米国ミシガン大学の研究者が、光の動きを使って乗り物酔いを防ぐ装置の特許を取得しました。
ミシガン大学のMichael Sivak教授らが開発したシステムは乗り物酔い全般に活用でき、メガネ型のウェアラブルとしても、乗り物の内装としても実装が可能です。
将来の自動運転車の普及に向けて、車内で読書やPC作業をして感じる不快感や酔いを防ぎ、これから増えるであろう(自動運転)車内移動時間の有効活用につながると謳います。
自動運転に限らず、揺れる車内で細かい文字を読んだり、PC作業をすると気分が悪くなる乗り物酔いは多くの人が経験します。
原因のひとつとして挙げられるのは、目から入る情報と、三半規管など身体が感じる平衡感覚とにズレが生じること。これは運転している本人は乗り物酔いしにくかったり、ゲームでもプレーヤーは平気なのに横から見ていると気持ち悪くなる現象で実感できます。
UMTRI (ミシガン大学交通研究所 Transportation Research Institute) の Michael Sivak氏、Brandon Schoettle氏らが米国特許を取得した発明は、「Universal Motion Sickness Countermeasure System」、汎用乗り物酔い対策システムというそのままな名称。
要はこの「身体と視覚の不一致」を解決するために、光で周辺視野に外部の動きと一致するパターンを見せ、視覚にも三半規管などが感じるのと同じ動きの感覚を与える仕組みです。
特許文書によれば、メガネ型の場合はつるの部分に発光素子やディスプレイを設け、加速感や上下左右への揺れの手がかりとなる動きを見せたり、実際の動きと一致した仮想の「地平線」を表示します。
こうすることで、運転者以外でも、またPCの画面や本などを注視していても、視覚情報に身体と一致した動きの手がかりを与え、酔いの発生を軽減します。
このためウェアラブルでなくても、車自体のインテリアに光のストリップを取り付け、動きと一致する光の流れを表示することで酔いにくい自動車とする応用も述べられています。
大学自身が発信するニュースの見出しにもあるように、自動運転の時代に向けた技術ではありますが、特に自動運転車にかぎらず、これまで普通のクルマに同乗した際に仕事しようとしたら酔っていた、という場合にも使える技術です。
(公共交通機関の普及した地域ではそれほどでもありませんが、各自が自分の運転する自動車で毎朝通勤することが多い車社会などでは、これからの自動運転でドライバーが基本的に座っているだけになり、移動時間を余暇や仕事に使えるようになることは大きなトピックです)。
いずれ完全な自動運転が主流になり、自動車が単なる移動する個室として、車内でVRやARを使って仕事や遊びに時間を使えるようになったときには、『仮想世界だけど外界の加速度と一致した動きで背景が流れている』といった演出が酔い軽減に導入されるかもしれません。
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