米西部ワシントン州のファーガソン司法長官は30日、トランプ大統領や国土安全保障省などを相手取り、難民やイスラム圏7カ国の出身者らの一時入国禁止を命じた大統領令を「違憲」とする訴訟を同州シアトルの連邦地裁に起こすと発表した。同日中に提訴する。同大統領令をめぐり州司法長官による提訴はワシントン州が初となる。
一方、複数の米メディアは30日、100人以上の国務省職員が大統領令に対し、集団で抗議する計画だと伝えた。オバマ前大統領も報道担当者を通じて「信仰や宗教を理由に個人を差別する考えに根本的に同意しない」と批判する異例の声明を発表。米国では、内外の非難に反論を強める大統領に対抗する異例の動きが広がっている。
ファーガソン司法長官は、大統領令は憲法に定められた法の下の平等や、信仰の自由などを侵害していると批判した上で「大統領でさえも、法を超越しない」と強調した。ワシントン州など15州とコロンビア特別区(首都ワシントン)は29日、大統領令を「憲法や法律に違反し、米国的でない」と非難し、「わが国の安全保障や価値観を守るため闘う」と宣言する共同声明を発表していた。
司法長官は、訴訟と併せ、大統領令執行の暫定的な差し止めを求める申し立てを行うほか、連邦地裁に対し、2週間以内に審理を開くよう要求することも明らかにした。
長官によると、ワシントン州に本社を置くインターネット通販最大手アマゾン・ドット・コムやインターネット旅行販売大手エクスペディアも提訴を支持した。
また、国務省職員の抗議は、同省が設置した外交政策への意見表明制度を利用し、抗議内容を記したメモに署名を集めて提出するとみられる。ニューヨーク・タイムズ紙は「メモがまとめられたスピードと署名者の人数(の多さ)は、国務省がトランプ氏の禁止令への抵抗の中心になったことを示している」と指摘した。
ABCテレビによると、メモの草案はビザ(査証)を保有する7カ国出身者によるテロは近年ほとんど発生していないと主張。「禁止令には、公共の安全を改善する効果はほとんどない」と強調している。
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