学校法人「森友学園」との国有地取引を巡り、売却価格から地中ごみの撤去費用として値引きする方法は、国土交通省大阪航空局が学園側の申し出を受け、予算措置が要らない方法として、財務省近畿財務局に提案していたことが、削除された財務省の決裁文書から分かった。元学園理事長の籠池泰典(かごいけやすのり)被告は安倍昭恵氏の名前などを出しながら、早期決着を迫っていた。 (藤川大樹)
財務省は十九日、土地売却時の決裁文書から「森友学園事案に係る今後の対応方針について」と題する「決裁参考メモ」の削除が新たに確認されたと発表した。二〇一六年三月十一日に学園側から新たなごみが見つかったとの報告を受け、近畿財務局が同年四月四日付で対応をまとめた。
メモによると、学園側は国側に、工期がずれ込むことになった場合、損害賠償請求を行うとし、「地中に埋設されていると予測される廃棄物の全面撤去を検討せよ」と要請。一方で「(ごみの撤去費を)売却価格から控除するなら、購入も検討したい」と申し出た。
大阪航空局は新たなごみの処理について「所有者責任上、処理せざるを得ない」としつつも「早急な予算措置は困難な状況であるため、売却価格からの控除を提案することで事案の収束を図りたい」と近畿財務局に提案。同局はこれを受け入れ、五月末をめどに土地の評価額から廃棄物処理費用を減額した価格提示を行い、売却を行う方針を打ち出したという。
国会で共産党が明らかにした音声データによると、一六年三月末に行われた学園側と近畿財務局、大阪航空局が行った協議の場では、国側は「本当に申し訳ない話なんですけど、予算の制約がございますので一七年度の予算要求になってしまいます」と説明。国が撤去する場合、一八年度以降の予算での対応になるとしていた。
これに対し、籠池被告は「棟上げの時に、首相夫人が来られることになっている。だから日にちの設定をしている。どうするの、僕の顔は」「資金繰りが大変なことになる」などと対応を急ぐよう求めていた。
新たに判明したメモはこの協議の数日後の四月四日に作成されており、約八億円の大幅値引きをした取引の特殊性を隠すために削除したとみられる。
19日に追加で公表された決裁文書の一部=下線は本紙が記入 |
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