2017年3月2日木曜日

フリーペーパー「冬の時代」 R25の終焉が示す業界の苦境

 フリーペーパーとして一世を風靡した「R25」がその歴史に幕を下ろす。出版不況のなか、印刷・配送費用に見合う広告収入が見込めず、フリーペーパーやフリーマガジンは休刊、廃刊が相次ぐ。WEB転換も容易ではなく、業界は「冬の時代」に突入した。

 かつて最大60万部を誇ったフリーペーパーの雄としては、なんとも寂しい幕切れの印象が残った。

 「皆様にはご迷惑をおかけすることを深くお詫び申し上げます」

 R25を運営する「Media Shakers(メディアシェイカーズ)」が1日に発表した1枚のリリースには、4月28日でR25を終了する告知と読者への謝罪が書かれていたが、終了にいたる経緯や理由は一切触れられていなかった。

 R25は2004年にフリーペーパーとして創刊。30歳前後のビジネスマン層を意識して、仕事、結婚、マネーなどの話題やニュースなどを隔週刊(当初は週刊)で提供してきた。最盛期には返本率2%前後という、無料情報誌でも「驚異的」(出版関係者)な数字をたたき出した。

 勢いに乗って、新社会人向けに「R22」、20代からアラサー女性をターゲットとした「L25」などの姉妹誌も発刊。その成功に刺激された参入も相次ぎ、フリーペーパーブームを牽引する存在だった。

 しかし、やがて部数低迷に陥り、15年9月についに紙としては休刊。その後はネットメディアとして運営され、月間1500万超のPVを記録したこともあったが、「計画通り広告が集まらない」(発行元のリクルートホールディングス)現状を打開することは難しいと判断したようだ。

 R25休刊と同じ15年には、90年以上の歴史を持つ資生堂の企業文化誌「花椿」も、やはり紙媒体としては廃刊を余儀なくされ、アルバイト求人情報誌「an」も首都圏や関西圏の一部地域で休刊した。1967年に首都圏で創刊された同誌は、九州や東海にも拡大したが、求人広告の減少に直面していた。

 背景には、フリーペーパー業界が抱える厳しい構造問題が横たわる。雑誌の発行の継続は非常にコストがかかるが、とくにフリーペーパーは膨大な印刷費用を必要だとされる。

 「経営が厳しいと特集や企画ページを減らさざるを得ない」(前出の出版関係者)が、内容が薄ければ手に取る読者も当然減る。売り上げの伸びが見込めないので発行部数を抑えれば、クライアントも離れていく。「悪循環に陥り、号数を重ねるにつれ先細りになっていく」(同)のだ。

 それでも、10年以上続いたR25は大健闘した方かもしれない。「5号までいければ立派。実際は創刊号や2号の発刊どまりで消えていくフリーペーパーがいくつもある」(同)というのだから。

 苦境に陥った各誌が飛びつくのがWEBというのもほぼお決まりのパターン。フリーペーパーの読者層である若者層が、PCやスマートフォンなど情報端末にシフトしているからというのが、これまたおしなべてその理由に挙げられる。

 だが、実際にはグルメ情報一つとっても、「食べログ」などの専門の情報サイトがいくつも存在し、ネットユーザーはフェイスブックなどSNSで情報交換することが増えている。「なにもフリーペーパーに情報を提供してもらわなくても、事足りている」といった声が聞こえてくる。

 実際、追い込まれたR25がデジタルで立て直しを図ったものの、状況は改善できなかったことが、業界の苦境を象徴している。

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