JETROの2016年12月21日調査では、アジア太平洋地区の20国家に進出した4642社の日系企業にアンケートしている。その中で中国大陸の業務拡大意欲ありと答えたのは40.1%と前年より2ポイント上昇した。
さらに中国の人件費上昇は一段落し、日本製造業の"中国回帰"の後押しとなっている。2015年〜2016年の中国の人件費は6.1%の上昇で、これは上記20か国中の9位である。さらに2017年の上昇は5.7%以下に収まる見通しだ。服装紡績業などは、中国産原材料の価格競争力が評価され、すでに中国生産の再拡大が実現している。
別方面からの中国需要も強い。それは日本の高齢化加速による企業の継承問題だ。帝国データバンクの調査によると、3分の2の企業は後継者問題で悩み、売上1億円以下の小企業では80%が悩んでいる。売上5億円、主要顧客はトヨタという優良自動車部品メーカーですら後継者がいない。今後こうした日本企業から中国企業への株式移転、経営権の取得は進む。多くの日本人と日本企業にとって2016年はターニングポイントとなるだろう。
以上のように記事は、2012年9月の反日暴動から現在までの5年間の日中経済関係をコンパクトにまとめている。
この間、中国の日本製品買い、日本への投資はともに増加、それ以前の交易構造とは変化した。また日用品などの軽工業では中国自身もすでに東南アジアから調達する時代である。この状況で中国市場向け以外の日系工場が繁栄するとは考えにくい。
さらにコミュニケーションツールの発達は目覚ましく、日系各社はテレビ会議を連発している。いまさらフェイストゥーフェイスの時代でもなく、日本人技術者もバイヤーも、中国に駐在する必要性はこの方面からも減少した。2012年以前の状況にもどることはもうないだろう。
また若者にはチャイナ・ドリームは訪れるのだろうか。中国政府は現在、駐在外国人のクラス分類を進めている。ABCの3ランクに分け、役に立たないCランクの外国人はいつでも追い出せる体制作りを目指す。あまり夢を追うに適した場所でもなさそうだ。
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