2012年10月11日木曜日

ハラル・ハブとしての存在感

 マレーシアのイスラム国家としてのもう1つの重点政策「ハラル・ハブ」について見てみよう。イスラム金融については前回述べたが、「ハラル認証」についても各国食品企業の間ではマレーシアの認証を経て、背後に控える大規模なハラル市場を相手にビジネスに行おうとする動きがある。

 他国のハラル認証は、宗教関連機関が認証機関も兼ねていることがほとんどであり、非イスラム教徒にとっては理解が難しいことがあるが、マレーシアのハラル認証はハラル産業開発公社(HDC)による国家認証である。また、マレーシアのハラル基準は世界で2番目に厳しいと言われており、マレーシアで認証が取得できればイスラム圏のほとんどどこにでも輸出できる(1番厳しいのはサウジアラビア)。2000年、味の素の商品にラルで認められていない成分が含まれているという指摘を受け、インドネシアで問題になったことがあるが、イスラム教徒にとってハラルはそれほど厳しい戒律だ。

 しかしながら、ハラル認証さえクリアすれば、世界のイスラム教人口約18億人を相手に市場規模2兆1000億ドル、食品だけでも5800億ドルと言われるハラル市場でビジネスを行うことが可能になる。前述の味の素は、問題となったインドネシアのハラル認証を再取得するとともに、マレーシアHDCのハラル認証も取得している。日系企業では他に大正製薬、ポッカ、花王などがHDCのハラルを取得しているが、世界でもネスレ、ダノンといった食品メジャーがHDCの認証を取得しており、マレーシアをハブにイスラム圏での食品ビジネスを展開している。

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