2018年3月9日金曜日

【森友文書】財務省、自民党に決裁後の文書書き換えを否定 朝日「契約当時の文書」の行方は

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑いがあるとの朝日新聞報道をめぐり、財務省が自民党幹部に対し、決裁後の書き換えを否定していることが8日、分かった。ただ財務省は、朝日が書き換え前と報じた「契約当時の決裁文書」の存在を完全に否定しておらず、謎は深まっている。(沢田大典)

 自民党幹部によると、7日に複数の党幹部が財務省の矢野康治官房長らに事情を聴いた。財務省の説明では、同省近畿財務局で決裁に関わった27人にヒアリングしたところ、全員が決裁後の書き換えを否定した。ある近畿財務局幹部は「契約当時の文書」の内容について「決裁の途中で差し戻された文書の可能性はある」と話したという。

 財務省が8日の参院予算委員会理事会に提出した文書は、近畿財務局が持っていた「貸付決議書」と「売払決議書」の原本のコピーとされるものだ。これまでに国会議員に開示された文書と同じ記載内容で、決裁完了日はそれぞれ平成27年4月28日、28年6月14日だった。

 朝日は、決裁当時の内容が国有地売却問題発覚後の29年2月以降に書き換えられた疑いがあると報じた。

 決裁当時の文書が開示文書と同一ならば、政府に問題はない。ただ8日の参院予算委理事会では、立憲民主党の蓮舫参院国対委員長が「これ以外に契約当初に作成した決裁文書がないと言い切れるか」とただしたところ、財務省の富山一成理財局次長は「調査中だ」と返答した。

 毎日新聞は8日付夕刊1面で、今回の文書とは別の、売却方針を国土交通省大阪航空局に通知した際の決裁文書(28年6月決裁)に「本件の特殊性」などの表現があったことや、近畿財務局が学園に売却予定価格を通知した際の決裁文書(28年5月決裁)に「学園に価格提示を行う」との記述があったと報じた。

 双方の記述も、朝日が初報した2日付朝刊紙面では「契約当時の文書」に記載され、開示文書にはないと報じた。野党は「他の文書にある内容が開示文書にはなく、疑惑は深まった」(立憲民主党中堅)として政府への攻勢を強める。

 これに対し、自民党の和田政宗参院議員は自身のブログで、売払決議書に関し、朝日が報じた「契約当時の文書」が、「予定価格の決定の決裁文書」と内容が酷似していると指摘し、「朝日新聞さん、まさか文書を取り違えてはないとは思いますが…」と疑問を呈した。

 元大蔵官僚の高橋洋一嘉悦大教授は「朝日が、異なった決裁文書を見比べて、書き換えられたと思い込んだのではないか。ただ、財務省本省の知らないところで近畿財務局が書き換えた可能性も残っている。朝日が根拠となる文書を表に出して確認すべきではないか」と話した。

 朝日は「契約当時の文書」を「確認」したと報じたが、8日もその「文書」を公表しなかった。

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