2015年3月7日土曜日

入国管理の緩和の法案

■出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri05_00007.html

それを見ると、「高度専門職の在留資格に伴う在留期間の上限を設けないこと」とあります。
ただ上記のPDFファイル、ちょっと(だいぶ?)見づらいですよね。

なので、高度専門職?これはどんな人が対象なんだろう?と思い、法務省・入国管理に電話で聞いてみました。

わかりやすく説明されているホームページ。

■高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_3/index.html


まずこの制度は、これから始まるものではなく、既に平成24年5月7日より導入しているものなんです。ですから、このホームページの内容は 「現行制度」だということを踏まえて読んでくださいね。
そして、この制度の一部を改正することを「移民政策」だと思っている方がいるようなので、いろいろ調べてみました。

高度専門職ですが、このHPでは「高度人材外国人」と いう呼び方になっています。
ですので、以下「高度人材外国人」と表記していきます。
それでは、まず「高度人材」とは具体的にどんな人材なのか?現行のHPを見てみます。

http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_3/system/index.html

■高度人材ポイント制とは?
高度人材外国人の活動内容を,「高度学術研究活動」,「高度専門・技術活動」,「高度経営・管理活動」の3つに分類し,それぞれの特性に応じ て,「学歴」,「職歴」,「年収」などの項目ごとにポイントを設け,ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合に,出入国管理上の優遇 措置を与えることにより,高度人材外国人の我が国への受入れ促進を図ることを目的としています。


つまり、高度人材外国人とは、高度な資質・能力を持ち、代替することが出来ない優秀で良質な人材であり、日本の発展に貢献・寄与できる人物と いうことになります。
そして制度の中では、ポイントが70点以上の外国人だ けを「高度人材外国人」と呼ぶそうです。(法務省入国管理に確認済)

そして、ポイントが70点以上の高度人材外国人には、現在、出入国管理上の優遇措置が与えられています。
■ポイント評価のしくみ
それぞれの活動の特性に応じて,「学歴」,「職歴」,「年収」,「研究実績」などの項目ごとにポイントを設定しポイント計算による評価を実施
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_3/evaluate/index.html

ポイントが70点以上の「高度人材外国人」が他の外国人労働者と比較して優遇されている点は以下の通りです。

■出入国管理上の優遇措置の内容
1. 複合的な在留活動の許容
2. 在留期間「5年」の付与
3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
4. 入国・在留手続の優先処理
5. 配偶者の就労
6. 一定の条件の下での親の帯同
7. 一定の条件の下での家事使用人の帯同
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_3/preferential/index.html


以上が「高度人材外国人」の優遇措置です。これは現行制度なので、もう既に行わ れているものです。

そして今回、この制度に関する法の一部改正案が国会提出されています。
内容は「在留期間3年(現行制度5年→3年に短縮)で永住許可を与える」というもの。
これが「移民政策と同じ」?ではないかと一部で言われているんです。
 
たしかに「在留期間3年で永住許可」というところだけ見ると、すべての外国人が3年日本に滞在すれば自動的に「永住できるの?」と誤解してし まいそうです。
しかし、この制度は今まで説明してきたように「高度人材外国人」のみが対象です。
だから、それ以外の単純労働者等、「高度人材外国人」以外の外国人に3年で永住許可というものではありません。もちろん、不法滞在の外国人に 永住許可なんて絶対にありません。

だから、すべての外国人が「3年日本に住めば永住許可」を与えられるというのは、大きな誤解であり、間違いです。

また、高度人材外国人が3年日本に在留しても、すべての高度人材外国人に永住許可が与えられるわけではなく、本人が「申請した場合のみ」「厳密な審査を行い」可否を決めるとのこ と。

※「高度人材外国人」は「配偶者・親・家事使用人」等を帯同できるのですが(これも現行制度です。親や家事使用人の帯同に関しては一定の条件 の下)、この「配偶者・親・家事使用人」には、3年日本に住んでも永住許可が与えられることはないとのこと。
「配偶者・親・家事使用人」は「高度人材外国人」ではないので、一般の外国人と同様の扱いになるそうです。

要するに、
①高度人材外国人(ポイントが70点以上)が
②3年間日本に住み
③本人が申請し
④厳正な審査を通った人物

①から④の条件を満たす外国人だけが今回の法改正の対象となります。

もう1度、繰り返しますが、
ポイント70点以上の高度人材外国人が3年間日本に住み、本人が申請し、審査を通れば、永住許可が与えられるというもの。
(配偶者・親・家事使用人は3年間日本に住んでも、永住許可の対象にはなりません。)

今回の法改正は、5年の在留 → 3年 に緩和するというものです。

この永住許可なんですが、帰化とは異なります。
帰化して日本人になるわけではないので、永住許可を獲得した外国人であっても、何か問題があれば「永住許可取消」「強制送還」となるそうで す。

正直「3年」の在留で大丈夫なのか?との懸念はあるのですが。。。
ただ、犯罪等問題があれば、永住許可取消や強制送還等の措置が取られることなど、帰化と永住許可は違うことについては、少し安心しました。
また、ポイント70点以上を取るためには、「高能力・高学歴・高収入など」トータルで安定した生活や職業や人物でなければならず、犯罪等を起 こすような人物が「高度人材外国人」に認定される確率は極めて低いとのこと。
そういった観点から、「日本の発展に寄与する優秀で良質な外国人を、日本に惹きつけ呼び込むための宣伝」として「3年」を打ち出したそうです (法務省入国管理談)

現在「永住許可」獲得のためには

高度人材外国人は   5年在留
一般外国人は     10年在留

が最低でも必要です。(本人が永住許可申請する。審査あり)

■永住許可に関するガイドライン
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan50.html


永住許可については、上記のように、今現在でも行われているんです。
その中で、在留を5年→3年に短縮し、日本に定着する高度人材外国人を 増やし、日本の発展に尽くしてもらおうというのが、今回の法改正というわけです。


ということで、最後もう1度まとめますね!(しつこくてすみません・・・)
・日本の発展に貢献・寄与できる良質な外国人(ポイント70点以上の高度人材外国人)
・3年間日本に在留
・本人が申請
・厳格な審査
・問題があった場合「永住許可取消」「強制送還」等

3年間日本に住んで、日本に愛着を感じた高度人材外国人に、日本の発展に、より貢献・寄与してもらおうということだと思います。
日本経済をプラスにし、活性化させることが今回の法改正の目的だそうです。
帰化したい場合は、別に「帰化申請」が必要になります。

永住許可については、賛否があることと思いますが、上記で説明したように、現在既に永住許可は一定条件を満たした外国人に付与されています。 (高度人材外国人は5年在留、一般外国人は10年在留が最低限必要。どちらも本人が永住許可申請する。審査あり。)
そして、「永住許可」と「帰化」は異なるということ。
       
         今までの内容を読んでおわかりいただけたかと思いますが、高度人材外国人とし て認定されるまでに、ポイント70点以上という高いハードルがあるんです。優秀で良質な人物だけが「高度人材外国人」になるので、ご く限られた人物ということです。そして、永住許可獲得できるのもその中の一部ということになります。
だから、この高度人材外国人だけが対象の「在留期間を5年→3年」に短縮する法改正を「移民政策」だとは私は思いません。
       
      
<追記>
下記も参考になります。ぜひご覧ください。

■自民党・赤池まさあき氏のFBより
「移民問題について」
https://www.facebook.com/akaike.masaaki/posts/261736244031658

■なでしこりんさんのブログ
「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」に関するするデマ情報を斬る!
http://ameblo.jp/fuuko-protector/entry-11867415268.html
        

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