep Learningでは、そうした「特徴量の抽出」もコンピュータが自動的に行う。
人手による特徴量の抽出には高度な専門スキルが必要な上、時間もかかってしまう。また人手による以上、抽出は属人化し、抽出の仕方によって分析精度が左右されてしまうという課題があった。だがこれを自動的に行うことによって、スキルやスピード・精度といった問題が大幅に解消され、一般企業におけるビジネス活用への可能性が大きく開けてきたわけだ。
参考リンク:いまさら聞けないDeep Learning超入門(1)(@IT)
とりわけ2012年、画像セットを用いた画像識別コンペティション「ImageNet」でトロント大学のジェフリー・ヒントン教授がDeep Learningを使って2位を大きく引き離す精度を記録したことが世界中の関心を集める大きなきっかけとなった。以降、グーグル、フェイスブックなど、多くの企業がその可能性に注目し、実際に成果を上げ始めている。
参考リンク:グーグルの人工知能を利用できるWebインターフェースが登場(@IT)
人工知能はビジネス、社会をどう変えるのか?
そして現在、われわれに身近なところでも人工知能の活用が始まりつつある。自動運転技術はその代表的なものだろう。自動車に限らず「機器の制御」に人工知能を使うことで、製造業の可能性は大きく広がると目されている。店舗やモールで人流を分析し、その予測結果を商品の仕入れ・配置などに生かすことで収益を伸ばすなど、流通・小売りにおいてもオムニチャネル戦略の一環として、すでに複数社で取り組みが始まっている。その他、コールセンター業務を自動化する「バーチャルオペレータ」、農作物の色などから生育状況を判断し、最適な量の肥料をドローンで自動的に散布する「精密農業」などもよく話題に上るところだろう。
特に冒頭で述べたIoTやFinTechトレンドにおいては、ニーズが多様化している中で、スピーディにイノベーティブな製品・サービスを開発する、短いスパンでトライ&エラーを繰り返し製品・サービスを改善する、といった取り組みが求められる。人工知能は、このようないわば"何が当たるか分からない"中で、効率的に"当たる"製品・サービスを開発する上でも、大きな力を発揮することだろう。
各種調査もこうした期待を裏付けている。例えば、EY総合研究所の調べによると、人工知能関連の国内市場規模は、製造、建設、卸・小売り、金融、運輸など各業種で投資が進み、2020年には23兆638億円、2030年には86兆9620億円になると予測されている。
参考リンク:人工知能が経営にもたらす「創造」と「破壊」(EY総合研究所)
ガートナー ジャパンが2016年4月に発表した「日本における『人工知能』に関する意識調査」も目を引く。調査によると「仕事をサポートする」「仕事を奪う」など、「10年以内に人工知能による仕事への何らかの影響がある」と54.6%が回答。「人工知能に関するスキル獲得の意向」については、41.3%が「獲得したい」と答えたという。同社では、これを「多くの人が人工知能による将来への影響を自分たちの問題として捉え始めている」と分析するが、事実、人工知能によるビジネスインパクトは、社会構造、業界構造も変え得るほどの力と可能性を秘めている。
参考リンク:日本における「人工知能」に関する意識調査(ガートナー ジャパン)
では具体的に、人工知能はわれわれの毎日をどう変えていくのだろうか?——本特集「人工知能入門」では、"ビジネスにおける人工知能の可能性"を見据え、活用事例や専門家へのインタビューなどを通じて、人工知能の今とこれからを明らかにする。また、エンタープライズITに従事するエンジニアにはこれから何が求められるのか、"人工知能時代"のエンジニアの役割についても考えていく。ぜひ参考にしてほしい。
AIは人間のキャリアを破壊するのか
人口減少、少子高齢化、低労働生産性……日本が抱える問題たち
日本は現在超少子高齢化が進み、労働人口の急速な減少が予測されている。内閣府は2016年8月25日に公表した「地域の経済2016−人口減少問題の克服−」で、「2030年度は、東京都や愛知県、大阪府などをのぞく38道府県で供給より需要が上回り、労働力不足に陥る」と予測している。
労働人口の減少による労働力不足に加えて、日本の労働生産性の低さも大きな課題だ。日本生産性本部の2014年の調査によると、「日本の労働生産性は7万2994ドル」「OECD加盟34カ国の中で第21位」「主要先進7カ国で最も低い水準」となっている。
人工知能(AI)は、人間のキャリアを破壊するのか?
人口減少や少子高齢化による雇用者の減少に対応する取り組みを政府は強化している。経済産業省は2016年8月28日、「産業構造審議会総会(第19回)」を開催し、平成29年度の「『新産業構造ビジョン』の今後の検討事項(案)」などの資料を公開した。
本検討事項は、人口減少や少子高齢化による雇用者の減少、国内市場の縮小が進む中で、第4次産業革命(IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボット)によるパラダイムシフトを進めていくことを目指している。従来対応できなかった「社会的・構造的課題=顧客の真のニーズ」に対応し、「革新的サービスの創出」と「生産性向上」で中間層の仕事を充実させていこうというアプローチだ。
AIやロボットなどの活用は、「新しいビジネスの創造や生産性を高めるといったメリットはあるものの、人間の雇用が奪われてしまうのではないか」というネガティブな要素が、これまで多く指摘されてきた。これは、メディアなどで、人間同様の知能や意識を持つ、いわゆる「強いAI」ばかりをクローズアップすることが多かったためだろう。しかし現在、現実的に活用が進んでいるのは、人間の知能の一部を代替させるいわゆる「弱いAI」の方だ。
参考記事
DeepLearningが人工知能の裾野を拡大。ビジネス、社会、エンジニアはどう変わるのか?
現実的に活用が進んでいくのは「弱いAI」の方なので、今後は、「人間は、AIを活用してワークスタイルそのものを変えていき、仕事を充実させて労働生産性や自身のキャリアにおける市場価値を高めていこう」といった前向きな考えを持つ人が増えていくだろう。
なお、調査会社のガートナーは、2015年7月にAIやスマートマシンによる人間のキャリアの変化について、次のような予測を発表している。
AIやスマートマシンによる人間のキャリアの変化予測(出展:Your Job Is About To Get A Whole Lot Better - Smarter With Gartner)
これは、2020年までに、AIを実装した自律的に行動するロボットや自動運転車などを指す『スマートマシン』によって破壊されるキャリアパスは『17%』、パーソナル向けのスマートマシンによって良い影響を受けるキャリアパスは『12%』、エンタープライズ向けのスマートマシンによって良い影響を受けるキャリアパスは『22%』、影響を受けないキャリアパスは「49%」という予測だ。つまり、AIによって破壊されるキャリアパスよりも、良い影響を受けるキャリアパスの方が多いということだ。
AIの導入により、タスクが増える職種とは?
良いキャリアパスを築いていくためには、人間にしかできないことに集中する、つまり、AIなどに業務タスクの一部を割り振り、人間は人間にしかできないコア業務に集中し、生産性を上げていくアプローチが重要だ。
ジャストシステムが2016年8月23日に発表した「職業別の仕事と人工知能に関する実態調査」結果では、「AIに仕事の一部を頼みたいか」の問いに対して「Yes」の解答が最も多かった職種は「企画・マーケティング(35.7%)」、続いて「医師・看護師(33.3%)」だった。
人工知能(AI)に仕事の一部を頼みたいか(出展:「ジャストシステム 職業別の仕事と人工知能に関する実態調査 2016.8」)
マーケティング分野は、デジタルマーケティングやマーケティングオートメーションなどのキーワードに代表されるように、データを活用したマーケティングの自動化や効率化の取り組みが進んでいる。これからはさらにAIを活用して、企画・マーケティング業務の精度や効率性を高め、人間は「事業の判断」や「戦略策定」など、人間にしかできない業務にシフトしていくだろう。
AIと雇用の関わり方について、もう少し掘り下げてみたい。
総務省は、2016年7月29日に公表した「情報通信に関する現状報告(平成28年版情報通信白書)」の中で、AIの普及による人間の仕事のタスク量の変化と雇用への影響を整理している。
人工知能(AI)導入で想定される雇用への影響(出展:「総務省 情報通信白書2016」)
本白書では、AIの業務効率・生産性の向上効果により、機械化の可能性が高い職種のタスク量が減少していくと指摘している。その一方で、AIの導入や利用拡大に伴う「AIを導入・普及させるために必要な仕事」と「AIを活用した新しい仕事」の2種類は、タスク量の増加が進んでいくとしている。
タスク量の増加に対する雇用の対策は、「雇用の一部代替」「雇用の補完」「産業競争力への直結による雇用の維持・拡大」「女性・高齢者などの就労環境の改善」の5つだ。
「雇用の一部代替」は、人間がする仕事のうち、AI活用と比べて同じ生産性でコストが割高となる一部のタスクのみがAIに取って代わられる。
「雇用の補完」は、AIと一緒に働く人間やAIで軽減したタスク量であれば働ける人間によって補完される。
つまり業務の生産性を上げていくためには、中長期的に「AIの活用を前提としたワークスタイルの在り方」を考え、行動することが必要だということだ。
IT業界は需要増——就業構造の変化による雇用の流動化
AIによる雇用の流動化も進んでいくと見られる。経済産業省は、2016年4月27日に発表した「新産業構造ビジョン」の中間整理で、第4次産業革命の進展による産業構造や就業構造の劇的な変化を予測している。
就業構造の変化とは、「AIやロボットなどを作り、新たなビジネスのトレンドを創出する仕事」を国内外から集積し、「AIやロボットなどを使って共に働く仕事」を拡大させるといった変革だ。
第4次産業革命による就業構造変革の姿(イメージ)(出展:「経済産業省 「新産業構造ビジョン 中間整理」 2016.4)
「新産業構造ビジョン」では、就業構造を現状放置した場合、2015年度と2030年度で比較した職業別の従業者数の変化(伸び率)は、「経営戦略策定担当」「研究開発者」などの上流工程で136万人減少すると予測している。
逆に、「新産業構造ビジョン」による変革を進めた場合は、「経営・商品企画」「マーケティング」「R&D」など、新たなビジネスを担う中核人材が96万人増加すると予測している。
IT業界は、製造業のIoT化やセキュリティ強化など産業全般でITへの需要が高まるため、現状放置だと3万人減少であるが、変革を進めた場合は約45万人増加すると予測している。
一方、大衆飲食店の店員、コールセンターなどのサービス業(高代替確率)は、現状放置では23万人増加だが、変革した場合は減少していくと予測される。減少によって雇用を失った人たちは、新たな成長分野への雇用シフトが必要だ。
まとめると、AIやロボットによる効率化や自動化により、経営やマーケティングなど、人間の判断や創造性が求められる業種への「雇用の流動化」が進んでいくことが予想される、ということだ。
AIやスマートマシン活用による明るい未来(予測)
最後に、AIやAIを実装したロボット自動運転車などの「スマートマシン」を活用したワークスタイルの変革について整理する。
ICTインテリジェント化の影響に関する展望(出展:総務省 「AIネットワーク化検討会議」2020年以降の産業別ロードマップ 2016.4)
グローバル化の面では、多言語を含む「対話支援サービス」が挙げられる。これにより、迅速な意思決定や海外とのコミュニケーション増加に伴うビジネスの機会が増えていくだろう。
定型業務は、「バックオフィス業務の自動化」やAIによる「自動決済機能」「自分秘書代行」などで、業務の自動化や効率化を進めていくことが想定される。
新しい事業や業務を始めるときにも、優秀な人材の採用や育成にコストや時間をかけることなく、AI活用で事業の早期立ち上げを実現するといったアプローチが想定される。
マネジメント業務では、「第三者的で客観的な視点の助言」をAIに求めることで、意思決定のスピードを速め、事業の成功率を高められる可能性がある。
また、商品開発や企画・マーケティング分野も、開発した商品の発売前に消費者の評価が得られる仕組みを作るなどのアプローチが考えられるだろう。
自動運転車の活用もワークスタイルの変革につながると考えられる。
例えば自動車通勤で毎日片道30分運転している人なら、自動運転車に置き換えることで、1日1時間仕事に充てられる時間が増える。月間で21時間、年間なら252時間の仕事時間の確保にもつながる。
このように本稿では、AI活用によるワークスタイルの変革予想図を紹介してきたが、いかがだっただろうか。「AIは人間の労働を代替する」といたずらに不安がるのではなく、業務におけるタスクをAIと分担することで、AIは「自動化による労働生産性の向上や意思決定支援など、人間の業務を補完・拡張する」ものとして、ワークスタイルを変革するきっかけになることがお分かりいただけたかと思う。
極端にいえば、AIを活用することで、(同じ業務量であれば)週休3日制が一般的になり、仕事重視からプライベート重視型のワークスタイルやライフスタイルに大きくシフトしていく可能性もあるのだ。
現時点では、AIは十分に市場に普及しておらず、テクノロジー的に成熟していない部分もあり、セキュリティリスクなどさまざまな課題も山積しているのが現実だが、今後、AI関連のテクノロジーやサービスは普及していくと想定される。AIを業務に取り入れ、ワークスタイルを変革し、進化させていくことができるかが、これからのビジネスパーソンのキャリアパス形成で、重要な位置付けとなっていくだろう。