2012年10月11日木曜日

地理条件と誘致政策の活用

 これまでに触れてきた事例は、ほとんどがマレーシア政府の投資誘致政策と関連するが、地理条件と合わせて考えると進出先の選択肢が広がる。

 マレーシアは太陽電池で世界のトップシェアを目指している。これら環境テクノロジーの誘致はマレーシア工業開発庁(MIDA)が特に熱心で、2011年は外国投資の54.8%が電気・電子製品、うち太陽光関連産業が71.5%を占めていた。太陽電池関連では、日本からも大型投資があり、パナソニックは2011年ケダ州に450億円、トクヤマは2009年サラワク州に1250億円の投資を決定し、関連設備の建設を行っている。ケダ州は外国企業誘致のためにインフラ設備が充実しており、ペナン島の国際空港との接続も良い。サラワク州はインフラ整備という点では他州に劣るものの、天然資源が豊富であり、エネルギー関連産業は重点産業として積極的な優遇措置が取られている。進出にあたって検討すべき点はインフラ環境、天然資源、優遇政策と様々だが、何を優先すべきか、さらに魅力的な優遇措置がないのか吟味した方が良いだろう。

 また、日系企業ならではのマレーシアの地理条件の活用例にも触れておこう。三井金属鉱業は、東日本大震災の後、計画停電に備えた事業継続計画の一環として、マレーシアに一部機能を移管している。マレーシアは日本から比較的近く、地震を含む天災が少ないことがこの決定の決め手となったと考えられる。震災の後、事業継続計画を見直した企業は多いと思うが、その対応策がマレーシアへの機能移管とは興味深い例ではないだろうか。

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