2015年3月7日土曜日

高度人材とポイント評価

2012年より外国人の高度人 材に対してポイント制を活用した出入国管理上の優
遇措置が開始されています。この制度は、「高度人材」といわれる経済成長や新
たな需要と雇用 の創造に資することが期待される高度な能力や資質を有する外
国人の受入れを促進するためのもので、高度人材の具体例としては以下のように
定め られています。

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①学術研究活動
 └基礎研究や最先端技術の研究を行う研究者
②高度専門・技術活動
 └専門的な技術・知識等を活かして新たな市場の獲得や新たな製品・技術開発
等を担う者
③経営・管理活動
 └日本企業のグローバルな事業展開等のため、豊富な実務経験等を活かして企
業の経営・管理に従事する者
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在留中の外国人については在留 資格変更手続により、高度人材の活動類型への
該当性及びポイントを審査し、高度人材と認められるか否かが判断されます。申
請人の希望に応じて 高度人材外国人の活動内容を①学術研究活動,②高度専門・
技術活動,③経営・管理活動の3つに分類し、それぞれの活動の特性に応じて、
項目ご とにポイントを設定し評価が行われます。「高度人材外国人」と認定さ
れれば、以下のような出入国管理上の優遇措置が受けられるようになりま す。

(1)複合的な在留資格の許容
現状では、日本に滞在する外国人は単一の在留資格の範囲内の活動に限定されて
おり、許可された一つの在留資格の範囲内での活動しか認められて いません。
しかし、優遇措置として、従来の就労可能な在留資格にそのまま当てはめるので
はなく、高度な資質・能力等を活かした複数の在留資格 にまたがる活動や、併
せて事業経営活動を行うことが許容されます。

(2)在留歴に係る永住許可要 件の緩和
 永住許可まで原則10年以上の在留が必要とされていますが、優遇措置として高
度人材としての活動を引き続き概ね5年行っている場合には、永 住許可の対象と
なり、なおかつ、高度人材としての活動を引き続き4年6カ月以上行っている場
合には、永住許可申請が受理されています。

(3)高度人材の配偶者の就労
高度人材と同居する配偶者については、「技術」や「人文知識・国際業務」な
ど、日本の公私の機関との契約に基づいて就労を目的とする在留資格 に該当す
る活動について、これらの在留資格に係る学歴などの要件を満たさない場合で
も、一定の条件を満たした場合には週28時間を超える就労 が認められます。

(4)親の帯同の許容
高度人材またはその配偶者の3歳未満の実子を養育する場合に限り、以下の条件
を満たす高度人材又はその配偶者の親(実親に限る)の帯同及び呼 寄せが認め
られます。
①高度人材の年収が1,000万円以上であること
②高度人材と同居すること
③滞在期間は最長3年間とすること
④高度人材又はその配偶者のどちらかの親に限ること
ただし、高度人材等の子の養育目的で在留している高度人材等の親は永住許可の
対象となりません。

(5)家事使用人の帯同の許容
 現状では、家事使用人の雇用主の在留資格が「投資・経営」または「法律・会
計業務」の場合で、さらにその地位が事業所もしくは事務所の長ま たはこれに
準ずる地位にある場合のみ、家事使用人の帯同が例外的に許可されています。し
かし、高度人材であれば優遇措置として、一定の条件 (年収等)を満たす場合
に家事使用人の帯同を認められます。ただし、厚労省が重要事項(労働条件、帰
国担保措置等)を含むモデル雇用契約書を 作成し、法務省においてその使用を
関係者に推奨する等の適正な運用を行う必要があります。

●外国で雇用していた家事使用 人を引き続き雇用する場合の条件
①高度人材の年収が1,500万円以上あること
②帯同できる家事使用人は1名まで
③家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
④帯同する家事使用人が本邦入国前に1年間以上当該高度人材に雇用されていた
者であること。
⑤高度人材が日本から出国する場合、共に出国することが予定されていること

● 上記以外の家事使用人を雇用する場合
上記①から③に加えて、家庭の事情(申請の時点において、13歳未満の子又は病気
等により日常の家事に従事することができない配偶者を有する こと)が存在す
ること

 このように高度外国人材には 多くの優遇措置が取られていますが、中でも最
も多く利用されるのは永住許可の緩和です。日本での住宅ローン申し込み時に永
住権の取得が求めら れることが一般的であり、日本で安定した生活を過ごした
いと考える高度外国人には魅力的に映るようです。ただし、この高度外国人材の
認定は在 留資格を変更することが条件となっています。そのため、数年間に渡
り日本に滞在していた外国人の場合には、現在の在留資格であと数年待ってか
ら永住申請を行った方が結果として早く永住権を取得できることも考えられま
す。高度人材のポイント制は、日本に入国して間もない外国人には大 きなメ
リットがありますが、留学生から大学生、そして社会人へと長期間に渡り日本で
滞在している外国人にとっては、あまりメリットが感じられ ないのも事実です。

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