日本やオーストラリアなど11カ国はチリの首都サンティアゴで8日午後(日本時間9日未明)、離脱した米国を除く環太平洋連携協定(TPP)の新協定「TPP11」の文書に署名した。これにより昨年11月に大筋合意した自由貿易を推進する協定内容が確定した。日本政府は今国会に協定承認案と関連法案を提出する方針で、2019年の発効を目指す。
署名式後の記者会見で茂木敏充経済再生担当相は「発効に向け、日本が率先して機運を高めたい」と述べ、引き続き主導的な役割を果たす意向を示した。新協定は、参加国の過半数が国内手続きを完了してから60日後に発効する。各国が国内で議会承認などの手続きを進めることが今後は必要になる。
新協定は、米国離脱で残る11カ国の交渉が難航するのを避けるため、農産物や工業製品を市場開放する「関税」分野、通関手続きの簡素化や企業活動を促進する「貿易・投資ルール」分野で、12カ国で合意した元の協定の内容を原則維持した。ただ、医薬品のデータ保護など22項目は米国復帰まで凍結する。
また、新たな国・地域が加入する場合には協定発効後とする。トランプ米大統領は今年に入り、「再交渉」を前提にTPP復帰を検討する考えを示している。ただ、茂木氏は「さまざまな利害関係を綿密に調整して作り上げたガラス細工のような協定であり、(米国の有利なように)一部のみを取り出して再交渉することは極めて困難だ」と強調した。
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