2015年3月19日木曜日

東洋ゴム、免震材料の性能改ざん

 国土交通省は13日、東洋ゴム工業(大阪市)が建築用免震材料「高減衰ゴム」のデータを改ざんして建築基準法に基づく性能認定を受けていたとして、認定を取り消したと発表した。地震の揺れを抑える性能が低い認定基準外の免震材料は2052基販売され、宮城県や高知県など18都府県でマンションや庁舎、病院を中心に計55棟に使われた。最も高い建物は30階建て。
 東洋ゴムは2003年、国交省から免震材料の性能認定を受けた。しかし、販売した免震材料の一部は認定基準を満たしていなかったにもかかわらず、基準内に収まるよう数値を改ざん、出荷していた。サイズの変更に伴い06年に同省に再申請した際も、実際の性能を改ざんした製造実績を提出した。
 大阪市内で記者会見した山本卓司社長は「当時の担当者が予定通りに納品したいと考え、データを改ざんしたのではないか」と説明した。
 国交省は東洋ゴムに、基準外の免震材料が使われている建物の構造安全性を検証し、必要に応じて免震材料を交換、改修するよう指示した。同社は顧客に説明、建設会社などに構造計算の実施を依頼する。
 11年3月の東日本大震災で震度6弱~6強の揺れが観測された仙台市青葉区と宮城野区にある建物3棟については、その後の調査で構造体に損傷がなかったことが確認されているという。
 免震材料はゴムと鋼板からなり、建物の基礎部分に使われる。地震の際に揺れを吸収し、家具などの倒壊を抑える。
 東洋ゴムでは07年に、建物の天井や壁に使われる断熱パネルの性能を改ざんしていたことが明らかになり、国交省が認定を取り消した。
 認定基準外の免震材料が使われている建物55棟の都府県別の内訳は、高知県が9棟と最も多く、次いで神奈川県と愛知県が各6棟、宮城県と東京都が各5棟。三重県が4棟、埼玉県と静岡県が各3棟、茨城県と岐阜県、大阪府、愛媛県が各2棟、福島県と新潟県、長野県、京都府、香川県、福岡県が各1棟となっている。

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