人工知能(AI)技術が社会に普及すると、日本の国内総生産(GDP)が平成42年に50兆円増える一方で、雇用者数は240万人減るとの試算を三菱総合研究所がまとめた。人間に代わって機械が工場での作業や一般事務をこなすようになるのが原因。
42年時点では人口減少による労働者不足を緩和する効果があるとしているが、AI社会で求められる新たな仕事にうまく対応できなければ、失業者が増える恐れがある。働き方や人材育成の仕組みづくりが課題となりそうだ。
ものづくりや流通、金融、サービスなど9つの産業分野について試算。AIの進歩に伴う自動運転車の普及や、個人の健康状態や行動履歴といった記録を活用する新たな産業が原動力になり、経済成長率を年率0・6%押し上げると予測した。
42年の実質GDPは技術の進歩がない場合に比べて増え、595兆円になる。
雇用は、新たに500万人の仕事が創出される一方で740万人の仕事がなくなり、差し引き240万人の減少となる。
目立って増えるのは、AIやロボット関連の専門職や技術職で、270万人の増加が見込まれる。一方、工場など生産現場で働く人は150万人減り、販売に携わる人は65万人減少するとした。
白戸智主席研究員は「AIがもたらす産業構造の大転換で、ホワイトカラーの仕事などこれまで普通にあった職がなくなり、適応できなかった人が低所得層に落ち込むことが最も心配だ」と指摘する。
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