夏休み! 海外渡航前に把握したい通信サービス
今は夏休みのシーズン。海外に渡航する人も少なくないだろう。
海外渡航の時、"通信費"は気になることの1つだろう。現在の携帯電話やスマートフォンは一般に「国際ローミング」を使うことで海外でもそのまま利用できる。
しかし、国内で使う場合と料金体系が異なる上、それが割高であることから「ローミングはちょっと……」と思っている人も少なくないはず。とりわけ通話はその傾向が顕著で、電話を受けた場合、国内では無料の「着信料金」がかかることもある(SMSの受信は無料)。
ただ最近、国際ローミング中のデータ通信については、安価に使えるサービスが充実してきている。渡航先や滞在日数次第の面もあるが、「海外渡航者向けプリペイドSIMカード」や「レンタルWi-Fiサービス」といった従来「廉価」と言われていた通信手段よりも料金を抑えられるケースもある。
うまく利用すれば、SNSやメールでおトクに連絡が取れる……のだが、「どういうサービスがあるのか分からない」という人も少なくないだろう。
そこで、この記事では大手キャリアで使えるおトクな海外データ通信サービスをキャリア別に紹介していく。海外での最適なデータ通信サービスを探す一助になれば幸いだ。
「国際ローミング」とは?
契約している通信事業者(キャリア)とは異なる通信事業者のネットワークを経由して(借りて)通信を行うことを「ローミング(Roaming)」という。
「国際ローミング(海外ローミング)」では、海外キャリアのネットワークを借りて通信を行う。キャリアによって国際ローミングできる国・地域は異なるので、自分の契約しているキャリアが渡航先で国際ローミングできるかどうか事前に確認することをお勧めする。
記事を読むに当たっての注意
この記事は2018年7月現在の情報を元に作成されています。また、特記のない限り料金は非課税となります。
サービスによっては店頭・電話・Webでの事前申し込みが必要なものもあります。その他注意点もありますので、各キャリアのサービスサイトも合わせて参照してください。
渡航先によっては、この記事で紹介しているおトクな海外データ通信サービスを利用できない場合があります。利用できなくてもデータ通信は可能ですが、高額なパケット(データ)通信料がかかります。対象の渡航先は、各キャリアのサービスサイトから確認できます。
NTTドコモ
NTTドコモには「海外パケ・ホーダイ」と「パケットパック海外オプション」という2つの海外パケット定額サービスがある。それぞれに特徴があるので見ていこう。
海外パケ・ホーダイ:申し込み原則不要 データ契約でも使える
「海外パケ・ホーダイ」は、ドコモのパケット(データ)定額契約者なら原則として自動適用されることが大きな特徴だ。
- →ドコモ、「海外パケ・ホーダイ」を9月1日に開始——3月末まで日額最大1480円(サービス開始発表時の記事)
料金は1日単位(日本時間の0時〜23時59分まで)の「2段階定額」で、パケット(データ)通信量に合わせて以下の通り変化する。
- 0〜9900パケット(0B〜約1.2MB):0.2円/1パケット(1パケット=128B)
- 〜20万パケット(約1.2MB〜約24.4MB):1980円(固定額)
- 〜20万5000パケット(約24.4MB〜約26.24MB)1980円+0.2円/1パケット
- 20万5000パケット以上:2980円(固定額)
2980円以上は課金されない上、容量を超過しても特別な速度制限をかけられない。若干レアかもしれないが、海外でもデータ通信をガンガンする人にもオススメだ。
ただし、料金が日本時間ベースで計算されることには注意が必要。また、特にスマホを使っている場合に顕著だが、1回目、2回目ともに"一瞬"で上限に達しがちなので気を付けたい。
「そこまでガンガン使うわけではないけれど、SNSで写真をそこそこシェアする」といった使い方をする人は、次に紹介するパケットパック海外オプションの利用を検討してみよう。
パケットパック海外オプション:国内の通信容量を使って安価に通信!
「パケットパック海外オプション」は、spモードを契約しているスマートフォン・ケータイ・タブレット用のオプションサービスで、24時間980円を支払うことで国内のデータ(パケット)容量の範囲内で高速通信できることが特徴。先述の海外パケ・ホーダイとは異なり、「使い始めてから24時間」という分かりやすさも魅力だ。
- →国内のデータ容量を海外でも使える ドコモの「パケットパック海外オプション」(サービス開始発表時の記事)
利用開始時(時間超過後の再利用時)には、Webブラウザまたは専用アプリによる接続操作が必要となる。少し面倒に感じるかもしれないが、不用意にデータ通信されないという観点では安心だ。
ただし、利用にあたっては注意点もいくつかある。
「パケットパック海外オプション」利用にあたっての注意点
- このオプションは別途申し込みが必要です。渡航する前にMy docomo(契約者用Webサイト)、ドコモインフォメーションセンター(電話)またはドコモショップで手続きしましょう
- このオプションは「spモード」とドコモが指定するパケット定額オプション(「パケットパック」「Xiパケ・ホーダイ」など)と組み合わせて契約する必要があります
- 利用する回線において、spモード以外のドコモのネット接続サービス(「iモード」「mopera U」など)を契約している場合、このオプションを契約できません
- このオプションを契約している回線では「海外パケ・ホーダイ」を利用できません。海外パケ・ホーダイを利用したい場合は、このオプションを事前に解約してください
- このオプションでは国内のデータ通信容量を"共有"します。容量を使い切ってしまった場合、通信速度は上下最大128kbps(理論値)に制限されますが、「スピードモード」「1GB追加オプション」などを使って速度を回復できます
- このオプションを利用する際は、端末のソフトウェアを最新にしてください(最新でない場合、正常に通信できない場合があります)
- このオプションの適用対象外の国・地域では「0.2円/1パケット」の従量課金となります。ただし、このオプションを契約していると、従量接続時にもWebブラウザまたはアプリによる操作が必要です。ただし、1回接続操作をすると、24時間経過後も接続を維持しますので、通信のしすぎには気を付けてください
こうして見ると意外と制約も多いが、海外でモバイル通信を使って「動画を見る」「クラウドストレージに写真を同期する」といった使い方をしない限り、よりおトクに使える。海外でもデータ通信をガンガン使うなら、先述の海外パケ・ホーダイを検討しよう。
パケットパック海外オプション キャンペーン料金プラン(9月30日まで)
ドコモは9月30日まで、一部渡航先を対象にパケットパック海外オプションの「キャンペーン料金プラン」を提供している。
対象の渡航先では、通常の「980円/24時間」の他に以下の料金オプションを選択できる。
- 300円/1時間
- 2480円/3日間(72時間)
- 3980円/5日間(120時間)
- 5280円/7日間(168時間)
対象の渡航先は以下の通り。
- 米国(本土、アラスカ、ハワイ、グアム、サイパン、プエルトリコ、米領バージン諸島)
- 韓国
- 中国(本土、香港、マカオ)
- インドネシア
- タイ
- オーストラリア
- イギリス
旅行の日数によってはよりおトクになるので要チェックだ。
また、同じ期間で、パケットパック海外オプションの利用者に期間・用途限定の「dポイント」を付与するキャンペーンも実施されている。事前申し込みは不要。
月内に利用したプランに応じて、以下のポイントが翌々月以降に付与される。毎月1回(1日)分の利用料金がポイントバックされる計算だ。
- 300円/1時間プラン:300ポイント
- その他のプラン:980ポイント
au(KDDI・沖縄セルラー電話)
au(KDDI・沖縄セルラー電話)には「海外ダブル定額」と「世界データ定額アプリ」という2つの海外パケット定額サービスがある。それぞれに特徴があるので見ていこう。
au世界サービス(auの国際ローミングサービス)について
WiMAX+スマホを含むCDMA 1X WIN(3G)端末におけるau世界サービスは、3月31日をもって終了しています。
3G端末ユーザーがau世界サービスを利用する場合、4G LTE端末への機種変更(契約変更)が必要です。
海外ダブル定額:申し込み原則不要 データ契約でも使える
「海外ダブル定額」は、auのネット接続サービス(「LTE NET」または「LTE NET for DATA」)契約者なら原則として自動適用されることが大きな特徴。
- →KDDIの「4G LTE」、ローミング時の「海外ダブル定額」に対応(4G LTEにおけるサービス開始発表時の記事)
料金は1日単位(日本時間の0時〜23時59分まで)の「2段階定額」で、以下の通りの設定となっている。
- 0B〜1237.5KB(約1.2MB):1.6円/1KB
- 〜2万5000KB(約24.4MB):1980円(固定額)
- 〜2万5625KB(約25MB):1980円+1.6円/1KB
- 2万5625KB以上:2980円(固定額)
注意点はドコモの海外パケ・ホーダイと同様。海外でもデータ通信をガンガンする人にオススメだ。それほど大量に通信しない人は、次に紹介する「世界データ定額」の利用を検討したい。
世界データ定額:国内の通信容量を使って安価に通信!
「世界データ定額」は、「データチャージ」対象のデータ(パケット)定額オプション・プランに加入しているスマホ・ケータイ・タブレットを対象とするオプションサービスで、24時間980円を支払うことで国内のデータ(パケット)容量の範囲内で高速通信できることが大きな特徴。
ドコモのパケットパック海外オプションと同様に、「使い始めてから24時間」利用できる分かりやすいサービスだが、元祖はauのこのサービス。「国内のデータ容量を使う海外データサービス」の先駆けでもある。
- →KDDI、「世界データ定額」を7月22日開始 24時間980円で国内料金を適用(サービス開始発表時の記事)
利用開始時(時間超過後の再利用時)には、Webブラウザまたは専用アプリによる接続操作が必要となる。少し面倒に感じるかもしれないが、不用意にデータ通信されないという観点では安心だ。
無料の会員プログラム「au STAR」に加入していると、毎月1回の利用が無料となることも魅力。au STAR会員なら特別な手続きは必要ない。
ただし、世界データ定額には以下の通り注意点もある。
「世界データ定額」利用に当たっての注意点
- 世界データ定額はデータチャージと対象のデータ定額オプション・プランを合わせて契約すると自動的に適用されます
- 世界データ定額の対象回線において、海外ダブル定額を利用したい場合は、事前に「世界データ定額 拒否オプション」を申し込むか、データチャージを解約する必要があります
- このオプションでは国内のデータ通信容量を"共有"します。容量を使い切ってしまった場合、通信速度は上下最大128kbps(理論値)に制限されますが、データチャージを使って速度を回復できます
- 世界データ定額対象外の国・地域で使う場合、海外ダブル定額対象国では「海外ダブル定額」が自動適用されます。海外ダブル定額も対象外の場合は「0.2円/1パケット」の従量課金となります。
世界データ定額の対象外となる国・地域でも、海外ダブル定額対象であればそちらが適用されるのは良心的といえる。
ハワイ・アメリカ無料キャンペーン(9月30日まで)
auは9月30日まで、米国において世界データ定額の利用料を無料とするキャンペーンを実施している。
適用回数に制限はなく、期間中なら何度でも利用できる。具体的な対象地域は以下の通り。
- アメリカ本土
- アラスカ
- ハワイ
- プエルトリコ
- 米領バージン諸島
なお、国内のデータ容量が消費されることには変わりがないので注意しよう。
ソフトバンク/Y!mobile
ソフトバンクは「ソフトバンク(SoftBank)」と「Y!mobile」の2ブランドで通信サービスを提供している。
国際ローミングサービスにおけるデータ定額オプションとしては、両ブランド共通の「海外パケットし放題」が用意されている他、ソフトバンクブランドのiPhoneには「アメリカ放題」、Y!mobileブランドには「Pocket WiFi 海外データ定額」というものがある。
それぞれの特徴を見てみよう。
海外パケットし放題(ソフトバンク/Y!mobile共通)
「海外パケットし放題」は、1日単位(日本時間の0時〜23時59分まで)の「2段階定額」だ。世界対応ケータイ(国際ローミング対応機種)を契約している場合は、原則として自動適用される。
- →ソフトバンク、9月13日からLTE国際ローミングを開始(4G LTEにおけるサービス開始発表時の記事)
4G LTE対応機種における利用料金は以下の通り。1段階目の上限容量を超過するといきなり2980円(上限額)になることには注意したい。
- 0B〜495KB:4円/1KB
- 〜1万2800KB(12.5MB)未満:1980円(固定額)
- 1万2800KB以上:2980円(固定額)
海外でもデータ通信を多く使う人にはピッタリなのだが、ソフトバンク・Y!mobileでは国内のデータ通信容量を海外でも使うサービスを用意していない。少し残念ではあるが、渡航先(や使っている機種)次第でより便利に使えるサービスも用意されている。
アメリカ放題(ソフトバンク)
「アメリカ放題」は、「iPhone」「iPad」ユーザー限定で、米国内におけるデータ通信を定額利用できるサービス。データ通信だけではなく、米国内または日本宛の通話も無料で使える。
使った月のみ980円の利用料金が必要だが、現在はキャンペーンとして無料となっている。キャンペーン終了後も(時期未定)、5GB以上の「データ定額」に加入している場合は無料で使える予定だ。
その名の通り、現状ではデータ容量を無制限で使える、米国渡航者にとって最強のサービスとなっている。
- →ソフトバンク、渡米時の通話・ネットが定額の「アメリカ放題」発表 「iPhone 6/6 Plus」向けに提供(サービス開始発表時の記事)
このサービスを利用する場合、「iPhone 6/6 Plus」以降のiPhoneまたは「iPad(第5世代)」「iPad Air 2」「iPad mini 3」以降のiPadが必要となる。Android端末やデータ端末(Pocket WiFiなど)では利用できない。
また、利用時にはローミング先を「Sprint」に固定する必要がある。他キャリア(AT&TやVerizonなど)に接続すると海外パケットし放題が適用されてしまうので気を付けたい。
具体的な対象利用エリアは以下の通り。
- 米国本土(モンタナ州を除く)
- ハワイ
- 米領バージン諸島
アラスカ州やモンタナ州、グアム、サイパンでは利用できない。滞在先・訪問先によっては注意が必要だ。
Pocket WiFi 海外データ定額(Y!mobile)
「Pocket WiFi 海外データ定額」は、「Pocket WiFi 701UC」でのみ利用できるプラン。海外利用時に1日(グリニッジ標準時基準)あたり90円を追加で支払うと、海外で月間7GBの高速通信ができる。
海外の通信容量は国内のものとは別になっているので、海外で使いすぎて国内で困る(またはその逆)といったことが起こらないのも魅力。
ルーターを別途持ち運ぶことの是非はあるだろうが、この記事で紹介しているデータサービスの中では、アメリカ放題を除くと一番安価に使えることは間違いない。
ただし、海外利用分で容量超過した場合に、容量をチャージ(速度を回復)する手段がないので注意も必要。
大手キャリアが提供する安価な海外データ定額サービスを紹介してきた。以前と比べると、国際ローミングでも比較的安価にデータ通信ができるようになったことは喜ばしい。
とはいえ、滞在日数や渡航先によってはレンタルWi-FiやプリペイドSIMの方がおトクな場面もまだ多い。そこで後日、海外で使えるレンタルWi-FiやプリペイドSIMも紹介する。
楽しみにしていてほしい。
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