3月17日に一部のメディアが福島第二原子力発電所1号機について東京電力は廃炉にする方針であると報じたが(毎日新聞)、これに対し東電が否定した(福島民友、東京電力HDプレスリリース)。
震災では福島第一原子力発電所が大きな被害を受けたが、第二原子力発電所についても津波で1号機および2号機が大きく浸水し海水ポンプが損傷するといった被害が発生していた。別系統の冷却装置を活用することですべての原子炉を冷温停止させることができたものの、今後の方針については決まっていなかった(東京電力の「福島第二原子力発電所はなぜ過酷事故を免れたのか」ページ)。
現在は第一原発の廃炉支援の後方施設として機能する一方、原子力施設の新規制基準適合性に係る審査(設置許可)はまだ行われておらず、新規制基準を考慮した地震動などの策定を社内で検討している模様。今回の発表でも「今後の扱いについて(中略)総合的に勘案し、事業者として判断してまいります」と述べるに留まっている。
福島県は昨年末福島第二原発の全基廃炉を強く求める意見書を発表。またかつての経産相も「福島県民の心情を考えると、福島第二原発は他の原発と同列に扱うことはできない」と発言し、県民感情を考慮して廃炉にする可能性を示唆したと注目された(ロイター)。
これに対し経済学者の池田信夫氏は「科学的な反論のない「県民の心情」を根拠に廃炉にする政治とは何だろうか」と疑問を投げかけたこともあった(アゴラ)。思えば放射性物質検査を経た食品の安全性や築地市場移転問題など、専門家が科学的知見に基づいて判断しても、「気分的に嫌だ」「安心できない」と一般大衆が心情で否定するのは、昨今の流行なのかもしれない。
なお2015年に「原発依存度低減に向けた廃炉会計制度の見直し」が講じられ、「�資産の残存簿価、核燃料の解体費用等、廃炉に伴って一括して発生する費用を、10年間で分割して償却することを認める」「�分割された償却費用について、小売規制料金の原価への算入を認める」ことになった(自由化の下での廃炉に関する会計制度について|資源エネルギー庁)。もしかすると可能な限り廃炉は示唆しないのがよいのかもしれない。
0 件のコメント:
コメントを投稿